自分は余程、日頃の行いが悪いのだろうか…。
 クラウドは真剣に考え、落ち込んだ…。



雨が降ったら…




 その日。
 朝からシトシトと雨が降っていた。
 まだまだ残暑は厳しい季節なのだが、どういうわけか今日という日に限って、いつもの日差しはどこへやら…。
 どんよりとした厚い雲に覆われた空からは、銀の雫が絶え間なく地上に向けて降り注いでいる。
 『今日という日』というのは、今日はクラウドが一週間ぶりに帰宅した日なのだ。
 配達先で思わぬトラブルに巻き込まれるのは悲しい事に珍しくなく、今回も見事にトラブルに巻き込まれてしまった。
 その処理を終え、漸く恋焦がれていた我が家に帰宅したばかりのクラウドを待っていたもの…。
 それは、可愛い子供達の笑顔と、愛しい人の微笑みではなかった…。

 仕事で疲れた体を、帰宅出来る喜びだけで動かしていたクラウドは、店のドアに伸ばした手を一瞬止めた。
 それは、並外れた彼の五感の全てが彼に何らかの警告を発したからに他ならない。

 まずい…。
 これは何だか分からないが、非常にまずい…!!

 しかし、ここは彼の家。
 ここ以外に帰る所もなければ、帰るつもりも無いのだ。
 一瞬止まったその手を握り締め、大きく息を吸い込むと、ドアの向こうに待ち受けているであろう『災厄』に立ち向かう為に、残り少ない気力を奮い立たせた。

 そして…。
 クラウドは、自分の研ぎ澄まされた五感素晴らしさを、改めて知る事となったのだ…。



「よ〜お!久しぶりだな〜!!」
「お前、相変わらずしけた面してんな、シャキッとしろい、シャキッと!!」
 ドアを開けたクラウドを、中年コンビが顔を赤くして出迎えた。
 既にテーブルの上には空いた酒瓶が数本転がっている。
 ムッとする酒の臭いとタバコの煙…。
 その光景に、肩から提げていた装備がだらしなくズルリと落ちた。
「……来てたのか……」
「あ〜!何さ〜!!折角遊びに来たって言うのに〜!!!」
 ドッと疲れが襲い掛かり、脱力したクラウドに、更に追い討ちをかけるような元気の良い声が投げかけられた。
「……ユフィまで……」
「ああーー!!もう、なにさ、その目!その顔!!その表情!!!可愛い仲間が来たっていうのに、少しは嬉しそうな顔しなさいよ!!」
「……………」
 すっかり気力を失った目でギャーギャーと騒ぐお元気娘を一瞥すると、クラウドは黙って三人の目の前を歩き去った…。
 いや、歩き去ろうとした…。

「って!!何だよ!!!」
「何だよ、じゃないっつーの!!何か言って然るべきなんじゃないの!?」
 思い切り無防備な後頭部に強力な回し蹴りを喰らい、危うくテーブルの角で額を強打しそうになる。
「俺は一週間ぶりに帰ってきて疲れてるんだ。そっとしといてくれ!」
 あわやというところで体勢を立て直し、ギンッ!とお元気娘を睨みつける。
 普通の人なら、サーッと血の気を失うような眼光に、お元気娘は「フンッ!」と、一蹴すると腰に手を当てて睨み返した。
「何言ってんのさ!帰ってきて何にも挨拶しない、非常識で冷酷な男の言う事なんかこれっぽっちも聞く耳持てないね!」
「ちょっと、ユフィ…」
 お元気娘の足元で、いつものように苦労性のナナキが、オロオロとクラウドとお元気娘の間に割って入る。
「……お前な……」
 そう言うお前は、いつ俺に『お帰り』と言った!?
 という実にもっともな台詞を吐き出そうとしたクラウドは、その言葉を子供達の歓声によって飲み込んだ。

