「あ、おかえりクラウド〜♪」

 順調に仕事を終え、予定通り昼食時に帰宅。
 家族と囲める食卓を楽しみに愛車をぶっ飛ばしたというのに、ドアをくぐった直後に思い描いていた幸せはあっさりと逃げてしまった。

「何故お前がここにいる…」

 ガックリ肩を落としたクラウドに、ウータイ産のお元気娘はニヤリと笑った。






甘く薫る黒髪を…。







 きのことあさりのパスタ。
 ジャガイモの冷たいスープ。
 レタスとコーンのサラダ、かいわれ大根を添えて。

 本日の昼食は洋風スタイル。
 クラウドは燦然と輝くその素晴らしい昼食を前に、食欲が減退しているのを隠そうともしなかった。

「クラウド…ごめんね?」

 そっと小声で謝ったティファへ逆に申し訳なくなったものの、どうしてもこの目の前の元凶が気になってしまって食欲が戻らない。

「おりょ、食べないの?ティファの手作り、超サイコーなのに〜。いらないなら〜…頂戴っ!」
「やめろ」

 ススッと脇から伸びたフォークを自らのそれでカッ!と遮り極寒の視線で睨みつける。
 しかし、ユフィはと言うとそんな視線もどこ吹く風。
 ケロリとした顔で、
「だぁって食べないんでしょ?勿体無いじゃん」
 真正面からクラウドの冷たい目を見つめつつ、手元は不埒にも再チャレンジの動きを見せた。

「…誰のせいだと…」
「おりょ?暑さのせいでしょ?」
「お前のせいだろ」
「なぁんでそうなるかなぁ。ま〜ったく素直じゃないんだから〜、相変わらず」
「素直に心の底から言うが、迷惑だ、帰れ今すぐに」
「またまた、テレちゃって〜。本当はこんなに可愛い仲間に会えて嬉しくせに〜」
「嬉しくない、見たくもない、未練など微塵も無いから今すぐ帰れ」

 舌戦…と言うよりは、子どもの言い合いが繰り広げられる。
 2人とも相手の顔から一瞬たりとも目を逸らさないくせ、手元は激しい昼食強奪攻防戦が繰り広げられていた。
 カカカカッ!というフォークの音が食卓に不似合いな音を立てている…。
 それを子供たちは自分たちの昼食を頬張りながら、
「なんだかなぁ…」
「よくやるよね」
「相手の手元を見ないでアレだけの動きが出来るのは流石なんだけどさぁ」
「なんか…素直に『すごい』って感じがしないね」
「だよなぁ…」
 実に冷静に評している。
 ティファは苦笑を浮かべながら、さてどうしたものか…と思案してはいたが、半分以上放棄して見物するばかりになっていた。
 なにしろ、他人に対してあまり気持ちを移さないクラウドがここまで感情的になっているのだ、微笑ましく感じずにはいられないというものだ。
 だがしかし、ティファが傍観していたのもほんの僅かな間だけ…、すなわち、2人の英雄によってテーブルに刻まれるフォークの穴を見つけるまで。

 その日、晴天の真昼間であるというのにセブンスヘブンに特大の雷が落下した。


 *


「それで、今度は何の用だ…」

 頭頂部に冷えたタオルを置いたまま昼食を完食したクラウドが、同じく頭頂部に冷えたタオルを乗せてまだ痛そうにテーブルに突っ伏しているユフィをジトッと睨んだ。
 恨めしそうな紺碧の瞳は、『お前のせいでティファに怒られただろ…!』と雄弁に物語っている。

「あ〜〜、もう!」

 ユフィはその視線から目を背けるようにしてテーブルに突っ伏していたわけだが、チクチクチクチク感じる恨みの視線に白旗をあげた。
 顔を上げ、開き直ってクラウドに身体ごと向き合う。
 ニヤッと笑ったその顔は、すっかりいつものユフィだ。

