*信じられないくらいくだらない話ですので、ヒマでヒマで仕方ない人だけお読み下さい。
 苦情は……ほんっとうに勘弁願います…(最初から土下座)



「イ〜ヤ〜だ〜〜〜!!!!」
「ダメ!!約束したでしょ!?」

 自宅のドアを開けた途端、クラウドは目の前で繰り広げられている光景にギョッとした。




罰ゲーム





「…何やってるんだ、二人共…」
「「 あ!クラウドー!! 」」

 デンゼルとマリンが、それぞれ顔を輝かせて駆け寄ってくる。
 いつもなら可愛い我が子を抱き上げて『ただいま』のキスをするのだが…。

「助けて、クラウド!!」
「クラウド、デンゼルに『約束は守れ』って言ってやって!!」

 必死になって縋りつき、今にも泣きそうな息子と、眦を吊り上げている娘を前に、クラウドはただただ立ち尽くすばかり…。
 いや、二人の表情もさることながら、息子の『格好』がクラウドを心底ギョッとさせていた。

「…本当に…何やってるんだ…?」

 呆然と息子を見下ろす。
 フワフワの茶色の髪には………本来、あるはずのない『深紅のリボン』が結ばれている。
 幼い子供にしては整った顔には……『チーク』と『アイライン』。
 おまけにはみ出した『口紅』!!

 視線を転じると、マリンの小さな可愛い手には、レースたっぷりの可愛いワンピースが握られている。
 マリンのお気に入りのピンクの…ワンピース。
 それがきつく握り締められているのを見て、クラウドは事情を察しないわけにはいかなかった…。


「デンゼル、マリン…。どういうことかさっぱり分からない。説明してくれないか」


 軽く失神しそうになりながら、子供達に説明を求めた。


 至極簡単なことだった。
 デンゼルとマリンは、いつものように友達と公園で遊んでいた。

 たかが遊び。
 されど遊び。

 いつしか遊びが『勝負』に変わり、デンゼルのチームと相手チームで『サッカー勝負』となった。
 勝負、とくれば『負けたら罰ゲーム』というルールが出来上がってしまい、その『罰ゲーム』が…。


「『女装』か……」


 クラウドはガックリと肩を落とした。
 ソファーに身体がめり込むくらいの虚脱感。
 仕事の疲れが一気にドッと押し寄せた感じがする。
 目の前で涙を一杯に浮かべて必死に助けを求めているデンゼルにも…。
『約束は約束!』と言い張って、頑として譲らないマリンにも…。

 クラウドは疲れ果てて、何も言えない。
 言葉が浮かばない。
 浮かぶのは、どうしてこんなときに限ってティファがいないのか…という愚痴くらいだ…。

 デンゼルのチームはものの見事に負けてしまい、『女装』をして証拠である写真を撮って、お披露目しなくてはならなくなったのだそうだ。
 マリン達『女の子グループ』が見守る中での『勝負』。
 デンゼル達も必死に『戦った』が、相手も同じくらい真剣に『戦った』。
 そりゃそうだ。
 なにが哀しくて『女装』なんぞして『お披露目』しなくてはならないのか。
 そもそも、一体誰が『女装』だなんてアホな罰ゲームを決めたのか…。

 白熱する『勝負』に、その提案者が誰だったのか、思い出した子供はついにいなかったらしい…。

「デンゼル…」
 溜め息を吐きながら息子を見る。
 唇をギュッと結んで目をウルウルさせながら見上げてくる息子は…、冗談抜きで可愛いと思う。
 もしかしたら、かなり『女装』が似合うかもしれない…。
 いや、似合うだろう。

 そんな恐ろしい確信がクラウドの胸に宿った。
 慌てて否定し、ブンッ!と頭を一回強く振る。

「クラウド〜…」

 ソファーによじ登り、自分にしがみ付きながら涙を堪える息子がたまらなく可愛い。

「クラウド、『約束』は守らないとダメでしょ?ね、そうでしょ?」

 デンゼルとは反対側によじ登り、小さい手を目一杯伸ばしてしがみ付きながら一生懸命そう言う娘が……これまた可愛い。

 クラウドの脳内はショート寸前……と言うか、もうパンパンになっていた。
 当然、デンゼルの嫌がる気持ちは痛いくらいによく分かる。
 もう…それこそ他人事ではないのだから。
 何回『女装させられた』ことか!
 だからこそ、デンゼルの肩を持ってやりたい。
 だが!

