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誰でも自ら『この家庭に産まれたい』『この親を持ちたい』と選んで産まれてくることなど出来ない。 親は子供を『産むか産まないか』を選ぶことは出来るが、子供は親を選べない。 選択肢のない状態でこの世に生を受け、幸福な人生となるか、果ては不幸な人生となるか、短いか長いかすら、人間は選べない。 出来るのは、『どう生きるか』を決めて『努力』すること。 ただそれだけ。 life目の前で苦悶の表情で地べたに倒れている男をクラウドは奇妙な虚無感を抱えながら見つめていた。 怒りと憎しみ、嫉妬と殺意をない交ぜにした目で睨みつける男はまだ若い。 クラウドと同じか、少しだけ年上か。 どことなく、星に還った大切な親友を思わせる風貌をした青年。 だから…だろうか? ザックスとのあまりの違いに、胸の中が奇妙な感じなのだ。 こう…、『何かが違う』と心が言っている。 その青年の『これまでの人生』を、たった今、クラウドは断ち切った。 それが『何かが違う』と感じさせているのだろうか? 第三者から見たら、青年にとってクラウドの登場は素晴らしいことであり、『再生するチャンス』を与えられたことを意味すると取れるだろう。 しかし、当の当事者たちにとって…、とりわけ青年にとってはとんでもないことだった。 クラウドはまさに青年にとって『人生』を踏みにじった憎むべき人間でしかなく、感謝をするなどありえないことだ。 そのことはクラウドもちゃんと分かっている。 だが、見て見ぬフリは出来なかった。 「あの……ありがとう…」 背後に庇っていた少女がおずおずと声をかけた。 ゆっくり振り返ると、少女はまだ小さい弟をその小さな胸に抱きしめて怯えつつも目を逸らさずにクラウドを見上げていた。 少女の頬にある打撲の跡を痛々しく見ながら、 「もう大丈夫だ」 と、たった一言だけ声をかけると、クラウドは携帯を手にとった。 その日。 クラウドはエッジに並ぶ勢いで復興が進んでいるという街を訪れていた。 配達のためでもあるし、ティファからその地方の原酒を手に入れてもらいたい、とお願いされたからだ。 エッジ同様、大きな街の表の顔は華やかで力強いが、一歩裏に回って見るとその光景は一変する。 裏寂れた感を漂わせるその様はまるでミッドガルのスラム街のようだ。 そこで、クラウドは少女と幼い弟をいたぶっている男を見た。 何も考えずに飛び出し、男に蹴りを喰らわせる。 薄暗い路地での出来事だ。 男の顔が陰影によって良く分からなかった。 はっきりとその顔を見たのは男が地べたに這いつくばった時。 丁度、建物の隙間から陽光が一筋だけ差し込んだ。 男の顔を見た時、クラウドの中を衝撃が走った。 まるで、親友の親戚かと思った。 丸々似ている…というのではないが、どこか親友を思わせるその青年に、抱かなくても良い罪悪感がこみ上げた。 自分を最後まで守り、盾となって死んだザックス。 そのザックスに少しでも似ている人間を、理由も聞かずに攻撃してしまったという事実は軽くない。 赤の他人だと分かっていても、理性よりも本能的に己を嫌悪した。 だがしかし、その罪悪感もすぐかき消された。 他でもない青年の言葉によって。 「自分の子供(ガキ)をどうしようが俺の勝手だろうが!!」 何を言われたのか理解するのに時間がかかった。 脳にその言葉が浸透すると共に、心がどんどん暗闇に引きずりこまれるのを感じた。 親友とあまりにも違いすぎるこの青年の存在がどうしても『違う』と思った。 何が『違う』のか、それに気づいたのは駆けつけた警察によって事情聴取を受けた直後だ。 それまで、幼い弟を守るように抱きしめたまま、じっと座っていた少女が立ち上がった。 取調室から父親が出てきたからだ。 「お父ちゃん」 先ほどまで自分を殴っていた男に、少女は笑みを向けた。 その笑顔にクラウドは頭を殴られたような衝撃を受けた。 同じだった……マリンやデンゼルが帰宅した自分を出迎えてくれる時の笑顔と。 だから反応が遅れた。 