― 他の人にはお願いできない、あなただからこそ、お願いするんです ―


 こういう言い回しの台詞は卑怯だ。
 クラウド・ストライフは心の底からそう思った。






ミス チョイス







「…どうしたのかなぁ…クラウド」
「さぁ、帰ってきてからずっとあんな調子だしなぁ…」

 可愛い子供達の心配そうなささやき声が聞こえる。
 だがそれでも、クラウドは自身のモチベーションを上げることが出来ずにいた。
 いやはや、とんでもないことになった、と後悔の念しか湧いてこない。

「クラウド、大丈夫?」
「………」

 ちょっときつめのお酒を作ったティファの優しい声音もクラウドの心を晴れさせることは無かった。
 目の前に置かれたグラスを無言で煽る。

 はぁ…。

 吐き出されたその盛大な溜め息に、ティファが心配そうに眉間にしわを寄せるのが分かったが、とてもじゃないが顔を向けられない。
 優しい薄茶色の瞳を見てしまったら、折角今まで我慢していた弱音が奔流となって口から飛び出してしまうだろう。
 そうなったら、とてもじゃないが立ち直れない。
 今でも充分打ちひしがれていると言うのに…。

(また家出したくなるじゃないか…)

 そんなことになったら、星に還った親友達に今度こそ天誅を下されるだろう。
 あぁ、それだけは!!
 そんなことになるくらいなら、愛しい人や子供達に心配をかけさせているこの現状をせめて維持させることを選ぶ。
 これ以上、無様なことにしたくない。
 これはもう、ある意味クラウドの意地だった。
 そして、クラウドは気づいていない。
 そんな意地など、第三者から見たらとてもアホな意地で、張り通す意味もないようなつまらないものなのだ…ということに。
 というか、むしろこの場合はティファくらいには相談すべき事柄なのだが、その事実にこれっぽっちも気づいていない。
 クラウドと比べ、ティファの方がうんと社交的。
 なにより、セブンスヘブンという店を女だてらに営み、エッジでも人気高い店としてその名を馳せていると言うやり手の店長。
 当然、沢山の人達と接しており、クラウドが現在抱えている『悩み』なども多くの場数を踏んでいる。
 その事実にクラウドは気づかない。
 気づかないで悶々としている。

(はぁ…本当に困った…)

 何も言わずにそっと二杯目のお酒を作ってくれたティファに礼を言うことすら出来ないまま、クラウドはまた無言でそのキツイ酒を煽った。


 事の発端は、遡ること5時間ほど前になる。

 いつものように配達の仕事に精を出していたクラウドは、残り1件の配達になったことに頬を緩めた。
 予定よりも早く帰宅出来ることを喜ばない労働者はあまりいないのではないだろうか?
 少し早く帰宅できたクラウドを、少しビックリしながらも笑顔で出迎えてくれるティファを想像してクラウドは心が弾んだ。

(ちょっとだけティファと散歩に出かけるのも良いな)

 恐らく子供達は遊びに行ってまだ帰宅していないだろう。
 ならば、子供達を迎えに行くという口実の元、ティファとちょっとしたデートらしきものに繰り出すのも悪くない。
 いや、いっそのこと本格的なデートをしてもバチはあたらないのでは?

 などなど、緩みっぱなしの脳内にクラウドの口元も薄っすらと緩んだ。
 その心の緩みが悪かったのだ、ということに、後になって気がつくことになるのだが、当然のこととして『後悔先に立たず』となる。

「クラウドさん、幸せそうですね」

 ラストの配達先はクラウドと同じ年頃の青年だった。
 なんとなく幸薄そうな雰囲気を醸し出している青年に、クラウドは思わず口元を引き結んだ。

「そ、そうか…?」
「はい、本当に羨ましい限りです」
「……」

 なんと声をかけたら良いのか分からず黙り込む。
 元々が口下手な性分なのに、こんな風に弱りきっている人間相手に話す言葉など持ち合わせているはずがない。
 クラウドは無表情の仮面の下で、激しく動揺していた。

(そんなに浮かれた顔をしていたのか…、俺は…?)