 フテブテシイ奴…。

 クラウドの恨みの眼差しに一層険が篭るが、いつもの余裕を取り戻したユフィには通じない。
「あのさぁ、クラウド」
 上半身のみ摺り寄せるようにして身を乗り出し、手の甲を口元に添えての『内緒話ポーズ』を作りながら小悪魔スマイルで囁く。


「新しいティファを見て見たいと思わない?」


 クラウドは一瞬、いや、半瞬思考が真っ白になった。
 今、この目の前の性悪小悪魔は何を言った?
 新しいティファってなんだ!?
 半瞬フリーズした思考は、次の瞬間、怒涛の勢いでクラウドの脳内に次々と色々なティファの姿を描き出した。

 いつも凛としている彼女が2人きりの時だけに見せてくれる甘える姿。
 子供たちに向ける聖母の微笑み。
 店長としての生き生きした姿。
 仕事で中々帰れず、ようやっと帰宅したときに見せてくれるホッとした安堵の笑みと、その次の瞬間に花開く極上の笑み。
 ちょっとからかうと首筋まで真っ赤になってオロオロする姿。
 少し唇を尖らせて拗ねた顔。
 ウトウトとまどろんだ時だけに見せる無防備な微笑み。
 夜、誘うように潤んだ瞳を向ける妖艶な彼女の……。

 そこまで考えてクラウドはハッと我に返った。
 目の前ではユフィが人の悪い笑みを浮かべている。
 気恥ずかしくてさっと視線をそらせると、それを追うようにしてユフィが顔を寄せてきた。

「なぁに考えてたのかなぁ?」
「……別に」
「やだな〜、クラウド、やらし〜」
「…うるさい」
「おりょ〜?やらし〜ことは否定しないんだ〜?」
「………」
「やだな〜、クラウド、そんなに睨まないでよ〜。真っ赤な顔して睨まれても怖くないよ〜ん」
「…お前、本当に帰れ」
「や〜だよ〜〜だ!」

 ケラケラ笑うユフィにとうとうクラウドは実力行使に出た。
 立ち上がってユフィの首根っこを掴む。
 勿論ユフィも大人しく掴まれているわけは無い。

 首根っこを掴んでいるクラウドの手を軸にしてクルリ、と後方返りをしたかと思うとクラウドの肩を蹴りつけて店の中ほどまで飛び退った。

「なぁにすんのさ〜!か弱い乙女を猫の子運ぶみたいに持ってくれちゃって!」
「誰がか弱い乙女だ」
「は〜!?目の前にいるじゃん、ここに、ほらほらほら!!」
「か弱い乙女が人の肩蹴っ飛ばしたりするか」
「古いねぇクラウド。今どきの乙女は自分の身は自分で守るもんなんだよ」
「自分の身を守れるならか弱くないだろう」

 完全に売り言葉に買い言葉。
 クラウドは気づいていないが、口の重いこの男が何故かユフィ相手だと饒舌になる。
 それをティファが密かに羨ましく思っているのだが、当然気づいていない…。
 そのティファは、残念ながら今、子供たちと一緒に2階の居住区で掃除をしたり、干していた洗濯物を取り込んだり…と、家事に勤しんでいる。

 ユフィはフーフー、と毛を逆立てた猫のように威嚇していたが、いつもの調子で急に開き直った。

「ま、いいやクラウドなんか」
「………」

 ムッと眉間のしわを濃くしたクラウドを尻目に、ユフィは頭の後ろで両手を組んでこれみよがしにゆっくり歩く。

「どうせティファの了解は午前中のうちにもらってるし〜」

 チラリン、と視線を寄越す破天荒娘に、クラウドのイライラが倍増した。
 倍増したが、突っかかってくるのを相手が待ち受けているのが分かるだけに、その言葉に反応するもんか!と意固地になる。