『約束は約束』と言うマリンの言葉も……分かる。
 恐らく、デンゼルのチームの子供達は全員、今頃自宅で『苦渋の選択』をしているはずだ。
 と言うことは、デンゼルがもしも一人だけ『約束を破った』としたら、これから先、友達から嫌味を言われたり、最悪の場合、友達がいなくなってしまうかもしれない…。

 子供の世界は、それはそれはシビアなのだから…。

 今後の事を考えると、約束を守った方がデンゼルのためになるかもしれない。
 だがしかし!
 ことは重大だ。
 特に『男』である自分達にとって!!
 女性が『男装』するのは全然恥ずかしくないのに、どうして男性が『女装』するのはこれほどまでに『抵抗』を感じるのだろう…?

 などと、クラウドの脳内はズレたことを考えてしまうほど、もうパンパンで余裕など微塵もなかった…。

「クラウドだって『女装』はイヤだろ!?な、そうだろ?」
「デンゼル!一人だけルールを破って、皆に嫌われても良いの!?」
「良いよ!こんなバカみたいなルール作った方が悪いんだから!!」
「そのルールで勝負したデンゼル達がバカなんじゃない!!」
「う……」

 カンカンカーン!!
 ― 『勝者、マリン!』 ―

 呆気なく、口喧嘩勝負のゴングが鳴った……ような気がした。
 たった二秒の口喧嘩勝負。
 年下のマリンにあっさりと言い負かされたデンゼルは、なんとも情けない顔でクラウドを見上げた。
 その目が必死にクラウドへ助けを求めてる。
 だがしかし、クラウドには助け舟を出せるだけの余裕が全く、これっぽっちもなかった。

 ポン、と息子の頭に手を置く。


「デンゼル…」
「クラウド〜…」
「…………諦めろ」
「 !! 」

 ピギャッ!!

 デンゼルが変てこな悲鳴を上げ、ソファーからずり落ちた。
 打って変わって、マリンが勝利のガッツポーズを決める。
 クラウドは心の奥底から深く深く、息子に手を合わせずにはいられなかった…。






 チリンチリン…。
「ただい……ま…」

 ティファは軽く頭上で鳴る店のドアベルの音に頬を緩めながら弾む息を整えて……。


 石化した。


 目の前には、何故か……娘が『二人』。


 頭を強く殴られたような衝撃。
 ティファは床に釘付けにされたように、一歩も動けなかった。

「あ、ティファ…」
「 !? 」

 マズイものを見られた!!

 そう言わんばかりに顔を歪めた愛しい人。
 その背に咄嗟に隠れたのは……一体誰!?

 たった一人、マリンだけが上機嫌で、
「おかえり、ティファー!!」
 クルリ、と振り返って駆け寄った。
 頬が真っ赤になり、目が輝いている。
 ティファは、たった今、一瞬だけ目にした光景が全くもって理解不能で、パニックになった。

「マリン、ね、今の…なに!?!?」
「あ、ティファ、あの…」
「クラウド、その子、誰!?!?」
「ティファ、あの…」


「デンゼルなんだよ、凄いでしょ!?」


 ピッツァアァァアアアアンッ!!!!!



 ティファの身体に落雷が堕ちた。







 後日の公園。
「おい、約束だろ!」
「そうだ、男と男の約束だろ、見せろよな!!」

 子供達が三つのグループに別れて言い合っている。
 そのうちの一つは女の子グループ。
 更に一つは男の子ばっかりで、なんともニヤニヤ笑いながら残りの最後のグループへ凄んでいた。
『屈辱』という漢字二文字を全身に刻みながら、男の子達はそれぞれポケットやカバンから『例のブツ』を取り出す。
 勝者が敗者を虐げて笑う図式が出来上がっていた…。

「げぇっ!気色悪ぃ〜〜」
「ケッケッケ〜!すっげぇ笑える〜!!」
「ブハッ!これって似合いすぎじゃねぇか!?」

 などなど。
 勝利を手にした男の子達がそれぞれせしめた『戦利品』を高々と上げながら、言いたい放題、好き勝手に言いまくった。
 女の子達もそれぞれその写真を見せてもらって腹を抱えて笑っている。
 敗者である男の子達は、ひたすら悔し涙を飲んでその屈辱に耐えていた。

