澄んだ青空のような瞳を持つアナタに…。 私は心と魂を…。 私の全てを捧げます…。 ずっと…ずっと……。 永遠に…。 I Love you(「ティファ祭りで七つのお題『恋』より)「クラウド〜!」 「おかえり〜!!」 子供達が花開くように笑いながら、アナタの元に駆けて行く。 小さな背中はただ真っ直ぐ彼へと向かう。 大きな改造バイクから降り立ち、駆け寄ってくる子供達を愛しそうに見つめながらそっと屈んで抱き上げる。 優しく細められた彼の紺碧の瞳に…。 私の心臓はいつも不規則なダンスを踊る。 「ただいま、デンゼル、マリン」 一見、華奢にしか見えないアナタは軽々と子供達を片腕で抱き上げ、それぞれの額に『ただいまのキス』を贈る。 マリンは嬉しそうに、デンゼルは恥ずかしそうにそれを受ける。 その光景は私の心を幸せで満たしてくれる温かいもの。 でも、もっと私の心を温かくしてくれるのは…。 「ただいま…ティファ」 子供達をそっと地面に下ろしてから私を見てくれる…この瞬間。 いつからだったかな…? こんなにもアナタが私のことを甘やかに見つめてくれるようになったのは…。 一緒に暮らし始めた頃は…まだどこか薄い壁のようなものがあったよね? クラウドの本音が…、心が分からなくて、歯痒く感じたこともったわ…。 でも、それはクラウド自身もそうだったでしょ? 私の心が…分からなくて悲しい思いをしたことがあったでしょ? あの頃の私達は本当に不器用で。 ようやっと手に入ったと思った平和な世界は、復興と言う大きな試練の壁に向き合っていかなくてはならなかった。 だから、その忙しさにかまけて……。 ううん…、違う。 忙しい…という口実に、私達は向き合うことから逃げてたんだよね。 だから、肝心な時にクラウド…、アナタが苦しんでるその時。 私は何も気付いてあげられなかった…。 本当に…未熟だったと思う。 だって、アナタが家を出て行った時、私は何も行動に移さなかったんですもの。 アナタの後を追って、必死に捜すことをしなかったんですもの。 怖かったの…。 無事にアナタを捜しあてて…。 アナタの本音を聞くことが…怖かった…。 私は必要ないんだって……言われるのが怖かった。 どうしようもなく怖かった。 だから……向き合うことから…逃げちゃった。 まだ幼いマリンの方がよっぽどアナタの事を信じてたわ。 小さな身体に大きな信頼を宿したマリンは、私の背中を押してくれた…。 だから、あの教会に行くことが出来たの…。 …本当に……弱かったわね……。 そして、アナタも…弱かったね…。 ― 逃げないで! ― デンゼル達がカダージュ達に攫われて、レノ達から『忘らるる都』に子供達がいるって聞いたとき、アナタは逃げた。 レノ達に自分の代わりに行くように…って言って…自分で行こうとしなかった。 そんなアナタに必死になって訴えた言葉。 でも…。 あの台詞は…私にも言えること。 ううん。 むしろ、私にこそ当てはまる言葉…だったよね? それなのに、自分の事を棚に上げて……。 本当に最低。 だけど…。 アナタはちゃんと帰って来てくれた。 ここに。 私と子供達のところに。 私の……ところに。 「おかえりなさい、クラウド」 自然と頬が綻ぶのが分かる。 でも、それを止める術なんかない。 だって、ほら。 私が笑うとクラウドはもっと温かい笑みを浮かべてくれるの。 ねぇ、一体誰が想像したかしらね。 あのニブルヘイム始まって以来の問題児が、こんなに素敵な人になったのよ!? あの頃。 お互いがまだ小さくて、世の中の事を何も知らなかったあの頃も、本当は今みたいに温かな関係を持つことが出来ていたんじゃないかしら。 もっともっと、クラウドの事を知ろうとしておけば…。 もっともっと、クラウドと親しくなることに積極的になれていたら…。 でも。 過ぎ去ってしまった過去は変えられない。 小さい頃から一緒の時間を過ごせるはずだったのに、その時間を無駄にしてしまったことが本当に悔やまれる。 きっと、とても素敵な時間を過ごせたはず。 そしたら……。 もしかしたらクラウドが神羅の実験体として、三年間も囚われるなんてことにはならなかったかもしれない。 だって、クラウドはセフィロスとニブルヘイムに訪れた時、私に知られたくないから…という一心で、必死になって自分の存在を隠したでしょう? もしも…隠す必要が無かった…って彼が知っていたら、きっと違う結果になっていたと思うの。 私は、アナタがソルジャーとして村に戻って来たんじゃなくても良かったのよ? 一般兵だって全然構わなかったのよ? ただ……会いたかったの。 