 しかし、気になる。
 気になるが聞けない。

 イライラした顔に悶々としたものを目ざとく見て取ったユフィがニヤニヤ笑う様がこれまた腹立たしく、余計に意固地になる。
 その負のループに陥っていたクラウドにユフィがまたもや意地悪い顔で口を開こうとしたとき、2階から子供たちと一緒にティファが降りてきた。
 笑顔でデンゼル、マリンとおしゃべりをしつつ店舗に戻ってきたティファは、ムッとしたクラウドと意地悪い顔をしていたユフィを見て眉根を寄せた。
 ユフィがクラウドをからかって楽しんでいたのは一目瞭然だ。
 腰に手をあて、軽くお小言を言おうと口を開いたが、それを遮るようにウータイ産のお元気娘は上機嫌にティファへ駆け寄ると腕を絡ませた。

「ほらほら、もう時間だし行くよ〜」
「…どこか行くのか?」

 ユフィに…ではなくティファへ訊ねたクラウドの顔は怪訝そうだ。
 ティファは微苦笑しながら頷いた。

「ユフィのお友達がこっち(エッジ)にきてるんですって。それで」
「モデルになってってお願いしたんだ〜」

 どこか勝ち誇ったようなユフィにクラウドは益々渋面になる。

「モデル?」
「そ。モデル〜」
「ティファが?」
「勿論。今の話の流れでティファ以外の誰がモデルになるのさ」
「本当に?」
「なぁんだよぉ、ティファがモデルじゃあおかしいわけ?」
「おかしい」

 スパッ!と言い切ったクラウドにデンゼルとマリンが目を丸くした。
 少し首を傾げてまじまじとティファを見つめているクラウドを凝視する。
 対してまじまじ見られているティファはソワソワと居心地悪そうに視線を彷徨わせ、ユフィは額にしわを寄せた。

「なんでそう言い切るかなぁ、こんだけ綺麗だったらモデルの話が出てもおかしくないじゃん」

 流石にクラウドの言い草が癇に障ったらしい。
 ムッとして唇を尖らせる。
 するとクラウドは自分の言葉が足りなかったことに気づいたようで慌てて軽く首を振った。

「違う。そうじゃなくてティファはモデルとかそういうの、好きじゃなかったから」

 あぁ…、とユフィの額がまた滑らかになった。
 ニヤッと笑うと未だに居心地悪そうにソワソワしているティファを見上げる。

「うん、だってモデルって言っても『カットモデル』だから」

 サラリ、とティファの髪へ手を伸ばし、その感触を楽しみながらそう言ったユフィにクラウドの目が見開かれた。

「………カットモデル…?」
「うん、そう」
「ティファが?」
「そうだってば」
「髪……切るのか?」
「カットモデルなんだから髪切るに決まってるじゃん」

 呆れてそう言ったユフィだったが、どこか呆然としているクラウドにピンときたようだ。
 ニヤリ…と笑う。

「だぁってさぁ、ティファったらずっとこういうロングヘアしかしたことないって言うじゃん?勿体無いよねぇ、こんなに綺麗な髪なのに色々なヘアスタイルして楽しんだら良いのにさぁ」
 クラウドもそう思うっしょ?

 そう訊ねられてクラウドは口元を引き攣らせた。

「い、いや、まぁ…そうなる…か?」
「そうそう。だって、ティファだったらどんな髪型も絶対に似合うって。あの旅の頃にも散々言ったんだよねぇ、アタシもエアリスも」

 久しぶりに出たエアリスの名前にティファは目を細めた。
 クラウドも「そうなのか?」と訊ねながらその声音が柔らかくなった。
 ユフィも当時を思い出すかのようにうんうん、と数回頷く。

「ほら、ティファって格闘家でしょ?なのに長い髪だったら戦いにくいはずだ〜って言って、アタシと同じくらいに切ったら?って言ったんだ〜。エアリスも『ショートカットのティファ、絶対に可愛い〜♪』ってすごくノリノリでさあ」
「ショ、ショートカット……」

 顔を引き攣らせて呻くような声を洩らしたクラウドに、ティファは不思議そうに見た。
 流石に子供たちはクラウドが何を恐れているのか気づいたようで、呆れたように顔を見合わせている。

「でも、あの頃はまあ、髪を切るとかそういう余裕もなかったしその話は流れたんだけどさ。今回は、アタシの同郷がエッジでヘアサロン開いたからそのお祝いに行ったんだ。そしたら、誰か良いカットモデルいないかなぁ、って相談受けて、それでティファにお願いしたんだ」
 ね〜?