 かなり恥ずかしいその事実に脳内はちょっぴりパニック。
 だが、この日のクラウドはやはり浮かれていた。
 この陰気クサイ青年に背を向けたら、その後のことは知ったことではない。
 冷たいと言われようとなんと罵られようと、クラウドの仕事は荷物の配達。
 断固としてカウンセラーという高尚な職業には就いてないのだから仕方ないではないか。
 そもそも、悩み相談などこれまでの人生で受け付けたことはないし、仮に人生初の挑戦!として受け付けたとしても解決できる自信がまったく無い。
 無責任にホイホイ悩み相談なんぞ受け付けてみろ、後々この生真面目そうな青年の人生において責任がとれないではないか!
 などと、ちょっと突拍子も無いずれたことを考えて逃避しているクラウドは、やはりいつも以上に浮かれていて、いつも以上に心に隙が出来ていたのだろう。
 だから…。


「すいません、クラウドさん。お願いがあるんです!」


 背を向けたクラウドに青年が縋れるだけの『ゆとり』を嗅ぎ取られてしまったのだろう。
 いつものように『必要最低限以外のことで話しかけるなオーラ』を発散していたらこんなことにはならなかっただろうに…。

 そして、クラウドも「え?」と振り返らなかったら良かったのだ。
 いや、よしんば振り返ることまではオッケーだったとしよう。
 だが…。


「クラウドさん以外にはお願いできないんです」


 と言う言葉に心動かされなければ良かったのだ。

(あぁ…本当に俺ってどうしようもない…)

 クラウドは三杯目のグラスを煽って溜め息をついた。

(でも……)

 いつの間にか隣に寄り添うようにして座っているティファの気配にクラウドは思考を中断させた。
 そしてやっと気づく。
 子供達がとっくに眠りの国へと旅立つ時間を過ぎていたことに。

「やっと目が覚めたの?」

 おどけたような口調で笑って見せたティファの口元が少し強張っている。
 不安を押し隠して空元気を装う時の表情だ。
 クラウドは眉尻を下げた。

「ごめん…、気づかなかった…」
「うん、でしょうね。デンゼルとマリンが心配してたわよ?」
「あぁ…ごめん」

 ガックリとうな垂れる。
 きっと『おやすみなさい』と声をかけようとして我慢したのだろう。
 いくら思い悩んでいたとしても、子供達の声が聞こえないくらいに悶々と悩んでいたわけではない。
 いや、まぁ十二分に悩んだのだが…。

「デンゼルとマリンには明日、ちゃんと謝ってあげてね?」
「あぁ…そうだな」

 そのまま、沈黙がクラウドとティファを包み込んだ。
 隣に座っているティファに気づく前の静寂が戻ってきたわけだが、今はティファが心配しながらも黙って話してくれるのを待っていると気づいている。
 先ほどとは違った意味で静寂が心身を包み込む感覚に、クラウドが帰宅前の『相談事』を白状しようと心が傾くのに時間はかからなかった。

「その…な…」
「うん」

 口を開くも、どう言って良いのか分からない。
 いざ、聞いてもらおうとするとどうして言葉が見つからないのだろう?
 己の言葉のボキャブラリーの無さにほとほと嫌気がさす。

「笑わないで…聞いて欲しいんだ。いや、ティファは笑ったりしないって分かってるんだけど…その…なんだかな。上手くいえないんだが…」
「うん、ゆっくりで良いよ、クラウド」

 陽だまりのようなぬくもりに左手が包まれる。
 ティファの照れたような微笑が目の前にあった。
 恥ずかしそうにはにかみながら、それでもクラウドから視線を逸らせない茶色の瞳。
 心がほぐれる温かい色だ。
 ぬくもりを感じるとともに、心と肩から力が抜ける。
 そうすると、クラウドは自然と言葉が舌にスラスラと乗せられていった。

「俺の大ファンっていう女性がいるらしい。その女性のことを想っている男性(ひと)に今日、荷物を届けたんだ。それでその時に、『どうしたら俺のようになれるのか指導して欲しい』って言われた」

「でも、正直…」

「俺の何を真似たいのかがわからないんだ」

「俺のいったいどこを見て、その女性(ひと)がファンだって言ったのかも一応な、聞いてみたんだ。そしたら、その…」

「フェンリルに乗れるところと……その……顔と…腕っぷしが強いところ……って言うんだよ…」

「いや、その…さ。まさかそんな風に褒められる日がくるとは思わなかったからビックリしてさ。ビックリし過ぎてボーっとしている間になんか…その…、相談を引き受けるような雰囲気になってて…」

