*これは『子守唄を…』の後日談としてお読み下さい。
 『子守唄を…』そのものを気に入っておられる方は読まれない方が良いと思いますので、回れ右をして下さいませ。




 お節介焼きの人は意外と沢山いるものです。
 ですが、ここまで『お節介焼き』が揃っている状況はそうそうないのではないでしょうか…?






目が覚めたら…。







 私の前には大粒の涙をこぼしている女性と、彼女の夫、更にはこの夫婦の赤ん坊を抱っこした幼い子供が2人と彼女達のもう一人の家族であるスカイブルーの瞳の少女が困惑仕切りと言った表情で大集合している。
 対するようにして、私の右横には兄が、左横には従兄弟が並んでソファーに座っていた。
 2人も困惑しているようですが、私とは違って『何らかの期待』を抱いているようにも感じるのは気のせいでしょうか…?
 …気のせい…だと思いたい…。

「アイリ、申し訳ないんですが今、ここでちゃんと誓って下さい」

 見るに見かねたのか、いつもならこういう場面では恐らく口出ししないであろう彼女が、淡々とした口調でそう言った。
 それに激しく同意したのがデンゼル君とマリンちゃん。
 大きく首を振りながら、
「そうだよ、アイリ姉ちゃん!」
「お姉ちゃんがちゃんと『そんな悪い夢みたいないことには絶対にならない』って言ってくれたらティファも安心出来るよ!だって、お姉ちゃん、ウソつかないんでしょ?」
 目を輝かせて私を見つめた。

 ……余計なことを…。

 思わず心で呟いたのが聞こえたかのように、カーフ……いえ、ライがクスッと笑った。
 足…踏んであげましょうか?
 なんですか、その『してやったり感』たっぷりな笑顔は。

「それ良いね、アイリはウソが『言えない』から。ちゃんと言葉に出して誓ったらティファさんが安心すること間違いないし、僕も安心出来るし大賛成」

 …。
 ……ライ。
 私がウソを言えないのは、『言った言葉が力を持ってしまう』という『言霊師』の力があるからですよ、分かって言ってるんですよね?
 私がウソを言えないから今まで黙って『ことを進めてきた』というのに、アナタの一言でほら、見て下さいよ、皆さんの期待に満ち溢れた瞳を。
 ティファまで目を輝かせているじゃないですか。
 あれですね、『鳴いたカラスがもう笑っている』って実証ですよ、えぇ。
 て言うか、兄上も無視してないで助け舟出して下さっても良いんじゃないですか?
 これまでの苦労が水泡に帰そうとしているんですけど…!?

「……アイリ…」

 …。
 ……。
 ………ティファ…。
 お願いですからそんな目で見ないでくれませんか?
 確かに私はアナタとクラウドさんを利用しました。
 その罪はちゃんと償うつもりです。
 ですが、それとこれとは意味が違うんですよ。
 私がアナタ方ばかりに肩入れするわけにはいかないんです。
 なにしろ、私の力は失って消えるはずだったのに、こうして今、この星で一番厄介なものとしてしっかり残っているんです。
 ありえない力が『片方』に傾いたらバランスが大きく崩れちゃうじゃないですか。
 そんなことになったら、またオメガが暴れだしちゃうでしょう…?
 そうなったら、今度はこの星に生きるアナタ方の力だけでなんとかしないといけないんですよ?
 私の『人型ウェポン』としての力は、もう些細な抵抗力にしかならないんですよ?
 そこのとこ、分かって…。
 分かって…。
 ……るはずないですよね、えぇ。
 そうですよね、分かっていたら絶対に私のことは放っておいてくれているはず、というか、放っておくしかないんですから放っておいてくれているでしょうに…。

