最初は、きちんと携帯に出てくれるだけで良かった…。

 ちゃんと家に帰ってきてくれるだけで嬉しかった…。

 一緒に頑張ろう。
 そう、言葉にしなくとも、その思いが伝わってくるのを感じるだけで幸せだった…。


 それなのに…。
 人は、『慣れ』てしまう生き物だから…。

 いや、違う。
 相手を思えば思うほど、その気持ちは止まることを知らず、いつの間にか…。





加速し、膨らむ想い






『悪い、今夜は帰れそうにない』

 ティファは肩と耳で器用に携帯を挟みながら、クラウドの言葉を聞いた。
 今夜は泊まりの予定ではなかった。
 いや、今夜が特別に日帰りの予定だったわけではない。
 実はここ暫く、泊まりがけで配達することなどほとんどなかった。

 日々交通の環境整備が進むこの星では、クラウド以外にも配達業者が少しずつ進出してきている。
 そのお陰で、以前のような殺人的スケジュールを組まなくても、星の人々の生活に支障はないほどまでになっていた。
 もっとも、その影の立役者はクラウド・ストライフであり、WRO局長のリーブである。
 クラウドの情報を元に精密な世界地図を作り上げ、早急に交通整備を要する地区を優先して力を注いだ血と汗と努力、そして星を思う熱い思いの結晶だ。
 というわけで、少しずつだがストライフ・デリバリーサービスが活躍するのは、ミッドガルやヒーリンがある同じ大陸に限られてきている。
 勿論、日帰りが可能なコスタ・デル・ソル辺りまでは行けないことはないのだが、クラウド自身があまり乗り気でない。
 幼い頃から連れ添っている『乗り物酔い』は、巨大バイクの主となった今でも健在であるため、極力フェンリル以外の乗り物に乗らないようにしている。
 何が悲しくて、乗り物酔いの気持ちの悪さを我慢しながら『他の人でも充分出来ること』をしなくてはいけないのか。
 それがクラウドの言い分だろう。
 そして、その言い分をティファやデンゼル、マリンは微塵も責めなかった。
 むしろ、もろ手を広げて大歓迎した。
 クラウドが毎日、夜に帰ってくる生活がどれほどのご褒美か。
 近頃では、夕食を子供達と一緒に交替で食べ、セブンスヘブンを手伝う余裕まである。
 デンゼルとマリンはとても喜んでいた。
 勿論…ティファも。
 そんな生活に染まりつつあったので、今夜のようにとっくに戻っているはずの『子供達の就寝時間』になってもまだ帰ってこない事に、ティファは溜め息を吐きながら携帯をかけた…と言うわけだ。
 デンゼルとマリンは不安そうな顔をしている。
 クラウドがなんの連絡もなく、こんな時間まで帰ってこないのは、あの家出以来ないことだ。
 久方ぶりに味わう、『大切な人がフイにいなくなるかもしれない不安』が小さな胸の中で少しずつ成長していく…。

 だが、ティファは子供達とは違うらしい。

「あ、そうなんだ。大丈夫?」

 ティファのその淡々とした事務的な口調に、携帯の向こうでクラウドはもしかしたら眉を顰めたかもしれない。
 あるいは、なにも気づかないまま、ティファの言葉を鵜呑みにして、
『あぁ、大丈夫だ』
 と、あっさり返事をしてしまったのかもしれない。
 だが、デンゼルとマリンは軽く息を呑んだ。
 そして、不安そうにもう一度顔を見合わせる。
 子供達の不安そうな姿は、残念ながら誰の目にも止まらなかった。
 ティファと子供達の近くにいるカウンターのスツールに座っている客達ですら、全く気づいていなかった。

