「なんであの人だけなんだ?」 さぁ…? 「他にも沢山人間はいるだろう?」 …そうだな…。 「もう少し見聞を広めても良いんじゃないのか?」 …そうかもしれないな…。でも…。 一番素晴らしい宝を手に入れてるのに、二番、三番なんか意味があるのか? 至高の宝金髪・碧眼の美青年が歩いている。 場所は、最近出来たばかりの新しい町。 村を少し大きくしたような小さな町だ。 ウータイ大陸の端に出来た。 クラウドはこの新しい町に配達にやって来た。 この大陸に住んでいる仲間に顔を見せて……という殊勝なことはしない。 彼はとにもかくにも、穏やかに、速やかに仕事を終えたかった。 だから、何が悲しくて寝た子を起こすようなことをするものか。 さっさと仕事を終えてとっととこの大陸から脱出したかった。 何しろ、この大陸に住んでいる仲間の少女は、破天荒な言動からは想像もつかないような情報力を持っている。 もしかしたら、この大陸に来ていることがバレているかもしれない…。 そんな、一種の戦々恐々とした気持ちで、クラウドは生まれたばかりの町を足早に歩いていた。 愛車である大型バイクは、町のスタンドに預けている。 帰宅するまでに完璧なメンテナンスを行い、且つ、ガソリンを満タンにするためだ。 そうしないと、不慮の出来事に対処出来なくなる。 この『配達屋』という仕事を始めてから、相棒とも言うべき愛車の整備には殊の外、注意をしてきた。 お陰で今のところ、相棒がクラウドを裏切ったことはない。 「…よし」 自動販売機でコーヒーを買い求め、あっという間に空にしてたクラウドは、ホッと一息ついた。 何しろ、この大陸に来るには当然だが船しかない。 海路以外での交通手段は空路になるが、空路はまだまだ開発途中。 おまけに愛車を乗せようと思ったら、飛空挺並みの大きなものが必要となる。 …一体、どこにそんな金銭面の余裕があるものか。 そんな余裕があるなら、ティファや子供達をもっとラクをさせてやっている。 というわけで、クラウドは目下、財布の紐をしっかりと締めながら、どういうルートで配達するのが一番効率が良いのかを模索しつつ仕事をこなしていた。 その『模索する』方法が、自分の食費を浮かせる…という、ちょっと困った方に走っているのが珠に瑕だ。 クラウド自身、自分の健康管理がいかに大事か分かっている。 だから、最低限の栄養補給はするように心がけており、朝食抜きの昼食が携帯食&缶コーヒーで、夕食は自宅で食べるか、安宿の食事か…となっている。 …非常に栄養状態が不安な食生活だ。 だが、クラウド自身はまだ大丈夫だと自負しており、今のところ不調等は微塵も感じていない。 それに、なによりクラウドにとって、自分が飲み食いして楽しい気分を味わえるという性分ではないため、自身のことに関してはとんと無頓着だった。 色とりどりの豪華な料理が目の前に出されたとしたら、クラウドは迷うことなく『お持ち帰り』させてもらい、子供達とティファに食べさせる道を選ぶだろう…。 実際、クラウドは色々な場所へ行き、ありとあらゆる人種の人達と接している。 無愛想で人付き合いが苦手な性分のために、荷物の受け渡しの時だけ人と接することで済むこの配達の仕事は、本当に彼に合っていた。 だが、中にはクラウドを引き止めて色々と話を聞きたいと願う人もいる。 なんと言っても、彼は『ジェノバ戦役の英雄』であり、英雄達のリーダーだったのだから。 当然、クラウドはそういう人達を毛嫌いしている。 表情は元々愛想の欠片もないのだが、その『無表情』が逆に『クールなヒーロー』として人気を呼んでいた。 だから、クラウドに長居してもらいたくて引き止める人は割りといたりする。 大抵は軽く流してさっさと背を向け、その場を去るクラウドだったが、たまに、 『お願いです…寂しくて…』 とか、 『お前さんはワシの息子に良く似とる…』 とか、 『あんたはほんに優しい人じゃねぇ…。