空が濃いオレンジ色と紫色に溶け合っている。
 鳥がまるで隊を組むように綺麗な列となって飛んでいくその様は、美しいトワイライトの空をより完璧な芸術作品として仕上げているかのようだった。
 その空の下、さまざまな人々が1日の終わりを過ごしている。
 ある人は自然が描き出している絵画になどまるで気にも止めずに家路を急ぎ、またある人は1日の疲れを覚えつつ、空を見上げて微笑を浮かべ…、またある人はそわそわと落ち着きなく時計と通りを行く人たちへ目をやっている。

 そんな、ありふれた当たり前すぎる日常の風景がそこにはあった。






ひとひらの夢







「お〜そ〜い!」

 ピンクのリボンでウェーブがかった茶色の髪をポニーテールにくくり、白を貴重としたワンピースが夕空の色にほんのり染まり、彼女自身をも茜色に染め上げている。
 スラリとした肢体、整った顔(かんばせ)、姿勢良くスッと立つその姿は異性を惹き付けるには十分だった、
 しかし、当の彼女はそのような視線に我関せず、腕時計を睨みながら思わず唸るとむんっ!としかめっ面で空を見上げた。
 約束の時間から既に15分経過している。
 連絡はない。

「も〜、ほんっとうにルーズなんだから!」
 これだからあの口だけ男は!

 イライラしながらもどこか諦めの気持ちもあったりする。
 彼が時間通りに来たことなど本当に数えるくらいしかない。
 連絡なしで遅れてくることが当たり前になっているのだから、今日のように15分遅れたくらいで怒ったりするのは少しばかり妙なのかもしれない。
 しかし、自分はきっちり時間通りに待ち合わせ場所に来ているのだから、『今日も遅れるかもしれないなぁ…』と予想はしていたとしても、やはりそこはそれ、悔しいではないか。

 まるで、会えるのを楽しみにしていたのは自分ばかりみたいで。

 だが、心の片隅ではこの展開を待っていたりもした。
 何故なら遅れてきた彼の姿を見るのが密かに好きだったりしたからだ。
 周りの目を気にすることなく、必死になって自分へ真っ直ぐ駆けて来る時の一生懸命な顔が大好きなのだ。
 あの顔を見ると、長時間待たされたイライラなどどっかに飛んでしまう。
 ついでに、女にモテる彼の心が間違いなく自分にあると信じられる瞬間でもあるのだ。
 だから、待ちぼうけをくらっても悪いことばかりではなく、むしろ待っている間にどんだけ彼女自身がナンパされようが『もう、しょうがないなぁ』とちょっぴり優越感に浸れる瞬間が病みつきになったりもしていて…。

(あ〜、ダメね。このままじゃあ、ずっとこの調子なんだわ!私、ずーっとアイツに振り回されちゃうんだわ!それだけは阻止しなくっちゃ!)

 何度となく『このままでも良いじゃない?』と、妥協しそうになる甘い自分を叱咤する。

 このままだなんて絶対にダメ!
 男に主導権を握らせると家庭が崩壊しちゃう!
 女が家庭を握ることこそが、夫婦円満、幸せ家族大計画を成就させるための秘訣よ!

 などということを本気で思っているわけではないが、半分くらいはそう思っている。
 だから、彼女は一生懸命だ。
 自分ばかりが彼のことを好きなのではなく、彼も自分のことを同じくらいに好きになってもらいたい、と。
 しかして実は、全く同じことを彼が彼女に対して思っているとは彼女は知らない。

 だから…。


「ごめん、待たせた!!」
「あ!!」


 まだ遠い場所なのに、彼女へそう呼びかける大声。
 パッと顔を上げると、見慣れた黒髪、碧眼の男が片手を上げて走ってくるのが見えた。
 彼女の深緑の瞳が瞬時に輝いたが、ハッとすると怒った顔をした。
 胸はドキドキと高鳴り、ようやっと姿を現した愛しい人に喜びがこみ上げるというのに、それを顔に出さないように唇を引き結ぶ。