「あーー!!クラウド、お帰りーー!!」
「あ!!クラウド、いつ帰ったの!?フェンリルの音、聞えなかった〜!!!」
 店の奥から子供達が満面の笑みで駆け寄る。
 そして、何の遠慮もなしに力一杯飛びついた。
 ユフィと睨み合いをしていたクラウドは、子供達の祝福にあっという間に斜めになっていた機嫌を立て直すと、子供達を軽々抱き上げた。
「ただいま、二人共。遅くなって悪かった」
「本当だよ〜!クラウドったらいっつも仕事先でトラブルに巻き込まれるんだからさ!」
「クラウドが優しい人だって言うのはとっても嬉しいけど、あんまりお人好し過ぎるのは駄目だよ?クラウドがいない間、とっても寂しいんだから、その事忘れないでね?」
 口を尖らせるデンゼルと、ほんのちょっぴり寂しそうな顔をするマリンに、クラウドはゆるりと微笑んだ。
「ああ、すまない。これからはもっと気をつける」
 一気に温かくなった店内の雰囲気に、人知れず息を呑んでいたナナキは大きく息を吐き出した。
 中年コンビは、我関せずで酒盛りをしている。

 そして…。
 その心温まるその光景に、お元気娘が黙って見守るという事が出来るはずもなく…。
「あ〜あ、全く何その『良いパパ振り』は〜!」
 当然のように茶々を入れる。
「…お前はもう少し静かに出来ないのか…?」
 子供達の存在のお陰で、幾分言葉に棘がなくなったクラウドに、デンゼルとマリンがクスクスと笑った。
「え〜、無理だと思うな俺…」
「私も〜」
「ああ、そうだったな。俺が間違ってた」
「キィーー!!何さ、三人とも!オチビちゃん達、失礼過ぎ!!ティファが帰ったらお説教してもらうんだからね!」
 子供達と、子供達を抱き上げたまま機嫌よく答えるクラウドとの会話に、ユフィが猛然と抗議する。
 そこで、クラウドはティファが不在である事に気がついた。
「ティファ、どこに行ったんだ?」
 てっきり二階の居住区か、店の奥の倉庫にいるものだとばかり思っていたのだ。
「ああ、ティファなら買出しに行ったんだ」
「この雨の中?でも、車があったけど…」
 デンゼルの言葉に首を傾げる。
 雨の中を徒歩で買い物に行ったというのだろうか…?
「うん。すぐそこだからって言って。私達も行こうかって行ったんだけど…」
「遊びに来た皆の相手しててくれ、って一人で買い物に行っちゃったんだよ」

 エネルギー資源が不安定な世界情勢にあるため、極力歩ける所は歩くようにする。

 それが、ティファだけでなく世界中の人達が心がけていることだった。
 その事を思い、クラウドは苦笑すると窓の外を見た。
 今日中には止みそうに無い空模様に、思案したのはほんの一瞬。

「二人共、悪いが留守番を頼む」

 子供達を床に下ろし、装備を外して身近に合った椅子に無造作にかける。
 簡単に濡れた衣服をタオルで拭うと、くぐったばかりのドアに再び手を伸ばした。
「うん!疲れてるだろうけど、頑張ってね!」
「クラウド、帰るのはゆっくりで良いからな!」
 子供達は、一瞬でクラウドの意図を理解すると、満面の笑みで大きく頷いた。
 そんな理解力のあり過ぎる子供達に見送られ、クラウドは苦笑しつつ大き目の傘を持って店を後にした。
 ドアが閉まる寸前、
「本当にあんた達ってしっかりしてるよね〜!」
「さっすが、俺のマリンだぜ〜!!」
「イイネェ、こうでないとな〜!!」
「良かった〜。二人共、しっかりした子供達が傍にいてくれてるから、幸せだよね!」
 という仲間達の声がクラウドに耳に届き、いつもは無愛想な彼が顔を真っ赤にさせたのを知るのは残念ながら誰もいなかった。



