思いがけずに一人旅 裏事情その弐「なぁなぁ!クラウドとティファ、ちゃんとゆっくり出来たか!?」 「ねぇねぇ!どうだった、二人きりのバカンスは!?」 シュリを見送った後、子供達がキラキラした目で親代わりの二人を見上げてきた。 クラウドとティファは、思わず顔を見合わせると真っ赤になって慌てて顔を逸らした。 「ま、まぁ……それなりに……」 「え、ええ……それなりに……楽しかった……わよ……」 途切れがちにそう言う二人に、デンゼルはクラウドに、マリンはティファにしがみ付くと、 「「教えてよ〜〜!!!」」 と、腕を掴んで大きく揺すってきた。 その子供達の子供らしい仕草に、二人は真っ赤になりながらも、胸があったかくなるのを感じて自然に顔が綻んだ。 「……まぁ……少しくらいなら……」「クラウド!」 子供達のおねだり攻撃に降参したクラウドが、チラッとティファを見ながらそう言うと、予想通りティファは真っ赤になって目を剥いた。 そんな彼女も本当に愛しい…。 クラウドはクルリと背を向けると、クックック…と声を殺し、肩を震わせてひとしきり笑った。 「もう!!クラウドー!!!」 背を向けているのを良い事に、クラウドの背をポカポカ真っ赤な顔をして叩くティファと、そんなティファの攻撃(?)を笑いながら黙って受け止めているクラウドの姿はまさに……。 バカップル!!!! 子供達は、親代わりの二人のじゃれ合いを、最初はポカンと見つめていたが、すぐに満面の笑みになった。 そして…。 「「シュリさんの言う通りだったな(ね)!!」」 声を揃えて満足そうにそう言った。 しかし……。 「「え………」」 子供達の言葉にクラウドとティファは、一気にラブラブモードから親代わりモードに変換・突入してしまった。 「なぁ、デンゼル。一体、シュリから何を聞いたんだ?」 「ねぇ、マリン。一体、シュリ君とどんな話しをしたの?」 引き攣った笑みを浮かべるクラウドとティファに、マリンとデンゼルはキョトンとした顔をしたが、すぐに我先に……と、二人が家に戻ってくるまでの話しを話し出した。 「今頃二人共、楽しんでるかなぁ…」 嬉しそうにそう言いながら、エッジの街を歩くマリンに、デンゼルはどこか不満そうだった。 「なぁ、シュリ兄ちゃん。何で俺達、真っ直ぐ家に帰るんだよ。折角潜入捜査気分が味わえるかと思ったのにさ」 足元の石ころを軽く蹴飛ばすデンゼルに、シュリはいたって事務的な口調で淡々と答えた。 「ああ、それは置き手紙に『絶対に子供達が戻る事はありえません』って書いたから」 「「???」」 「ああやって書けば、まさか真っ直ぐ寄り道せずに帰宅したとは考えられないだろう?」 「……そっかぁ…」 マリンが感心したように唸った。 しかし、それでもデンゼルはまだ不満そうだ。 「でもさ。もしもクラウドとティファが、俺達二人の事が気になって仕方なくて、あんまり楽しまない内にセブンスヘブンに戻ってくる可能性があるだろう?」 「いや、それはない」 デンゼルの意見に、シュリはキッパリと反対を唱えた。 あまりにも自信満々……というか、それ以外はなりようがない……と言わんばかりの言い方に、子供達は目をパチクリとさせた。 「クラウドさんもティファさんも、俺がデンゼル君とマリンを『預かった』って分かったはずだ」 「「『預かった』?」」 歩きながら、子供達は顔を見合わせ同じ仕草で首を捻った。 その二人に、シュリは頬を緩めると、そっとデンゼルの肩を右に押しやり、自分が車道側に立った。 シュリは不思議そうな顔をして見上げてくる子供達をチラリとだけ見ると、そのまま真っ直ぐ視線を前に戻した。 「ああ。『二人が行方知れずになっている間、俺が責任持って面倒を見る』って分かってくれると思う、あの二人ならな。だから、デンゼル君とマリンの心配をする必要が無いって分かっただろうから、二人でゆっくり出来るだろう…」 「はあ〜〜…凄いねぇ…シュリさん!