ガラスの心

なぁ、ティファ。

君は気付いてるか?

俺の心が本当はとても脆いってことに…。

ああ、きっと『違う』意味で『脆い』と思ってるんだろうな。

俺が本当に『脆くなる時』は、全部ティファが絡んでるんだけど、きっと君はその事実を知らないだろう。

確かに、俺は不器用だし、愛想もないからただ単に『他の人と変わらない程度の弱い部分を持つ心』って、そう思ってるんだろ?

…ううん、この表現じゃ少し違うな。

ティファは、俺の事を…、家を出て全てを投げ出した俺の事を『信じて』くれたもんな。

『傷つきやすい心を持ってるけど、それでも信じられる存在』…それがティファの中での俺なんだろうな。

それは、『正解』でもあるし、『不正解』でもあるんだよ。

上手く言葉に出来ないけど、人間の心って『ガラス球』と同じだと思うんだ。

ちょっとした不注意で傷がつき、落とすと割れてしまう『ガラス球』。

人間の心もそうだろう?

相手の何気ない一言で傷ついたり、壊れたり、そして、何気ない言動で立ち直れないくらいに破壊されてしまう…。

そしてその反面、『特定の相手』によって、粉々になった心の欠片が温かく包まれ、溶かされて再び形を取り戻す事が出来る。

だから、人間は傷つきながらも『生きて』いけるんだって、俺はそう思うんだ。

ティファはどう思う?

そして、俺の場合『特定の相手』はティファなんだよ。

あの時、公園で俺の知らない男にティファが俺の事を『好きじゃない』って言っただろ?

その時、俺の心は粉々になったんだ。

頭の中は真っ白で、視覚は暗くなるし、周りの雑音は遠くで『うわんうわん』って、変になってるようにしか聞こえないしさ。

俺の周りの世界と、俺の中の世界全部がティファのたった一言で全部壊れてしまったんだ。

でも、その後で『好きじゃ全然足りない。愛してるの』って言ってくれただろ?

そのたった一言で、俺の粉々になった心の欠片全部が温かく包み込まれ、溶かされて再び一つになったんだ。

だから、俺は今もこうして『生きて』いる。

でも、『壊れる前』と『再生した後』の『心』は少し違うんだ。

これも『ガラス球』と同じだ。

一度砕けた『ガラス球』は、再び熱を加えると溶け合って再び一つになる事が出来るけど、砕ける前と形が異なってしまうだろう?

人間の心も同じ。

壊れた心は、再び一つに溶け合っても、以前に比べて『歪(いびつ)』になってる。

それは、『心』が『進化』した証。

俺はそう思う。

『痛みを知らない人間に、痛みが分らない』のと同じ。

『痛みを知る』『痛みを味わう』事は、『心に傷を受ける』って表現するだろう?

まさにその通りで、『心』は決して綺麗な『円形』じゃないはずだ。

『生まれた時』から、人間は何らかの原因で『円形だった心』がだんだん『歪』になってしまうんだよな。

でも、それは決して悪い意味ばかりでなく、むしろ大切な事の方が多いと思う。

『綺麗な円形』ではない『歪な円形』の心を持つ人程、『人の痛みを知る人』で、何度も『心を溶かされる』経験を積んだ人。

俺はそう思うよ。

そして、俺達も『歪な円形の心』を持ってるんだよな。

少なくとも俺は、ティファによって『粉々に砕かれ』て、ティファによって『歪な円形の心』を手に入れた。

以前に比べて『歪な円形の心』を手に入れた俺は、あまり大した変化はない様に見えるかもしれないな。

でも、俺の中では確実に『変化』『進化』があったんだ。

それは、『決して誰にもティファを渡さない』っていう強い『想い』。

正直、今は照れ臭いほうが強くて上手く口に出来ないし、伝えるきっかけを掴めずにいるけど、あの日、ティファが公園で俺の心

を砕いて『歪な円形の心』を与えてくれたあの日、半分勢いでティファへ気持ちを伝えただろ?

それを聞いて、顔を真っ赤にさせ、涙をこぼしてくれた君を見て、ティファにとっても『心を砕いて』『一つに溶かす』存在が俺

なんだって、今更ながらに確信出来て、本当に嬉しかったし、同時に胸が締め付けられる思いがした。

どれ程、君の心を今まで『砕き続けて』いたのかって…。

本当にごめん。

どんなに謝っても時間は戻らないし、第一、君は謝罪する俺を見て益々悲しい顔しか見せないだろう、再び心に傷がつくだろう?

だから、これからは『砕き続けて』いた分、ティファの心を『一つに溶かして』いけるよう、ずっと君の傍にいる。

まぁ、それは理由の一つでしかなくて、本当のところは俺の方こそがティファの傍を離れられないんだけどさ。

こんなに『ティファに対して脆い心』を持ってる俺だけど、『ティファによって歪な心』を得る事の出来た俺は、ほかの事に関し

たらきっと『鋼並みに強い心』を手にしたと思ってる。

これも皆、ティファのおかげだよな。

勢いで想いを伝えたあの日。

あの日以来、どうも恥ずかしくて再び口にする事が出来ないでいる俺だけど、どうか『信じて』欲しい。

ティファ以外には決して俺の『心』が砕ける事はないし、『一つに溶け合わせる』事が出来る人間なんて、ライフストリームを含

めて世界中にただ一人、ティファだけなんだって。

だから、どうか俺の前で無理に笑わないで、弱い『心』も見せて。

大丈夫。

俺も君を、『君だから全部を受入れて、愛してる』から。

その言葉を素直に伝えられるのは、情けないけどまだ時間がかかるみたいだけど…、でも、言葉にして伝えられなくても、共に過

ごす事で『伝える事』ならきっと出来ると思う。

だから、少しずつでいいから、ティファの心も『一つに溶け合わせられる』よう、一緒に生きていこう。


あとがき

どうでしたでしょうか?クラウドの心情を書いてみました。
時間枠的には、「ハプニング』→『仮面』→『きみの言葉』→『あなたの言葉』→『ガラスの心』
になるようにしてあります(分りにくいですかね? 滝汗)
マナフィッシュは、かなりのティファ贔屓です!!
それなのに、FFシリーズの中でも、一番ヒロインとして主人公、もしくは恋人との
ラブラブシーンが少ない!!と、思います(涙)
もちろん、決戦前夜は最高でしたが、もう少し、こう、何て言うか、ねぇ?(オイ!)
PS3でどのようになるのか今から本当に楽しみです。

最後まで読んでくださり、有難うございました。