「…もうお前は俺の子供(ガキ)じゃねえよ」 男が無情にそう吐き捨てるのを。 いつもなら瞬時に相手が何をしようと、何を言おうとしているのか察知し、阻止出来るのに出来なかった。 少女は最初、キョトン…としていた。 まだ小さい…、恐らく5・6歳くらいだろう。 だから何を言われたのかすぐ分からなかったのだ。 しかし、手錠をかけられた状態で警察官にそのまま連行される父親に、その時ようやく少女は慌てて追いすがろうと手を伸ばした。 その小さな手が弟から離れたのはそれが初めてだった。 「お父ちゃん!」 甲高い声を上げて追いかけようとする少女を、他の警察官が優しく、だがしっかりと抑える。 しきりに、 「お父さんはちょっとこれからお仕事があるんだよ」 とか、 「これから少しの間、お嬢ちゃんと弟君は他のところで暮らすことになるんだ。でも大丈夫、すぐにお父さんと会えるようになるよ」 などなど言って聞かせようとするが、あっという間に小さくなる父親の背中に少女は大声で泣き始めた。 何度も「お父ちゃん!!」と叫び、大柄な警察官の腕の中で身をよじり、ボロボロと泣く姿に胸が締め付けられた。 幼い弟も、姉の大きな泣き声と父親を呼び叫ぶ声に怯えたように泣き出した。 狭い待合室に幼い子供達の泣き声が悲しく響き渡った…。 * 「おかえり、クラウド」 「おかえり~!」 店のドアをくぐると、すぐに明るい声が出迎えてくれた。 満面の笑みで駆け寄ってくる子供達の姿。 いつもなら、仕事の疲れも吹き飛ぶのに流石に今日は…。 クラウドはおざなりに子供達の頭を撫でると、一度も子供達の目をまともに見ないまま、2階の仕事部屋のドアを閉じた。 その異様な様子にデンゼルとマリンは不安そうに顔を見合わせ、一部始終を見ていたティファに縋るような視線を向けた。 今夜は…。 クラウドが仕事を早く終えて帰れる日だから、家族水入らずで夕食を楽しむ予定だった。 だから、店も勿論休んだし、子供たちも張り切って手伝いをした。 クラウドが帰ってきたら、今日あったことを全部話して、クラウドにもお話をしてもらって…。 そう…、楽しみにしていたのだとても。 だが、疲れきった顔をして帰ってきたクラウド。 『ただいま』と、言ってくれなかったクラウド。 「ティファ…」 「きっと…なにかあったんだよ…」 デンゼルとマリンにティファは1度だけ「ふぅ…」と息を吐き出すと、ニッコリ笑った。 「うん、きっとなにかあったのね。ちょっと様子を見てくるから」 「「 …うん 」」 「もしも、私もクラウドも中々降りてこなかったら、悪いんだけど2人でご飯、食べててくれる?」 家族揃った時間をとても楽しみにしていた子供達には申し訳ないが、今はクラウドのほうが心配だ。 子供たちも同じ気持ちなのだろう。 素直に頷くと、ティファを見上げる目に力を込めた。 「俺達、まだまだ子供だからクラウドの相談には乗ってあげられない」 「だから、私達の分までクラウドのお話し、聞いてあげてね」 ティファは子供達の優しさに心が温かく満ちるのを感じながら、それぞれの額に親愛の情を込めてキスを落とし、2階へ続く階段に向かった。 短い距離だ。 すぐ目当ての部屋に着く。 コンコン、と軽くノックをし、「クラウド、入るね」と一言断ってからノブを回した。 幸い、鍵はかかってなかった。 クラウドは部屋の灯りもつけずに簡素な作りのベッドに腰掛け、俯いていた。 窓から差し込む夕日が、金糸の髪をオレンジ色に染めながらきらめかせている。 夕日の鮮烈なオレンジが、クラウドの顔にくっきりとした陰影を作り出し、彼の表情をより一層暗いものとしていた。 「どうしたの?」 隣にそっと腰を下ろして声をかける。 ティファが部屋に入る時も、こうして隣に腰をかける時も、クラウドは何も言わなかった。 ティファはそれを、『無視された』とは思わない。 むしろ、黙って受け入れてくれたのだと解釈した。 だから、躊躇うことなく膝の上に置かれたクラウドの手にそっと手を重ね、俯く横顔を見つめた。 「話してみて?聞くしか出来ないかもしれないけど…」 急かすような口調ではない、穏やかで温かい声音。 クラウドは暫く黙ったままだった。 