それを伝えることが出来ないまま、あの悲惨な事件が幕を開けてしまった…。 もしも私が、『ソルジャーになれなくても、そんなことどうでも良いよ』って、ちゃんと伝えられていたら…。 ただ、アナタに会える事の方がうんとうんと、大切なんだって…ちゃんと伝えられていたら…。 私とアナタの『関係』がそれらをきちんと伝えられるものだったら、きっと…もっと違う形で私達はあの旅を終えていたと思うの……。 もしかしたら……『彼』や『彼女』を失わずに…済んだかもしれないわね…。 …それは、考えすぎかしら……。 「ティファ?」 ふいに名前を呼ばれて顔を上げると、心配そうな顔をした『愛しい人』。 あぁ…。 本当に綺麗。 心配そうに寄せられた眉も、真っ直ぐに私を見つめてくれている吸い込まれそうな瞳も、スッと整った鼻筋も、顎のラインも…。 全部全部! 私の心を捕えて離さない。 でも、見た目だけではなくて…。 「ううん、ごめんね。大丈夫!ちょっと昔の事を思い出したの」 ニッコリと笑って明るくそう言うと、ちょっと複雑そうな顔で…どこか私の事を窺うように心配そうな顔をする…優しい人。 不器用で、口下手で。 決して愛想が良いとは言えないけど、それでもちょっとしたそういう仕草。 たった一言の言葉。 それらには、アナタの想いが溢れている。 優しい優しいアナタの心が満ちている。 こんなに優しくて…、それでいて傷つきやすくて、それ以上に私と子供達、そして仲間を大切に思ってくれるアナタが…愛しい。 私の『大丈夫』という言葉を丸々信じているわけではなく、私が『無理をしている』と変に勘ぐってくれるアナタに、私の胸は密かに歓喜で震える。 だって、それくらいクラウド…、アナタは私の事を想ってくれているんでしょう? 自惚れじゃ…ないよね? 「ふふ」 「…なんだよ…?」 思わず洩れた忍び笑いに紺碧の瞳を眇めて眉を寄せる。 そんな顔をするクラウドも本当に素敵。 「なんでもない」 「…なんでもない顔じゃないぞ…」 ちょっと不貞腐れたように唇を尖らせるクラウドに、ますます笑いが込上げる。 「ティファ…なんだよ本当に…」 とっても不愉快そうな声。 でもダメ…。 言えないわ、恥ずかしくって。 「なんでもないってば」 「なんでもないことは無いだろう?」 「ふふっ!なんでもないったらなんでもないの〜!」 「おい…ティファ…!」 焦れたように私の肩に手を置いてちょっと強引に振り向かせたクラウドの瞳と、私の瞳がカチリ…と合わさる。 途端に…。 あまりにも綺麗なその瞳に一気に笑いが引いていく。 吸い込まれそう……。 紺碧の瞳にちょっと目を丸くして固まっている私が映ってる…。 ……なんだか…ちょっと間抜けな顔…。 でも、間抜けでもなんでも良い…。 だって、この一瞬…今だけは…。 「ティファ…?」 怪訝そうな顔をするアナタは、私しか見えてないでしょう? 綺麗な魔晄の瞳に映っているのは、私だけ…。 それがどれだけ幸せか…アナタは分からないでしょうね。 「どうした…、なにかあったのか…?」 怪訝な表情から困惑、そして心配そうな顔に変化していく。 眉間には薄っすらとシワが寄って、どことなく捨てられた子犬みたい…。 「ううん、本当に何でもないよ」 「 …… 」 あ、全然信じてない顔。 思い切り不審そうな瞳。 寄せられた眉目に、何故か哀愁が漂っている。 あぁ…そっか…。 私がアナタの事を頼ってない…って思ってるのね? ふふ…本当にバカね? そんなわけ無いじゃない。 「あのね…クラウド…」 「うん?」 そっと顔を寄せ、耳元で内緒話をするように声を落とすと、ホッとした様な声で返事をしてくれたアナタが…愛しい。 どうしよう。 ドキドキしっぱなしなんだけどな…。 言っちゃおうかな…。 それともやめようかな…。 「なんだ…?やっぱり何かあったのか?」 顔を寄せているからどんな表情をしているのか見えないけど、見なくたって分かる。 すごく不安そうな顔をしてるって…。 そんなアナタに心がくすぐられる。 どうしようかな…。 恥ずかしいんだけど……言っちゃおうかな……? 「…ティファ……」 あぁ…もう本当に反則! そんなに沈んだ声を出されたら言わないわけにはいかないじゃない! 「あのね…」 「うん?」 不安でちょっと緊張した低い声。 私がこれから言う言葉を聞いたら、どうなるのかしら…? 恥ずかしいけど…ちょっとだけ楽しみに思っちゃう。 「私のね…」 「うん…」 「初恋っていつだったかなぁ…って思ってたの」 一瞬の沈黙。 私の肩を握っていたクラウドの手に力が籠められて…。 「 は!? 」 常日頃の彼からは想像しにくいほどの素っ頓狂な声。 