その日。
 セブンスヘブンの店長は早々と『臨時休業』の札を外ノブにぶら下げた。
 その早い臨時休業宣言に、隣の奥さんがちょっとだけ驚きながら、
「へぇ、今日はもうお休みにするって決めたのかい?」
「あ、おはようございます」
 ティファは質問に答えず、頭を下げて敬意を払う。
 奥さんはクスリ…、と笑いながら「おはようさん!」と、割腹の良い身体に見合った大きな声でカラカラと笑った。
 ティファも釣られてクスクス笑うと、
「えぇ。今日はもうお休みするって昨日の晩から決めてたんです」
「ふぅん。それでもいつもは夕方くらいにぶら下げるのに、今日は何だってこんな朝早く?」

 奥さんが首を捻るのも無理はない。
 現時刻。
 朝6時ジャスト。

 ティファは何故か頬を染めながら、看板を指先で突きつつ、
「き、気分です、気分」
「気分?」
「ええ。ちょっと……ね…」
 そわそわと視線を泳がせるティファに、奥さんはニヤ〜ッと笑った。
 何か言おうと口を開いたが、結局そのままティファに軽く手を振って自分の家に戻って行った。

「じゃあ、ティファちゃんの旦那様に、私からよろしくって言っといておくれ」

 振り返らずにティファへ向けられた台詞は、ガションッ!という、植木鉢が落ちた音によって返され、割腹の良い身体を揺すりながら、彼女は自分の家の小さな門扉を開け、中に消えた。




温かな天使の羽に包まれるように…。






 朝食の時。
 デンゼルが嬉しそうにティファに言った。
「今日の夜、クラウド帰って来るんだろ?」
 ティファはニッコリ笑いながら、同じくその事が聞きたくて堪らない、という表情でジッと自分を見つめるマリンの頭を撫でた。
「えぇ。帰って来るわ。ちゃんと今朝、メールが届いてたもの。― 『今からミッドガルエリアに向けての船に乗る ―』って」

 途端、子供達から歓声が上がる。

 こんなにも子供達に好かれているクラウドを、ティファは誇りに思った。
 小さい頃は、村一番の乱暴者として忌み嫌われていた。
 それがどうだ!?
 世界を救った英雄という肩書きだけではなく、『二人の子供の父親代わり』という素晴らしい肩書きまで持っているではないか。
『英雄』と言う肩書きよりも『父親代わり』という肩書きの方が、何倍もクラウドにとって意味があるものだ、とティファは思っている。
 クラウドも同じだろう。
『ジェノバ戦役の英雄』と呼ばれるたびに、眉間のシワが深くなるのに対し、『デンゼルと、マリンのお父さん代わり』と馴染み客に呼ばれると、薄っすらと笑みが浮かぶ。

 ティファは…。
 幸せだった。

「じゃあ、今夜はうんと美味しいものを沢山作らなくちゃね」
「そうだな!あ、あれなんかどう!?『スタミナ定食スペシャルバージョン』!」
「ん〜〜…そうねぇ。クラウドなら食べられそうだけど、クラウドはもう少しお野菜食べた方が良いんじゃない?泊りがけの仕事の時って、ぜ〜ったいに野菜、食べてないよ。きっと、『ハンバーガー』とか『おにぎり』とか、簡単なものしか食べてないわ」
「む〜…そうかも…」

 うんうん、と唸りながら一生懸命クラウドのための特別な料理を考えている子供達に、ティファは胸が温かくなった。

「じゃあ、『スタミナ定食スペシャルバージョン』をちょっとアレンジして、お野菜の具沢山スープもつけましょう」

 デンゼルとマリンは、パッと顔を輝かせて同時に歓声を上げた。





 とりあえず、クラウドの帰宅予定は夕方以降なので、それまでは普段どおり、子供達は友達と遊びに行った。
 行き先は公園…、となっているが、どうも最近、子供達の間では『市場巡り』がはやっているらしい。
 市場に並ぶ店が段々とその様相を変えてきたのだ。
 店が増え、品数が増え、種類が増えた。
 中には、子供達を相手に商売をする店まで出来たほどだ。
 子供達は、少ないおこずかいで、一粒の飴玉を口に放り込んだり、一杯1ギルのジュースを分け合ったり…。
 それはそれは、楽しんでいる。