 ……いけない、ちょっと動揺してしまったので言葉がおかしく……。

 と、1人でゴチャゴチャと考えていたら、今度は兄上が目を細めた。
 …。
 兄上。
 普段、ほとんど笑わない兄上がどうしてこういう緊急事態で笑うのか理解に苦しみます。
 恋人になったはずのラナさんと一緒にいる時ですらほとんど表情が変わらないこと、私が知らないと思っているんですか?
 兄上の奥手さ加減には星が深い溜め息を何度吐いたことか…。
 ただでさえ兄上やライよりも声が聞こえるというのに、兄上絡みのことに関して、星は容赦なく私に逐一報告してくれているんです。
 そのお陰で、どんなに『葛藤した』ことか。
 なにに『葛藤』したかお話ししましょうか?
 えぇ、この目の前の難問がクリア出来たらすぐにお話しして差し上げますよ。

「アイリ……アイリは……アイリは……」
「…ティファ…もう泣くな。アイリさんも困ってるじゃないか」

 私が黙ったまま何も言わないので、期待があっという間にしぼんだティファがまた涙声になる。
 クラウドさんが困り果ててそう声をかけながら、優しく肩を抱き寄せたけど、ティファは全く私から目を離さない。

 …ですから、そんな目で見ないで下さい…。

 私は1つ溜め息を吐いた。

「ティファ。私が何をしたのか、『そちら側』の人の中であなたが一番良く知っていますよね?」

 ビクッとティファが身を竦めた。
 ライと兄上の雰囲気が固くなる。
 クラウドさんとシェルクさんがギョッとしてデンゼル君とマリンちゃんを見た。
 子供たちには、私が『何をしてきたのか』正確に伝えていないから焦っている。
 勿論、私はそのこと知っている。
 あえてそう言ったの。
 だってそう言えば…。

「デンゼル、マリン。一緒に2階へ行きましょう。レッシュとエアルも寝かせてやらないといけませんし」

 子供たちに席を立たせるほかないんですからね。
 シェルクさんに促されて子供たち2人は渋々立ち上がった。
 本当はここに残って話を最後まで聞きたいという気持ちが溢れている。
 でも、それ以上にこの場に止まることを主張してダダをこね、ティファとクラウドさんを困らせたくないと言う気持ちの方がうんと強い。
 この年の子供には見られない、類稀な『思いやりの心』。
 もしも、デンゼル君とマリンちゃんのような思いやりの心を持っているセトラがもう少しいてくれたら、セトラは滅びずに済んだでしょうし、エアリスさんとザックスさんのような被害者は現れなかったでしょう。
 神羅が犯した罪は、セトラが滅んだからこそ起こった惨劇なのですから。

 子供たちが子供部屋に消えて、暫くしてからシェルクさんが降りてくるまで誰も何も言わず、黙って重苦しい沈黙に耐えているのがなんとも…。
 まぁ、仕方ないです、耐えて頂かなくては。
 だって彼女が降りてくるまで話をするつもりはサラサラありませんでしたからね、
 この沈黙は私にとって居心地の悪いものではなかったのですが、クラウドさんには気が気じゃなく、ティファを抱き寄せる腕から力が抜けることはなく、ライや兄上をチラチラと見て落ち着きがない。
 そりゃそうでしょう。
 子供達に聞かせられないようなことを今から聞かされるんですから。
 絶対に良くないこと…、そう、クラウドさんとティファにとって…、彼らの大切な人達にとって耳を覆いたくなるような内容になるんですから。

 重苦しい沈黙に、スッと溶け込むようにシェルクさんはティファの隣に腰掛けた。

「それじゃ、アイリ、お前の言い分を聞かせてもらおうか」

 兄上が口火を切った。
 自然、クラウドさん達の表情が強張る。
 特にティファの表情が。
 聞かされたくない何かを聞かされる…という恐怖心すら見え隠れする怯えた顔。
 正直、見ていて穏やかな気持ちにはなれませんが、仕方ないです。
 これは、私が招いたこと。
 私が甘んじて受けなければならないこと。
 彼らが危惧していることをちゃんと説明する義務が私にはあるんですから…。


