第四弾!!




拍手御礼小話16
 紛失…(涙)


拍手御礼小話17


分かってるよ。
俺が言葉が足らないことくらいさ。
でも……仕方ないだろ?
それが俺なんだから…。

『はぁ〜!?アンタ、バッカじゃないの!?!?』
「ユフィ…うるさい…」
『うるさいじゃないよ!!なんでその時にちゃんと言ってやらないのさ!ティファの気持ち、考えたことあんの!?』
「………」

ユフィの怒ってることも、内容も正論で…。
『分かってる』って言葉にすることすら出来ない。
それくらい…落ち込んでいる。

珍しくそれを察したのか、先ほどまでキャンキャン耳元で騒いでいたユフィが、
『あんたもさ…本当に不器用だよね』
なんとなく…呆れたような…それでいて温かい声でそう言ってくれたのが…。
ガラにもなく…嬉しかった。

『今からでも間に合うんじゃない?』
「……そう思うか…?」

ユフィの言葉に、俺は『絶対にそんな事は無い』と言う意味合いを込めて返事をしたつもりだった。
だけど、それは通じていなかったらしい。
『あったりまえだよ!それに、こういうことは早いほうが良いんだから!!』
「……まぁ…確かにそうかもしれないが…」
『クラウド、ティファはきっと哀しかったと思うんだ』

ユフィのその一言が妙に心にグサッときた…。

「そうだな……そうする」
『うん、そうしなよ!』
いつも元気で無鉄砲なこの少女は、いつもなんだかんだと問題を持ち込んだりして迷惑することも多々あるんだけど……。
でもそれは、俺達家族の事を案じてのことばかりで…。
そして…本当に仲間思いで良い奴だ。
「ありがとう……なんだかスッキリした」
『おりょ。珍しい♪今度、何かおごってよね♪』
「ああ。美味いメシ、おごってやるよ」

最後にもう一度礼を言って携帯を切る。

溜め息を一つ吐き出して……気分を入れ替える。
よしっ!

気合十分。
店 兼 自宅のドアを開ける。
と…。
またもや昨日と同じ様な風景が…。
彼女の魅力に惹きつけられた目障りな虫。
俺が帰ったことでホッとした顔をしてくれる彼女に、不覚にも喜びが沸いてくる。

昨日は……はっきりさせなかった。
その事をユフィの電話でつい愚痴をこぼして…スッキリさせた。
だから…。

「ただいまティファ」
「おかえりなさい、クラウド」

そっと挨拶を交わす。
それを見ていた男達が、俺の事をジロジロ見ながら、
「ティファちゃん、この人…誰?」
昨日の男とは違うけど……同じやり取り。
ティファの顔が一瞬曇った。
あぁ…やっぱり傷ついてたんだな。
だから、今朝の朝食、失敗したんだな。
失敗するくらい…傷ついてたんだ…。

ごめんな…ティファ。
昨日の続きだと思って、聞いて欲しいんだ。

「あ、クラウドは私達の家族「俺はティファの恋人だ。それがなにか?」
しどろもどろ答えるティファの言葉を遮って見せ付けるように肩を抱き寄せる。
はっきり言おう。
めちゃくちゃ緊張している。
何しろ人前だぞ?
緊張するな…って方が無理だろ?
でも…やっぱりティファが悲しい顔をする方がイヤだから…。

「ティファ」
「え…な……」
普段なら絶対に口にしない言葉、やらない行動。
それらに目を丸くして固まっていたティファがビクッと顔を上げる。
その顔にそっと顔を寄せて。

チュッ。

「!!!!」
「と言うわけだから、諦めろ」


その日の晩。
彼女はあれから一言も口を利いてくれない。
失敗だったか…?
ちょっとしょぼんとしてしまう。
と…。

カウンターのスツールで、ティファの手料理を口に運んでいた俺に、ティファが真っ赤な顔をして…。
ギュッと背中から抱きついてきた。

「ありがとう…」

その一言で…沈みきっていた気分があっというまに浮上する。
本当に俺は現金な男だ。
現金で単純。
だから、ティファが哀しいと俺は辛い。
ティファが喜んでくれるなら、多少の恥ずかしいことも…頑張ってやってやる。

はぁ。
まさか、ここまで俺が人を愛してしまうなんてな。

愛しい愛しい君のために。
俺が出来る最高の事をこれからも頑張っていくから…。
だからさ。

俺の隣で笑ってて…。



拍手御礼小話18

もう、どうしよう!!
どうしたら良いんだろう!!!

もう、もう、もう!!!
本当に……誰か……助けて……!!
このままじゃ…私…おかしくなっちゃうよ…。

あ……ダメ…。
目が回ってきた。
きっと、きっとこの原因は……。

カチャリ…。
キィ……。

「ティファ?…いない…よな…」
「いるわよ。いて悪い!?」

「えっ!?いるのか!?じゃあ、何で電気点けて……って……おい、どうした、何かあったのか!?」


血相を変えて私に駆け寄ってくれる…愛しい人。
そうよ…このどうしたら良いのか…、頭がおかしくなりそうなのとか、目が回って気分が悪いのも…。

全部!!!