「でも、買い食いってあんまり良くないんだけどなぁ…」

 倉庫で食材のチェックをしながら、ティファはぼやく。
 自分が子供の頃は、買い食いが出来るような店はなかった。
 家で焼いたクッキーをたまに外で食べたりもしたが、必ずベンチに座って食べたものだ。
 立ったたまま食べたりはしなかった…。
 市場で物を買った子供達が、そのままその場で立ち食いをしている。
 何度かそういう子供達を見たが、幸いにもデンゼルとマリンがその中にいたことはない。
 しかし、今はしていなくても、そのうちするようになるかもしれない。
 せめて、最低限の躾はしていかなくては…と責任を感じている。

 いささか窮屈に思われがちなその考えは、子供達の事を思えばこそのもの。
 そのティファの大きく、温かな思いは子供達に真っ直ぐ、素直に届いていた。
 だから、ティファの心配は杞憂なのだが、それでもやはり心配は尽きない。

「……これが『お母さん』ってものなのかな…」

 口に出してそう言うと、妙にくすぐったいものを感じる。
 ティファは一人、クスクス笑いながら手元のメモに買わなくてはならない食材を書きとめた。

 量はさほど多くなかった。
 香草類の野菜を少しと食後のデザート作りに必要なミルク。
 後は、適当に市場を覘いて新鮮そうなものを買えば良い。
 それくらいの買い物なら、子供達が帰って来る時に買ってきてもらえば事足りる。
 だが、ティファは弾む足取りで街へと繰り出した。

 自分の目で見て買いたい。

 それは実に単純な気持ちから。
 やっと帰って来られるクラウドに、美味しいものを作ってあげたい。
 満足のいく食材を自分の目と触った感触で取り揃えたい。
 無論、子供達の目を疑っているわけではない。
 単純に、ティファ自身がクラウドの為に出来るだけのことをしてあげたい…という純粋な想いからだ。

 そのことに、ティファ自身は気付いているのかいないのか、甚だ疑問である。





 行きつけの店で、求めていた食材はすぐに手に入った。
 意外と時間が経っていないことに彼女はなんとなく、物足りないものを感じた。
 そのまま、良い時間になるまで市場をのんびりと散策する。
 腕の中の新鮮な香草の香りが鼻腔をくすぐる。
 その香りだけで、クラウドの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ…。


 ゆったりとした仕草で、自分の作った食事を口に運ぶクラウド…。
 形の良い唇がゆっくりと開けられ、一口、口に入れる。
 紺碧の瞳が軽く見開かれ、スーッと満足げに細められる…。

『うん…美味い』

 そう小さく…、短く呟き、澄んだ美しいブルーが自分を見つめる…。
 金色に輝く髪から覗くその瞳の美しいこと……。
 決して、他人には見せない甘やかなその色合いは、ティファの心を捉えて離さない…。


「よっ!ティファじゃないか〜!」

 突然、野太い大きな声に呼び止められ、ティファは夢から一気に現実の世界に引き戻された。
 ドックドック!と心臓が強く鼓動を刻む。
 うっかり買った物を落としそうになりながら、ティファは慌てて振り向いた。
 そこには、日雇いの建設業を職としている常連客がいた。
 流石に重い機材等を扱っているだけはある身体つき。
 そのがっしりとした身体には少々不釣合いな童顔。
 どことなく人懐っこい子犬を想像させるような瞳をした偉丈夫がニッカリと笑って手を振っていた。

「あ、こんにちは」
「よぉ!今夜の買い出しか?」

 横にも縦にもガッシリとしている常連客は、市場で込み合っている人波を掻き分けながらティファの元にやって来た。
 幾人もの買い物客が、迷惑そうな顔をして男を睨む。
 当然、男は無視だ…、というよりも気付いていないかもしれない。
 男の目は真っ直ぐティファしか映していない…。