 少しくらい、焦らせてやったら良いんだわ。
 いつもいつも、こんなに待たせるだなんて反省が足りない証拠よ。

 そうして、怒ったフリをして意地を張る彼女に、息を切らせた彼が駆け寄った。
 ゼイゼイと身体全部で息継ぎをし、両手を膝に当てて屈曲する。

「ご、ごめん……遅れた……」

 息も絶え絶えに謝る青年の黒髪がしっとりとしているのが、彼が身体を折り曲げているがゆえに見下ろす形となっている彼女には良く見えた。
 どれほど急いで駆けつけてくれたのか、それだけで十分伺える。
 だが、まだダメ。
 これくらいじゃあ許してあげないんだから。
 そう、前回も、その前々回も、その前の前の前も!
 こうして一生懸命走ってきてくれた彼につい、情を絆(ほだ)されて許してしまった。
 しかし、今回はダメ!
 私は怒ってるんだから。

「もう、これで何度目?絶対に今度という今度は許さないから!」
「わ、悪かったって…」
「うそばっかり!遅れるときは連絡してっていつも言ってるでしょ!?それすら守ってくれないなんてもう信じられない!」」
「いや…携帯の充電…切れたから…」
「そんな言い訳、もう聞き飽きた!」
「マジ…、言い訳じゃないから」

 青年はまだ整わない呼吸のまま、身体を起こしてポケットに手を突っ込んだ。
 そうして、充電の切れたという携帯をズイッとそっぽを向く彼女に突きつけると、
「な?本当だって」
 パカリ、と携帯を開いてみせる。
 充電の切れたそれはディスプレイが光ることはなく、暗いままだ。
 しかしそれでも、意地になっている彼女を頷かせるには程遠い。
 だから。


「ごめん、本当に悪かった」


 言葉ではなく思いを行動に示すことにする。
 汗臭いかも…?と少し心配しながら、ツンとしたままの彼女をギュッと抱き寄せた。
 ウェーブがかった長い茶色の髪が宙を舞う。

「ちょ、ちょっとやめてよ!」
「ヤダ。許してくれるまで放さん」

 いくらここが待ち合わせスポットの噴水前とは言え、往来のど真ん中だ。
 たちまちのうちに人々の視線が集まる。
 彼女のちょっと拗ねた気持ちはあっという間に羞恥へ摩り替わった。
 力いっぱい押しのけようとするが、男と女の力の差は大きい。
 普段は彼女の平手打ちを甘んじて受けている彼だからこそ忘れてしまいがちになるが、力では全く敵わない。
 その事実を忘れてしまうほど、常の彼は彼女に甘い。
 そのことを、人々の好奇の視線に晒される中で思い知る。
 恥ずかしいが嬉しい。
 嬉しいが恥ずかしい。
 一生懸命足掻くが、ますます彼の腕の力が強くなる。

「バ、バカ!恥ずかしいって言ってるの!!」
「俺はちっとも恥ずかしくない」
「私は恥ずかしいの!」
「俺は恥ずかしくないってば」
「〜〜、バカ!」
「バカで結構」
「とにかく放してよぉ!」
「放したらどっか行っちまうくせに」
「行かないわよ!」
「この前は怒ってそのまま帰ろうとしただろ?」
「あれは本気で帰ろうとしたわけじゃないんだから〜」
「じゃあ『フリ』だったわけ?」
「う…」
「俺、マジで焦ってたのに『フリ』だったわけ?」

 なにやら状況が変化し、いつの間にか形勢逆転されそうになって焦る。
 それを彼も敏感に察しているはずだ。
 必死に謝っていたというのに、声音に悪戯っぽいものが混ざり始める。

「なぁ、俺マジで悪かったなぁ、ってすっげぇ反省したのに、冗談だったわけ?」
「じょ、冗談じゃなくて本気で怒ってたんだから」
「でも、『フリ』をしたってことは、『そこまで怒ってなかった』ってことだよな?」
「そ、そんなことないもん!」
「ふぅん、へぇ〜」
「な、なによ!元々は遅れてくるのが悪いんでしょ!?」
「しょうがないだろ、俺の仕事は『何でも屋』なんだから。いきなり舞い込んできた仕事であろうと普通になんでもこなすのが俺の仕事なの」
「だからって約束してたのに連絡もしないで30分も遅れてきて良いわけ!?」
「だから〜、悪かったってすっげぇ謝ったじゃん。お詫びにその日は特大チョコボ人形プレゼントしただろ?」