「ティファ、あなたの見た夢はこれから起こる可能性の1つです」


 軽く身震いしてティファが息を止めた。
 唇を引き結んでこれ以上泣かないように…、ちゃんと私の言葉を聞き漏らさないようにギュッと耐えている彼女の姿は、見ていて辛い。
 まぁ、辛いと感じてはいますが、きっと私は相変わらずの無表情だったことでしょう。

「私は消えます。それもそう遠くはない未来に」

 ティファが口を開いて…、結局何も言わず、ギュッとクラウドさんの手を握って黙り込んだ。
 話しの続きを待っている。
 なんとも言いがたい罪悪感に見舞われますが、これも仕方ないこと…、甘んじて受けるべきことです。

「人型ウェポンとして生まれてきた私が、人間の身体を器として長い時間、生き続けられるはずがないでしょう?」

 グッと押し黙ったティファとクラウドさん、無表情のまま黙って聞いていたシェルクさんを冷めた目で見る。
 …いえ、別にこの方々が嫌い、と言うわけではなく、ついつい冷めた目で見るというクセが…。

「アイリ、まぁ確かにその通りなんだけど、別にそんなの『いつ』って決まってるわけじゃないでしょ?」

 ライが可笑しそうに笑った。
 この場の重苦しい空気には似つかわしくない清々しい笑み。
 その笑みで、クラウドさんが少しだけホッとしたように肩の力を抜いたけど、ティファは強張ったまま私から視線を離さない。

「決まってない上、普通の人間でも『いつどうなるか』分からないのが人生だしな」

 兄上も妙に得心したようにそう言って、ライの言葉の後押しをした。
 …。
 ……2人が何を言わんとしているのかくらい、分かってますよ、えぇ。
 分かっているんですが…。

「アイリ…」

 囁くような声でティファが言った。
 必死に、これ以上泣くまいと目に力を入れている彼女に、なんだか申し訳ないけど『可愛い』と思ってしまった。
 たかだか私のことくらいでここまで必死になってくれる彼女(ひと)が、とても可愛い。

「シュリ君の言うとおり、人間、いつどうなるかなんか分からないってことは私たちも一緒。もしかしたら、明日、事故にあって死んじゃうかもしれないわけだし…」

 ティファやクラウドさんたちがただの事故で死ぬとは到底考えられませんが、ここは話しの腰を折ってはいけませんから、ただ「はい、そうですね」とだけ答えた。
 ティファはゴクリ、とツバを飲み込んで『覚悟』を固めた。


「なら、『そのとき』がきても、私が見た夢みたいなことは絶対にしないで」


 …そう言うと思いましたよ。
 でも…。


「だって、逆のことを考えて?もしも私がアイリでアイリが私で、私が死んだときに『私という存在』を全部なかったことにしたとして…、アイリが人生を全うして星に還った時、星に溶け込まないで漂っている私にアイリが会ったら、どんな気分?」


 ライと兄上が私の頭の上で視線を交わし、微笑んだ。
 …はいはい、分かってましたよ、えぇ。
 ティファがそう言うだろうことも、ライと兄上が絶対にそんなことはさせまいと『星に働きかけていた』ことも、だからこそ、私の目論みを星がティファへ『夢』という形で知らせてしまったことも…。

 全部!
 全部知ってました。


「……だから、今日、ここに来たくなかったんですよ」


 思わず口から零れた本音。
 堪えきれずにライが大笑いをした。
 兄上も満面の笑み。
 …その笑顔、ラナさんにこそ見せて差し上げるべきものじゃないんですかね。
 今、この場で笑うのは勿体ないですよ。
 …いいえ、勿体無いという言葉は不適切でした。
 そう、この感情を表す最も適切な言葉は…。


 腹立ちます!