 フェンリルで走り去る景色に慣れている為、大き目の傘をさしてゆっくり歩くのは、何だか新鮮だった。
 嬉しそうに母親と歩く子供の姿や、レストランの窓際に腰掛けて空を窺っている女性、大きな買い物袋を抱えて足早に通り過ぎる年配のご婦人、雨の中でも全く気にせず夢中で話をしている若いカップル…。
 様々な人々が、エッジの街に溢れていた。
 その光景一つ一つに、クラウドは心が浮き立つ思いがした。
 二年前には想像出来なかった活気が、今、この街にあるのを肌で改めて感じる。
 ティファからは、店が閉店してからよく街や子供達の様子を聞いていたので、話としては知っていたが、こうして自分の目で見るとその話の一つ一つが自分の中で確固たるものとして息づくようだ。
 クラウドは、自分の住む街の活気に胸を温かくしながら、ティファの姿を探してバザーへ続く道のりを歩いていった。

 バザーに近づくにつれ、悪天候だというのに道が人でごった返してきた。
 人混みが得意でないクラウドは、その人の波に思わず顔をしかめる。
 その人波を掻き分けるようにして、バザーを進んでいくと、どこからか喧騒らしきものが聞えてきた。
 『らしきもの』という表現の理由は、バザーは元々活気に溢れているからだ。
 店のオヤジさん達が、喧嘩を売っているのか!?と勘違いしてしまいそうな迫力でたたき売りをする。
 初め、その事を知らなかったクラウドは、その気迫に驚くと同時にまじまじとそのオヤジさん達を眺めてしまったものだった。
 無愛想な彼がまじまじと見つめる…。
 それはそれは、背筋の凍るような姿だった…。というのは、デンゼルの証言である。

 というわけで、クラウドはバザーで少々喧騒らしきものがあったとしても、『それはそういうもの』という認識を今では無事に身に着けた。
 しかし、今日のはどうも『それはそういうもの』という雰囲気ではないようだった。
 誰かが明らかに誰かに絡んでいるようだ。

「なぁなぁ、そんなに警戒しなくっても良いじゃん!?」
「そうそう!そんなに大荷物でこの雨の中は大変だって」
「俺達の車ならすぐに運んでやるからさ!」

 人混みの喧騒を縫い、何とかそう言っているのが聞き取れた。
 口調から、どうも性質の良くないナンパの類であるのだと判断出来る。
 そして、そのナンパされている被害者(?)は、頑なにそれを拒んでいるのが窺い知れた。

 さて、どうしたものか…?

 クラウドは考えた。
 自分としては、一刻も早くティファを探し出したい。
 この雨の中、ちょっとした買い物の予定が仲間達の来訪の為に大幅に狂い、きっと大荷物を抱えているであろう彼女を、少しでも早く手助けしたい。
 しかしそれ以前に、一週間もの間離れていたので、純粋に彼女の笑顔が恋しかった。

 ………。

 しかしこうも考える。
 もしも、このままナンパされて困っているであろう『誰か』を無視してティファを探したのが彼女に知れたら…。

 ………。
 …………。

 まずい…。
 非常にまずい…、ような気がする…。
 彼女の呆れ帰った…、幻滅した顔が目に浮かぶようだ。

 それに、何よりもまず、自分の気持ちがスッキリしない。

『クラウドが優しい人だって言うのはとっても嬉しいけど、あんまりお人好し過ぎるのは駄目だよ?クラウドがいない間、とっても寂しいんだから、その事忘れないでね?』

 マリンの言葉が頭をよぎる。
 この場合も、お人好し過ぎるという部類に入るのだろうか…?
 しかし…。

「だから、変な事しないって言ってるだろう?」
「そうそう、俺達これでも超真面目で通ってるンだぜ」
「雨、暫く止みそうにないし、そんなに大荷物じゃ傘させないだろう?」

 悩んでいる間にも不真面目なオーラを漂わせた男達の声が聞える。
 絶対に『変な事する気』満々の気配に、道行く人々が歩調を緩め、そちらを窺っている様子が見える。
 しかし、誰も助け舟になろうとはしなかった。
 何となく、近寄りがたいものを感じているのだろう。
 クラウドは心のどこかで、自分以外の誰かが助けに行かないか期待したが、どうもその期待が裏切られそうだと判断し、溜め息をついた。
 腕に確かな自信を持つ人間はそうそういるものではないし、何よりもトラブルに巻き込まれるのを潔しとする人もそうはいないだろう…。