 が…。

「「「「 な!?!? 」」」」
「「「「 ??? 」」」」

 ある一枚の写真に、男の子達が硬直した。
 女の子達が不思議そうに顔を見合わせる。
 たった一人、マリンだけが満足そうに『ニヤリ』と笑った。
 デンゼルは……、もう羞恥のあまり『真っ赤』を通り越して『土気色』に変貌していた。
 勝者グループの男の子達が自分を見てくるのがイヤでも分かる。
 何度も何度も、写真と目の前の自分を見比べている。
 男の子達の様子に気付き、女の子達がそっと肩越しにその写真を見て…。


 黄色い歓声を上げた。
 敗者グループの男の子達が怪訝に顔を見合わせる。
 デンゼルはもう……半分棺桶に脚を突っ込んでいた。

『死ぬ…もう…死ぬ…』

 ブツブツと、口の中で呟くその様は鬼気迫る迫力があった。
 自分達と同じ罰ゲームを受けているはずなのに、自分達とは評価の違うことに男の子達がそろり、そろり、と勝者側に移動し…。


「「「 !?!? 」」」


 レースがふんだんに使われている淡いピンクのワンピースに身を包んだ絶世の美少女がそこにはいた。
 しかも隣には…。


「「「 金髪・碧眼の美女ーー!!! 」」」
「「「「 誰、このお姉さん誰ーー!?!? 」」」」


 薄茶色の髪を持つ美少女と…。
 金髪の美女のセット写真。

 マリンは満面の笑みで詰め寄る友人達に、
「ふふ、ダ〜メ。教えないって約束したんだもん」
 ニッコリ笑いながら、青ざめて言葉も無いデンゼルの腕に自分の腕を絡めた。

「でも、今夜、お父さんやお母さん達とセブンスヘブンに来てくれたら、もしかしたら会えるかもね〜」
「「「「「 えぇぇええ!? 」」」」」
「じゃあ、皆、またね〜」

 ニッコリと笑い、クルリとマリンは踵を返して軽やかに走り出した。


 自分とは180度違う、どんよりと暗いデンゼルを引っ張りながら…。





「クラウド、『親子スペシャル』出来たわよ」
「……あぁ…」
「クラウド、『親子で宴会セット』、お願いね」
「……あぁ…」
「クラウド…」
「……あぁ…」
「大丈夫?」
「……あぁ…」
「先に休んでて良いわよ?」
「……あぁ…」
「……おやすみ」
「……あぁ…おやすみ……じゃなくて、大丈夫だ!」
「本当に?」
「本当だ…」
「そう?」
「そう」
「……」
「……ダイジョウブ…」
「うん…なら、良いけど…」
「……ダイジョウブ」
「『片言になってるわよ…』…それにしても、どうして今日はこんなに親子連れが多いのかしら…?」
「…さぁ…。『でも、なんか……視線を感じるのは……気のせいか…?』」


 あぁ…知らぬが仏。


「マリン、あのお姉さんは!?」
「ふふ、さぁ、どこでしょう」
「父さん、母さんと来たら会えるって言ってたじゃないか!」
「会えるかもしれないって言ったのよ〜」
「う…ウソつ「ウソはついてないもん。かもしれないって言ったでしょ?」
「う…」
「ふふ、毎度ありがとうございます〜」


 ……商人根性(あきんどこんじょう)。


 ― 『クラウド!デンゼルだけ女装させるなんて!!』 ―
 ― 『…え……?』 ―
 ― 『大丈夫よ、デンゼル。クラウドも一緒に写ってくれるから』 ―
 ― 『はい!?』 ― ― 『本当、クラウド…?』 ―
 ― 『それ名案!ティファ流石〜!』 ―
 ― 『お、おおい…いやいや、ちょっと待て…!』 ―
 ― 『クラウド…』 ― ― 『(ズキーンッ!!)…デ、デンゼル…あの…』 ―

 ― 『『『 クラウド、お願い 』』』 ―
 ― 『…(ダラダラダラダラダラ)…イ、イ、イヤ…あの…』 ―
 ― 『『『 クラウド! 』』』 ―
 ― 『 (ヒィィィイイイイッ!!) 』 ―


 ……旅は道連れ、世は情け。

 賭け事、勝負はほどほどにvv




 あとがき


 もうこんなにしょうもないもの書いてすいません!
 はい、ちょっと心のリハビリを……。

 …。
 脱兎!!

2008.10.8
祈鴉様より女装デンゼルを頂戴しました〜♪こちらからどうぞvv