「アイリ。ちゃんと誓って下さい」

 シェルクさんがジッと見つめた。
 口数の少ない人にスパッ!と言われると正直響きますね…心に。
 クラウドさんも目だけで大賛成している。
 ティファに関しては言わずもがな…。

 ですがねぇ…。

「別に良いじゃないか、お前が存在しなかったことにしなくたって」

 …兄上。
 それで良いなら別にこんなことになっていませんよ。

「アイリさん、なんで俺たちの記憶から消えてしまおうと?」

 クラウドさんが軽く眉根を寄せた。
 理由が分からないんでしょう。
 分からなくて当然ですが。

「私が星に還ったときは、きっと普通の状態じゃないはずですから」

 サラリ、と口にしたその『可能性の1つ』に、クラウドさんとティファがギョッと身をすくめ、シェルクさんは眉をピクリ…と動かした。
 はい、そうなんですよね。
 私は『闇の残滓』を集めるという無謀なことをしているので、きっと『普通の状態の死体』じゃないと思うんです。
 そんな私の最期を見たら、きっとこの優しい人たちは生涯、心に深い傷として抱えてしまうでしょう?
 私はそんなこと、望んでいないんですよ。

「『普通の状態じゃない』から…、だけなのか、理由は?」

 兄上ー!!
 余計な突っ込みを入れないで下さい!
 折角、『普通の状態じゃない』という言葉で思考を奪うことに成功したというのに、わざわざ冷静に考えられる状態に戻してどうするんですか!!

「アイリ、別に僕たちはアイリのしていることを邪魔しよう思ってるわけじゃないんだよ。だけど、アイリのしていることが僕たちにとって、ものすごく辛いことなんだってことだけはちゃんと理解して欲しい…、それだけなんだ」

 カーフーーー!!!!
 ウソを…、清々しいまでの微笑みで真っ赤なウソをつかないでください!!
 私がしていることを何が何でもやめさせようとしているのが見え見えなんですよ!

「アイリが…していること…?」
「それって…いったいなんだ?」

 急速に顔を曇らせて不安一杯になったクラウドさんとティファが身を乗り出す。

「アイリ、本当のことを話してください。何をしているんですか?」

 シェルクさんまでもが身体を微妙に前のめりにしている。
 ……。
 ………。

 兄上、カーフ。
 これが終わったら……覚えておいて下さいね。

「うん、無事に終わったらね」
「そうだな。無事に終わったらな」

 ……。
 声に出していないのにバッチリ答えられてしまってもう…もう…。


 脱力するしかないじゃないですか…。


「まったく…。本当にとんだお人よしの集まりですねぇ…」


 脱力すると同時に苦笑が浮かぶ。
 ティファとクラウドさん、それにシェルクさんは驚いたように目を見張った。
 そして、ようやっと本日初めて、満面の笑みを見せてくれた。

 その笑顔でしみじみと分かったことがあります。
 私はやっぱりこの笑顔を失いたくないんですよ。
 でも、先ほどの暗い顔をさせていたのも、今の満面の笑みも、全部私が原因なんですよね。
 …これ以上の幸せを望むなど、バチ当たりでしょう?
 それなのに、それ以上を求めよ、と兄上とライは望んでいるんです。
 困った兄に、困った従兄弟です。
 でも、そんな2人に囲まれて座っているこの現在(いま)が、もっと続けば良い、と思ってしまう私は、もっと困った奴なんですよね。

 そう思いながら、結局私は兄と従兄弟の目論みどおり、ティファたちに全部白状させられることとなった。

 当然、闇の残滓を1つのクリスタルに集めている、と知った3人は唖然とした後、烈火の如く激怒した。
 ついでにティファにはまたもや大泣きされてしまった…。
 本当に困りましたよ、えぇ。
 そしてその後は予想通り、
『そんなことは今後絶対にしない!』
 と誓うよう強制されました。
 ですが…。


「それだけは出来ません」


 何度目かの応酬。
 相手も引きませんが私も引きません。
 引けるわけがありませんよ。
 今、生まれ変わってからまだ時間が経っていないこの星では、まだまだ頼りないんですから。
 私しか出来ないのに…、私が出来ることをしなくてどうするんですか?
 出来るのにしない、という愚かな選択は、もう二度としないつもりです。
 そう。
 先の世とは違うんですから、もう二度とそんなことはしません。
 絶対に、誰が何と言おうと。


「なら、その代わり、ティファの見た夢みたいなことだけはしないと誓ってくれ。それと、俺たちでも出来ることがあるなら協力を求めて欲しい…」


 クラウドさんのこの卑怯な台詞に、ティファもシェルクさんも…、あろうことか、兄上とライまでもが大賛成してくれちゃいまして、ほんっとうにもう……!