「クラウドの…せいなんだから〜!!!」
「えっ!?な、なんだよどうし……!?……ティファ、一体何本飲んだんだ!?急性アルコール中毒になったらどうするんだ!!」
「ふ……え〜〜ん、クラウドが…クラウドが怒った〜…!!」
「うぇ!?いや、いやいや、怒ってないから、な?ごめんごめん、悪かったよ、ティファ」
「ふぇぇええん…クラウドなんか……クラウド…なんか……」


「他にも好きな人がいるくせに〜!!」

ヒック、ヒック……。
しゃくり上げる私を、クラウドがギュッと抱きしめる。
ダメダメ!!
こんなんでごまかされたりしないんだから!!
分かってるんだから!!!

「ティファ…俺がティファ以外の女性に興味が持てないって知ってるだろ…?」

うぅ…すっごく小バカにした言い方…。
やっぱり……やっぱりクラウド…。

「私の事、バカにしてる〜〜!!きっと、私のこと、バカだと思ってるから、だから私の事、捨てるんだ〜!!」
「ティファ!!」

怒鳴った…。
クラウドが…怒った。
ふ、ふ…ふぇぇぇえええん(大号泣)

「ティファ…もう本当にどうしたんだ?そんなに正体なくすくらい飲むだなんて…」
「いいもん……私…もう…クラウドのこと…なんか……」

泣きじゃくりながらもう頭はごちゃごちゃ。

「ふ、ふぇぇぇえん」
「な、なんだよ、どうしたんだ?」
「クラウドに捨てられたら……私…生きていけない〜…!!ヒ〜〜〜ン!!」
「え……ったく。誰が何を捨てるって…?」
捨てるわけ無いだろう?その逆ならあるかもしれないけど…。
そう言いながら、良し良し、とまるでちっちゃい子にするように宥めるクラウドに、ブンブンと頭を振ってギュッとしがみ付いた。

「だって、クラウド…モテるし」
「いや…俺はモテないから」
「モテてるじゃない!!」
「そうなのか?」
「そうだよ!店にくる女性客の大半は、クラウドのこと狙ってんの!私がいつか捨てられる日を虎視眈々とハイエナのように狙ってるのよぉ!!」
「ハイエナって……ティファ、大体、どうして俺がティファの事を捨てるんだ?話しが逸れてるぞ?」
「逸れてないもん。絶対にクラウドはその若くて可愛い女の子に心動かされて……そんでもって……ひっく」
「…………………………」
「…うぅ…っく。なによもう!ほら、黙ってるってことは図星なんでしょう!?クラウドのバカ!も…良いよ。私、クラウドが他の女の子と一緒に笑ってる姿見るの、耐えられない。も、出てく。子供達も連れて…出てくから…!!」
「ティファ、いい加減にしないと黙らせるぞ」
「フンッ!もう、クラウドなんか……ん〜!!」

どん、どん、どん!!

「ん〜!!!んん!ん〜〜!!!!」

どん、どん………。

クタリ。

「やれやれ。どうして俺がティファ以外の女と一緒に…なんて想像が出来るんだ?こんなに惚れてるのに…」


「ま、でも…」

『酔っ払っても、こういう風に泣かれるのは…ちょっと悪くない…かな…?』

などと思い、ちょっと照れながら、クラウドは大切そうに意識を飛ばした彼女を抱きかかえた。
パチンと、店内の電気を消して、寝室へ向かう。

ベッドにゆっくりと彼女を寝かせ、愛しそうに何度か髪を梳く


「お休み、ティファ。良い夢を」
「……クラウド…」
「ん?起こしたのか…?」
「…クラウド……」
「フッ、寝言か…」
「大好き、クラウド…愛してる」

ボンッ!!!

真っ赤になって床にへたり込むジェノバ戦役の英雄。
二人は…英雄。
だが、二人だけの時はただの恋人。
純愛の二人にこころからのエールを!



