ウータイの忍びと言えば、凄腕の忍者一族として世界に知られている。
 彼らは老若男女問わず、素晴らしい技術と知識を持っており、卓越した腕前で表の世界から裏の世界にかけて幅広くこの世を見守り、またある時は攻撃をし、星の秩序を守りながら自分達の糧を得ていた。

 そんないわゆる『プロフェッショナル』で『エクセレント』なウータイの忍び。

 そして、そんなブランド名としても世に知れ渡っている名声を背負っている現在一番の凄腕忍者が…。



 ユフィ・キサラギである。





二人のあり方






「…なぁにやってんだか…」

 ユフィ・キサラギは呆れるあまり、思わずぼやいた。
 目の前には大きなチョコレートパフェ。
 彼女の目は薄っすら赤いサングラスで覆われている。
 ついでに、白い帽子なんかも被っており、手にはファッション雑誌が握られていた。
 そう。
 彼女は堂々とオープンカフェに座ったまま、こっそり『張り込み』をしているのだ。
 誰を?と、聞かれても彼女はすんなり教えることなどしない。
 当然だ。
 これはれっきとした『仕事の依頼』なのだから。
 だが…。

「…どこまでアホなんだろ…」

 呆れかえってテーブルに片肘を着き、やる気の微塵も見られない態度では、『仕事を真面目にこなしているウータイの忍び』と堂々と言うには憚られる。
 何しろ、何も知らない隣のテーブルに座っている若いカップルが、ユフィに奇異な視線を向けるほど、今の彼女は『隠密行動』からかけ離れた態度をとっているからだ。

 だが、ここでユフィを非難するのはいささか気の毒というもの…。
 ユフィの気持ちは、恐らく理由を知ったら誰もが共感してくれることだろう。


「ですから…、そういうのに興味ありません」
「まぁまぁ、そう言わないで。絶対に気に入るから」


 先ほどから押し問答されているそのやり取り。
 ユフィは盛大な溜め息を吐くと、半ば溶けかけたパフェをかきこんだ。
 苛立ち紛れにあっという間にパフェを完食する。
 こめかみがキーンとなって、思わずうめき声をもらしながら両手で頭を揉み解した。

 ユフィの目の前で先ほどからゆうに15分は繰り広げられているやり取り。
 あまりのバカバカしさに思わず手にしたスプーンを投げつけたくなる。

 今回、ユフィが請け負った仕事は、『悪徳商法根絶』だった。
 根絶…は、まぁ難しいだろう。
 だが、それでも被害者の『なんとかこの屈辱を晴らしたい』『自分以外の犠牲者をこれ以上出したくない』という強い気持ちは汲み取ってしかるべきだ。
 それに、『悪徳商法』という卑劣な手法は断じて許しがたい!

『アタシだってマテリアを手に入れるためにどんだけ苦労したか!』

 ― 『ジェノバ戦役』― と呼ばれるその危険な旅に首を突っ込んだ不純な動機は、いまでは彼女の中ですっかり正当化されている。
 最初は純粋にマテリアゲットが目的だった。
 だが、仲間達と共に旅を続け、悲願を達成してからというもの、自分の不純な動機は綺麗さっぱり過去の彼方に飛んでいる。
 それに、仲間達を大切に思う気持ちに偽りはない。
 だから、仲間達もことさらにそんな無粋なことを蒸し返してユフィをからかったりはしなかった。

 と、まぁそういう具合で、ユフィにとって『悪徳商法でラクしてガッポリ』な人種は今では許しがたい人種としてブラックリスト上位にランクインされている。

 被害者は既に10名以上。
 被害総額は5万ギル。
 この被害総額はかなりな額だ。
 少しでも騙し取られた金を取り返してやらなくては、彼らのこれからの生活が大変だ。

『まぁ、騙される方も騙される方なんだけどさぁ…』

 ユフィはちょこっとだけ、被害者に対して辛い評価を胸に抱きつつ、目の前のやり取りを溜め息混じりに眺めやった。
 手の中のファッション雑誌をさりげなく顔の前にかざすことを忘れていない辺り、ウータイの忍としてのプロ意識がかろうじて残っていた証拠かもしれない。