「…それで……断れなかった……」


 段々尻すぼみになるクラウドのコクハクに、ティファは内心かなりビックリしていた。
 クラウドがモテることは今更なので驚かない。
 驚いたのは、こうして正直に話してくれている事実とその内容だ。
 きっと、以前のクラウドならば絶対に打ち明けてはくれなかったはず。
 いや、それ以前に『指導して欲しい』などという申し出を受けるような雰囲気になることなど許さないだろう。
 それなのに、こうして目の前でクラウドは耳の端を真っ赤にしながら、つっかえつっかえ、視線を彷徨わせながら話してくれている。
 恐らく仲間達がこの場にいたら、乾杯音頭が店内に溢れているに違いない。
 クラウドの成長振りを喜ばないわけにはいかないだろうから。
 だが…あえて言わせてもらえるならば。


(ミスチョイスだわ…)


 ティファは引き攣った笑顔を顔面に貼り付けたまま思った。
 どう考えてもクラウドにそんな器用なことが出来るはずがない。
 正直、こんな『悩むに値しない話で悩んでいる』こと自体が信じられないくらいだ。
 もしかしたら、自分は目を開けたまま眠っているのでは?と、己の精神状態を疑ってしまうほどの衝撃。
 この衝撃のデカさを理解してくれるのは、やっぱりどう考えてみても夢の国に旅立っている子供達以外に存在しない…。
 それにしても、どうして断らなかったんだろう?
 それが不思議で仕方ない。

「クラウド、そんなに悩まないで。また明日とか明後日とかにでも一緒に考えましょう?」

 とりあえずの気休めとして声をかける。
 その言葉を心を込めた振りして発しながらも、ティファの脳内は『どうして拒否しなかったのか?』という疑問でいっぱいだった。
 確かに人として成長した証なのかもしれないが、それにしては突飛過ぎる気がする…。

「…分かってるんだ」

 フイにクラウドがズーン…と重苦しい雰囲気で沈みきった声をこぼした。
 肩をガックリと落とし、うな垂れるその姿にギョッとする。

「ど、どうしたの?分かってるって何が?」

 クラウドの変化についていけず、オロオロするティファにクラウドはうな垂れたままモソモソと呟いた。

「俺にそんな高等技術がクリアできるはず無いってことくらい…」

 ドキッ!
 一瞬、自分の考えが顔に出たのかと焦る。
 焦って「そんなことないわよ、大丈夫、やれば出来るんだから!」と言ってみるが、自分で言うのもなんだけどほんっとうに説得力の無い言葉だ…と感じたティファはそのまま「あはは〜…」と乾いた笑いを浮かべて…。

 ガックシ。

 クラウドと同じように肩を落とした。
 そのまま暫く時間が経つ。
 その間、ティファは色々とかけるべき言葉を探していたが、ちょっとビックリすることが多すぎて脳が麻痺してしまったことと、今日一日、普通に仕事をして疲れていたこともあって、ピッタリな言葉を探す気力があまり残っていなかった。

(あぁ…なんか疲れちゃったな。クラウドには悪いけど、明日一緒に考えようって切り上げちゃっても…良いかなぁ…)

 良心の呵責を感じながらそう決めてそろそろ…とクラウドを見る。
 そんなティファの気配を感じ取ったのだろう。
 クラウドはゆっくりと顔を上げて困ったように笑って見せた。

「ゴメン、こんなくだらないことで時間を潰すのはバカだな」

 そして、無理しているのがバレバレな仕草でソファーから立ち上がると、ティファに「ん」と手を差し出した。
 その手を払いのける理由などどこにもない。
 素直にその手を握り締めると、少しだけ力を込められて腕を引かれる。
 ポスン…と収まったその胸の中はティファだけに許された場所。
 心安らげる暖かな場所だ。

「もう…寝るか」
「うん…そうだね」

 気まずさが瞬く間に氷解する。
 結局、クラウドはティファを、ティファはクラウドを誰よりも想っているのだから、こうして寄り添い合うだけで心の中に出来た『欠けた部分』を補え合える。
 そうやって、2人で一緒に時を刻んで成長していくのだ…、一生涯を通して。