 それは、ある意味『クラウド効果』とも言える。

 クラウドが泊まりの仕事を徐々に減らすと同時に、ティファへの『余計な虫』が少しずつ減ってきたのだ。
 時折交わる甘い視線を前にしていたら、イヤでも変な気を起こす気力がなくなってしまう。
 それだけではなく、ようやくセブンスヘブンの仕事に慣れてきたクラウドは、変な気負いなく接客をするようになっていた。
 無論、愛想が良くなったわけではない。
 無愛想な青年がトレーを持って接客をする。
 その『あるがまま』の姿は、ある意味大変貴重な存在だった。
 異性は勿論だが、同性からも好かれるようになっていた。
 特に、厳しい日雇いをしている男達からは信頼というか…、親近感を抱かれていると言うか、そういう『男同士』の目で見られるようになり、家出直後からは信じられないくらい、クラウドにとって居心地の良い空間となっている。
 デンゼルとマリンはそれが本当に嬉しかった。
 勿論、ティファも喜んでいた。

 いや。
 喜んでいた、と思い込んでいたのだろうか…?

 今、2人の前でクラウドと話しているティファは、まさにその不安を煽るような表情をして、しゃべっている。
 肩と耳で器用に携帯を挟んだまま、手際良く材料を刻み、フライパンで焼く。
 確かに、注文は相変わらず多い。
 だが、そんな風にしゃべりながら作らなくてはならないほど忙しいこともないはずだ。

 片手間でクラウドと話をしているティファが、酷く遠い存在に感じられ、子供達はキュッ、と唇を引き結んだ。


「うん、じゃあ気をつけてね。おやすみ」


 プツッ。

 あっさりと携帯を切り、カウンターの定位置に置いてしまったティファに、デンゼルとマリンが、
「「 あ… 」」
 と声小さく声を上げた。
 その声でティファが2人を見る。
 初めて気がついたような表情だった。

「ごめん、切っちゃった」
 あちゃ〜…。

 そう言わんばかりの『しまった』という顔に、デンゼルとマリンは頬を膨らませた。

「かけ直す?」

 慌ててそう言いながら、再び携帯に手を伸ばしたティファに、2人はプンッ!と顔をそらせると、
「もういい!」「おやすみ!」
 膨れっ面で、バタバタと2階に駆け上がってしまった。

「なんだい?」「どうした?」

 数人の客がようやっと気がついてティファに問う。
 ティファは、小さく溜め息を吐くと、
「いいえ、なんでもないんです」
 苦笑しつつ、自分の作業に戻った。
 だが、手を動かしながらも彼女の表情は冴えない…。


『…なぁにが『帰れそうにない』よ…、クラウドのバカ…』


 頭の中は今夜、急に帰れなくなったクラウドへの不満でいっぱいだ。
 グルグルと先ほどの短いやり取りを繰り返す。

 別に今夜、彼が帰れないからといって困るような…、何か予定があったわけではない。
 それどころか、仕事が忙しいと言うのだから、彼を案じるならいざ知らず、なんでこんなに膨れてしまうのか。

 そう。
 ティファは膨れていた。
 拗ねていた。
 クラウドが帰って来られないことに。
 たった今、2階に駆け上がったデンゼルとマリンに負けないくらい。

 一昔前なら泊まりで仕事することこそが普通だった。
 それが、いつしか毎晩帰ってくるのが当然になっていたので、わざわざ今夜、帰って来るかどうかを、今朝の見送りの際に確認をしなかった。
 それなのに、なんとなく『裏切られた』ように感じられたのだ。

 勝手に『今夜帰ってくる』と思い込んでいたのは自分。
 勝手に『泊まりの仕事なんかありえない』と思い込んでいたのは自分。

 だと言うのに、どうしても胸の中がクシャクシャと苛立っている。
 止められない。

「ティファちゃんも不機嫌なのか?」

 客の一言でハッと我に返る。
 慌てて取り繕ったように微笑み、
「いいえ、そんなことないですよ」
 軽く手を振ろうとして…。
「あ…」
 手がミンチ肉でまみれていることに気がついた。
 確か、この肉はソテーにするはずの代物だったのに…。
『筋切り』をしている間に、いつの間にかミンチ状態に…。