「ですから、私は今の生活で充分なんです」
「まぁまぁ、落ち着いてゆっくり考えてみてよ。これから先の世の中、いくらギルがあっても一寸先は闇なんだよ?子供達もまだ小さいし、これからどんどんお金は必要になるだろ?」
「だから、大丈夫です。お店の方も軌道に乗ってるし、『彼』もちゃんと仕事頑張ってくれてるので」
「でも、『彼』の仕事、すごく危険なんでしょ?運悪く…ってこともあるじゃん!あ、勘違いしないでよ、『彼』が事故を起こして死んじゃうとかじゃなくて、うっかり配達の品物を壊しちゃって、それが凄く凄く高価な物だとしたら、損害賠償だけでもエライことになるでしょ?だから、その時のためにも『副業』ってしておいた方が良いって」


 見るからにイヤそうな顔をしている『女性』に、ニヘラニヘラと笑いながらしつこく引き止めている若い男。
 ユフィはげんなりしながら二人を見やった。
 チラ…と視線をそらしてみると、そのやり取りを遠巻きにチラチラと他の客が気にしているのが伺える。
 そう。
 これが今回の『悪徳商法の手段』なのだ。
 とても良い話だと周りの客にもそれとなく聞かせ、目の前の獲物に逃げられたとしても、他の獲物にすぐありつく、という手法。
 当然だが、このまんまなやり方をしても見ていた第三者は警戒する。
 だから、別の人間が別の上手い儲け話を持ちかけるのだ。
 すると、不思議なことに、
(あれ、この前カフェで聞いたのとは内容が違う…)
(それに、成功した人がいるって言うし…)
 と、心が揺れるのだ。
 当然だが、犯罪者は話しをする中で、第三者がカフェで小耳に挟んだ『悪徳商法』を『それは悪徳商法ですよ!』と非難するのだ。
 そうして、『良かったですね、あなたは引っかからなくて…』と、良い人を演じる。
 そうすることで、第三者の心に大きく揺さぶりをかけて自分の話しに傾けさせるのだ。

 そう。
 この『悪徳商法』は複数犯いるのだ。
 いわば、グループでの組織犯罪。
 今のところ、ユフィに依頼のあった10件の被害者達しか分かっていないが、恐らくもっと被害者はいるだろう。
 彼らが訴え出ないのは、訴える場所やその方法を知らないからに過ぎない…と、ユフィは考えている。
 だからこうして、ユフィ自らが出向き、その『犯罪者』との接触を試みたのだが…。

 現実はそうそう上手くいってくれないのが世の常なのだろうか…。

「なんでそうなるかなぁ…」

 ユフィは口の中でボソリ…と呟いた。

 被害者が被害にあったというオープン喫茶へわざわざ、『カモになりやすい』格好をして犯罪者の接触を図ろうと思っていたのに…。


「ですから結構です」
「もう少しだけ、ね?お願いだから、俺の顔を立てると思って!」
 このとおり!!

 拝み倒すようなポーズをとる『犯罪者』を前に、漆黒の髪を持つ麗しい女性が困ったように眉根を寄せた。
 そして、折角立ち上がりかけた腰をまた椅子に戻してしまった…。

「…ティファ…バカじゃん……」

 ユフィは呆れながらぼやいた。
 人が良いにもほどがあるだろう…。
 ティファ・ロックハートはその見目麗しさだけではなく、内面も美しく澄み切っている。
 そう、まるで底まで見通せる湖面のような心をしてるのだ。
 …と評するのは彼女の恋人、クラウド・ストライフ。
 いや、実際にクラウドがそう言っていたのを聞いたわけではないのだが、聞かなくてもそう思っていることは仲間全員が知っていた。
 知らないのは恐らくティファ本人だけだろう…。
 とまぁ、良いにつけ悪いにつけ、ティファはとても目立つ存在だった。
 彼女の容姿に惹かれ、その人柄に惚れこむのはもう自然の法則の一つのようだ。
 そんなティファだが、一つだけ困ったところがある。
 今もユフィの目の前で繰り返されているこの堂々巡りの原因。

