カタカタカタカタ…。
 ピピピ…ジ、ジジジ……。
 ブンッ………ガ、ザザー…。

 その部屋から聞えてくるのは、コンピューターのキーを叩く音と、耳障りなノイズ音だけ。
 大きなモニターの前には、これでもかと言わんばかりの沢山のキーと、床に伸びている配線がこれ以上ない程、無機質で冷めた空気を生み出していた。
 そんなもの寂しい空間にたった独りで黙々と作業をしているのは、まだ幼さを残した年若い女性。
 モニターが奇妙に歪んだ映像を映し出し、彼女の整った顔を歪(いびつ)に照らしている。
 なんの感情も持っていないかのような面持ちで一心不乱にコンピューターに向かっている彼女は、まるで精巧に作られた機械人形のようだ。
 耳障り以外の何ものでもないノイズ音にも、苛立たしく感じるであろうその歪んだ映像にも全く動じず、細い指をキーに走らせ、視線はキーとモニターを行き来する。
 そんな彼女がようやく僅かに表情を変えたのは、モニターの映像が綺麗に映し出された時だった。

「ふぅ……。やっとご機嫌が直りましたか……」

 軽く息を吐き出し、肩からホッと力を抜いてシェルクはモニターを満足げに見やった。



彼が認めた『彼』




「こんな時にご機嫌斜めになるなんて…困った子ですね」
 まるで小さな子供にするように、やんわりと目元を緩めて指でキーの傍を軽く弾く。
 そんな可愛らしい仕草をするシェルクに、突然、

「直ったのか?」

 低い男性の声がかけられた。
 シェルクはさして驚いた様子も見せず、ゆっくりと自分に歩み寄ってくる長身の『彼』へ振り返って柔らかく微笑んだ。
「はい、ようやくご機嫌が直ったようです」
「そうか…」

 シェルクに笑みを向けられた『彼』、ヴィンセント・バレンタインはその笑顔に目を細めると口元に微笑をたたえた。
 そして、勝手に近くの椅子を引き寄せ、腰掛ける。

 座ると見上げた位置にあるモニターには、彼と彼女の良く知っている人物達が所狭しと暴れまわっている映像が流れていた。

 時には荒々しく、時には相手をフェイントで翻弄し、そして時には潔く背を向けて態勢を整える。

 そして、それらの戦闘に関しての駆け引きをはるかに凌ぐ『彼ら』の高度な戦闘技術は、実際に目にした後で映像として見てもやはり圧巻だ。

「凄いですね…」
「ああ…」
「……本当に強いですよね…」
「ああ…」

 全く会話の続かないそのやり取りも、どこか居心地が良い。
 先程までこの部屋を無機質な空気が支配していたとは思えないほど、今はゆったりと寛いだ空気が穏やかに横たわっている。

 シェルクはそっととなりに座っている寡黙な青年を見やった。
 ヴィンセントと出会って半年以上になる。
 初めて彼と言葉を交わした時、まさかこんな風に自然と話をして同じ空間にゆったりと寛げる時が来るとは思っていなかった。
 いや。
 そもそも、自分がこんなにも『幸福』になれるとは、夢にすら思えなかったし想像出来なかった。

 神羅に攫われ、十年もの間、人体実験を繰り返し受けてきた自分が、まさかこんなにも……普通の幸せを手にする事が出来るとは……。

 再び視線を戻したシェルクの目に、金髪の青年が漆黒の髪の青年の喉元に武器を突きつけている場面が写る。
 肩で息をしながら、お互い真っ直ぐに相手を見るその視線の強さ。
 漆黒の髪の青年がフッと微笑んで負けを宣言する潔さ。
 金髪の青年が大きく息を吐き出して漆黒の髪の青年に手を差し出し、地面から立たせた時の満足そうな表情。
 そして、両者が互いの健闘を讃えあって強く手を握る感動のシーン。
 湧き起こる拍手の嵐と歓声が、モニターから溢れてくる。
 胸が熱くなる。

 再び、一週間前の『手合わせ試合』の観客席に立っているような錯覚をシェルクは感じた。

「フッ…」
「どうしました、ヴィンセント?」

 ふいに隣に座っているヴィンセントがしのび笑いを漏らした。
 キョトンとして自分を見つめるシェルクに、ヴィンセントは「いや……」と、ゆっくり頭(かぶり)を振った。

「本当に良い顔をするようになったと思ってな……二人共」
「…『二人』ですか…?」
「ああ…二人だ」

 ヴィンセントの言葉にシェルクは益々首を捻る。
 寡黙なジェノバ戦役の英雄は、一人満足そうな顔をしたまま、その答えを口にする気はない様子で視線を再びモニターに戻してしまった。