 今、悩んでいるクラウドと同じく…。

 そこまで考え、クラウドは苦笑し、その騒ぎの中心へ向けて歩き出した。


 そして…。
 クラウドは自分の判断が間違えていない事を知った。


「だから、結構です!」
 聞き慣れた…、聞き慣れ過ぎた女性の声に、思わず息を呑む。
 そして、その声が聞えたと同時に丁度人混みを通り抜けたクラウドの視界には、許しがたい光景が飛び込んできた。


 大きな買い物袋を四つも抱えた黒髪の女性。
 その女性が雨宿りしているカフェの軒先で、馴れ馴れしく話しかけている黒・金・茶の髪をした三人の若い男達。


 ブチコーン!!!


 クラウドの中の何かが弾け飛んだ。





「もう、クラウドったら、助けてくれるのは良いけどびっくりするじゃない」
「……すまない、つい…」
 ティファの抱えていた買い物袋三つを腕に抱え、トボトボと彼女にやや遅れて歩くその姿は、母親に叱り飛ばされた小さな子供そのもの…。
『ジェノバ戦役の英雄』などという大層な肩書きを持っている人物とは到底思えない。

 助けに行ったのに結局、呆れかえった…、軽蔑した顔をされてしまった…。
 
『ティファ!!』
『え?あ、クラウド!!……ってちょっと…!?』
『ご、ごごごごめんなさい!!』
『わ、わわわ悪気はこれっぽっちも…』
『ほ、ほほほ本当に、も、もも申しわけ…』
 常人では考えられない程の殺気を灯した、絶対零度の眼光の前に、顔を青ざめさせて震える三人のうち、一人の胸倉を片手だけで掴み上げると、『失せろ』とたった一言で退散させ、周囲にいた通行人から拍手喝采を受ける羽目になってしまったのだ。
 当然、ティファは顔を真っ赤にさせてクラウドを叱り付け、それによって、頭に上っていた血が急激に冷め切るに至った。

 そして、周囲からの好奇の視線に、二人は脱兎の如く逃げ出した。

 何とも格好の悪い事をしてしまった…。
 カッと頭に血が上った行為を振り返り、クラウドは溜め息をついた。
 少し前を行くティファを見る事など、到底出来る雰囲気ではない。
 少しでも早く、彼女に会いたかったという気持ちが、今では何とも惨めなものに取って代わっている。
 ティファはそんな落ち込みモード全開のクラウドに溜め息をつくと、苦笑しつつ遅れがちな彼の隣に並んだ。
「さっきはごめんね、助けてくれたのに怒ったりして」
 ティファの言葉に、クラウドは恐る恐る彼女へ視線を流す。
 そこには、彼の見たかった笑顔があった。
「あ…。いや、俺の方こそ本当に悪かった…」
 その笑顔に心底ホッとする。
 表情を和らげたクラウドを見て、ティファは嬉しそうに含み笑いをした。
 そんなティファにクラウドは首を傾げる。
「何だ?」
「え?フフ…、だって帰ったばかりでしょう?それなのに、迎えに来てくれたから嬉しいの」
「そうか?」
「そうなの。だって一週間ぶりなんだもの、クラウドの顔見るの」
 穏やかな顔をしてそう言うティファに、クラウドはマリンの言葉を再び思い出した。
「すまない、いつもその…、寂しい思いをさせて…」
 ポツポツと口にした言葉に、ティファはびっくりして目を見開いた。
「それ、マリンから言われたの?」
「ああ、さっきな…」
「フフ、本当にマリンらしいわね」
「そうだな…」
 いつも自分達が言いにくい言葉を、ストレートに口にしてくれる愛娘に、二人は笑みを漏らした。