 彼女の優しさ。
 いや、この場合は優柔不断と言われても文句は言えない。
 ダメなものはダメ。
 要るものは要る、要らないものは要らない。
 そうハッキリと第三者に言い切るだけの強さがない。
 これが、仲間や家族が相手だとスッパリ、キッパリと言い切る。
 それが何故だか全くの無関係の人間になるとそうなれない。

 ― 『そこがティファの良いところだ』 ―

 彼女を盲目的に愛している金髪・碧眼の青年はそう言い切るだろう。
 ユフィは再び『犯罪者』が締まらない笑みを浮かべて大げさにティファに頭を下げているのを半目で見やった。
 真正面に向き合う形で座っているティファは、すっかり困りきった顔をしている。
 その顔を見たら、普通ならユフィも間に割って入り、
『この愚か者!天誅!!』
 と、正義の鉄槌を下すところだ。
 だが、いかんせん今は『任務中』なのだ。
 私情を挟むことは許されない。

 …許されない…のだが…。

「……アホくさ……」

 ティファの困った顔を前に、ユフィが割って入らないのにはもう一つわけがある。
 この『わけ』こそが、ユフィの『私情』。
 心底呆れているのだ…ユフィは…ティファに。
 いくらなんでもあまりにも優柔不断過ぎる。
 いつものキリリ、と引き締まったティファの面影がどこにもない。
 それがユフィには腹立たしい。
 ビシッと決めて欲しいのだ、いつものように。
 弱者を守る闘う女神のように、凛として欲しい。
 明らかに、自分に一生懸命売込みをしている男は『なにかきな臭いもの』を醸し出しているではないか。
 それなのに、いつものキレが全くないティファの態度に、ユフィは呆れと苛立ちをない交ぜにした感情を持て余していた。

「ティファさんなら、すぐに元手の十倍の利益を得ることが出来ますよ!」

 ティファが座り直したことにすっかり気を良くしたのか…、あるいは、『今度腰を上げられたら完全に逃げられる』と焦っているのかは不明だが、若い男は笑みを深め、身を乗り出してティファに迫った。
 男が売り込もうとしているのは…。


 香水。


 それも、『アロマテラピー効果』があるという怪しげなもの。
 その香水を身に付けると、自分自身だけではなく周りの人間もゆったりとリラックス出来るというのが売りだ。
 ジェノバ戦役から未だに復興途中にあるこの世の中では、ストレスがかなり深刻な問題となっている。
 過労も勿論そうなのだが、我武者羅に頑張ってきた反動…とでも言うのか、最近では『うつ病』が少々問題視されてきている。
 そこに目を付けたのが『アロマテラピー効果』だ。
 日々の疲れを癒すという、その『香水』。
 決して悪いものではない、と思うだろう。
 だが、そこが目の付け所だ。
 この『香水』。
 ただの『香水』。
 いや、『香水』以下の代物だ。
 肌が弱い人だと1日でかぶれたり、ただれたりしてしまっている。
 おまけに、匂い自体は確かに『アロマテラピー効果』がありそうなのだが、時間が経つと汗などに混じって異臭を伴うという最低の代物。
 今回の被害者は『香水』ということもあり、女性が多かった。
 中には、恋人や妻へのプレゼントとして購入した男性もいた。
 彼らの憤りと騙されたと言うショックは計り知れない。
 ユフィは彼ら被害者の悔し泣きの姿を思い出し、目の前でまさに新しい獲物(ティファ)ににじり寄っている若い男へ苛立ちが増す。
 それに伴い、ティファへの苛立ちも増していった。

『なにやってんのさ…!』
 あれが苦節の旅を共に乗り越えてきた仲間だとは!