 バツの悪そうな顔をして俯いたティファに、その客は苦笑しつつ肩を竦めた。

「ま、仕方ないって。クラウドの旦那も好きで今夜、帰ってこれらないわけじゃないだろ?」

 まるで兄のように、父のように温かな声音で慰める。
 ティファは微笑もうとして顔を引き攣らせた。

 客は肩を震わせながら笑いを懸命にこらえようとしている。
 隣に座っていた客も、いつの間にかこの会話の中に入っていた。

「ティファちゃんがそういう顔するのは久しぶりだな」
「そうだよな。最近はずーっと幸せそうな顔をしてたからよ」

 ティファは何か言おうとして口を開いたが、結局諦めたように軽い溜め息を吐き出しただけだった。
 何を言ったとしても、耳障りな言い訳にしかならないことが分かったからだ。
 この二人の客は馴染み客の中でも古い。
 クラウドのことも良く知っている。
 デンゼルがセブンスヘブンに来た頃からの客だ。
 つまりは、デンゼルが星痕症候群で苦しんでいた頃からの…古い客。
 デンゼルを蔑視しなかった温かい客だ。

 そんな彼らに、今、胸に溢れかえっているクラウドへの不満をごまかそうとしても、所詮無駄な努力だ。
 それに、年も彼らの方が上である分、どうやっても太刀打ち出来ない経験を積んでいる。
 ここは大人しく『負け』を認める以外に道はない。

 そう思ったことが顔に出たらしい。
 2人の客はいつもの『ニカッ』という人懐っこい笑みを浮かべた。

「ま、色々言いたいこともお互いあるだろうけど、それを上手い具合に溶け込ませていくのが夫婦ってもんだからな」
「大変だとは思うし、腹も立ったり思うようにならなくて自分に苛立つことも多いだろうけど、焦らずに頑張んな」

 ティファは、人生の先輩たちの言葉をありがたく受け止めつつ、会話の中にさり気なく混ざっていた『夫婦』と言う言葉に気づき、真っ赤になって目を剥いた。

「もう、まだ夫婦じゃありません!」

 真っ赤になって睨んでも逆効果。
 客達はそれを実に余裕の笑いによって受け流した。


 *


「もう…ほんっとうに…クラウドのせいなんだから」

 閉店後。
 あの客達が温かくからかってくれたお陰で、あれ以降はいつものように接客出来てほっと一息つく。
 あのまま、モヤモヤ、イライラしながら仕事を続けても、心身ともに辛いだけ。
 自分をいじめているようなものだ。
 本当につくづく恵まれた環境にあると思う。
 優しい客達に可愛い子供達。
 そして、家族を愛してくれるクラウドの存在。
 ほんの半年前にはこんな素晴らしい生活がやってくるとは思いもしなかった。

 だが、いつの間にか自分はその生活にすっかり慣れてしまった。

 だから、『特別幸せ』だと感じたことが『当たり前』になってしまい、『感謝』することを忘れていた。
 人間とはつくづく恐ろしいと思う。
 いや、自分が甘いだけなのかも…。

 ティファは、グルグルと袋小路にはまり込んだ思考を無理やり中断させ、頬をパチン!と叩いた。

「さ、寝よう寝よう。明日はきっと帰って来てくれるし」

 ベッドスタンドに手を伸ばす。
 その横顔がほんのり染まり、テレ臭そうな微笑が浮かんでいた。

 だって明日は…。


 *


「「ティファ、お誕生日おめでとう!!」」
「ありがとう、デンゼル、マリン」

 朝、起き立て一番にデンゼルとマリンが満面の笑みでそう言った。
 ティファも『おはよう、でしょ?』とは言わずに素直に笑い返す。
 今日はティファの誕生日。
 子供達が、昨夜の膨れっ面を引きずって起きてこなかったのは純粋に嬉しく思うし、子供達のこの素直さは素晴らしいものだ、としみじみ感じる。

 カウンターの中で朝食を作っていたティファは、いつも通りの時間に起きてから、まだ誰とも会話をしていなかった。
 だから、子供達のこの『おめでとう』こそが、本日一番目のお祝いの言葉。
 子供達のお祝いの言葉を喜びつつも、心は正直だ。
 本当の『一番』を期待していた人物からの言葉がないことを、残念に感じてしまっている…。