頭良い!!」 シュリの説明を聞いたマリンが、感心して明るい声を上げた。 それに対し……。 「なぁ……何でマリンだけ呼び捨てで俺は『君』付けなわけ?」 非常に不機嫌な声を出した。 それに対し、シュリは軽く目を見開いて驚いた顔をした。 「え……?」 「え……じゃないよ!なんか俺だけ他人行儀で気分悪い!」 キッパリ・ハッキリそう言ったデンゼルに、シュリは目をパチクリさせると、苦笑してフワフワの髪を撫で回した。 「そうか……それは悪かった……デンゼル」 デンゼルは漸く嬉しそうな顔で二カッと笑って見せた。 「なぁなぁ、それでさ。さっきの質問の答えだけど」 セブンスヘブンへの帰り道に丁度あるオープンカフェで、子供達はシュリに買ってもらったアイスを実に嬉しそうに食べている。 そのアイスを口の周りに少しつけたまま、デンゼルはシュリを見上げた。 シュリは、アイスコーヒーの入った紙コップの陰から、チラリと視線を投げてよこす。 「それでもさぁ。やっぱりクラウドとティファがコスタでのんびりしてくれてる…っていまいち思えないんだよな…。案外、俺達がどっかで見張ってるかも……って緊張してて、あんまりのんびり出来てないかもしれないぞ?」 「あ〜……そうかも」 マリンがデンゼルの言葉に、不安そうな声を上げて同意した。 「だって、置き手紙に『変装が得意です』みたいなこと書いてたもんね?だから、もしかしたら、コスタに変装した私達が、クラウドとティファを見張ってる……って考えてるかも…」 「ああ、そうかもしれないな。でも、それでも良いんじゃないのか?」 シュリの答えに、子供達はキョトンとした。 「むしろ、クラウドさんとティファさんがそう勘違いをしてくれている方が、逆に良いだろう。俺達が物陰から二人がちゃんと仲直りをしているのか見張っている……。そう考えたら、何が何でも二人で楽しんでいる事を必死にアピールするだろうから」 「でもさぁ。それじゃ、心から楽しんでる事にならないんじゃないのかなぁ……」 「そうだよねぇ…。あの二人、物凄く不器用だから」 子供達の言い様に、シュリは苦笑した。 「まったく……デンゼルとマリンは心配性だな」 「え〜!だってさぁ!!」 「そうだよ。クラウドとティファは、物凄く照れ屋で奥手なんだもん。今回の喧嘩だって、もっと二人がお互いに素直に普段からなれてたら、避けられたんだと思うし…」 唇と尖らせる子供達に、シュリは肩を竦めた。 もう、セブンスヘブンが遠くに見えてきている。 「そうだな。でも、それは元々お互いを大切に思い合っているが故の結果だろう。だから、仮に二人が俺達に見張られていると勘違いして、最初は『演技』で仲直りしたように見せようと頑張ってるかもしれないけど、そんな『演技』が『本物』になるのに時間はかからないさ。その内、『見張られてるかもしれない』という可能性をすっかり忘れて、仲良く帰って来るよ」 「ん〜〜…。そうだと良いけど…」 まだどこか納得しかねるのか、マリンは眉根を寄せた。 それに対し、 「うん。まぁ、俺達に出来る事はやりつくしたもんな。あとはクラウドとティファに任せるしかないかぁ…」 しかつめらしくそう言ったデンゼルに、シュリは再び苦笑した。 「ま、心配してても仕方ない。ここで吉報を待つとしよう」 そう言って、セブンスヘブンのドアの鍵を開けてくれるよう、子供達に頼むのだった。 「あ〜、このキャベツ…もう色が変わりかけてる」 「うぇ…こっちのジャガイモ、思いっきり芽が出てるよ」 セブンスヘブンに戻った三人は、取り合えず遅めの昼食を作る事にした。 調理場を覗いた子供達が顔を顰める。 たった二日、家を空けていただけなのに、もう野菜類が痛みかけていた。 シュリはそれらの野菜を持ってくるように言うと、マリンが用意してくれたクラウドの水色のエプロンを身に着けて、手際良く調理し始めた。 