先に店に入っていた子供達がビックリして顔を覗かせる。 ちょっと身体を離してクラウドを見ると、目をまん丸にしてこれ以上ないくらいビックリしていて。 「プッ!!」 もうダメ…! 可笑しくって我慢出来ない! 「…ティ、ティファ……あの……」 アワアワと言葉にならないクラウドに、ますます笑いが込上げる。 目を白黒させる…ってこのことね。 「ティファ…どうしたの?」 「クラウドになに言ったの……?なんか気持ち悪いんだけど……」 キョトンとするマリンと、気味悪そうな顔をするデンゼルに、笑いながら「なんでもないわ!」と一言だけ言って、さっさと店に入る。 振り向かなくても、大混乱しているアナタの姿が想像出来る。 本当に…もう可笑しいんだから! 「ねぇ、ティファ…」 「なんかクラウドの顔色悪いよ…」 「うん、すっごく悪い」 「…真っ青なんだけど…」 デンゼルの最後の一言で、私の高揚していた気分は一気に消し飛んだ。 「え!?」 思わず振り向いて、子供達の言っていることが本当だと知る。 店の入り口では、呆然と突っ立っているクラウドの姿。 え…? えぇ…!? なんでそんなに顔色悪いの…!? 「ク、クラウド?」 「 …… 」 「えっと…ごめんね、ちょっとからかいすぎたわね」 「…誰なんだ…?」 「え…?」 「…いや…やっぱり良い…」 思わず駆け寄った私に、クラウドはフラフラしながら二階に向かって…、階段の向こうに消えていった。 あれ…? あれ〜…??? なんであんなに落ち込んでるの!? 「ティファ…クラウドになに言ったの?」 「ティファ…クラウド、めちゃくちゃ落ち込んでたよ……」 子供達の白い視線がすごく痛い。 ちょっと待って…。 どうしてクラウド…落ち込んでるの!? …。 ……。 ………あれ…? もしかして……もしかしなくても…。 「クラウドって…私の初恋が誰か知らない…?」 思わず呟いた言葉に、デンゼルとマリンが目を見開いた。 「なにそれ!?」 「ティファの初恋ってクラウドじゃないの!?」 噛み付くような二人に、 「なに言ってるの!クラウドよ!!」 と、大声で言っちゃった…。 もう…穴があったら入りたい…。 ものっすごく恥ずかしい思いをしている私の目の前では、子供達が小さな胸を撫で下ろしている。 「あ〜、良かった…」 「そうだよなぁ…、クラウド以外を好きになってるティファってちょっと想像しにくい…って言うか、したくないって言うか…」 「あ…でも、その事をクラウドは知らないんじゃないの…?」 マリンの一言に…。 「「 あ… 」」 デンゼルと顔を見合わせて固まっちゃった…。 そうなの…。 私の初恋はクラウドだって…言ったこと……なかった……かも……。 だから…あんなにショック受けてくれたのかしら…? 私がクラウド以外に好きな人がいた…って可能性を思って、あんなにショックを受けてくれたのかしら…? 「ティファ…」 「喜んでる場合じゃないよぉ!早く行ってきて!!」 呆れたような顔をするデンゼルと、ちょっと怒ったようなマリンに背中を押されて二階に駆け上がる。 そっと寝室のドアを開けると、帰宅したままの状態でベッドにポツン…と腰掛けてるクラウドの姿。 胸が痛い。 悲しませてしまったことは勿論反省してる。 でも、それ以上にクラウドがショックを受けてくれたことが……ごめんね、すごく嬉しいの。 「クラウド」 声をかけると、ビクッ!と肩を震わせてどこか怯えたような目をするアナタに、切なさと愛しさがない交ぜになって込上げる。 ゆっくりと近付いて…。 そっとアナタの首に腕を回して抱きしめる。 「捕まえた」 「…え…?」 「私の初恋の人」 腕の中で、クラウドがビクッと震えて…。 次いで、恐る恐る、そっと私の背中に腕を回してくれた。 いつからだったかな…。 アナタに惹かれて、惹かれて…。 もうどうしようもなく恋焦がれてしまうようになったのは。 はっきりとしたその時期は忘れたけど、これだけは言える。 「I Love You Forever 」 「Me too 」 シンプルなアナタの言葉に…。 私は至福を感じる。 これからも…ずっと…ね。 あとがき ティファ、お誕生日おめでとう!! ということで、七つのお題『恋』を選ばせて頂きました。 いや…、もうやっぱりアレですな。 かなり恥ずかしいですな…甘々クラティは…(///) 『星祭FINAL』の『Tifa's Birthday Party3』に投稿させて頂いた作品です♪ ……。 最後の台詞が…もうね、書きながら照れる照れる!! はぁ……。 他の素敵サイト様が素晴らしいので、是非、覗いてみてやって下さいませ♪ |