「俺さ…相談された時に、ちょっと想像したんだ」

 ベッドの中でうとうとしかけていたティファに、クラウドがポツリと零した。
 夢見心地でその言葉を聞きながら、ティファは「ん?…」と小さく先を促した。
 もう半分以上、眠りに捕まっている…。
 クラウドは苦笑気味に「ごめんな、眠いよな…?」そう謝りながらも、頭を摺り寄せて先を促すティファに甘えることにしたらしい。
「うん、その…な」
 歯切れ悪く、言葉を探す。

「…ザックスだったら…どうしたかな…?って…」

 ティファは眠りからフッと軽く引き離された。
 そっとクラウドの紺碧の瞳を見上げる。
 クラウドは天井へ視線を向けていたがその目は天井よりもはるかに遠くを見つめているようだった。
 ティファの胸が締め付けられる。

 陽気なソルジャー…ザックス。
 本当に素敵な人だった。
 素敵なソルジャー。
 唯一、好きだと思えるソルジャーだった。
 そして…。
 親友の…恋人。
 クラウドの恩人で…親友。

 あぁ、そうか。
 ティファは先ほど感じた『なんで受けたんだろう?』という答えを今、クラウドからもらったのだ。
 人に頼られる体質だったザックスの姿を自分に置き換えて感じてしまったんだろう。
 そして、『きっとザックスだったら、笑いながら調子の良いことを言いつつも、結構親身になって世話するんだろうな…』とかつての親友へ思いを馳せたのだ。
 その気持ちをティファは到底、笑うことも『無謀だ』と言うことも出来ない。
 クラウドにとって、それだけザックスは特別な人なのだから。

(でも、だからと言って、クラウドにザックスみたいな芸当が出来るはずもないんだけどね…)

 そう内心で呟きつつ、
「うん、ザックスだったら『俺の場合はこうやって女の子を口説く!』とか『プレゼントはこれが良いな』とか言いそうだよね」
 そう笑いを含ませた。
 クラウドがホッと力を抜いた気配を肌で感じる。
「そうだな。あいつならそう言って笑いながら意外と何でも最後まで面倒見て、笑いながら『良かったな』って背中を叩くんだろうな」
 どこか眩しそうにそう言うクラウドに、ティファは微笑みながら更に擦り寄った。
 自然とクラウドもティファの身体を抱き寄せる腕に力を込める。

「クラウド、無理してザックスの真似をする必要はないよ。それに、クラウドに憧れてる女性の気を引きたいから、少しでもクラウドに近づきたい、って男の人にはクラウドのありのままの姿を見てもらったら良いと思うわ」
「…ありのままの姿…か…」
「うん。だってきっと、その女の人はクラウドのことをジェノバ戦役の英雄としか見てないんだし」
「…そうだな…」
「うん。そうだよ。だから、クラウドは無理して英雄の姿を見せることは無いと思うの。所詮、人の外側だけを見て勝手に理想像を重ね合わせて恋をした…って錯覚する人はどうかと思うし…」
「……なんだか手厳しいな」
「そう?でも、クラウドのことを見た目だけで『憧れてる』とか『恋人になりたい』とか言うのってなんかすごく失礼な気がするの」
「…そうか?」
「そうよ」
「……」
「なぁに?」

 不思議そうに見つめる魔晄の瞳が宵闇に怪しく光って見えて、ティファの鼓動が跳ねる。
 いつの間にか、眠気はどこかに去ってしまった。

「ティファ…なんか意地になってないか?」
「え?そんなのになってないもん」
「そうかな?」
「そうよ!」
「プッ!やっぱり意地になってる」
「な!なってないってば!!」
「眉間にシワが寄ってるぞ?」
「!…もう…クラウド、意地悪すぎない!?」
「そんなことはない」
「ある!」
「ない」
「あるったらある!大体、クラウドにそんな相談した男の人はミスチョイスよ!」

 段々言葉の応酬がエスカレートしてきて、ティファはつい、言ってはいけないことを言ってしまった。
 咄嗟にハッと我に返って口を押さえるが、当たり前だが手遅れだ。

 真っ赤になってクルリ、と背を向け、「ごめんなさい…」と、モゴモゴ口にする。
 と…。

 ギューーッ!!