 モニターを見つめるヴィンセントの視界の端に、訝しげにしつつも同じくモニターを見やる女性が微かに写る。

 それを無意識に確認すると、ヴィンセントは再び口元に笑みを浮かべた。


『本当に良い顔をするようになった。『シェルク』も『クラウド』も…』


 心の中でそう呟くと、第二試合に突入した映像に見入った。



 そもそも、ここWROの施設の一室で何故シェルクが作業をしていたかと言うと。
 話しはシェルクが魔晄中毒の定期受診をWROの医療施設で受けた三日前に遡る。

 その日。
 シェルクはいつもの定期的な治療を受けて治療室を後にした。
『オメガ』の一件の際、再び星がもたらした奇跡により、姉は目を覚ました。
 そして、持っている知識と技術を総動員して、妹を救う為の研究を行った。
 シャルアの研究。
 それはまさに……筆舌しがたいほどの凄まじい努力と根性の賜物。
 その血と汗と涙の結晶である研究は、妹を『魔晄を浴びなくても生きていける身体』へ少しずつ導いてくれた。
 今では、シェルクは魔晄を浴びなくても『常人以上』に生きていけるようになった。
 勿論、それは定期的な受診と治療、そして服薬が必要ではあるが、それでもシェルクには夢にも思わなかった大きな喜びで……。

 研究の結果をまとめ上げ、満足そうに自分の前に立つシャルアに、シェルクは堪らず抱きついた。

 その時の感動的シーンに、シャルアとシェルクの姉妹を心配していたセブンスヘブンの住人と、シャルアの上司、そしてヴィンセントが心から喜び、涙した事は言うまでも無い。(当然、ヴィンセントとクラウドは泣かなかったが…)

 さて。
 そんなこんなで、シェルクの病状は順調に回復している。
 最初の頃こそ、妹の治療の際には仕事を放り出して初めから終わりまで付き添っていたシャルアだが、どんどん元気になっていくシェルクの姿に安心した事と、シェルク自身に『仕事を放り出してまで付き添わないで!』とお願いされた事により、今ではきちんと仕事をするようになった。
 そして、その日も彼女は急な出張で遠方に出かけて不在であった。
 シェルクは、シャルアがWROの本部にいないことにちょっとだけびっくりした顔をしていたが、すぐに笑顔になると気を遣って出向いてくれたリーブに首を振った。
「大丈夫ですよ…お姉ちゃんがいなくても。ふふ…やっと私の心配をしないようになってくれたんですね」
 そう言って満足そうに微笑むシェルクに、リーブも嬉しそうに笑った。
「まぁそう言わないで。シャルア博士は、それはそれはキミの事を心配していたのですから」
「…ええ…分かってます」
 リーブの言葉に少し照れたような顔をして視線をそらしたシェルクに、リーブの笑みが深くなる。
 その笑顔がふと、何かを思いついたような顔になった。
 思わずそらしていた視線をWRO局長に戻す。

 と…。

 不思議そうに見るシェルクの肩をガシッと掴むと、リーブは真剣な顔でシェルクの顔を覗き込んだ。
「お願いがあるんです」
「?」
 首を捻るシェルクにリーブがしたお願い。
 それが…。


『ジェノバ戦役の英雄達のリーダー対WROの隊員の手合わせ試合』の映像の編集作業。


「あの試合は本当に素晴らしかった。沢山の素晴らしい技と戦闘時における実に多彩な駆け引きが凝縮されている試合でした。ですから、あの試合の映像を編集して、隊員達に見せたいんです。勿論、いきなりあれだけの技術を身につけろ…というのではないのですが、これだけの能力を持つ人間がいる…、という事を知っておく事も必要ですしね。それに……」
 勿体無いでしょう?ちゃんと編集して永久保存版にしておかないと。

 そう悪戯っぽく笑った局長に、シェルクは快諾した。


 元々、彼女は頭が良い。
 それに、姉との共通点なのだろう、非常にコンピューターに強かった。
 WROの医療施設で治療を受けるようになってから、彼女は姉の手ほどきを受けるようになり、そっち方面の知識が飛躍的に増えていった。
 もっとも、いくら知識を得る場が増えても、それをきちんと理解していけるだけの『器』がないとお話しにならない。
 周囲の心配を余所に、シェルクはシャルアが提供する知識をどんどん吸収していった。
 それは、科学班の他のメンバーが呆気に取られるほどのもので、姉であるシャルアも目を見張るほどだった。