 彼女の焦った顔がムッとした顔になる。
 口をへの字に曲げると、彼の腕の中でどうにか顔を上向かせ、睨みつける。

「な〜に?物を買ったことでオールオッケーって思ってるわけ!?」

 またもや形勢逆転。
 彼女が本気で怒り始めたことを敏感に察知する。
 青年は内心『しまった!』と思ったがニヤッと笑う。
 実は、彼女の怒った顔も好きだったりするから始末に悪い。
 だから、「なに笑ってるの!?私、本気で怒ってるのよ!」と、眦を吊り上げた彼女に思わず口付けた。
 とは言え、額に…だが。

 思いもしない『攻撃』に深緑の瞳がまん丸になる。
 怒った顔から一変、驚き一色になったのがこれまた可愛い。
 自分の言動ひとつでこうもクルクル変化してくれる彼女を見ると、男にモテる彼女の心が自分にある、と実感出来るというものだ。
 それはまさに、図らずも彼女が自分へ抱いてくれているものと同じ喜びだったりもするのだが、当然彼は知らない。
 アイスブルーの瞳を細めて愛おしそうに彼女の滑らかな頬を撫でる。
 深緑の瞳がユラリ…と揺れるのを見て、もう一度抱きしめた。

「本当にごめん。悪かった」

 耳元で真摯に囁くと、彼女の身体からスッと力が抜ける。
 そうして、おずおずと自ら腕を回して柔らかく抱擁を返してきた。
 そう、これでもう仲直り。
 ちょっぴり彼女は悔しく思いつつ、やっぱり彼のことが好きなんだなぁ…としみじみ噛み締めたりして、それを幸せだと感じてしまったりするのだ。

「もう〜、次は絶対許さないから」
「あぁ、ごめん」
「本当に怒ってるのよ?」
「分かってる。今夜の食事は俺の奢り」
「…デザートもつけてよね」
「勿論」
「帰りは送ってよね」
「喜んで」
「次、遅れたら別れてやるんだから。声かけてくれたイケメンに乗り換えるんだから」
「うおっ、それは勘弁」
「本当の本当に乗り換えてやるんだから」
「マジ、悪かった」

 少しだけ身体を離して鼻先が触れそうな距離で見詰め合って…。
 そうして、ニッコリ笑い合うとまた柔らかく互いの背に腕を回した。


「お仕事お疲れ様ザックス」
「ん、待たせてごめん、エアリス」


 軽い抱擁を解くと、今度は互いの手をしっかり握って歩き出した。
 そんな2人の姿をその場で待ち合わせをしていた人々が、ある者は羨ましそうに、またある者は『なんて恥ずかしげもなく…』と呆れながら、その幸せオーラ満載の背中を一瞥し、人ごみの中に自分の待ち人を見つけようと視線を逸らせた。
 2人分の影が長く後ろに伸びて雑踏に紛れていく2人にピットリくっ付き、付き従い、すぐに影すら見えなくなった。
 雑踏に紛れて見えなくなるその瞬間まで、ザックスとエアリスは他愛のない話しを交わしながらとてもとても、幸せそうに笑い合っていた。


 そこでクラウドは目を覚ました。

 なんと言うか…自分でも驚くほど鮮明な夢を見たものだ…と思う。
 しかも、ありえないと言うか…、1度も実際に見たことがない『組み合わせ』の2人を夢に見るとは驚きすぎて心臓がバクバク変に脈打っている。

「………ビックリした…」

 上体を起こし、片手で顔を覆いながらボソリ…と呟く。
 いや、本当にどうしたんだろう。
 ザックスだけの夢、エアリスだけの夢なら何回か見たことがある。
 大抵それは『悪夢』と言って良い種類の夢に分類されてしまう残念な登場の仕方だったのだが、今回のこの夢はいったいどうしたことか?
 願望…なのだろうか?
 夢は己の潜在意識の願望が見せるものだとも言うではないか。
 だがしかし、あの2人のラブラブな姿を見たいという願望が胸の奥底に眠っていると言うのか?

 この自分が?