「ティファ、俺手伝う」「私も!」

 じゃれ合うようにしてカウンターに入ってきた子供達は、そのままティファの片頬ずつにキスを贈った。
 ティファも身を屈めて子供達の高さに合わせ、ニコニコと笑う。
 そのまま家族三人だけの朝食を摂り、後片付けを手伝い終わった子供達は元気良く遊びに駆け出していった。

 嵐のような子供達の元気さが去ってしまい、その名残漂う店内で1人になったティファは、伸びをしつつポケットの中の携帯を意識した。
 彼からの電話は無い。

「…忘れてる…?」

 口に出してから軽く凹む。
 子供達と過ごした時間で浮上した気持ちが、ちょっぴり下降。
 やはり、子供達も愛しくて仕方ない存在だが、それとは別の『特別な人』からのお祝いの言葉が欲しい、と思うのは贅沢だろうか…?

「贅沢…なんだよね…」
 はぁ…。

 もう1度口にして、やっぱり凹む。
 む〜〜…と唸りながら、自分用のコーヒーをテーブルに運んで、椅子に座る。
 さて。
 これから掃除をして、昼食と夕食の買出しに行って。
 今日は天気も良いし、シーツでも洗おうか…。
 だけど…。

「む〜〜……」

 鳴らない電話を手の中で弄ぶ。
 まったく、この朴念仁。
 大切な彼女の誕生日になんで一言もお祝いがないわけ?
 別に特別な言葉で無くて良い、『おめでとう』だけで良いのに。
 プレゼントなんかいらない、一言が『一番』に欲しかった。
 起きて一番に…。

 モヤモヤモヤ。

 気がつくと、またもや昨日のモヤモヤが戻っている。
 ティファは苦笑した。
 いつの間にクラウドは『当たり前の存在』になってしまったんだろう…?
 誰にも何も言わないで家出した頃は、こんな気持ちにならなかったというのに。
 いくらかけても繋がらない電話。
 留守電に残しても、全く返してくれない彼。
 そんな彼に慣れていたのに、今では一番にお祝いをしてくれないことを不満に思っているとは。


「あ〜…私って人間できてないなぁ…」


 テーブルに突っ伏しながらちょっと大きな独り言。
 独り言だから誰に言ったわけでもなく、あえて言うなら自分に呟いたと言うのに…。



「そんなことはないだろ?」



 ビックリして顔を上げる。
 一瞬、幻聴かと思った。
 一瞬、幻覚を見ているのだと思った。
 裏口のドアにもたれるようにして立っている青年に、目を見開く。

 鋭く息を吸いながらガタンッ!と椅子を倒す勢いで立ち上がる。
 クラウドはそんなティファを可笑しそうに目を細めて見つめていた。

 口を開いたが、あまりにビックリし過ぎて言葉にならない。
 クラウドの口元の微笑が、笑みに変わる。
 そのまま、ゆっくりと両手を後ろに回したままティファに近づく。

 そして。

「ティファ、誕生日おめでとう」

 差し出されたのは小さなブーケと小さな小箱。
 可愛くラッピングされたそのブーケと小箱に、ティファの目がますます丸くなる。
 クラウドは照れたように苦笑し、いつまでも受け取ってもらえないそれらのプレゼントをグイッと更にティファへ突き出した。

「ほら……、頼むから受け取ってくれよ。恥ずかしいだろ」
「 !! 」

 言っているうちに真っ赤になったクラウドに、ティファはハッ!と我に返った。
 ぎこちない動作でそれらを手に取り、おずおずと見上げる。
 紺碧の瞳は、ティファの顔当たりでそわそわと彷徨っており、茶色の瞳と中々合わない。

「クラウド…」
「あ〜っと…ほら、開けてみて欲しいんだけど…」

 その一言で、自分が手にした小箱の存在に意識が行く。
 小さな小箱。
 手の平で包めるサイズの小箱。
 ドキドキするな!と言う方が無理なサイズのそれ。
 もう一度クラウドを見る。
 クラウドはいよいよ真っ赤になってそっぽを向いていた。
 彼のその表情。
 そして小箱。
 可愛いブーケ。