 背後から思い切り抱きしめられた。
 ビックリして身体を捻ろうとするティファを、クラウドはさせじ!とますます力を込める。
 そうしてわざと耳元でくすぐるように囁いた。

「ティファ、ヤキモチか?」
「 !! 」
 ボンッ!

 音を立てるようにして真っ赤になったティファの熱に、クラウドがクックッ…と嬉しそうに笑いを洩らした。

「もう!クラウドのバカ!もう絶対に心配なんかしてやらないから!!
「それは困る。そんなことになったらこれからどうしたら良いのか途方に暮れるじゃないか」
「クラウドなら平気でしょ!?」
「無理だ」
「絶対に平気よ!」
「いや、無理だな」


「ティファの言うとおり、俺にとっては色々な事柄が『ミスチョイス』に当てはまるから、これからもサポートして欲しい…」


「一生…」


 言葉を切って、最後に告げられたその台詞。
 ティファは恥ずかしさも何もかもが吹っ飛んだ。
 息を呑んだまま、恐る恐る身体を向き直らせる。
 クラウドは腕の力を緩めていたが、ティファが逃げ出さない程度の力をまだ込めていた。
 いつの間にか真剣な眼差しでティファを見つめる魔晄の瞳は、ティファの中から『否定』の力を全て奪ってしまった。

 そうして2人はゆっくりと唇を重ねる。
 泣きたくなるくらいの幸福に身をゆだね、2人は互いの温もりを与え合った。


 そうして翌日。
 ティファの采配によって、見事クラウドに依頼をした男性は1週間のセブンスヘブンのアルバイトに採用された。
 当然、クラウドはセブンスヘブンでの仕事はあまり…というか、かなり不得意だ。
 失敗も多い。
 食器も割りそうになるし、常連客にはもう慣れてもらっているので問題は無いのだが、その無愛想振りに新しい客は完全に引いていた。
 そんなハチャメチャな1週間となったが、青年は晴れ晴れとした顔をしてアルバイトを卒業した。
 お別れの時、彼はティファとクラウド、そして子供達に深々と頭を下げながら爽やかな笑顔を見せてくれた。

「俺がどんなに頑張ってもクラウドさんみたいになれないのはもう分かっていましたが、まさかこんなにクラウドさんが俺と変わらないくらい不器用だと思わなかったので本当に親近感を感じました」
「そのお陰で、彼女のことはなんだかもうどうでも良いかなぁって今では思うんです」
「実は、隠してたんですけど彼女はクラウドさんのことを『彼以外で結婚したいと思う男性はいない』って言ってたんですよね。『自分にはクラウドさん以外考えられない』って。
「きっと彼女は本当にクラウドさんのことが好きなんだとは思うんですけど、ふられた時は純粋に『クラウドさん』って人に惹かれている一途な女性だって思ってたんです。
「でも…、皆さんと過ごすことでそうじゃなかったってことが分かりました」
「外面だけで『好き』『嫌い』と分けてしまって、他を見ようとしない女性だったんですね」
「皆さん、ほんとうにありがとうございました!」

 クラウドとティファには去っていくその背中が、とても大きく見えたのだった。

 今回、青年がクラウドのみに指導をお願いしたのはミスチョイス。
 だが、クラウドがティファに相談したのは…グッジョブ!

 こうして補いあえる関係でいられる限り、セブンスヘブンは平和そのものだろう。
 そうして、クラウドもティファも、この平和を失うようなことにならないよう、全身全霊で守っていく覚悟を固めている。
 1人じゃないから…大丈夫。

 ミスチョイスもグッジョブに変えられる関係。
 それが…。

 ジェノバ戦役の英雄であるカップルのあり方だ。



 あとがき

 いつもながら、何となく突発的に思いつきました。
 はい、なんか話の趣旨が途中で逸れた気が…しないでもない…(汗)。

 互いに補え合える関係って素敵ですよね♪
 マナフィッシュ、そういう人間関係に心底憧れますvv

 お付き合い下さってありがとうございました〜(*´▽`*)ノ゛