 ユフィはいつの間にか犯罪者への憤りよりもティファへの憤りの方が強くなっていくのを止められなくなっていた。
 そもそも、ティファは甘い!
 あのヘタレ金髪野郎(クラウド)が家出をして戻ってきた時、無条件で許して受け入れてしまった。
 少しくらい、恨み言を言っても良い筈なのに!
 それに、なによりユフィの神経を逆撫でしている本当の理由は、ニヘラニヘラと笑っている男の視線を甘んじて受け入れてしまうような服装をティファがしていることだった。
 たとえ同性であっても、ついつい彼女の豊かな胸元に視線が走ってしまうほど、今日のティファは服装がいつもと違っていた。

『あんな腐れ男のために『あんな格好』するなんて!!』

 ユフィはギリギリと奥歯を噛み締め、ファッション雑誌をクシャクシャに握りつぶした。
 隣に座っていたカップルがギョッとして目を見開き、そそくさと席を立ったことにも気づかない…。

 ユフィはティファがこのカフェに来るほんの数分前に到着し、現在の場所を確保していた。
 だから、ティファと犯罪者男が落ち合った直後からバッチリ、しっかり目撃していたのだ。

 ユフィの計画は…。
 犯罪者がユフィに声をかけてくるのを待つ。
 もしくは、ユフィ以外の誰かをターゲットと定め、犯罪行為に乗り出したところで彼らの犯罪を隠しカメラで証拠を握る。
 このいずれかだった。
 どちらでもOKだったのだ。
 相手は必ず喰らいついたはずだったのだ。
 それなのに…。


 ―『あ、ティファさん、こっちこっち』―


 男が嬉しそうに手を振った先に立っていたティファに、ユフィは唖然として固まったのだ。

 淡いブルーのノースリーブのワンピースは、陽の光を受けてキラキラとティファの美しさを際立たせていた。
 カフェの客達や店員達はあんぐりと口をあけたものだ。
 いつもの黒いツーピースの服装ではなく、まるで『大切な人と待ち合わせ』をしているかのような服装。
 その事実が、実はユフィの苛立ちの大きな原因であることを本人はまだ自覚していない。

『まったく…、クラウドと遊びに行く時に着ればいいじゃん!なんなのさ、ティファの浮気者!!』

 心の中で悪態をつきながら、クシャクシャになったファッション雑誌を乱暴に広げる。
 数枚のページが風に乗って飛んでいった…。


「本当にもう…いい加減にして下さい」
「ティファちゃん…本当に良い話しなのに…」
「結構です。間に合っていますから」
「そんなこと言わないでさ。1回で良いからつけてみてよ。良い香りでしょ?絶対にクラウドさんも喜ぶと思うなぁ」


 ティファの表情が段々真剣に不快感を表し始め、それに伴い男も真剣&必死になってきたのだろう。
 無意識にティファへの殺し文句を口にした。
 ティファの眉間に寄せられていたシワがピクリ…と浅くなる。
 男の目に、『よしっ!』という光がともった気がしたのは、恐らくユフィの気のせいではない。

 苛立ちと不快感という感情から、ティファの感情が困惑と興味に移行する。
 男は喜色を表すまいと懸命にこらえているようだったが、ユフィの目には男の口角が不自然にピクピクと震えているのが見えた。

 このまま、ティファには申し訳ないが『囮』となってもらって、犯罪組織を芋づる式に召し取ってやろうか…。

 半ば本気でそう考えた。
 が…。
 ユフィの脇を一陣の風が吹きぬけた。



「おい、何をしている…」



 低い低い不機嫌マックスな声。
 立ち上る怒りのオーラ。
 金髪を陽の光にさらしてキラキラと光らせ、存在感たっぷりの黒一色で統一された服を身に付けている男。

 クラウド・ストライフ。

「クラウド!」

 たった今までの不快感やその他諸々の『負の感情』が綺麗さっぱりどこかに吹き飛ばし、ティファは嬉しそうな声を上げながら立ち上がった。
 正反対に、犯罪者の男は真っ青になって硬直したのだった。