 はいはい。
 分かってましたよ、この店に来た時から。
 私がこの人達に囲まれて勝てるわけがないって…。

 両手を挙げて降参ポーズをすると、感激したティファに思い切り抱きつかれてちょっとビックリしました。


 *


「それにしても…」
「ん?」
「相変わらずアイリさんはアイリさんだったな」
「…ふふ、そうだね」
「でも、ちゃんと最後は誓ってくれて、ホッとしたな」
「うん!あ〜、でも…」
「ん?」
「きっと今頃、シュリ君とライ君、大変ね。アイリにお説教…って言うか、八つ当たりされてるんじゃないかなぁ?」
「ハハ、本当だな。なんか『覚えてろよ!?』って目で睨んでたもんなぁ、話の途中で何回か」
「うん、きっとすっごく怒ってるよ。でも」
「うん?」
「きっと、怒ってるのと同じくらい、嬉しくも思ってるよね。自分のこと、ここまで大切に思ってもらってるんだもん」
「あぁ、そうだな。それにしても…」
「?なぁに?」
「今朝はビビッた…。マジでビビッたよ俺…」
「あ…、ゴメンね…」
「本当にどうしたのかと思ったな。号泣して飛び起きるんだから。良かったよ、シュリがすぐに携帯に出てくれて」
「…お恥ずかしい…」
「なんで?恥ずかしがらなくて良いじゃないか。それに、きっとその夢を見たのも星がアイリをとめて欲しいって思ったからだろ?帰り際のライがこっそり教えてくれた通り」
「…うん、そうなんだろうけど…。やっぱりなんか…、子供みたいに大泣きしちゃって…」
「………」
「…!あ、笑った、笑ったわね!?」
「…い、いや、笑ってな……ック…」
「あ〜!笑ってるじゃなーい!」
「ッ…、いやいや、最愛の妻を笑うだなんてそんな……そんなことは……ック…」
「もう!クラウドのバカ!キライ!!」
「俺は好き」
「ッ!…ズルイ…」
「なんで?」
「ズルイものはズルイもん!!ねぇ、レッシュ、エアル。こんなズルイお父さんと一緒に寝たくないよね〜?私と一緒に他の部屋で寝ましょうねぇ」
「子供を人質にとる方がずるいぞティファ」
「フ〜ンだ!知らないもん!!」
「怒るな怒るな、悪かった」
「悪かったって思ってないじゃない!」
「思ってる思ってる。ほら、あまり大きな声出すとまたこの前みたく2人が起きちゃうぞ?」
「あ〜!クラウドだってレッシュとエアルを人質にー!」

「「 ふ、ふにゃ〜〜〜! 」」

「「 あ!!起きた!! 」」


 それから数日後。

 エッジのWRO支部内で、同僚に人気者でいつも人に囲まれているラナ・ノーブル准尉をどうやってデートに誘うべきか…と、隙を窺っている怪しい大佐の姿が目撃されたという。
 そして、その大佐の後ろからは、
『今だ、行け!』
 と、GOサインを幾度も出しては、失敗する大佐にジト目を喰らわせる中佐の姿があったとかなんとか…。
 さらにさらに!
 シュリが失敗するたびに逐一報告してくる星に、アイリは指折り数えてその『失敗した数』を計算し、大自然の真っ只中で深い溜め息をついては、
「兄上…。約束通り、あと○○回失敗したらラナさんに私の方からぶっちゃけに行きますよ?」
 そう呟いて1人ほくそ笑んでいたとかなんとか…。