「今夜はお店、お休みなんです」
「え?そりゃどうして…?」

 あからさまにガッカリしながら男は眉尻を下げた。
 まるで捨てられた子犬のような表情は、ティファの最も苦手とするものだ。
 自分が申し訳ないことをしている気持ちにさせられる…。

「今夜はクラウドが帰って来るから、ゆっくりさせてあげたいの」

 どことなく落ち着かない気持ちで早口で説明するティファに、男の目がスッと細くなる。
 しかし、視線を逸らしてソワソワしているティファは気付かなかった。
 ティファがおずおずと視線を男に戻すまでに、男は完璧に表情を取り繕っていた。

「へぇ、旦那がねぇ。良いねぇ、ティファにそこまで思われてさ〜」
「も、もう!やめて下さい、恥ずかしいでしょ?」
「ハハハッ!ほんっとうに初々しい反応だなぁ〜!」

 カーッと頬を赤らめて恥ずかしがるティファを、男は豪快に笑いながらからかった。
 しかし、その目の奥では鋭い光が宿っている。
 まだティファは気付いていない。

「じゃあ、今夜はちょっとした宴会みたいになるわけだな?」
「えっと……そうなる……かなぁ…」

 テレながら笑うティファに、男は口元に笑みを湛えたまま、スーッと目を細めた。


「そうだ、宴会なら俺もお邪魔して良いか?」
「え…?」


 唐突過ぎるその申し出に、ティファは目を丸くした。
 照れ臭さが吹き飛ぶ。
 ティファは笑いを引っ込めてマジマジと男を見つめた。
 ニッカリと人懐っこい笑顔を浮かべているその顔のどこかに『冗談だって!』と言ってくれるものを探す。
 だが…。

「俺も行ってみたいなぁ。クラウドの旦那とはじっくり話をした事ないしさ」
「あ……えと…」

 人懐っこく笑いながら再度、そう言って家族の団欒に混ぜてくれるよう頼む男に、ティファはようやく彼が本気なのだと理解した。
 同時に、男の瞳に宿っているどす黒い感情にも…。
 ありがたくないことに、よく遭遇する自分に向けられる『感情』に…。

 ティファの中で警鐘が鳴る。

「えと…ごめんなさい、久しぶりの家族団欒だから…」

 二度、つっかえながら断りの台詞を口にする。
 普段から『お願い』や『頼まれもの』をしたとき、断らないので、非常な勇気を必要とした。
 その振り絞った勇気だったが…、
「大丈夫。すぐにお暇するしさ。最後まで一緒にいさせてくれ、って訳じゃないし、ちょっと旦那と男同士の話もしたいなぁ、って思ってたんだ」
 男はあっさりとティファの気持ちを撥ね退けた。
「でも…クラウド、疲れて帰って来ると思うから…」
「わぁ〜ってるよ、だから少しだけ。宴会の出だしの『乾杯』して、少し話しをさせてもらえたらお邪魔虫は退散するからさ」
「お邪魔虫だなんてそんな!」

 咄嗟に出た否定の言葉。
 男はその台詞を予想していたのだろう。
 実に嬉しそうな顔をして、
「お邪魔じゃない?本当に?」
 ズイッ、と顔を近づけてティファと視線を合わせる。
 男とティファの身長差はゆうに20センチはある。
 そんな大柄な男が、一人の女性に顔を近づけ、目を合わせている姿が目立たないはずがない。
 元々、ティファは人目を引く美女なのだ。
 本人の自覚が無くても……。

 そんな綺麗な女性に、人懐っこい顔をした大柄な男が親しげに顔を寄せる。
 道行く人達の視線を一身に集め、ティファはドギマギしながら一歩、後ずさった。
 男はその一歩を詰める。