 ニッコリ見上げてきたユフィに倣ってニッコリ笑い返すティファに、クラウドは1つ大きく息を吸い込んだ。

「それで…ティファはその話を…受けたのか?」
「え?うん」

 あっさり頷いたティファにクラウドの肩が下がる。
 なんとなく、『敗北者』の三文字が似合ってしまいそうな姿だった。


 *


「クラウド、ティファが帰ってくるまでの間に店の掃除しちゃいたいんだけど手伝ってくれる?」

 そうマリンにお願いされてクラウドは天井にまで届きそうな脚立に登ってファンの掃除の真っ最中だった。
 しかし、頭の中はユフィに連れられたティファのことばかり…。

(………あの髪が短くなるのか……)

 自分でも不思議なくらい、落ち込んでしまう。
 胸の中が不快にモワモワとしてしょうがない。

「クラウド〜。手が止まってるけど大丈夫か〜?」

 ハッと下を向くと、デンゼルがはたきを手に怪訝そうな顔で見上げている。
 大丈夫だ、と軽く返事をして掃除を再開させたが、すぐその手は止まった。

(…ティファのショートカット…ね…)

 想像してみる。
 自分が抱き寄せた時にサラサラと手の上をくすぐってくれる髪がなくなってしまったところを。
 彼女の華奢な背をそっと撫でる時に感じられるあの甘い感触がなくなってしまうのだ。
 それだけじゃない。
 ふとしたときに髪を払う彼女の仕草も減ってしまうかもしれない。
 振り向いたときに宙を軽やかに踊るその光景も伸びるまでは見れなくなってしまう。
 白いシーツに広がる黒髪も当分は拝めない。

 はぁ…。
 1つため息をつくと、クラウドは頭を振った。
 そんなクラウドに、デンゼルとマリンがため息をついた。

「なんであそこまで落ち込むかなぁ」
「さぁ…。ティファだったらどんな髪型でも綺麗だと思うんだけどなぁ…」
「でも、俺はクラウドを褒めてやりたいよ」
「なんで?」
「だって、止めなかっただろ、結局」
「あ〜、うん、そうだね、止めなかったね。でも、あんなに嬉しそうに笑ってるティファを止められるわけないと思うけどなぁ」
「まぁそうだけどさ。クラウドって見た目クールなのに意外と独占欲強いからさ」
「そうだね。うん、そう考えると偉かったね、クラウド」
「ティファが帰ってきたら本格的に落ち込むだろうから慰めてやろうな」
「うん、そうだね」

 はぁ…。

 また1つ、天井付近からため息がこぼれ落ちる。
 デンゼルとマリンは顔を見合わせると黙々と自分たちの仕事に戻ったのだった。


 そうして。


「ただいま〜」

 ウータイ産の忍が満面の笑みで戻ってきたのは夕方だった。
 掃除を完璧に終わらせ、3人でとりとめもない話をして帰ってくるのを待っていたクラウドは無邪気な顔で駆け出した子供たちの向かった先へ視線を走らせた。

「わ〜、ティファ可愛い!」
「ティファ、すごく似合ってる!!」
「ありがとう2人とも」

 子供たちが手放しで褒めているそのティファを見て、クラウドはカチン、と固まった。
 ティファの髪は今、ユフィと同じくらいにまで短くなっていた。
 何故だかユフィが得意そうに笑っている。

「ね?ね〜?似合うっしょ?もうすっごく可愛いと思わない?」
「「 可愛い! 」」

 照れたように微笑んでいたティファの目が、固まっているクラウドに向けられた。

「クラウド…どうかな?」

 照れ臭そうに聞いてきたティファに、ハッと我に返る。

「あ〜……うん……似合ってる」
「それだけかい!」

 ユフィがすかさず突っ込んだ。
 子供たちが不服そうな顔をしたが、
「まぁしょうがないか…」「しょうがないよね。クラウド、ティファが髪切るって知ってから落ち込んでたし」
 などなど、囁き合って不承不承納得した。
 ティファはと言うと、クラウドの意見が少しショックだったようだ。