ティファの料理をする姿を日常的に目にしている子供達は、料理をする人の腕を見極めるのに長けている。 シュリは中々どうして…。 「すっげ〜!」 「すご〜い!」 実に鮮やかに野菜等の材料を切っていく。 少し変色しかけているキャベツを少し小さめに切り、ジャガイモを一口サイズに切って水にさらす。 その間、お湯を沸かして…。 冷凍庫に保存していた肉類を解凍し。 出来上がったのは。 「わ〜!」 「美味しそう!!」 手軽に出来き上がったキャベツ入りのチャーハンとジャガイモの入った中華風スープ。 それに、冷蔵庫に残っていたジャムと期限切れが迫っていそうなヨーグルトをデザートに添えて、三人は食卓に着いた。 「まぁ、ちょっとバランスの悪い取り合わせになったけど、痛みそうな物から使ったし、あんまり料理のバリエーションが無いから辛抱してくれ」 エプロンを脱ぎながらそう言うシュリに、子供達は勢い良く首を振った。 「全然問題ないよ!」 「そうそう!この中華風スープ。ちゃんともやし入ってるし、ジャガイモ入ってても全然違和感無いしさ!なにより」 「「美味しい〜〜!!!!」」 嬉しそうに頬張る子供達の姿に、「それは良かった」と、淡々とそれに応えながらも、シュリのその表情はいつものとげとげしさが無く、穏やかだった。 「それでさぁ。シュリ兄ちゃんは右肩、本当にもう大丈夫なのか?」 食後の後片付けをしながらデンゼルが気遣わしそうな顔をした。 「ああ、全く問題ないな。あれだけ回復アイテム使って、ちゃんと医者に診てもらったし」 「でも……お医者様が『この人は人間ですか!?』ってびっくりしてたよ?」 マリンの言葉に、シュリは無表情のまま片眉を上げた。 「失礼な医者だな。これでも一応、れっきとした人間だ」 「でも、兄ちゃんの回復力ってさぁ。クラウド並みだよな」 デンゼルが感心したように声を上げながら、洗われた食器を拭く。 「そうだよね。クラウドの場合は、なんか良く分からないけど『ジェノバ細胞…?』だっけ…?が埋め込まれてるから普通の人よりも運動力が高かったり、回復力が高かったりするんだって本人が言ってたけど……」 手際よくグラスを拭き清めると、それを棚にきちんと直していく。 シュリは、濡れた手をタオルで拭きながら、少し遠い目をして口を閉ざした。 「「???」」 元々、おしゃべりではないこの青年が、こうして自分達の質問に答えず黙り込んだとしても不思議ではないのだが…。 それでも、今のこの青年の目が……。 何だか……とても切なくて。 それだけで二人は申し訳ない気持ちになってきた。 触れてはいけない事に触れてしまったのではないだろうか…? そんな不安が小さな胸に込上げる。 と…。 「俺は……クラウドさんとはある意味違う『特別』だからな。だから回復が早いんだ」 「ふぇ?」「違う『特別』?」 キョトンとして首を傾げる二人に、シュリは肩を竦めて見せるとそのままコーヒーとカフェオレの入ったカップを盆に乗せ、テーブルに戻ってしまった。 二人はその後姿を少し慌てながら追いかけると、向かいの席にちょこんと座った。 差し出されたカフェオレのカップを小さな手で受け取りながら、ちゃんと「「ありがとう」」と御礼を忘れない。 子供達のきちんとした姿に、シュリは僅かに微笑んだ。 「デンゼルとマリンは……『星の声』が聞えるか?」 突然の質問に、子供達は目を大きく見開いた。 そして、黙って首を振る。 「だろうな。なんでもかつての『神羅』の上層部は、『星の声』が聞けるのは『セトラ』だけ…って信じ込んでたみたいだし…」 マリンは『セトラ』という言葉に顔を曇らせた。 いつも優しい笑顔を見せてくれた茶色い髪、深緑の瞳の女性が脳裏に甦る。 そのマリンの隣では、デンゼルが「セトラって……何だ?」と首を捻っている。 シュリはマリンの曇った顔を見て、 「マリンは知ってるみたいだな。まぁ、知らない方が普通だから、デンゼル、気にするな」 マリンは知ってる…という台詞で、「え!?」