「本当にお邪魔じゃなかったら、参加させてよ」

 ティファは、咄嗟とは言え、否定の言葉を吐き出した自分を呪った。
 冗談めかせて『そう、家族だけの団欒だからごめんなさいね』と笑えば良かったのだ。
 自分の判断力の無さに嫌気が差す。
 なにも言わないことを『了承』と勝手に受け取ることにしたのだろう。
「嬉しいなぁ、初めて旦那と話しが出来る」
 そう無邪気を装いながら、男は半分混乱し、困っているティファの手からあっさりと買い物を取り上げた。
「あ!」と、声を出す間もない。
 ティファがなにか言う前に、
「俺、もう今日は仕事終わりなんだ。昨夜は夜勤だったからさ。ほら、あそこに見える建設中のビルがあるだろ?あそこに機材を運ぶのは昼間は人通りが多くて危険だから、夜に運ぶことになってるんだ。昨夜は俺が担当したから、今日はもう終わりなんだ」
 さっさと背を向けて歩き出す。
 ティファは慌ててその背を追いかけ、回り込もうとするが、中々どうして、それを阻むかのように男はズンズンと足早に市場を抜ける。
 足の長さの違いから、ティファは小走りで男を追いかけた。
「だから、このままセブンスヘブンまで行くことにする。荷物も運んでやりたいし」
「大丈夫だから、ちょっと待って!」
 横に並ぼうにも、男は悠々とした足取りで軽々ティファを置いていく。
 ティファは…気付いた。
 このまま強引に店の中まで入り込み、クラウドが帰ってきて…、子供達が帰ってきて…、そして家族揃って『乾杯』するその時まで何がなんでも居座る気なのだと。
 だから、自分を待つことすらせず、話も聞かないで勝手にどんどん……!

 ティファは一瞬立ち止まり、スッと目を細めた。
 そして…。


 タンッ!


「うおっ!!」

 突然、目の前に着地したティファに、男はギョッとして立ち止まった。
 今まで後ろにいたはずのティファが目の前に現れたことが信じられず、思わず振り返る。
 その僅かの間に、ティファは奪われていた買い物をサッと奪い返した。
 男の顔が奇妙に歪む。
 ティファは黙って険しい顔をしていた。
 そのまま二人、黙ったまま睨み合う様にして突っ立つ。
 幾人もの人達が、奇妙なその男女に奇異な視線を送る。
 しかし、誰一人立ち止まるものはいない。
 巻き込まれたら面倒と思っているのか、それとも興味が無いのか…。


「そんなに俺がイヤかい?」


 暫しの沈黙の後、男が悲しそうに問うた。
 その言葉は、決して小さくなく、道行く人達が興味津々で振り返る。
 中にはわざと通り過ぎた振りをして、ある程度の距離で立ち止まり、高みの見物を決め込んでいるものがいた。
 ティファは…初めてこの男に嫌悪感を抱いた。

 卑怯だ、と思った。

 これでは自分が悪者だ。
 ティファ自身は、そんなことは余り気にしていない。
 だが、自分が『セブンスヘブン』の店長をしており、その店には『デンゼル』と『マリン』という可愛い子供達が働き、一緒に生活している。
 その事を知っているものがこの場にいて、このような光景を見たら、どう思うだろう?
 子供達にまで変な噂がついてまわるようなことになったらどうしたら良い?

 ティファはグッと言葉に詰まると、そっと周りを窺った。
 明らかに、自分へ非難が集中している。
 このままだと、子供達やクラウドに迷惑がかかることになるかもしれない…。
 それが……何よりも怖い。

 ティファはなんとか笑顔を張り付かせると、
「そんな、イヤなわけないじゃないですか」
 なんとかその一言だけ口にした。
 そうして、も一言、付け加えるために口を開いたのだが…。


 フワッ。


 身体が宙に浮いた感触。
 同時に感じる温もり。
 鼻腔を心地良くくすぐる……匂い。
 心が温かくなって…、なんだか無性に泣きたくなるほど安心出来る…存在。


「ただいま、ティファ」

 紺碧の瞳が優しい光を宿して真っ直ぐティファを見つめていた。
 ティファの背中と膝裏には逞しい両の腕。
 クラウドの…逞しい腕。

「クラウド!!」

 歓喜で一杯になる。
 衆人の前であることなど、その時のティファからはすっ飛んでいた。
 ただただ、とても会いたくて仕方なかった現在(いま)、こうして助けに来てくれたことが嬉しくて…幸せで…!