 *


「んじゃ、リーブ。あとはよろしく〜」
『はい、ありがとうございました。これでなんとか早期解決出来そうです』
「もっちろん、早期解決にしてよね。そのためにアタシがどんだけ苦労したと思ってんの〜?」
『ハハハ、そうですね。では、早速早期解決目指して頑張ることにします』
「うん!あ、そうそう、たまには一緒に飲みに行こうよ。セブンスヘブンにクラウドの奢りで」
『ハハハハ、それは良いですね。では、また近々』
「うん、じゃ、お疲れ〜」

 ユフィは上機嫌で携帯を切ると、ポケットにしまいこんだ。
 足元にはカフェでクラウドに『殺気で殺されかけた』男が白目をむいて転がっている。
 ご丁寧に、身体中ロープでグルグル巻きにされている。
 意識があったとしても、まともに動くのはとてもじゃないが不可能だ。

 あの後、獲物(ティファ)を野獣(クラウド)に横から掻っ攫われて意気消沈している男に、ユフィは当初の目的どおり、自分が囮になって計画を進めた。
 そのお陰で、見事、犯罪組織の名前と居場所を吐かせるに至ったのだ。

「それにしても、相変わらずのバカップルなんだからなぁ〜」

 カフェで抱いていたティファへの憤りは綺麗さっぱりどこへやら。
 ティファの『普段らしからぬ格好』が、他ならぬクラウドとの待ち合わせのためだった…ということが分かったので、上機嫌なのだ。
 あの時。
 クラウドが割って入った直後、ティファは頬を染めながらクラウドを上目遣いに見上げて…。


 ―『クラウド、遅かったのね。待ち合わせ場所、間違えたのかと思っちゃった』
 ―『あぁ、すまない。途中、モンスターの群れに出くわしてな。携帯にかけようかとも思ったんだが、そうする時間も惜しい気がして』―
 ―『そうなんだ。良かった、あと5分遅かったら連絡しようかと思ったの』―
 ―『すまない。ところでその格好…』―
 ―『エヘッ、初めて着てみたの…。どう…かな…?』―


 恥じらいながらそう問うティファに、クラウドが真っ赤にならないはずがない!
 嬉しくないはずがない!!
 クラウドの不機嫌マックス、怒りのオーラは真っ直ぐティファと一緒のテーブルに座っていた知らない若い男に向けられていた。
 沸き立つ殺意(← 怒りでないところがポイント)が、この一言でクラウドの中から霧散したのがユフィにはバッチリと伝わった。

「ま、そこが良いんだろうけどねぇ、あの二人の場合」

 自分の方が年下だというのに、イヤに大人ぶった台詞を舌に乗せる。
 そしてそのまま、ユフィは男をその場に放置してゆっくりと歩き出した。
 まだまだ日は高い。
 だが、今セブンスヘブンにいっても誰もいないことが分かっているので、このままぶらぶら散策してウータイに戻るつもりだった。

 今日のところは珍しく。

「ま、アタシも大人になったってことかな〜?」

 鼻歌交じりにそう言って、ユフィは空を見上げた。
 快晴。
 どこまでも澄み渡った青空。
 絶好のデート日和だ。

「ね、たまには良いよね、エアリス」

 ―『そうね。ユフィも大人になったじゃない?』―

 風に乗って大切な仲間の声が聞こえた気がして、ユフィの気持ちは更に浮上した。
 このまま船や飛空挺に乗っても、乗り物酔いせずに済みそうなほど、気分が良い。

「へへ、さってと、帰ろうっと!」

 弾む足取りでユフィはエッジを後にした。

 後日。
 ストライフ家に、ユフィから『ラブラブバカップルツーショット』なる写真が数枚送られてきて、セブンスヘブンにちょっとした騒動が起きるのだが、それはまた別のお話し。



 あとがき

 たまにはユフィを真面目で大人しい良い子ちゃんに書いてみようかと思いまして(笑)
 そうすると、何故かティファが子供過ぎてしまってどうしてかしら…。
 拙宅の話はなにやら『一方がお利口ちゃん』だと、もう片方は『おバカちゃん』になってしまいますね…。
 おおう…精進します…。