拍手御礼小話1

セブンスヘブンは今夜も大盛況!店主のティファはもちろん、マリン、デンゼルもクルクルと良く働く。その姿は、常連客達の心を和ませる。しかし、彼らが集まる一番の理由は何と言っても…。
「ごめんなさいね、今、席が一杯なの」「いや〜、いつ来ても凄いね。良いよ、気長に待ってるから」「本当にごめんなさい」ティファの輝かしい笑顔である。例え彼女が子持ちであろうが、彼氏持ちであろうがそんな事関係ない。隙あらば、彼女の笑顔を独占できる地位を得たい!!そう邪まな願望を抱いて集う愚か者の目的など、知らないのはティファばかりで、デンゼル、マリン、クラウドはとっくに知っていたりする。それゆえに…。「クラウド!お帰り!」「お帰りなさい!」「ああ、ただいま、デンゼル、マリン」そう言ってクラウドは子供達を優しく抱きしめる。その光景は心温まる美しい家族愛の一コマ。しかし、その時、そっと小声で交わされている会話は「今夜はあそこのお客さんが」「そうか、後で絞める」という、物騒なものである事を、絞められた本人以外誰も知らない…(笑)





拍手御礼小話2

セブンスヘブンにやって来る常連客のささやかな望。それは、女店主の輝く笑顔である。例え、それが注文を聞いている僅かな一時であろうが、料理を運んで来た一瞬であろうが、営業スマイルであろうが関係ない!
いかにして他の客よりも多く、その僅かな至福の一瞬を手に出来るか…。今夜も水面下で激しい火花が散り、見えない闘争心を燃やして常連客は集まっている。
そんな事は露程も知らない美人店主は、今夜も平等に輝く笑顔を客達に与える。
『次こそは―!!』一体何人の客が火のついた闘争心を更に燃やしたか!
しかし、「「お帰りなさい、クラウド!」」との看板娘と看板息子の良く通る声を耳にした途端、あっという間にその燃え盛る闘争心は鎮火し、猛り立っていた心は奈落の底へと呆気なく転落してしまった。
彼らは悟っているからだ。
彼女が、決して彼らに与える事のない心からの笑みを、独占出来る唯一の男がどういう男かを。
彼らは心で悔し涙を流しつつ、『明日こそは―!』と、僅かな望を抱いて家路に着くのであった。

ああ、望みのない哀れな者達に愛の手を…(笑)






拍手御礼小話3

セブンスヘブンの常連客達は考える。
いかにして、女店主の輝かしい微笑を己のものに出来るのか…。
そう。儚い夢だと分かっている。
叶わぬ願いだと分かっている。
それでも!!彼らは、その輝かしい微笑を求めて今夜も店にやって来てしまうのであった…。
そのうちの一人が考えた。『そうだ!看板娘を味方にしよう!』
女店主を手に入れるのは、おそらく看板娘を味方につけた方が一番早い!

そこで、彼は看板娘の懐柔に乗り出した。
「マリンちゃん、これ」「うわ〜!可愛い!!」差し出されたモーグリの人形に、マリンは目を輝かせた。
『よし!掴みはOK!』内心でガッツポーズをとっている彼に、麗しの女神が「まあ!ごめんなさい、こんな素敵なものを頂いてしまって」と、微笑みかけてくるという、おまけつきに、彼はますます幸先良し!と有頂天になった。
そんな彼を、他の常連客達が歯噛みして見つめている。

しかし、彼の優越感も長くは続かなかった。
それは…。
「ただいま」「おかえりなさい!」「おかえり、クラウド!」
女店長の恋人の帰宅。あっという間に彼の存在は、マリンの中から消え果た。
そして、追い討ちをかけるようにクラウドがマリンとデンゼルに差し出したものは…。
「わあ!」「クラウド!どうしたんだよこれ!」
チョコボのぬいぐるみと飛空挺の模型。
「ああ、この前欲しがってただろ?臨時収入があったからな。いつも頑張ってくれる二人にお土産だ」
キラキラと目を輝かせてチョコボのぬいぐるみを抱きしめる看板娘に、彼はガックリと肩を落とし、周りの常連客達はほくそ笑んだ。
「ん?どうしたんだ、そのぬいぐるみ」「あ!この人にもらったの!」「ふ〜ん…」
背筋の凍るような視線。彼は死を覚悟した。
「もう、クラウド。『ふ〜ん』じゃなくて、お礼言ってよ!」
女店長の一言で、クラウドの眼光が和らげられ、彼は九死に一生を得た。

「ところで、クラウド。私にお土産は?」
悪戯っぽく微笑むティファに、クラウドはチラッと店内を見渡してから「ん?じゃあ、これ」と言って、軽くキスを贈った。
途端に真っ赤になる彼女を、優しい微笑で見つめるクラウドに、店内の常連客達は背筋の凍る殺気を感じた。

しかし!
彼らは諦めない!
クラウドという非常に危ない人が仕事でいない時なら、何とか…なる、……かな……?