 お腹の上に買い物を乗せて両腕を愛しい人の首に回す。

「思った以上に早く帰れたんだ。そしたら、誰も家にいないからな。きっと、ティファは夕飯の材料を買いに市場に行ったんだと思ったから、荷物持ちをしようかと思ってな」
 大正解だったな。


 クラウドの言葉、一つ一つが嬉しい。
 ティファは頬を朱に染め、歓喜のあまり潤む瞳でクラウドをマジマジと見つめた。
 クラウドはフンワリと微笑みながら、そっとティファを下ろした。
 ティファがお腹に乗っけていた買い物を、クラウドは地面に落ちるすれすれのところでキャッチすると、
「荷物持ちはもういらない」
 いったん言葉を切り、
「俺達はこれで失礼する」
 たった今まで甘やかな瞳をしていた人物と同じ青年とは思えない程、冷淡で鋭い眼光。
 男ばかりではなく、周りで面白おかしく見物していた野次馬たちも、ゾクッと背筋に悪寒が走った。
 クラウドは、固まっている群集の目の前で、ティファの肩を抱くとクルリと背を向けた。
 そうして数歩歩いた所で、何かを思い出したかのようにピタリ、と足を止めた。
 ティファが不思議そうにクラウドを見上げる。
 クラウドは真っ直ぐ、常連客を睨んでいた。

「セブンスヘブンの店長を呼び捨てにして良いのは、家族と仲間達だけだ。忘れるなよ」

 顔を引き攣らせ、敗北感に苛まれている男をその場に置き去りにし、二人は市場を後にした。




「クラウド、いつからいたの?」

 市場から少し離れ、人混みが少なくなった頃にティファは聞きたくて仕方なかった質問をした。
 金色の髪を太陽の光で輝かせながら、
「本当についさっきだ。あの男、声がでかいから遠くまで良く聞えた…」
 真っ直ぐ前を向いたまま答える。
 ティファにはそれが、クラウドの照れ隠しなのだ、と分かっていた。
 まさに、ヒーローのように助けてくれたクラウド。
 人前で、大胆なことをして、『牽制』してくれたクラウド。
 キッパリと『ティファ』と呼び捨てにして良いのは『家族』と『仲間』だけだと言ってくれたクラウド。
 そこに含まれている意味も…。


 デンゼルとマリン、仲間以外で『ティファ』と呼び捨てにするな。
 言い換えれば、『ティファ』と呼び捨てに出来る人間、つまり『新しい家族』『ティファの夫』以外は…ということ。

『夫』

 ティファはその漢字一文字に真っ赤になった。
 クラウドは、真っ赤になったティファに気付かない。
 その青年の耳の端も赤く染まっている。

 ティファは恥ずかしくて、嬉しくて、気持ちが空に向かってフワフワと浮いている心地だった。
 その幸せを噛み締めながら、そっとクラウドの腕に自分の腕を絡ませる。

 いつもなら絶対にしない大胆なその行動に、クラウドがビックリしてティファを見た。
 ティファは…真っ赤になったまま、ひたすら前だけを見ていた。

「あのね」
「…ん?」
「ありがとう…」
「…いや…」

 たったそれだけ。
 その会話だけで、二人は家に辿り着くまで口を開かなかった。
 会話をする必要が無かった…。


 幸せで…。
 本当に…幸せで…。


 二人の心は、まるで天使の羽にくるまれたかのように温かだった。

 そうして二人は己に固く誓う。


 いつの日か。
 彼の…。
 彼女の…。
 温かな天使の羽となることを…。
 その為には、努力を惜しまない…と。


 既に、その誓いが果たされている事に二人が気付くのは、まだまだ先のことかもしれない…。



 あとがき

 また…なんか似たような話しになっちまいました…。
 本当にレパートリーのない…(涙)。
 すいません。
 本当にごめんなさい!!
 ここまでお付き合い下さいまして、本当にありがとうございました!!