『本当に、あんたって子はすごいね!』

 手放しで褒めてくれる姉に、いつも照れ臭くてそっぽを向いてしまうシェルクだったが、心の中は姉への感謝で一杯だ。


  いつか……。
  ちゃんと言わないとな……。

 『ありがとう』って……。


 そう思うたびに、シェルクは一緒に住んでいる『四人』の姿を思い出す。
 今、一緒に住んでいる『新しい家族』の四人を。

 血の繋がりなど少しも無いのに、強い絆で結ばれている四人は本当に素敵だと思う。
 それと同時に、遠い昔に無くしてしまった感情をシェルクの中に甦らせてくれた。

『家族を愛しく思う気持ち』と『誰かの為に何かをしたい』という気持ち…。
 そして、自分がすることで誰かが喜んでくれる……その『悦び』を。

 それらの感情を取り戻すことが出来たシェルクは、自分は本当に幸せだ……と、思わずにはいられなかった。


 モニターの映像が、第二試合の中盤を終えようとしている。
 漆黒の髪の青年が、持っている武器をクラウドに投げつけてパートナーへの攻撃を阻止しているシーンが流れた。
 その青年を見つめるシェルクの脳裏に、一人の女性の姿が浮かび上がる。
 魔晄中毒に苦しめられる日々を十年以上も送っているという……女性……アイリを。

 初めてアイリと出会ったのは、同じくWROの医療施設…。
 既にその時、シェルクは数回治療を受けており、順調に回復しているところだった。
 一通りの治療が終わり、残りの治療は遅めの昼食の後で…となったシェルクと付き添っていたシャルアは、治療室のドアを開けた。
 そこに、漆黒の髪と紫紺の瞳を持つ若い青年が、彼女の手をそっと引いて治療室へとやって来たのだ。
 シェルクは勿論、シャルアも一目で彼女が魔晄に侵されている患者であると分かった。

 一瞬、立ち止まって彼女に視線を注ぐ。
 その直後に、彼女の手を引いていた青年と目が合ってしまった。

「あ…」
 姉が何故か気まずそうに声を上げ、シェルクが「なに?」と聞こうと顔を向けた。
 が、一歩早く青年がニッコリと笑いかけてきた。

「シャルア博士、ご苦労様です」
「…あ、ああ……バルト准尉も……」
「!?」

 姉が何故、罰の悪そうな顔をしたのか分かったシェルクは、ぎこちなく笑みを浮かべて頭を下げる。
「こんにちは、初めまして。姉がいつもお世話になってます」
「こら!私がお世話してやってるんだよ!」
 シェルクの言葉に、たちまちいつもの余裕を取り戻したシャルアが、シェルクの額を指で弾く。
 プライアデス・バルト准尉はクスリと微笑むと、
「はい、その通りです。お姉様には本当にお世話になってます。初めまして、プライアデス・バルト准尉です。よろしくお願いします」
 そう言って、礼儀正しく頭を下げた。
 そして、頭を上げると今度は手を引いている女性を優しく引き寄せた。
「彼女は僕の恩人でアイリです。今から初めての治療なんですよ」
「あ……初めてなのか…」
「ええ。中々予約が取れなくて。でも、やっと予約が取れて一安心です」
 眉尻を下げて苦笑する青年に、シャルアが呆れたような顔をした。
「バカだな〜、准尉は。そんなの局長か私に言ってくれたら一発で取れただろうに」
「いえ…そう言う訳には…」
 姉の言葉に困ったような顔をする青年と、その青年に手を引かれている『彼女』。
 その彼女……アイリはどこまでも虚ろな目をしていて……。


 まるで……動くマネキンみたい……。


 シェルクはゾッとしながらそう思ったのだった。
 人体実験に耐えられたからこそ、こうして今、自分はここにいる。
 しかし、アイリのように耐えられなかったら……?
 今頃、自分はライフストリームの一部だ。

 ゾワゾワと背筋が寒くなる。
 それを押し殺してシェルクは口を開いた。
「『恩人』って……?恋人…ではないんですか?」
「な!?ち、ちちち違いますよ!!」
 途端に真っ赤になって否定する青年に、シェルクの心の悪寒が薄らぐ。
 隣に立つ姉が、面白いおもちゃを見つけた……と言わんばかりにニヤッと笑った。
「ふふ〜ん?そう??それにしたら、やけに赤い顔してさ〜。いいじゃない、別に隠さなくても。アイリ…さんっていったかしらね。可愛いじゃない、『カ・ノ・ジョ・v』」
「は、博士!」
「……お姉ちゃん……」