 顔を見合わせ微笑み合うと、ティファは少しモジモジとしていたが、不意に自分の傘をたたみ、キョトンとしているクラウドの大き目の傘の下の潜り込んだ。
 そして、顔を真っ赤にさせながら、
「だって、傘と傘がぶつかって歩きにくいんだもの。クラウドの傘、大きいから二人並んで歩けるでしょ?」
と、言った。
 そんなティファの言動に、クラウドも顔を真っ赤にさせ、「ああ、そうだな…」と少々とんちんかんな答えを口にする。
 それきり、二人は黙り込んでしまった。
 いつも隣で歩く時よりも、密着した状態にあるのが、何とも言えず気恥ずかしい。
 しかし、それ以上に一週間ぶりに感じる温もりに、二人は幸せで胸が一杯になった。
 人前で寄り添う事を恥ずかしがる二人だが、今は雨のお陰でその気恥ずかしさもほんのちょっぴり覆われている。
 傘に落ちる雨音を聞きながら、言葉は無くても幸福で満たされる時間を二人は満喫した。


『ねぇ!あそこの二人、素敵じゃない!?』
『キャッ!本当、凄い絵になる〜!!』
『お!?あれってセブンスヘブンのティファちゃんだよな』
『クラウドさん、帰ってきたのか〜。くぅ〜残念…!!』
『今夜はお店、休みか〜。はぁ、つまんねえの…』
『………何て羨ましい………』


 道行く人々が、寄り添い行く二人を見て囁きあっていることに気付かず、二人は店への道のりをゆっくりと歩いていった。



「お!おっかえり〜!」
「おかえり!お疲れ様!」
 店に着くとお元気娘とナナキがニヤニヤしながら一番で出迎えた。
 子供達はカウンターの中で簡単なおつまみらしき物を作りながら、満面の笑みで「「おかえり〜!!」」と声を揃える。
「何だよ、にやにやして…」
 気味悪そうに言うクラウドに、ユフィは更に悪戯っぽい笑みを深めると、バシバシとクラウドの背中を叩いた。
「うんうん!よくやったよ、クラウド!」
「は?」
 背中の痛みと、ユフィの言葉に顔をしかめるクラウドに、ユフィはそっと耳打ちをする。
「だから!雨といったら相合傘じゃん!!クラウドもティファも、奥手だからどうなるかと思ったけど、ちゃんと相合傘して帰って来たから安心したよ〜!!」
「な!?」
 クラウドはユフィの一言に顔を真っ赤にさせ、思わず後ずさった。
 店に着くほんの数歩前に、ティファは恥ずかしそうに傘から出たというのに、一体どうやって見ていたというのか!?
 言葉にならない疑問は、
「ああ、ティファが顔真っ赤にさせて先に帰ってきたから、きっとそうじゃないかってユフィと話してたんだ」
という、ナナキの一言で解決した。
 ユフィはニヤニヤと実に楽しそうに笑っている。

 何と言う観察眼だろう…。

 クラウドはウータイの忍の観察力に舌を巻いた。


「クラウド!ホラ、早くシャワー浴びてきてよ〜!」
「クラウドがシャワーから出たら、皆でご飯だって!!」
 カウンターの中から、子供達が元気に声をかけた。
 ティファは、買った食材を倉庫に仕舞い終えて店内に戻って来た。
「クラウド、ゆっくりお湯に浸かって疲れとってね」
 微笑みながら、柔らかな声音でもって語りかけるティファに、自然に頬がゆるむ。
「ああ、すまない」

 やんわりとした雰囲気が漂う二人に、仲間達と子供達は嬉しそうに微笑み合った。


 外は雨。
 柔らかな銀の雫が、温かくセブンスヘブンを濡らしていた。



あとがき

本当は、もう少し恋人っぽい雰囲気を出したかったのですが、これで限界です(苦笑)。
クラティは、子供達だけでなく仲間からも温かく見守られているのよ〜、というのを
書きたかったのですが、それも何だか十分でないような…(汗)。

はい、精進します(滝汗)。

最後までお付き合い下さり、有難うございました。