私の孫があんたに憧れててねぇ…』 などなど。 情に訴えられると中々に断りにくかったりする。 そして、ついつい家に招き入れられてお茶を飲んだり、時にはそのまま断るタイミングを逃して夕食まで…となったこともある。 数にしてみれば無論、そんなに多くはない。 だが、それでも幼い頃のクラウドを知る人間が、今の彼を見たら目を飛び出して驚くことは請合おう。 そうして、その数にしては少ない食卓への誘いの中には、それこそ目が飛び出そうな料理を振舞われたことが数回ある。 クラウドはそれらの料理を目の前にして、 『ティファやデンゼルやマリンに申し訳ない…』 『持って帰って食べさせてやりたいな…』 『……帰りたい…』 と、およそ料理への感動とはかけ離れたことを考えながら口に運んだものだ。 だから、見た目華やかなそれらの料理が美味しかったという記憶がとんとない。 ただただ、『すごい料理だった』という印象しかないのだから、勿体無い話だ。 クラウドにとって、最高の料理は言うまでもなくティファの作った手料理。 彼女の作り出す素朴な料理や、時には奮発して腕を振るってくれたご馳走は、目を楽しませ、鼻を喜ばせ、舌を躍らせ、心を満たす。 少しでも早くその最高級の料理を味わいたい。 クラウドは足を速めてスタンドへ向かった。 だが。 とにかくウータイ大陸はもとより、孤島の交通手段は海路に限られる。 ジェノバ戦役時代、ハイウィンドを駆使して大空を走り回っていたのがいかに贅沢なものだったのか、身につまされることがしばしばだ。 そうして、この日もクラウドはその気持ちを目一杯味わうこととなった。 「欠航!?」 波止場に着いたクラウドは、文字通り両肩をガックリと落とした。 船の整備の関係で本日予定していた最後の一本が欠航となった…というのだ。 本当なら、この便の船に乗り込み、翌日の夕方には帰宅出来ていたはずなのに、これで丸々一日、予定がずれ込むこととなった。 暗澹たる気持ちでティファに連絡を入れ、携帯の向こうから苦笑交じりに、 『そう…。仕方ないわよね…』 そう言って、自分以上にガッカリした声のティファに、幾分か気持ちが浮上したのだが、それでも明日の夕飯を家族揃って一緒に摂れる、と楽しみにしていたのに、お預けになってしまったという事実は変わらない。 『クラウド、明後日には帰ってこれるよな?』 『クラウド、ちゃんと食べて、しっかり休んでね?でないと船酔い、酷くなっちゃうから』 デンゼルとマリンが、実にそれぞれの個性たっぷりの一言を携帯を通じて与えてくれたことも、クラウドの沈み込んだ気持ちを少しだけ浮上させてくれた。 「明日の朝一番の船に乗るから、多分明後日の朝方には帰れると思う」 そう言うクラウドに、 『ダメよ。それって一晩中、荒野をバイクで走る、ってことでしょ?危ないから、夜はどこかでちゃんと休んでちょうだい。そうしてくれないと、心配で私、寝れないわ』 ティファがしっかりと釘を刺した。 クラウドはまたもやガックリと肩を落としながら了解の返事をするしかなかった…。 「さて…」 携帯を切り、ポケットにねじ込んでクラウドは愛車にまたがった。 正直、またさっきの町に戻るのは気が引けた。 何しろ、クラウドは目立つ。 金髪・碧眼の美男子であるという自覚は残念ながら彼にはないが、それでも自分が目立っているという自覚だけはあった。 目立つ理由は、『フェンリル』に乗っているせいだ、と思っているところがクラウドらしい勘違い。 勿論、馬鹿でかいバイクはそれだけで存在感がバリバリにある。 だが、それ以上にそれを自在に操っている青年がいかに魅力的で人を惹き付けるのか…。 その辺の自覚が少しでも芽生えてくれたら、ティファの心労も少しは減るだろう。 