ティファは待った。 やがて、クラウドはポツリポツリと話しだした。 今回、偶然にも見つけてしまった子供の虐待を。 最初は親子だと思わなかったので、ただの無頼漢が幼子をいたぶっているのだと思ったこと。 そして、その無頼漢がどことなくザックスの風貌を漂わせていたこと。 それに対する違和感。 警察官に連行されるときの…少女の泣き叫びながら父親を何度も叫んだ姿…。 「俺は……余計なことをしてしまったのかもしれない…」 もしも、あの時偶然にも路地裏になんか行かなければ、あの少女と幼い弟は父親から引き離されずに済んだのだろう。 少女は父親から暴力を日常的に受けながら、それでも取調室から出てきた父親を見て、満面の笑みを浮かべ、嬉しそうに『お父ちゃん』と呼んだのだ。 連行される父親に向かって必死になって泣き叫び、何度も何度も父親を呼んだのだ。 「あの女の子は……暴力を振るう父親を、愛してたんだ…」 いくら理不尽な目に合おうとも、少女にとって父親はあの青年ただ一人。 これからあの姉弟は施設で生活することとなる。 そして、遠くない将来、2人は里親に出されるだろう。 そう警察官が言っていた。 「本当に…これで良かったのかな?」 「クラウド…」 「人の幸せは他人がどうこう決めるもんじゃない。あの女の子にしても、弟にしても、暴力を振るう男と一緒に生活することが幸せだったんだ…。それを俺は…横からしゃしゃり出て断ち切ってしまった…」 「そんなに自分を責めることはないよ、クラウド」 「だけど、結果はそう言うことだ。俺が見たあの男は、子供をいたぶる不届き者だった。だけどそれはあの男の一部分でしかない。本当は子供達のことを愛している父親だったのかも」 「クラウド!」 段々早口になるクラウドを、ティファは抱きしめた。 頭を胸元に引き寄せ、ティファはクラウドの言葉を封じた。 「クラウド…、クラウドがしたことは間違ってないよ」 「だが…」 「最後まで聞いて?クラウド、どんな理由があっても、親が子供を虐待して良いなんて理由は存在しないんだよ。もしかしたら、そのお父さんは子供達を殴った後で、心の奥底で後悔していたかもしれない。でも、自分ではどうしても止められなかった。第三者の介入がどうしても必要な状態にまで追い込まれていた。そうだとしたら、もしもクラウドが今日、止めてくれなかったらこれからもずっと、子供たちもお父さんも、悪循環の螺旋に巻き込まれてて抜け出せなかったかもしれない」 一気に言うと、ティファはクラウドの頭を抱きしめながら彼の髪に頬を摺り寄せた。 「ねぇ、クラウド。きっとまだ間に合うんだよ。今は、女の子も弟君も、小さいからすごくすごく悲しむと思う。でもね、離れることも必要だったんだよ。もう少し時間が経って、お父さんの頭も冷めて、子を育むということに前向きになってくれたら、その時はまた『親権』を手に入れることが出来るよ」 腕を緩めてクラウドの頬に両手を添える。 そのままクラウドの前にしゃがみ込んで、クラウドの暗い顔を覗き込んだ。 「クラウド、クラウドが罪悪感を感じる必要なんかこれっぽっちもないの。子供を心から愛せない親は親じゃないんだよ。これからなんだよ、そのお父さんが女の子と弟君の父親になるのは。そのお手伝いをクラウドはしてくれたんだよ」 心からの言葉。 クラウドはほんの少し瞳を揺らせた。 「…そう……かな…」 「うん、そうだよ」 「でも…俺は…親子を引き離したんだ」 「冷却期間をあげただけだよ。これから先、本当の親子になるための」 クラウドは硬く目を瞑った。 今のティファの言葉を噛み締めるように。 やがてその双眸を開いたクラウドは、口元に微かな笑みを浮かべた。 「ティファは…本当に俺に甘いな…」 「そんなことないわ。…ううん、そうかも」 「ハハ…どっちなんだよ」 「だって、私、クラウドのこと大好きだもの」 少しだけ息を詰まらせたクラウドに、ティファは笑みを浮かべた。 「だから、私はクラウドに甘いの」 「本当に…こんなに甘やかしたらろくな男になれないじゃないか…」 「そんなことないよ。