と目を剥いたデンゼルに、シュリが苦笑して釘を刺した。 「でもさぁ、それってずるいじゃん!」 テーブルの下で足をブラブラさせながら不貞腐れるデンゼルに、マリンは何も言わない。 暗い顔をしているマリンにすぐ気づいたデンゼルは、 「あ〜っと……その……ごめん」 バツが悪そうな顔をして俯いた。 二人して暗い顔になった子供達を、シュリは無表情な顔をしつつも、その目は興味深そうに見つめた。 「デンゼルとマリンは、これが見えるか?」 「「え?」」 シュリが指差したのは、コーヒーの入ったカップ。 意味が分からないまま、二人はコックリと頷いた。 「じゃあ、このコーヒーからユラユラ揺れてる空気のようなものは見えるか?」 「えっと……湯気の事?」 躊躇いがちに尋ねるマリンに頷いてみせると、デンゼルが「当たり前じゃん…見えるに決まってるよ」と少し呆れたような顔をして見せた。 「そうだな。当たり前だな。それと同じ事なんだけどな…」 「「???」」 「『星の声』が聞えること…」 「「…………」」 黙りこみ、困った顔をする子供達にシュリはポーカーフェイスのままどこか遠くを見つめた。 「ま、俺にはそういうもんなんだ。『星の声』が聞えるのは別に俺が特別だからじゃない……と、俺は思ってる。ごく自然な事なんだ…俺にとってはな」 デンゼルとマリンは、どう言って良いのか分からず顔を見合わせたが、シュリが特に不快そうな顔をしているわけでもないので、そのままその話はやめることにした。 「えっと…、それでさ。シュリ兄ちゃんは何で怪我の治りが早いんだ?」 デンゼルが思い出したようにそう言うと、シュリは視線を子供達に戻し、少々複雑な顔をした。 「あ〜…なんて言えば良いのか……」 困ったように言い澱むと、シュリはポツポツと話し始めた。 「『星の声』が聞えると…色々な事を教えてもらえるんだ。例えば、他の大陸で大きな力が生まれようとしてるとか…」 「それって……この前、クラウドとティファが巻き込まれた事件とか……?」 デンゼルの驚き、見開かれた目を真っ直ぐ見つめると、小さく頷く。 「ああ。だから前の事件に関しては、局長に危険がある可能性を伝える事が出来たんだ。結果は……まぁ、二人も知っての通りだ」 「「へぇ〜〜、すっごい!!!」」 驚嘆の声を上げる子供達の目がキラキラと輝いている。 ところが二人の賞賛に対し、シュリは困ったような顔をした。 「でも、『星の声』はひどく気まぐれでね。ハッキリ聞えることもあれば、何を話してるのか分からない時がある。だから、何を話してるのか分からない時には迂闊に動かない方が良いな。自分が解釈した事と全く逆だった事があるから……。あの時は死にかけた……」 最後にボソリと呟いた言葉に、子供達はギョッと身を竦ませた。 固まった子供達に気付いたシュリは、 「まぁ……あの時は考えなしに動いた俺が馬鹿だっただけだから。もうあんな軽はずみな事はしないから大丈夫さ」 言い訳のような……取り繕うような台詞を慌てて口にした。 勿論、それで子供達の石化は解けなかったわけだが…。 「ま、まぁ……あの頃は本当に子供だったからな。考えなしに行動してたし…。今はちゃんと考えて行動してるから大丈夫だ。それよりも、話しを戻すけど、俺がなんで回復が早いかって言うとだな…」 途端に子供達はパッと顔を輝かせた。 「「うんうん!!」」 身を乗り出して話に食いついてきた二人に、シュリは小さく安堵の溜め息を吐いた。 「『星の声』が聞える状態ってどういう時か分かるか?」 キョトンとして首を振る二人に、シュリはたった一言、 「自分の意識が『星と一体』になってる時だ」 と言った。 「良く分からない…」 困った顔をする子供達に、 「まぁ…そうかもしれないな。俺も上手くは説明できないから。ただ、『星と一体』になるという事は、『星から力を貰う』という事にも少しだけ繋がるんだ」 無理に理解をさせようとはせず、話しを続けた。 