 ティファは高鳴る鼓動を抑えながらそっとブーケをテーブルに置き、小箱を開けた。
 震える手はリボンを紐解くのに時間がかかり、可愛いラッピングを開くのはもっと時間がかかった。
 ぎこちなく、たっぷり時間をかけてお披露目になるまで、クラウドは息をつめたままそっぽを向き続ける。
 視線だけをチラチラとティファ、小箱の間を往復させている彼から伝わる緊張。

 その緊張は、ティファの息を呑んだことによって、最高潮に高められた。

「…クラウド……」

 ビロードのケースに鎮座している輝くリングに、ティファの瞳が潤む。

「あ〜…その…だな…」

 言葉を選び選び、つっかえつつそわそわそわそわ。
 そんな彼に愛しさがこみ上げる。
 クラウドはモゴモゴ…と口を動かしていたが、頭を掻いて1つ大きな深呼吸をすると、真っ直ぐティファを見つめた。


「俺、ティファにはずっと傍にいて欲しいし、俺は離れる気も離す気も無いから…だから…」



「俺と結婚して下さい」



 その言葉に応えるように、ティファの頬に一筋の雫がツーッ…と伝った。


 *


 ―『あ〜、やっと言ったわね』―
 ―『うっう…良く言った、クラウド』―
 ―『どうしてザックスが泣くのよ…』―
 ―『どうしてって…、昨夜のクラウド見てたら、こいつ、ちゃんとプロポーズ出来ないんじゃないかって心配だったんだよ……くぅ〜…』―
 ―『…確かにね。何時間店の中で悩んだか。決心するまでずーっと安宿のベッドでブツブツブツブツ。赤くなったり青くなったりしてて…、本当に見ていてイライラしちゃった…』―
 ―『俺は気が気じゃなかった…』―
 ―『あ〜、でも本当に良かった。見て、ティファの嬉しそうな顔!』―
 ―『おお〜…本当にクラウド、大人になったなぁ…ひっく』―
 ―『ザックス〜…』―
 ―『絶対に幸せにしてやれよ〜』―
 ―『大丈夫よ、絶対に幸せになれるから、2人とも』―
 ―『おお!そうだな!本当に良かった!!』―
 ―『うん、良かった』―


 ――『『おめでとう、ティファ』』――


「ティファ?どうした?」
「え、うん。なんかね…」

 クラウドに抱きしめられながら、これ以上ない至福を味わいつつティファは小さな笑い声を上げた。

「なんか、エアリスとザックスにおめでとうって言われた気がしたの」
「あ〜、きっと言ってくれてるさ」

 クスリ。
 笑ってクラウドも頷く。

「なんか、昨日からずっと一緒にいてくれた気がしてたんだ」
「そうなの?」
「あぁ…。いや…違うな…」
「 ? 」

 キョトン、と首を傾げて見上げてくるティファに、クラウドは片方の眉をひょい、と上げた。

「心配で目が離せない、って感じがした」

 途端、不思議そうな顔が満面の笑みに変わる。
 クラウドも釣られて笑うとティファの額に唇を落とし、頬、唇へとキスを贈った。

「みんなに報告…しないとな…」
「うん、でもその前に」

 言葉を切ってクラウドを見つめる。
 紺碧の瞳もティファの言わんとしていることがちゃんと分かっていると語っていた。


『『子供達に』』


 誕生日おめでとう。
 あなたが生まれてきてくれたから、こうして幸せな時間が増えていく。
 だから、これからも一緒に沢山の幸せを作っていこう…。

 あなたと一緒に。



 あとがき

 ティファ、お誕生日おめでとう!
 彼女の強い生き方とクラウドを真っ直ぐに見つめる姿勢が大好きです。
 ACやACCの途中で、『逃げないで』や、『戦う気なんかないんだ』発言は、結構他のBBSとかで批判されているのを見ましたが、真っ直ぐ見つめていたからこその発言だと思います。
 そんな彼女だから、クラウドが彼女への想いをどんどん膨らませてくれるのでは!?と思うのはマナフィッシュだけでしょうが…?(むしろ、願望(笑))

 突発的に浮かんだお話しでした。
 お付き合い下さってありがとうございます<(_ _)>