クラウドはやれば出来るんだもの」 「…そう……だな。俺は1人じゃないから、頑張ったら…なんでも出来るな」 「うん、だから自信を持って!」 ティファはようやっと顔を上げたクラウドからそっと手を離した。 そうして立ち上がると手を差し出す。 「デンゼルとマリン、今夜は『お父さん』と一緒に過ごせるってすごく楽しみにしてたの」 「…『お父さん』?」 キョトン…と繰り返すクラウドに、ティファは悪戯っぽく笑った。 「そう、『お父さん』。2人にとって、クラウドは『憧れのお父さん』なんだよ」 クラウドは軽く目を見開き、そして……口元に笑みを浮かべ、ティファの差し出された手を取った。 ゆっくりと立ち上がると、見上げる位置から見下ろす位置に視線が変わる。 キュッと手を握り締めながら、クラウドは片眉を器用に上げた。 「じゃあ、デンゼルとマリンの『お母さん』はティファ…だな」 「ええ、勿論!」 胸を張って空いている手を腰に当てたティファとちょっとだけ見詰め合って、2人は笑った。 ほんの少し、クラウドの瞳が潤んでいたことにティファは最後まで気づかないフリをした。 数日後。 「ティファ、ちょっと行ってくる!」 例の虐待の件で、クラウドの元に警察から特例として連絡が来た。 たまたま空いていた時間だったクラウドは、先約だったティファとの買出しを急遽キャンセルし、警察署へと飛んで行った。 ティファは内心ソワソワしながらクラウドの帰宅を待っていたが、 「とんでもないことになってたんだ!!」 『ただいま』の言葉をすっ飛ばし、慌てふためいた様子にティファは心臓がギュッと縮まる思いがした。 何しろ、クラウドは今回の件ではまだ、己を責めている節があるし、デンゼルやマリンの母親という自覚を持っているティファにとって、『児童虐待』は他人事ではない。 どうしたの? と、ティファが問う前に、クラウドは焦燥感もあらわに、 「あの父親、ウータイに連れて行かれてたんだ!!」 とのたもうた。 「はい!?!?」 ティファは文字通り素っ頓狂な声を上げた。 「なんで!?」 「いや…実は…」 なにから話したら良いものやら…。 混乱気味のクラウドの説明は、口下手という要素も相まってすんなりとしたものとは言い難かったが、最後まで根気強く聞いた結果…。 「じゃあ、あの事件の直後にたまたま電話をくれたユフィについつい愚痴をこぼしちゃったのね?」 「あぁ」 「それを聞いて、ユフィがその父親の更生を買って出た…ってこと……?」 「…そうなんだ」 「更生施設には、星痕症候群の患者が以前使っていた建物が使用された…と…」 「……あぁ…」 「ウソ…じゃないわよね」 「……本当に俺はロクなことをしない…」 玄関先でガックリと膝を着いたクラウドの肩を優しく撫でながらティファは無言だった。 言葉がない…とはこのことだ。 あの破天荒娘に『人の更生』という大業が果たせるのか!? いや、無理だ。 無理と言い切ってしまうのは失礼だろうが、それでもやっぱり『無理だって!』という仲間たちの声が聞こえる気がするし、ティファ自身もそう思ってしまうんだからしょうがない…。 「えと……クラウド、そんなに落ち込まないで…」 「……俺って奴は……」 「ほら、更生に当たるためにはしっかりした環境とか、そういう『審査』みたいなものがあるんでしょ?警察が子供達のお父さんをウータイに移送して、ユフィの手に委ねることを承知したなら、ちゃんとしっかりした『環境』があるってことよ」 「……あの女の子と男の子になんて言えば…」 「そ、それに、ユフィだけじゃなくて、ゴドーさんとか……も……いる……し…」 「……施設に放り込まれた挙げく、住む大陸まで別々に引き裂いてしまった……」 「(…ゴドーさんって…人の更生とかに向いてたかしら……)」 「…本当に俺は…ロクなことしない…」 ティファはそれ以上かける言葉もなく、言いようのない不安と、ただただ父親が一日も早く『バツゲーム』から解放されることを願うしかなかった…。 クラウドとティファの抱えている『不安』は比重の差こそあれ、父親が真っ当になってくれるのはかなりの難事だという点で一致していた。 