「星から力を貰えるから……回復が早いの?」 「すっげ〜!!」 感動しきりの子供達に、 「……『少しだけ』だって事を忘れてないか?」 水を差すような事を口にした。 しかし、そんな事でへこたれる子供達ではない。 「『少し』でもなんでも、『星から力をもらえる』人間ってそうそういるもんじゃないだろう!?」 「そうよ!すっごい事だよ、シュリさん!!」 すっかりシュリを特別な人間として認識してしまったらしい。 輝く眼差しには『尊敬』の漢字二文字がくっきり刻まれている。 「でも……それは普通の事なんだぞ?」 「「へ?」」 「星から力を貰うっていうのは、星に生きてる命にとっては普通の事だ」 シュリの言葉に二人は夢見がちな瞳を退け、一気に『困惑』の顔になった。 「でも、『星の声』に耳を傾けない人間は、それを素直に受け取ろうとしない……、いや、受け取り方が分からない……っていう表現が正しいな。受け取り方が分からないから、自分の身体にある力だけで回復しようとするから『回復が遅い』だけなんだ」 デンゼルとマリンは困ったように顔を見合わせた。 「どうしたらその…『星の声』が聞えるようになるんだ?」 デンゼルの質問に、今度はシュリが困惑顔になる。 「…逆に俺にはどうして大半の人間が『星の声』を聞く事が出来ないのかが不思議で仕方ない」 「そうなの?」 「ああ……」 そのまま三人は困ったような顔をして黙り込んだ。 「『星の声』が聞えない方が『特別』な気がするんだが、『聞える人間』が圧倒的に少ないからなぁ。だから、この場合は『俺の方が特別』になるんだろうな…」 シュリの独り言に、デンゼルとマリンは、先程『クラウドさんとはある意味違う『特別』』と言ったシュリの言葉を思い出した。 そして、何となく寂しそうな顔をしている様に見えなくもないシュリに、心優しい子供達が慌てないはずが無い。 「大丈夫だよ!シュリ兄ちゃんは一人じゃないから!」 「そうだよ。私達は星の声が聞えないけど、それでもシュリさんのこと、大好きだから!!」 何やら必死になって励ましてくる二人に、いつも無愛想で無表情な青年はポカンとした。 そして…。 「まったく…。本当にセブンスヘブンの住人はお人好しばっかりだな」 初めて、満面の笑みを二人に見せたのだった。 「ってわけなんだ!」 子供達の話しを長時間聞いていたクラウドとティファは、シュリが話した『星の声』が聞えるという事実と、満面の笑みを見せたと言う事実に、目を見開いて驚いた。 「それで……あいつ、あんなにいつもタイミング良く星の危機に居合わすのか……」 「…と言うよりも、その『満面の笑み』を私も見たかったわ……」 「同感だな…」 唖然とする親代わり二人に、デンゼルとマリンはニコニコと実に嬉しそうな顔をして見やった。 「へっへ〜、良いだろ〜」 「クラウドとティファが喧嘩してくれなかったら、あんなシュリさん、絶対に見られなかったもんね。ありがとう、クラウド、ティファ!」 「「……………」」 マリンに礼を言われた二人は、何とも複雑な顔をした。 その顔を見て、子供達が笑い転げたのは…当然の流れ。 そして、ひとしきり笑った後…。 「でも、もう二度と喧嘩しないでくれよ。いくらシュリ兄ちゃんの笑顔が見られるからって言ったって、クラウドとティファが仲良くしてくれてる方がやっぱり良いんだからさ」 「うんうん。仲直りちゃんとしてくれるかどうか、不安になるのはもうヤダからね」 一転して真面目な顔になった子供達に、 「「………ゴメンナサイ……」」 揃って頭を下げて…。 「「分かればよろしい」」 満足そうに頷いた子供達に…。 クラウドとティファが顔を見合わせて…。 プッ!!。 四人が一斉に吹き出した。 久しぶりに家族が揃ったセブンスヘブン。 あったかい家族の笑い声が、本当に久しぶりに響いたのだった。 |