「………イヤ、あり得ないだろう…?」

 思わず声に出てしまったのは、ちょっと…なんと言うか、あまりにも気持ち悪い…というか、いやいや、すまないザックス、エアリス。
 決して、2人が幸せな姿を見たくない!というわけでは当然そんなことではなく。
 こう…親友と仲間の『ラブラブな姿』というのは、『身内のラブシーン』を見せ付けられているようで、どうにも落ち着かない気分になるのだ。
 そう、強いて言えばユフィとバレットにラブラブなところを目の前で展開されたような、こう、違和感?って言うか、正視するには恥ずかし過ぎる光景…というか。

 1人で悶々と、あ〜でもない、こ〜でもない、と言い訳をしてみせる。
 親友たちの幸せそうな姿を夢に見て、それを素直(?)に喜べないどころか、若干気味悪いと思っていることへの言い訳。
 目の前で親友たちがしかめっ面で、
『この薄情者!』
『何よ、幸せな彼氏彼女になったらダメって言うの!?』
 と怒っていそうな、そんな気分が襲ってきている。

 …実際、怒っていそうだな、とクラウドは思っていた。
 アイツら、ちょっと普通じゃないしな、見てても不思議じゃない…。

 本気で頭をはたかれそうなことを思いつつ、フルフルと頭を振った。
 ふと、隣でまだ眠っているティファを見る。
 クラウドの苦悩(?)など知らず、実に幸せそうな寝顔だ。
 白い肌、スッと整った眉、睫毛に縁取られた美しい瞳は今はまだ瞼の奥。
 薄く開いた桃色の唇からは安らかな寝息。

 ティファの寝顔を眺めている間に、気がつけば言いようのない『気持ち悪さ』はなりを潜め、代わりに温かい感情が押し寄せる。
 結局のところ、自分だって仲間の前で『ラブラブっぷり』を晒しているんだよなぁ、などと気づいて少しバツの悪い思いをする。

 そっと彼女に手を伸ばし、頬にかかった髪を払う。
 ほんの少し頬に触れたのがくすぐったかったのか、ちょっぴり首を竦ませるようにしてモゾリ…と動くと、クラウドの方へスリ…と身を寄せてきた。
 そうして、クラウドの温もりに触れたことで安心したのかまた深い眠りに落ちていく。

「……」

 それだけのことで、もうこれ以上は無理だ、というくらいに心が幸せでふやけていく。
 そっと横たわるとティファを起こさないよう慎重に腕枕をする。
 空いている方の手で彼女の黒髪を梳きながら、やはりザックスもこうしてエアリスの髪を梳いてみたかったんだろうな、とか思ったりして…、ちょっと…いや、かなり切なくなった。
 大切な大切な人を腕に抱いて眠る幸せを、アイツは知っていたんだろうか?とか考える。
 あの時はそういう『きわどい話し』になるとクラウドの反応を見て面白おかしくからかってきていたが、だが実際のところはどうだったんだろうか…?
 きっと、こういうことはなかったんだろう。
 彼女は母親と一緒に住んでいたし、そんな優秀なソルジャーだったザックスにそれだけの時間的余裕があったとは思えない。
 それに、ザックスは基本、とても真面目で誠実な男だ。
 遊び半分で…ということは絶対にしない。

 でも1度だけでも良いから、この幸せを味わっていて欲しい…とも思う。

 そこまで考えて、何やら友人の色恋のことまで色々と想像してしまったことが、夢を見た直後以上に恥ずかしいことに思えてきてクラウドは顔を赤らめた。

「やめだ…やめ」

 声に出したのは気恥ずかし過ぎたから。
 しかし、それで考えたという事実が消えるわけでもない。
 なんとなく、親友たちに謝りたい気分と懇願したい思いに駆られた。

 ごめん、ザックス、エアリス。
 お願いだから、もう夢ではああいう姿で出てこないでくれ。
 俺の心の均衡が変に狂ってしまう…。
 あぁ、それにしても、夢の内容を話したらティファ、どういう顔をするかな?
 ビックリして目を丸くして。
 そしてきっと、そんな2人を見たかったね…って切なそうに微笑むんだろうな。
 なら、話さない方が良いんだろうか?
 そうだな、そうしよう。
 それに、なにより話すのはちょっと…恥ずかし過ぎる…。
 でも…。
 なんか、ティファに隠し事してる気分になるのは何故なんだ?
 こう…もやもやするのは…なんでだ?
 別にやましいことがあるわけでなし…。
 いやしかし、エアリスのことが大好きなティファに、エアリスの幸せそうな姿を教えない…というのはどうなんだ?
 いやいや、だけど所詮夢の話しだしな。
 言わなくてもかまわないさ。
 いやでも…。