ところが…。 その恐るべき報告からさらに一ヵ月後。 例の父親が幼い娘と息子を連れてセブンスヘブンにやって来たのだ。 後ろには得意満面のユフィ・キサラギ。 驚愕して石化する仲間2人に、ユフィはしてやったり、と言わんばかりに胸をそらせた。 「へへ~ん、すごいっしょ、すごいっしょ!?やっぱ、人間は『環境』だよねえ、『か・ん・きょ・う』!ウータイの大自然溢れる豊かな恵みの土地に来たら、どんな捻くれ者もたちまちのうちに改心するしかないっつうの~♪」 その後ろで、若い父親は苦笑交じりの照れ笑いを浮かべてクラウドを見た。 そしてそっと頭を下げる。 「本当に…ありがとう。俺がこうしてまた子供達と暮らせることになったのはアンタがあの時、俺を止めてくれたからだ」 しっかりと子供達の手を繋いでそう言った青年は、まさしく父親のものだった。 少女も弟も、嬉しそうにニコニコ笑っている。 クラウドはハッとしてティファを見た。 あの日、ティファがくれた言葉がそっくりそのまま現実のものして目の前にある。 「俺もさ、親から殴られて大きくなったんだ。だから、俺が親になったら絶対に子供に手を上げたりしない!って思ってたんだけど…。コイツらの母親が死んで自棄になって…。周りには親しい奴もいないし、親戚も俺みたいなろくでなしばっかだから頼れないし…、仕事も上手くいかないし…それで……」 でも…。 そう言って青年は晴れやかに微笑んだ。 真っ直ぐ顔を上げて…。 「ユフィとウータイの人達のお陰で、なんか色々吹っ切れた。まだ『執行猶予中』だけど、警察にも散々言われたよ、『これは特例だからな!』ってさ。俺もそう思う。これからは、ウータイの土地で、温かい人達に囲まれてコイツらを育てていく。いや…」 「一緒に生きていくよ。人生は一度きりだもんな。幸せになって、大切なもんを幸せにして、そういう生き方をして、あの世にいるコイツらの母親に胸張って会えるように頑張るよ」 堂々とそう言った父親に、クラウドはただ一言、「そうか」とだけ応えた。 ユフィは「相変わらずぶっきらぼうだなぁ」とぼやいたが、その一言だけで十分だ、とティファは思った。 クラウドの口の端が幸せそうに笑みを模っていたのだから…。 人生は一度きり。 どんな人生になるのか、どんな人生にするのか。 生きる『環境』はとても大事。 そしてそれと同じくらい『努力』も大事。 1人で頑張るのではなく、『頼る努力』もしていくことが大事。 そうして、沢山笑って生きて…生きて…。 胸を張って星に戻れたら…。 「困った時はユフィちゃんにお任せ!」 ユフィの一言にティファも父親も、幼い少女、弟も笑い声を上げた。 クラウドも本当に珍しく、ククッ…と喉の奥で笑い声を洩らしたのだった…。 ~裏話~ 「ほらほらほら、とっととその『父親』っての出しな!」 「は、はい!?い、いえ、そんなわけには…」 「ちゃあんとアタシが責任持って改心させてやるっつうの」 「いえ、そんな、規則・法律違反ですから!」 「ふ~~ん、アンタ、アタシに向かってそんなこと言うんだ~?良いのかなぁ、そんなこと言っちゃって~?」 「な、なななな、なにがデスカ…?」 「アタシの職業、なんだか分かってるっしょ?」 「ひぃっ!そ、そそそそ、それは!!」 「これがバレたらアンタのあったか~~い家庭は崩壊だねぇ~?」 「あ、ああああああ、なんで、なんでそれを!?」 「さぁ、どうする?『2つの家庭』を守るのと、『2つの家庭』を崩壊させるのと、どっちが良い?」 「(こ、この悪魔~!!)」 後日。 ウータイの忍を敵に回してはいけないという暗黙のルールが出来上がったとかなんとか。 あとがき いくら捏造設定だとしても、たった一ヶ月で執行猶予付きで釈放されて、子供達の親権を取り戻すなんて無茶、無理に決まってるだろ!?とか思い、急遽お助けユフィちゃんに登場してもらいました。 はい、本当に相変わらずぶっ飛んでいます。 良いんです、だってハッピーエンドでないとヤなんだも~ん゜+。(*´ ▽`)。+゜(← このアフォめ!!) ここまでお付きあい下さってありがとうございました~♪ |