そんな曖昧な希望に縋って、今夜もセブンスヘブンは大盛況(笑)





拍手御礼小話 4

プルルルル…。
プルルルル…。

ガチャッ。

『もしもし、俺だ』
「あ、クラウド!今どの辺?」
『マリンか?今、ジュノンだ。まだ少し時間がかかりそうだな』
「今夜も遅くなるの?」
『ああ、すまない…』
「そう…」
「あ、そうだ、マリン、あの歌!!」
「あ!」
『ん?何だ?』
「あのね、今日デンゼルと帰る途中で面白い歌を聞いたの。今から歌うから聞いててね?」
『???ああ、分かった』


【 漆〜黒の〜髪〜、な〜び〜か〜せ〜て〜、

  ま〜ちゆ〜く〜彼〜女に〜、胸〜ときめかす〜、

  か〜のじょ〜の〜、えが〜おを〜、手に〜す〜べ〜く〜、

  こ〜んや〜も〜、かよ〜うぞ、あの〜店に〜、

  オー、マイ、ビーナ〜ス! ティ〜ファ〜・ロックハ〜ト!!

  ア〜イ、ラ〜ヴ、ユー〜〜〜!! 】 *(六○おろしの曲でどうぞ 笑)


「ね、どうだった?」
『メキッ!ガガ……、プツッ ツーツーツー…』
「どうだった、マリン?」
「切れちゃった。早く帰ってくるわね、きっと!」

パタン、トントントン…。

「あれ、今、電話なかった?」
「あ、ティファ」
「クラウドから。もうすぐ帰るって!」
「え?でも今日も遅くなるって今朝言ってたのに…?」
「うん。仕事が早く終わったみたいだよ」
「たまには早く帰らないとな!」
「そうなの?」
「「そうなの!」」
「???」


そして、その夜。
店がオープンするとほぼ同時刻に、金髪碧眼の青年が異様に殺気だって帰宅した。

彼の携帯電話が奇妙に破壊されていた事を知るのは、看板息子と看板娘だけ…、だったとか何とか…(笑)


*タイガースファンの皆様、どうか寛大なお心で笑って赦してやって下さい!!





拍手御礼小話 5

今日も今日とて、配達の仕事に精を出すは、クラウド・ストライフ23歳。
彼の目の前には、筋骨隆々とした一見山男風の中年の男性。
一見強面の客だが、その顔には人懐っこい笑顔があり、何とも気の許せる雰囲気を醸し出している。

「では、こちらにはんこをお願いします」
「はい。ご苦労さん」
「ありがとうござました。では、失礼します」

パサリ…。

「兄さん、落し物だよ」
「あ、失礼」
「へぇ、綺麗な女性(ひと)だね〜。それに、可愛い子供達だ!弟さんかい?」
「いえ、息子と娘です」
「へぇ!若いのに、偉いもんだ!!」
「いえ、そんな事は…」
「いやいや、謙遜するところがまた良いね!」

ニコニコと家族の写真を見つめ、褒めちぎる彼に対し、良い印象を受けるのは至極当然と言える。

「それにしても、本当に可愛いお子さんだ!こりゃ、将来が楽しみだ!!」
「ええ、本当に」
「ところで、名前は何て言うんだい?」
「デンゼルとマリンです」
「へぇ!!名前も可愛いね!!!」
「有難うございます」
「今度遊びに行っても良いかな?ぜひ、直接会ってみたいもんだよ!」
「ええ、是非いらして下さい。子供達も喜ぶと思います」
「ああ、ありがとう!それじゃ、可愛い可愛いデンゼルちゃんによろしくな!!」

「…………え?」
「あ…………」

紺碧の双眸を持つ青年は、全身が総毛立った。
目の前の客に感じていた好印象が、宇宙の彼方へ高速で飛んで”逝く”。

必死に言い繕うとする変態に、クラウドのリミットゲージがマックスになるのに、時間など必要なかった。


「あ、お帰り!」
「お帰りなさい!」
「お帰り、クラウド。早かったのね…ってどうしたの、血相変えて!?」
「ティファ!」
「な、なに?」
「デンゼルに格闘術を伝授してやってくれ!!」
「はい!?」
「デンゼル!!」
「え、な、なに?」
「リーブとエリックさんからもらった催涙スプレー、肌身離さず持ってろ!それから、マリンもだ!!」
「「な、なんで??」」
「なんでもだ!外に行く時は、絶対に持ってるんだぞ!!それから、知らない人間に声を掛けられたら、とりあえず逃げろ!!いいな、どんなに良い人そうでも絶対に気を許すなよ!!」
「「「???」」」

その日、クラウドが戸惑う子供達に一通りの護身術を教えたのは言うまでもなく…。

暫くの間、クラウドが異様に過保護になったのは言うまでもない…。

ビバ☆親バカクラウド♪