第二弾!!


拍手御礼小話 6

「ただい…、なんだ来てたのか…」
「あ〜、何さ!そのあからさまな嫌そうな顔!!」
「ごめんね、クラウド。疲れてるのにさ…」
「いや、お前も大変だな、ナナキ」
「あーー!!何さ、その態度の違い!!!」
「「……(溜め息)」」

「ふん!ところで、お子様二人から聞いたよ〜。携帯、握り壊しちゃったんだって〜?」
「……(くそ!まるでハイエナのような奴だな!!)」
「あの、クラウド?デンゼルとマリンを責めちゃ駄目だよ?ユフィが無理やり聞き出したんだから…」
「ああ、分かってるさ」
「ちょっと〜!!そこ二人!感じ悪すぎ!!」
「……(無視)」
「ふ〜ん、良いのかな〜?そんな態度とっててさ〜」
「……(またまた無視)」
「本当に腹立つ奴だね!!」
「なら、もう帰れ」
「キィーー!!折角ありがた〜い忠告をしてやろうと思ってたのに、いいよもう!あんたみたいな朴念仁で、鉄面皮のブリザード男にティファは勿体無いよ!サッサと他の良い男に攫われたら良いんだ〜!!!」
「……(ピクッ)」
「ちょ、ちょっとユフィ…?『例の事』、言うつもり!?」
「『例の事』…?」
「あ、い、いやなんでも…」
「うっふふ〜。気になる〜???」
「………(睨み)」
「あ〜、はいはい。そんな睨まなくても教えたげるよん!」
「『ちょ、ちょっと、そんな事したら人死に出ちゃうよ!!』(小声)」
「『大丈夫だって!ちょっとしたこづいかい稼ぎ、させてもらうだけだも〜ん♪』(小声)」
「それで、一体なんだ」
「ここに来る途中で、結構良い男が面白い歌を歌ってたんだ〜」
「…歌?(グラスに水を注ぎながら)」
「そ!!んじゃ、歌うから聴いててね〜!」


”澄んだ〜、ひ〜とみ〜、バ〜ラ色のほ〜ほ〜、

 は〜なの〜、よ〜う〜な〜、笑〜顔のあな〜た〜、
 
 僕の胸はい〜つも〜、あなたで〜満ち〜て〜、

 あ〜ま〜く〜、う〜ずく〜、ティ〜ファという花〜で〜” *(エー○ルワイスの曲でどうぞ)


「ブハッ!!!(思い切り水を吹き出した音)」
「ねね?どうだった?もしも歌ってた男の話が聞きたかったら…」
「……どいつだ…」
「……あ、えっとね…」
「どこのどいつだ!!」
「……え〜と、名前まではちょっと…」
「今すぐ教えろ、そいつの特徴を(リミットブレイク)」
『アワワワワワ!!!』
『……だから言ったのに…』


その後、ユフィから特徴を聞き出したクラウドが、その聞き出した特徴と一致する常連客をはじき出すのに時間は不要だった。(ユフィが小遣いをゲットする事など出来なかったのは、言わずもがなである。)



「あれ?クラウド、帰ってなかった?」
「あ〜、えっと、そのね…」
「ティファ…クラウドを責めないでやってね」
「???」


歌っていた常連客がその後どうなったか…。


それは、恐ろしくて語れない……。


(全国の音楽の先生、本当にすみません!!どうか笑って流してやって下さい!!)



拍手御礼小話7

今日は久々に配達がオフの日。
クラウドは、ティファに頼まれて子供達と一緒に、バザーへ買い物にやって来た。
『久しぶりに父子三人で楽しんだら』とのティファの言葉にクラウドも笑顔で賛成し、二人の頭に手を置いて「じゃあ行くか」そう言うと、三人は仲良く出かけたのだった。
子供達は満面の笑みでクラウドの手をそれぞれが握り、仲良く父子はバザーの露店を物色しながら歩いて行く。

ひとしきり店を覗いて楽しみ、ティファに頼まれた品物も購入した三人は、名残惜しそうにしながらも家路に着いた。
早く帰って開店準備をしているであろうティファの手伝いをする為だ。

エッジの記念碑に差し掛かったとき、ちょっとした路地裏から何やら歌声が聞えてきた。
それも、複数の男性の声…。

三人は無言のまま足を止めると、顔を見合わせてそっとその路地を窺った。
すると…。

【(K○Nの『愛は勝○』の替え歌でどうぞ】(笑)
≪し〜んぱ〜い、ないはずさ。俺らのこころ、彼女に届く、明日がきっとある
 ど〜んな〜に、困難で、くじけそうでも、信じる事さ、必ず最後に勝利する〜 ♪≫