 心から楽しそうにからかうシャルアと頭から湯気が立ち上りそうな勢いで全身を真っ赤に染める青年、呆れ返るシェルクという組み合わせが待合室で注目の的となるのに時間はかからなかった。

「えっと……何か注目の的になっちゃって…ますよね…」
「あ〜っと……ごめんごめん。ちょっと調子に乗りすぎたかな…」
「お姉ちゃん…」

 周囲の視線に気付き、三人はそそくさと別れた。
 その時、シャルアがアイリに「早く良くなるように祈ってるよ」と声をかけたが、彼女は何も反応を返さなかった。
 視線を向けることも……頷くことも……。
 ほんの僅かもピクリとしないその表情に、シェルクは視線を反らせた。
 とてもじゃないが正視出来ない。
 いや、してはいけない…。
 そう思ったのだ。
 しかし、姉は違ったようで、アイリの頭をクシャクシャと撫で、満足そうに「じゃ、またね」と笑顔で見送ったのだ。
 青年も「はい、ではまた」と笑顔で返し、恐らくそれほど表情は変わっていないとは思うが、驚いた顔をしていたであろう自分にも礼儀正しく微笑んで頭を下げた。

「さ、行こう」
 優しくアイリに声をかけ、ゆっくり…ゆっくりと彼女の歩調に合わせて歩き出す。
 青年の後姿にシェルクは胸が詰まる思いがした。

「ふぅ…。まさか、『噂の彼女』に会えるとは思わなかったなぁ」

 ドアの向こうに二人が消えた後、シャルアが溜め息を吐きながら呟いた。
 その姉に、昼食の席でシェルクが聞いた事は衝撃でしかなかった。
 自分と同じくらい、長期にわたって魔晄と闘っているアイリ。
 そして、その彼女を同じくずっと支え続けている青年。

『恩人』と青年が紹介したが、その理由にもなる二人の過去を聞いたシェルクは、プライアデスがアイリに向けていた眼差しを思い出して『恩人以上の感情』を抱いていることに簡単に気付いた。
 気付くと同時に、その事実はシェルクの胸を締め付けた。
 あまりにも切な過ぎて…。
 あまりにも悲し過ぎて…。
 あまりにも……。
 あまりにも……強いその想いに……胸が打たれて…。

 言葉にならない。


「ホントに、准尉は真面目でいい奴だから幸せになって欲しいんだけどね…」

 そう言って、シャルアは悲しそうに微笑んだ。



「それにしても、よくこんなに沢山の配線やらキーやらコードの入力やら出来るな……」
 感心したようにしみじみ呟いたヴィンセントに、シェルクは意識を現実に引き戻された。
 目の前では感心仕切りのヴィンセント。
 そのホッとする表情と、自分が今おかれている恵まれた空気に、一気に感情が浮上する。

 シェルクは嬉しそうに破顔した。

「ふふ…ちゃんと勉強したらそれなりに扱えるようになりますよ」
 口でそう言いつつも、褒められた喜びは隠しきれていない。
 そんな彼女にヴィンセントは再び微笑むと、「いや、私には無理だ」と肩を竦めて見せた。
「でも、ヴィンセントはちゃんと勉強した事が無いんでしょう?」
 あまりにもあっさりと言い切る彼に、可笑しそうに笑いながらシェルクはそう言ってみた。
 しかし。
 それでもヴィンセントは「無理だ。何しろ…」そう言って言葉を切り、ゆっくりと自分の頭を指で示す。
「ローカルだからな…私は。だから、新しい事を詰め込めるだけの容量が無い」
「プッ!」
「…笑うな」
「ふふ…本当に面白いですね、ヴィンセントは…」
「…そうか?」
「ええ!」
「そうか…」
「ふふ…」
「フッ…」


 穏やかな空気が漂う二人の前にあるモニターでは、丁度クラウドが第二試合を終えて対戦相手の二人と握手を交わしているシーンが流れていた。


 そして、シェルクが現在一緒に生活している二人の恩人が周りの目も気にならないで幸せそうに見つめ合っている姿がモニターに映し出された。

「………」
「………」

 なんとなく…。
 なんとなく、これ以上見てはいけない気がする……。

 チラリ…。
 隣のヴィンセントを見やるシェルクの視線が、バチッと音を立てて彼のそれと交わった。

「……やっぱり…」
「……ああ、ここの部分は編集でカット……」
「ですよね…」
「当然だな…」

 カットしないという選択肢を選んだ場合…。
 二人の英雄の『羞恥心』に思い切り爆弾を仕掛けてしまうということに違いない。
 そして、恐らくその爆弾は、取り付けると同時に大爆発をしてしまうのだ。

 ……それだけは避けたい、なんとしても!!