まぁ、そのあたりのことは似たものカップルなのだが…。 クラウドはフェンリルにまたがったまま、エンジンをかけずに暫し考えた。 先ほどの町に戻ると、絶対にまた、好奇の視線に晒される。 何が悲しくて、そんな視線を甘んじて受けねばならないのか。 だが、この大陸で他に宿があると言えば…。 「 ……… 」 巨大手裏剣を構えた破天荒娘の顔がポン…と浮かんで不適に笑った。 クラウドは諦めてもと来た道を戻ることに決めた。 * 「へぇ、欠航。それは災難だったな」 生まれたばかりの町に出来たばかりの宿屋で、クラウドはギリギリ最後の客となることが出来た。 クラウドよりも先に波止場に行っていた乗船予定客達は、こぞってこの町にやって来て宿を求めていたのだ。 クラウドよりも先に波止場に行き、欠航を知った客達が沢山いたのに、クラウドが最後の客となる幸運をつかめたのは、一重に愛車の素晴らしい馬力による。 フェンリル以上のスピードが出せるバイクは、恐らく存在しないだろう。 そして、そんな化け物を一心同体のように操れるのもクラウドだけだ。 そんな愛車のお陰でクラウドは野宿をせずに済んだのだった。 無論、他の乗船予定客達多数が、町のすぐそとで野宿する羽目となっている。 出来たばかりの新しい宿は、三人の兄妹で営まれていると、この宿屋の若旦那が気さくに話しかけてきた。 両親はゴンガガに住んでいるという。 ゴンガガの名前を耳にした時、クラウドは箸を止め、息を呑んだ。 黒髪・碧眼の陽気な親友が脳裏に浮かぶ。 「まぁ、そのお陰でこの宿屋も今夜は大繁盛なんだけどな」 ニコニコと笑う人懐っこいその仕草は、どことなくザックスを思わせた。 ゴンガガ出身者は、明るい気質なのかもしれない。 「これ、妹が腕を振るったんだ。良かったら食べてくれ」 サービスな。 他の客にバレないように、ウィンクしながらそっと差し出された小鉢を、クラウドは目礼しながら受け取った。 中身はサトイモの煮物だ。 特になんと言うことはない料理だが、暫く家を離れて仕事をしていたクラウドにとっては懐かしい『家庭の味』。 ありがたく口に運び、その美味しさに軽く目を見開く。 若旦那が嬉しそうに微笑んだ。 「ちょっと兄さん、注文溜まってるわよ」 奥から女性の声がした。 若旦那が「あ、やべ」と言いながら舌をチラッと覗かせ、悪戯っぽく笑う。 クラウドは釣られて頬を緩めた。 若旦那が声のした方へ向かうのと、奥から女性が出てくるのとが同時になった。 黒髪を肩口で切りそろえた綺麗な女性だった。 年の頃は20歳くらいだろうか…? クラウドと話をしていた兄に小言を言おうとして口を開き、そのままポカン…と固まった。 クラウドの紺碧の瞳を呆けたように見つめる。 「おい、口開いてるぞ?」 「 ! 」 笑いをこらえながらからかう兄に、女性は真っ赤になるとバシン!とその肩を叩いた。 「もう!」 唇を尖らせ、眉を吊り上げる。 だが、赤い顔をしているので迫力がない。 周りで食事をしていた他の泊り客達がおかしそうに口笛を吹いたり、軽くはやし立てたりした。 クラウドはスッと視線を逸らせると、もう一口サトイモの煮物を口に運んだ。 「お客様、ベッドの用意が出来ましたので、お部屋にお戻りになられても結構ですよ」 もう一人の兄が顔を出し、盛り上がっているその場にキョトン…と目を丸くした。 そうして。 クラウドはようやっと、ベッドに身を横たえている。 正直、船に乗れなかったのは残念だったが、それでも若干これで良かったのかも…と思うようになっていた。 思っていた以上に身体が疲れている。 換えたばかりのシーツは、清潔な匂いがした。 この宿の兄妹をそのまま表したような清々しい匂い。 「…悪くないな…」 旅先ではあまり良い宿に当たったことがないクラウドは、ウータイ大陸に今後、配達があったとしたら迷わずこの宿に泊まろう、と決めた。 