三人は顔を見合わせた。
建物の角からそっと覗いて見えるその光景は異様過ぎる。
若者から壮年までの男性総勢十名ほどが、一心不乱に歌っている…。

三人に気付く事無く、男性達は最後の部分をリピートする。


≪貫く事さ、斃すは、クラウド・ストライフ〜 ♪≫


『『『はい!?』』』


固まる三人の目の前で、男達が
「「いよっしゃー!!」」「「今夜も頑張るぞー!!」」
と互いを励まし合っていた。

そして…。
その男達の目と三人の視線がバチッと音を立てて合わさった。

「「「…………」」」
「「「「「……………!?!?!?!?」」」」」


暫しの沈黙。
子供達は恐る恐るクラウドを見上げ、男達は全員石化した。
しかし…クラウドはと言うと……。

「さ、帰るか二人共」
あっさりと踵を返してその場を後にした。
慌てて二人はクラウドの後を追ったが、クラウドは別に怒っていない様だ。
いや、むしろ……。

「二人共…ティファには内緒にしといてやれ」
「う、うん…」
「クラウド…怒ってないの?」
デンゼルの質問に、クラウドは「フッ…」と笑うと、
「いや…何か無性に可哀想に思えてな…」
そう言って遠い目をして空を見上げた。

『『確かに…』』

子供達はクラウドの言葉にコックリ頷くと、哀れな男性達を思い浮かべて心の中で合掌した…。



「今夜はお客様が少ないわね…?」
首を傾げるティファと下心の無い常連客がひとしきり首を捻ったその理由…。
それを知るのは三人と歌ってた当事者達だけ……。

*K○Nファンの皆様、『愛は勝○』の歌が大好き!!な皆様、どうか、寛大なお心で笑って許してやって下さい
(土下座)


拍手御礼小話8

ここはカームの町。
カームで実家がケーキ屋を営んでいるという女性の所へティファはやって来た。
セブンスヘブンの常連さんである彼女のお店に寄った理由は…。
何となく、子供達とクラウドへの日頃の感謝をしたかったから。
本当は自分で作った方が良いのかもしれないが、いつもわざわざカームからセブンスヘブンにやって来てくれているのに、一度も彼女のお店を覗いた事が無い…という事に最近気付いたのだ。
という訳で、日頃頑張ってくれている愛しい家族と、常連客であり大事な友人でもある彼女への感謝もかねて、こうして単身、カームにやって来たのだった。
カームはエッジに比べて規模は小さいが、それでも町は活気に溢れており、星が復興の道をしっかり歩んでいるのを感じる。

ところが、慣れるほど来ていないカームの町で、自分がどこにいるのかさえ分からなくなるほど、完全に迷ってしまった。
そこでティファは、何やら先程から自分に視線をチラチラ向けてくる若い男に思いきって声をかけることにした。

「あの…すいません」
「やっと僕の熱い視線に気付いてくれたんだね?」
「はい?……って言うか、ちょっと……」
「君とは運命を感じてたんだ。君が僕を見つけたら僕達は運命の相手だってそう思ったんだよ。そして、君は僕を見つけた。これを喜ばずにいられるかい?」

ティファの肩を抱き寄せ、そのまま歩きだす男性を、ティファは困った顔をしながらその腕を振りほどいた。
「あんなにチラチラ見られてたら、誰でも気になります。それに、私はケーキ屋さんの場所をお聞きしたかっただけなので…。でも、もう結構です。他の方に尋ねる事にしますから」
 そう言って、さっさと踵を返して足早に歩き出した。

しかし、それしきの事で諦める男ではない。

「待てよ。そんなに照れる事ないさ!こうしてやっと出会えたんだから、ゆっくりそこのカフェでこれからを語り合おう!」
わけの分からない台詞を口々に喚きながら、必死にティファの後を追ってきた。