拍手御礼小話19

『愛してる』
ほんとうにたまに彼が口にしてくれる言葉。
『私も』
私がたまに口にする台詞。

本当はね。
毎日でもその言葉を囁いて欲しいの。
他の誰でもなく、あなただからこそ、言って欲しいの。

ねぇ、私があなたに『愛してる』って言えば、あなたはどう応えるかしら?
お互い、一緒に住むようになって、その……それなりの関係になったのに、決定的なその言葉は滅多に口にしないね。
ほんとはね、…寂しいの。
そう言ったり、言われたりすることが少ないってことが…。
でも、私もあなたも照れ屋だか、中々素直に口にすることが出来なくて…もどかしい。

だから…。

「愛してる」

私があなたに愛の言葉を囁くのは、あなたが良く眠っている時が多い。
あなたの長い金糸の睫。
閉じられたその瞼の奥にある紺碧の瞳は私を魅了してやまない。
そして……指。
すごく綺麗で長い指。
この指が先ほどまで私の身体に触れていてくれたのだと思うと、それだけで『愛しさ』が込上げる。

愛しい、愛しい、愛しい。

そのはちきれんばかりの思いを口にするの…。
あなたが眠っている時に。
起きてるときは…恥ずかしいから…。

「クラウド、誰よりもあなたを愛してるわ…」

万感の思いを込めて彼の頬にキスを贈る。
彼の知らない私と彼の行事。
だけど…。

「俺も…愛してる」

ビックリして閉じていた眼を開くと、紺碧の瞳がとても甘く光っていた。
カーッと顔に血が上る。
だけど…クラウドの顔も赤くて…。

一緒だね。

そう思ったら、とっても幸せで、嬉しくなった。


「ティファ」
「クラウド」

彼の名前を呼ぶと心が喜びで震える。
その歓喜に包まれ、私はまた彼に愛される。
私も彼を全身で愛する。


「「 愛してる 」」

誰も知らない深夜の儀式。
それは二人を至福へと導く高潔なもの。
誰も侵せない。
誰も立ち入れない。

二人の想いを強く、確かなものにするための…。

そうして二人は揃って眠りにつき、朝陽によって目を醒ます。
また、一日頑張って生きるために。

「「 おはよう 」」

どちらからともなく朝の挨拶をして…微笑んで口付けを交わして儀式は終了。


さぁ!今日も頑張ろう!!




拍手御礼小話20

私の恋人はとても有名だ。
整った顔立ち、均整の取れた肢体。
凛々しい表情は異性を惹き付けずにはいられない。

彼がそこにいるだけで、その場の空気がピン…と張り詰めるほどの存在感を持つ。
もうそれだけで充分、人を惹き付ける要素は揃っているのに、邪魔な肩書きが彼を更に著名人としてしまっている。

『ジェノバ戦役の英雄』

彼も…私も。
そして仲間も誰一人、その肩書きを喜んで受け入れていはいない。
だけど、捨てることは世の人達が認めてはくれないし、何よりその肩書きは私達を『忘却』という大罪から守ってもくれているので、誰一人、その肩書きを否定しようとはしない。

私達が犯した罪を決して忘れてはならない。

だから、今日も彼は『クラウド・ストライフ』という人間よりも『ジェノバ戦役の英雄』という目で見られながら、仕事に向かう。

「ねね、クラウドさん、今朝見た!?」
「うんうん、見た見た〜!!」
「本当にいつでもどこでも、とってもカッコイイわよね!」
「本当に!!」
「あ〜ん、彼にだったら何をされても良いわ〜!」
「「キャ〜〜ッ!私も〜!!」」

…。
……。

彼女達の黄色い悲鳴と熱い視線は、『彼』に向けられているのか、それとも『肩書き』に向けられているのか分からない。
分からないけど…。

「ティファ、顔が怖い」
「ティファ、手が震えてる」

彼女達が『彼』として見ていようが、『肩書き』で見ていようが、惹かれているのは事実。

「ティファ、眉間にシワ」
「ティファ、目が据わってる」

…。
……。
ま、負けられないわ!!
私だって…私だって!
格闘技してて、身体が女性らしくないかもしれないけど、それなりに頑張ったら張り合えるんだから!!
…………多分……。

「ティファ、聞いてる?」
「ティファ、なんで涙目なの?」

ま、負けないもん!
可愛い格好して、女の子らしくキャーキャー騒いでる彼女達が相手でも……負けないもん!

「ティファ、なんで空、見上げてるの?」
「ティファ、そろそろお店の準備しないと…」

エアリス、どうか見守っててね!
私……私、頑張るから!!

「……マリン、今日は店、休もうか」
「……そうだね、そうしようか、ティファ、疲れてるみたいだし」
「いや、疲れてる…と言うか…なんと言うか」
「うん、分かってる…。言わないで、デンゼル」

クラウド、飽きられないように私、頑張るから!!

「マリン、臨時休業の看板出しといて」
「うん、もう吊るした」

エアリス、私に力を頂戴ね!
見守っててね!!

「マリン、クラウドに電話、入れたほうが良くないか?」
「そうだね、うん、入れてみるよ」
「ティファがおかしい…って言ったらすぐに飛んで帰って来るよ」
「…うん…それにしても…」
「……本当に、なんでいっつも女の人達が店の前に並ぶとティファは情緒不安定になるんだ?」
「……自信持ったら良いのに」
「「はぁ…」」


セブンスヘブンの臨時休業は、意外と結構多い。