良い宿屋があるのは本当に助かる。 料理も美味しかった。 若旦那もその弟も気さくで良い人達だった。 今度この宿に来る時は、ティファ達を連れて来ても良いかもしれない。 特にティファは喜ぶだろう。 日頃、クラウドがどういうところで寝泊りしているのかを気にしていたからだ。 こういう良い宿屋があると分かったら、彼女も安心してくれるはずだ。 そんなことを考えながら、いつしかクラウドはウトウトとまどろんでいった。 意識が静かに夢の淵を彷徨う。 眠りに着く一瞬前というのが、実に心地の良い瞬間だ。 夢か現(うつつ)か判別しにくい瞬間。 クラウドは心から安らいでいた。 ただ、一つだけ残念なのは、この腕の中に彼女がいないこと。 彼女がいてくれたら、この幸福は完璧なものになるのに…。 と…。 誰かが近づいてくる気配がする。 微かに残っている意識の片鱗が、誰かの気配を感じ取った。 いつもならクラウドは寝たふりをして起きただろう。 そして、警戒したはずだ。 だが、クラウドはたいそう疲れていた。 起きなくては…と、頭の片隅で思うのに、身体がついてきてくれない。 それに、なんとなく警戒する必要がないように感じとっていた。 そっとその人影が自分に手を伸ばしてくる。 おずおずと、躊躇いながら…。 そして、その手は柔らかくクラウドの頬に触れた。 次いで額。 髪を優しく梳く…。 それはまるで…。 「…ティファ…?」 目を閉じたまま、強い睡魔の故に重い口からポロリ…と零れたその名前。 スッと、温もりは離れ、そのまま気配は消えてしまった。 同時にクラウドもとうとう眠りの誘惑に抗えず、夢の国へと堕ちていった…。 * 『なぁ、クラウド』 目の前で、黒髪・碧眼の親友が笑っている。 クラウドはひどくゆったりとした気持ちで「なんだ?」と応えた。 『なんであの人だけなんだ?』 ザックスの言う『あの人』というのが、ティファを指しているとすぐに分かった。 からかっているような、それでいてクラウドの本心を探ろうとしている彼に、クラウドは軽く肩を竦めた。 「さぁ…?」 『他にも沢山人間はいるだろう?』 ドッカ、と腰を下ろして胡坐を組むザックスに、クラウドは苦笑した。 「…そうだな…」 『もう少し見聞を広めても良いんじゃないのか?』 可笑しそうに笑うザックスに倣い、クラウドも胡坐をかいた。 「…そうかもしれないな…。でも…」 途中で言葉を切り、親友を見つめる。 興味津々に見つめてくる親友に、クラウドは微笑んだ。 「一番素晴らしい宝を手に入れてるのに、二番、三番なんか意味があるのか?」 『お前も言うようになったな』 大きな口を開けて笑うザックスに釣られ、クラウドも笑った。 * 「ありがとうございました。また寄って下さいね」 「「 ありがとうございました 」」 翌日は、申し分のない天気だった。 若旦那兄妹に見送られ、クラウドと他の宿泊客達はその町を後にした。 妹の視線がどこかよそよそしく感じられたのはクラウドの気のせいだろうか…。 少しだけ違和感を感じながらクラウドは愛車を走らせた。 波止場に着いたのはダントツでクラウドが一番だった。 甲板に出て柵にもたれ、ゆったりとした気分で大海原を見つめる。 やがて、次々に乗船客達が船に乗り込み、出航した。 「それにしてもよぉ、あの宿屋の姉ちゃん、結構大胆だったよな」 「おうよ、俺もびっくりしたぜ!」 大きな声で誰かが甲板に上がって来たらしい。 クラウドは少しだけ眉を顰めると、スッとその場から移動してドアを回り込んで裏側に回った。 大きな声で色々と話をする人間はいつまでたっても慣れない。 