 というわけで。
 その貴重ないわゆるラブシーンは編集・削除の道を辿った。
 あと…。
 当然、戦闘の勉強にならないような第三回戦もカットされたのだった……。



「それで、出来上がったのがこれです」
「お〜!本当に助かりました!ありがとうございます!!」

 差し出されたビデオテープを前に、リーブが破顔した。
 そして、ウキウキと早速デッキに放り込む。

 シェルクに椅子を勧め、自身も一つに腰掛けてテレビの画面を見つめる。
 映し出されたその映像に、リーブは感嘆の声を漏らした。

 第一回戦、第二回戦共に白熱した戦いだ。
 その映像を見るのはもう三回以上になるというのに、画面に引き込まれずにはいられない。
 シェルクは編集途中で何度も目にしていたクラウドの高い戦闘技術と駆け引き、それらの全てに魅了されていた。
 そして、改めて『新しい家族』がどれほど凄い人物なのか……。
 寡黙で人嫌いな『彼』がクラウドをリーダーと認めて二年半前に旅をしたのか…。
 その理由が分かった気がした。

 高い戦闘能力はアスールやロッソ、更にはヴァイスにも匹敵する。
 しかし、クラウドはそれだけではないのだ。
 ただ、強いだけじゃない。
 アスール達にないもの。
 それを彼は持っている。
 それが、『彼』を認めさせるものになっているのだ。



「ふぅ…。本当にありがとうございました!素晴らしい出来上がりです!!」
「良かった…」

 満面の笑みでデッキからテープを取り出したリーブに、シェルクは微笑んだ。

「私も……改めて分かった事がありますから…」
「?」
「ふふ…」

 不思議そうな顔をして首を捻るリーブに、シェルクは微笑を残して退室した。
 廊下に出て、うーん…と伸びをする。
 廊下の向こうから、緋色のマントを身に纏ったヴィンセントが、ゆっくりと歩いてくるのが見えて自然と足を向けた。

「Okがもらえたか?」
「はい」
「そうか。私も用事が済んだ。一緒に帰るか?」
「はい!」

 嬉しい申し出に一も二もなく頷くと、やんわり微笑む彼と並んで歩く。
 長身のヴィンセントを見上げながら、シェルクはそっと心の中で呟いた。

『良かったですね……ヴィンセント。あなたのリーダーが『強いだけではなくて心の温かい人』で。ま、そういう人でなかったらあなたは認めなかったんでしょうけど…』

「なんだ?」
「いいえ、なんでも」
「……?そうか…?」
「はい」

 訝しそうな顔をするヴィンセントに、答えは隠したまま。
 シェルクは帰路に着いた。
 大切な人達が待つ『家』に…。

 大切な人と一緒に…。



 あとがき

 お、終ったーー!!
 …っていうか……。
 ゴ〜メ〜ン〜ナ〜サ〜〜イ!!(土下座)。
 どうしても…どうしても無理でした!!『WROで働いてるシェルク設定』が!!
 もう、私の頭は『セブンスヘブンで働いてるシェルク』でガッチリと設定されてしまってて…設定変更が……無理でした(撃沈)。
 し〜か〜も!!
『映像を編集している時にヴィンセントがリーダーと認めるクラウドという最強の戦士に興味を持ち、戦闘能力の分析をする』というリクエスト……。
 全然じゃん!!
 ご、ごめんなさい!!

 ほんっとうに……無理!!
 知識の無い私には……無理!!
 どうやって戦闘能力を分析したらいいのか分かんない(滝汗)。
 スピード…?腕力に跳躍力…?んでもって機敏な反応に駆け引きの仕方……?

 む、無理だ〜〜(;;)。

 だって、スピードって時速何キロとかで書かなくちゃイケないとしたら、平均がどれくらいなのか全く知らないし、そもそも跳躍力とかってこの世界の人達めっちゃ跳んでるし!!
(子供達もカダージュに操られてる時は、めっちゃ高いところから飛び降りてたし!!)


 というわけで…。
 見事に撃沈しましたこのお話し。
 本当に…本当にゴメンナサイ(再び土下座)。
 T・J・シン様。
 お待ち頂いてたのに全然違う趣旨の話になっちゃいました。
 心からお詫びします。
 でも…。
 このリクのお話は無理です…(;;)。
 分析……出来ません……(無知なもので…)
 本当にゴメンナサイ。
 また、ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました!!