 ティファが起きるまであと30分。
 クラウドは彼女の愛くるしい寝顔を見つめながら、そんなどうでもイイことでグルグル悩をんでいたのだった。

 ちなみに、クラウドが早起きのティファよりも早く目を覚まして彼女の寝顔を拝めるなど、1ヶ月に1回、あるかないかの出来事(幸運)だ。

 あぁ、本当にバカな奴。


『本当に…バカだな、こいつ』
『…本当ね…。それにしても、それ以上に失礼だわ。どういう意味よ!』
『まったくだ。自分さえ幸せならそれでオッケーなのか?ったく、これから毎日夢に出てやる、ラブラブしてやる、イチャコラしてやるからな!』
『そうよそうよ!って、なに言ってんのよザックス!イヤよ、人前でそんなことするの!』
『そんな気にすることじゃないだろ?いっつも俺たち見てるじゃん、クラウドとティファのこと』
『それとこれとは話しが別なの!』
『エアリス…、クラウドと同じこと言ってるぞ』
『う…、と、とにかく!今回のことは不慮の事故よ!ちょこっと夢に出てみよっかなぁ、ってだけだったのに、なんでこんなことになったわけ?』
『さぁ…。よっぽどクラウドにとって、俺たちは『不幸な恋人』ってことじゃないのか?夢に見ちまうくらいに』
『な、なにが言いたいわけ…?』
『だ〜か〜ら〜。潜在意識にあった願望が形になったんだろ?多分』
『なんか…悔しく思えるのは何でかしらね』
『奇遇だな、俺もだ』
『…また夢枕に立ってやろうかしら』
『きっと立派な嫌がらせになるな、うん』
『む、なによ〜!ザックスは悔しくないわけ?』
『ん〜…そうだなぁ。まぁさっきは『この野郎!』とか思ったけど、なんかこう、悔しいというよりも『大人になったなぁ』って感じだなぁ』
『なにそれ……』
『いやだって、こいつって神羅兵時代、ティファから手紙もらっただけでメチャクチャ返事悩んでさぁ、見てておかしいやら苛立つやら。んで、結局あ〜だこ〜だ悩んだ挙句、出さずじまいなんだぜ?あの姿には憐憫を誘われたね』
『それって…ただのヘタレじゃない』
『言うなエアリス。純情な青少年の姿だ』
『え〜〜〜〜……』
『イヤそうな顔するなよ。そんなエアリス曰く、ヘタレ少年がこんなに立派な大人になったんだ。喜んで然るべきだろ?
『ザックス…保護者みたい…』
『おう、俺もそんな気がしてたんだ』
『はぁ。それにしても、なんかやっぱり釈然としないなぁ。あ、そうだ。ティファならどんな反応かな?』
『…エアリス、目が輝いてるぞ?』
『ふふふふふ、きっとクラウドとは違って素敵で胸キュンな反応してくれるんだろうなぁ。じゃあ早速』
『…え?今から?』
『うん、今から』
『だって、もうそろそろ起きる時間だろ?』
『大丈夫よ。あと15分くらいはあるもの』
『……ま、そうだな。クラウドとの反応の違いも見てみたいし』
『でしょ?決まりね〜。なら善は急げ〜♪』


 その後、時間通りに起きたティファが、ザックスとエアリスの夢を見たかどうか…。
 それが分かるまであと15分。



 あとがき

 こう、ラブラブなザクエアが急に書いてみたくなったんですけど、なんというか…途中で挫折。(あ、分かりました?)
 いまだにFFCCプレイしていないからなぁ、実際ザックスとエアリスがどの程度、会話をして触れ合ったのか、ネット上での情報でしか知らないので、矛盾している部分も沢山あるかと思いますが、そこはそれ、大目に見て下さいませ。