「なんだかんだ言っても、どんだけ純情そうな顔をしてても、やっぱ『人間』だよなぁ」 「あぁ、見た目が良くて名声があると、コロッとやられっちまうんだな」 「あ〜あ、なんだか面白くないなぁ」 「それにしても、本当にあの『ジェノバ戦役の英雄』は凄かったなぁ」 クラウドはギクッとした。 どうやら自分の話しをしているらしい。 よくよく会話を聞いてみると、昨夜の宿屋で同じだったようだ。 ということは、 『宿屋の姉ちゃん……って、彼女のことか?』 サトイモの煮物を実に美味しく作った彼女を思い出す。 彼女と自分のことをどうこう言っているが、クラウドにあるのは兄である若旦那を呼びに彼女が来た時、一瞬だけ目が合ったという記憶だけ。 それをとやかく言われる筋合いなどない。 『やれやれ…』 盛大な溜め息をついて、話に花を咲かせている男達にバレないように船室に戻ろうとしたクラウドだったが、 「でもよぉ、あの姉ちゃん、涙流しながら英雄の部屋から出てきたよな」 その一言でその場に凍りついた。 いやいや、待て! そんな記憶は微塵もない!! そう喚きたかったが、完全に身体は硬直してしまっている。 彼らが何を言っているのか理解不能だ。 いや、理解は出来るのだが、そんなバカみたいなことがどうして話されているのかが分からない。 カチンコチンに固まっているクラウドに気づかず、彼らは話を続けていた。 「あれは絶対に拒絶されたんだぜ」 「く〜、女に恥をかかせるだなんて、男の風上にも置けないな!」 「据え膳喰わぬは男の恥、って言葉を知らねぇのかねぇ」 鈍いクラウドにもようやく事の真相が分かってきた。 昨夜、夢うつつに感じた『ティファのぬくもり』は、彼女だったのだ。 頬と額、髪に触れた正体。 その正体はてっきり、自分が見ていた夢だと思ったのに。 『………なんてことを…』 クラウドには二の句が告げない。 仮にも男性の部屋にうら若き女性が侵入するなど! しかも、泣きながら部屋を後にしたのをバッチリ他の泊り客に目撃されているとは、とんだ迷惑だ。 凍っていた脳が動き出すと、今度は腹が立ってきた。 いや…。 腹が立ってもおかしくないだろうに…。 「 …… 」 帰り際の彼女の何ともいえない雰囲気。 あれは、結局はそう言うことなのだ。 自分がポロッと口にした『ティファ』という名。 それだけで彼女は悟ってくれたんだろう。 それに、彼女が自分の部屋に来たのは、もしかしたら『ジェノバ戦役の英雄のリーダー』の話が聞きたかったのかもしれない。 …まぁ、涙を流しながら部屋を後にしたらしいので、そういう可能性は少ないのだが…。 ― 『なんであの人だけなんだ?』 ― ― 『他にも沢山人間はいるだろう?』 ― ― 『もう少し見聞を広めても良いんじゃないのか?』 ― ― 『お前も言うようになったな』 ― 『ザックス、見てたな』 夢に現われた親友を思い出し、苦笑する。 あのお調子者のことだ、きっとライフストリームでエアリスと一緒に腹を抱えて笑っていたに違いない。 そうして、喜んでくれていたと思う。 ― 『お前も言うようになったな』 ― その一言にどれだけの想いが込められているのか、なんとなく察することが出来る。 『ザックス風に言うと、『至高の宝』だからな…ティファは』 だから、悪いけど誰の気持ちにも応えられない。 そっと空を仰いで宿屋の女性に詫びる。 そうして、この広がる空の下で自分の帰りを待っている彼女を想い、クラウドは胸を温かくした。 クラウドがその至高の宝を腕に抱きしめるまで、あと丸一日が必要だった…。 あとがき 宿屋の女性は、決してクラウドに『夜○い』をしようとしたのではありません!!(必死)。 ちょっとお話してみたいなぁ…と部屋を訪ねたら、電気が点いてたので開けてみたんですね。 そしたら、眠りの森の美女顔負けの男性が寝ていたのでついつい…。 という、なんとも微妙なお話でした(^^;) あぁ、石、石投げないでーー!! |