 テクテクテク…。
 スタスタスタ…。

 カッカッカッカ…。
 タッタッタッタ…。

あまりのしつこさに、とうとうティファは全色力で走り出した。
男も負けじと必死に走る。
しかし…。

「あ……ここだわ!!」

いつしか目的地に着いたティファは、逃げるようにしてケーキ屋のドアを開けた。
「あ、ティファさん!!」「お久しぶりです〜〜って何かあったんですか?」
駆け込んだティファに、リリーと丁度遊びに来ていたラナが目を丸くした。
そのリリーの肩をガシッと掴むと…。
「お願い、匿って!!」
必死な顔をして頼み込むティファに、リリーは首を傾げながらも店の奥に招き入れた。
まさに危機一髪。
勢い良く店のドアが開けられ、男が駆け込んできた。
「おい、今、ここに絶世の美女が来ただろう!?彼女はどこだ!!」
「……あなた…誰?」
「あん?誰だって良いだろう?彼女は俺の運命の女性なんだ。隠すとただじゃ置かないぞ!!」
「……彼女の事なら良く知ってますよ」
「なに!?じゃあ、彼女の住んでる所もか!?」
「ええ。彼女の恋人の事も」
「は?なに言ってるんだ。俺はあんたの事なんか知らないっつうの!」
「私もあなたなんか知りません」
「…………え……?」
「彼女…もうすぐ結婚しますよ、その人と」
「は!?」
ラナが指差す方へ勢い良く振り向くと。
そこには、金髪碧眼の美青年が不機嫌そうに眉間にシワを寄せていた。
完璧に整った顔、スラリとした容姿、そして、輝く魔晄の瞳。
どれをとっても男が敵うはずが無い。
「し、しつれ〜…しました……」
慌てて逃げる男の後姿を見送って、クラウドは心底イヤそうな顔をした。
「クラウド……どうしてここに?」
「デンゼルから電話があったから、丁度帰るところで帰り道だったし、迎えに着たんだ」
そう言って、ティファに優しい眼差しで見つめる。
先程までの不機嫌さはウソのようだ。
「ラナさん。ところで……さっきの一言……」
「あぁ、ウソじゃないでしょう?」
「ラナさん!!」
真っ赤になって声を上げるティファと、同じく耳まで赤くなった青年に、リリーは微笑みながら少し悲しそうな顔をしたのだった。
それでも……。

「やっぱり、私はクラウドさんとティファさんが揃って一緒に笑ってる姿が大好き!」

心優しい女性二人に囲まれて、クラウドとティファは幸せ一杯で二人仲良くフェンリルで帰っていった。
心優しい女性に、素敵な人が現れる日は……。
実はそう遠くない未来。
それを知ってるのは…。
まだ誰もいない。






拍手御礼小話9

「デンゼル、もうそろそろ帰らないと!」
「あ、そうだな。じゃ、皆、また明日な〜!!」

友達に手を振りながら、公園から元気に駆け出してきた子供達をジ〜ッと見つめる眼差しが二つ。
子供達はその視線の先では、セブンスヘブンご自慢の看板息子と看板娘が無邪気な笑顔を振りまきながら、家路を急ぐ姿。

「本当に……やるのか…?」
「あったりまえだ!こうなったら…子供達を利用するしかないだろうが!!」
「でもよぉ…」

一人は渋々、もう一人は鼻息を荒くしながら、前方を駆ける子供達の後を追った。

目的は、セブンスヘブンの看板息子と看板娘の誘拐。
世界情勢がまだまだ不安定なこのご時勢。
生きていくのも大変だ。
そして、その大変な中でも懸命に前向きに働く人もいれば…。

「「金持ってる奴らからちょっと頂戴しても罰はあたらねぇ!!」」

などという不届き千万な考えを持つ者もいるわけで…。

「英雄が二人も働いてるんだ!溢れんばかりの金があるはずさ」
「そうかなぁ……。セブンスヘブン覗いたけど、そんなに金持ちっぽくなかったぞ?」
「ば〜か!そう見せかけてるだけで、本当は裏では色々美味しい思いをしてるんだ!」
「……そうかなぁ……」

渋る相棒を引きずるように、子供達との距離を詰める。
そして…。
あと少しで人通りが少なく、誘拐にはもってこ〜い!!のポイントに辿り着くというまさにその時!!
子供達が突然、自分達が引きずり込もうと計画を立てていた路地裏へダッシュで駆け込んだではないか!

― これぞ、天の助け!!
神様は自分達に味方したのだ!!! ―

二人は顔を見合わせると、ニ〜ッと笑みを浮かべ、嬉々としてその路地裏へ駆け込んだ。
そして…。
そのまま二人は真っ白な世界に突入した。


「だってさぁ、物凄く視線を感じたんだもん。すぐに分かるよなぁ」
「うん。もう少し気配を殺す…っていうかそういう技術を身につけた方が良いよね」
子供達のこの台詞に、クラウドとティファは苦笑するしかない。
通報を受けた警察は、ただただ子供達の手際の良さに感服している。

「それにしても、この『睡眠ガス』って凄い効き目だよなぁ」
「うん!たった一吹きであっという間に大人が二人、コロンと寝ちゃったんだもん」

嬉しそうに首から提げている携帯を摘み上げる。
アンテナを引き抜いて通話ボタンを押すと、アンテナの穴から『ガス』が噴出されるという優れもの。
WROからお試しで支給されたその最新アイテムを、実に見事に使いこなした子供達に、クラウドとティファは苦笑しつつ視線を合わせた。
 
本当に我が家のお子様は大したもんだ……。

「さ、二人共、お店の準備しないとね!」
「そうそう。こんな奴らは警察の人達に任せて帰ろうぜ!もうこんな時間だし!!」

元気一杯に駆け出した子供達の後姿に、駆けつけた警官達は敬礼で見送り…。
クラウドとティファは、肩を竦めながら追いかけた。


デンゼルとマリン……。
恐るべし!!