「えっと…似合ってない…かな…」

 困ったように笑いながら呟くようにこぼしたティファに、クラウドは慌てた。
 そんなことない、と言いながらそっと近寄ると手を伸ばした。

「正直、ここまで似合うと思ってなかったからビックリした」

 その台詞にティファがビックリする。
 デンゼルとマリンも目を丸くした。
 ユフィまでもが「え…マジで…?」とこぼす。
 そんな3人の前でまじまじと短くなった髪を見つめ、触れる。
 サラリ、とした感触に何故だかホッとして、自然と口元に笑みが浮かんだ。

「うん、似合ってるよティファ」

 ティファの頬に朱が差す。
 それだけではなく、何故か困ったようにユフィを見て、「あのね……その…」と歯切れの悪い物言いでクラウドを見上げた。
「ん?」と微笑んだまま小首を傾げるクラウドに、ティファの顔が益々赤くなる。
 両手を胸の前で握り締め、なにやら一生懸命…というより必死な姿に子供たちも首を傾げた。

 と、その時。

「ごめん、クラウド、それウソ」

 なにが?と聞き返す間もなく、ユフィの手が伸びてティファの髪をむんず!と掴んだ。
 そして…。


「「「 え…? 」」」


 3人は固まった。


 *


「あれにはビックリした」

 夜。
 いつものように寝る前のお手入れをしているティファの後ろ姿を眺めながらベッドに腰掛けていたクラウドが唐突に言った。
「うん、ごめんね。デンゼルとマリンもすごくビックリしてたよね」

 苦笑しながら振り返ったティファに合わせて髪がフワリ、と宙を舞う。
 その光景にクラウドはホッと頬を緩めた。

「短いヘアスタイルも似合ってたけど、やっぱりティファはその長さが良い」

 珍しいクラウドの賛辞の言葉にティファは頬を赤らめながら嬉しそうに微笑んだ。

「それにしても、ああいうウィッグがあるんだな、驚いた」
「うん、ビックリしたでしょ?私もつけてもらってなんだか本当に髪の毛切ったみたいな気分になったもの」

 そっと隣に腰を下ろしたティファに手を伸ばす。
 背中に腕を伸ばして軽く抱きしめると腕や手を彼女の髪が優しくくすぐった。

「うん、やっぱりこの長さが良い」
「本当?」
「あぁ」
「じゃあ……」
「ん?」
「これからもショートヘアは…やめようかな」
「そうしてくれると嬉しい」

 ティファの腕が背に回されるのを感じて、クラウドは彼女の髪に頬を寄せた。
 ゆっくり愛する黒髪を撫で梳く。

 −『カットモデルだったのに切らなくて良かったのか?』−
 −『あ〜、あの子ねえ、ティファの髪見たら『切るの勿体無いから!』って言ってさぁ』−
 −『そうなのか?』−
 −『だけど、折角行ったのに何もしないで帰るのもなんだかなぁ、ってことになって、だからシャンプーだけしてウィッグつけてもらったんだ』−

 ティファの髪を見て『勿体無い!』と思ってくれたユフィの友達に感謝しつつ、ゆっくりティファを横たえる。
 シーツに広がる黒髪を見て、やっぱりホッとしたのは内緒。

 甘く薫る黒髪を存分に愛でながら、しみじみと幸せを噛み締めたクラウドだった。



 あとがき

 クラウドって実際ティファが髪切ったらどうするのかしら?とか思いません?
 案外、『へぇ、切ったのか?似合うじゃないか』サラリ、とどんなティファでも受け入れてしまうのかもしれないですけど、ちょっとはショックを受けて欲しいと思っちゃうのは私だけじゃないはずだ〜!(← 願望)