健やかなるときよりも病めるときにこそ目を開けてまず見えたのは、薄暗い部屋の天井。 次いで意識が捉えたのは隣に眠る人の温もり。 そうして次々意識がよりクリアになり、自分を包む温もり全部を認識する。 そっと視線を転じると、掛け布から覗く彼の腕が夜目に白く浮かび上がった。 男性にしては華奢ですらある彼の体躯。 だが、必要な筋肉で覆われているしなやかな身体を現すかのように逞しいその肩に、心臓がトクンと少し跳ねる。 その肩から伸びる腕は当然と言わんばかりに深夜に目覚めた彼女を抱きしめるようにして回されおり、ゴツゴツとした手はそのままティファの肩をしっかりと抱き寄せていた。 あぁ、だからこんなにも窮屈なんだわ。 ティファは自分が目を覚ましてしまった原因を理解した。 こんなにも密着されていたら寝苦しくて仕方ない。 事実、意識がまどろみから覚醒へと移行する中、決して心穏やか…というわけではなかった。 どちらかと言えば…狭苦しくて息苦しい。 だが、その原因が他でもない彼に抱きしめられているせいだ、ということになると話は変わる。 彼は良く眠っていると言うのに、こんなにもギュッと抱きしめてくれている。 その相手が恋する人なのだから喜ばないはずがない。 寝苦しさとか、息苦しいとか、窮屈であるとか。 そう言ったマイナスな感情は溶けてなくなり、代わりにどうしようもない嬉しさや恥ずかしさ、心地良さが胸いっぱいに広がる。 そのままかみ締めるようにして彼の温もりを堪能していたが、あまりにも深く眠っている様子の彼に少しだけ欲張りになる。 寝顔をじっくり眺めてみたい。 そう思い始めるとどうしても欲求は抑えられない。 ティファはクラウドを起こさないよう慎重に体を彼へと向けた。 まるでちょっとだけ悪いことをしているような、それでいて今、この瞬間だけは自分のものだ、という高揚感から心臓がドキドキと早足になる。 ゴソゴソと観察しやすい位置を調節し、納得のいく体勢をとってようやく至近距離でクラウドを見つめた。 スッと通った鼻梁、少し開いた唇から洩れる安らかな寝息、睫毛に覆われた瞼は閉じられ、形の良い眉は穏やかなカーブを描いている。 それらのパーツをすっきりと納めている顔の形を現す顎のラインと、枕へと流れる癖のある彼の髪…。 そのどれもが完璧だとティファは思った。 本当に綺麗。 こんなにも綺麗な男性が世の中にいるものなのだろうか?と、実際目にしていて尚、そんなことを思ってしまう。 女性よりも綺麗な男性ってどうなんだろう?と、呆けたようにクラウドの寝顔を見つめながら考える。 どう考えても一緒に並んで歩くのは……厳しい。 並の女性よりも美人顔。 本人にそんなことを言うとムッとしてしまうので絶対に言わないが、それでも陰で常連客たちが酔った時にそう言って笑っていたのを何度も聞いた。 そこらの女よりもベッピンさん。 本当にそうだと思う。 だが、客たちにはクラウドの前では絶対に言わないよう釘を刺した。 うっかり本人に酔った勢いでポロッともらしでもしたら一大事だ。 美人顔と呼ばれることをクラウドが嫌がるのは恐らく、2年前の旅の記憶が蘇るからだろう。 旅の記憶、というよりも、旅の直前の記憶と言った方が正しいかもしれない。 紫のシルクのドレスを身に纏い、助けに来てくれたクラウドのあの時の姿は鮮明に覚えている。 ティファは唇に笑みを浮かべると胸にチクリと刺さった痛みを押し込んだ。 コルネオの館へ女装をして乗り込んでくれた彼を思い出すと、自然ともう1人の姿も蘇る。 桜色のドレスをふんわりと着こなした星の聖女。 初めて会ったのがあんなところで、その後、星に関わる壮大な旅を共にすることになるだなんて、今考えたらすごいことだと思うと同時に、なんだかとてもおかしくなってきた。 クスリ、と小さく笑い声を洩らしながら目の前で眠るクラウドを見つめ続ける。 小さな小さな笑い声だったためか、全く起きる気配もなく規則正しい寝息を立てる彼に、心の底から満ち足りたものが溢れてきて止まらない。 その気持ちに後押しされるようにそっと指を彼の頬へと伸ばす。 指先に触れた彼の顔は、外気に触れているからだろうか、ひんやりとしていた。 肩がむき出しになっているから余計に冷えているのかもしれない。 だけど、抱きしめてくれている腕や押し付けられている身体はこんなにも温かい。 顔に触れていた指をむき出しの肩へと移す。 そっと筋肉の流れに沿うようにして指を滑らせると、何故かドキドキと心臓が高鳴った。 何度、この腕に守られてきたことだろう。 弱った時、泣きたくなった時、身に危険が迫った時…。 彼は一生懸命、全身全霊をかけて守ってくれた。 その時は分からなくても、振り返ってみれば彼が守ろうとしてくれていたと分かることが多い。 不器用な人だから、その時にはすぐ分かってもらえない。 そのことで傷つくことが決して少なくないのに、それでも逃げずに戦ってくれるようになったとティファは感じている。 その証のように今、ここにいる。 傍に居て抱きしめてくれている。 肩を撫でる手の動きを止めず、ゆっくりゆっくり、上下に擦る。 そうしているうちに、段々弾んでいた気持ちが下降していき、やがて暗いものへと変貌を遂げた。 ここに……あったのだ。 彼の命と魂と心を蝕んでいた忌まわしい星痕が。 出来れば…。 ”現在(いま)”ではなく、”その時”にこうしてあげたかったと思う。 治ってしまった今ではなく、苦しんでいたまさにその時に、こうして手を触れ、寄り添い、包み込んであげたかった…。 星痕の原因は体内に侵入した異物(ジェノバ)への過剰な反応。 ヴィンセントがそう説明したのだと家に戻ってきて暫く経った頃、クラウドは当時の話しの次いでのように話してくれた。 ならば当時、クラウドから星痕にかかったのだと打ち明けられていたとしても、自分に出来たことは何もなかっただろう。 だが、寄り添うことは出来た。 星痕が暴れて酷い痛みを発しているときには声をかけ、濡れたタオルで拭くことは出来た。 たったそれだけしか出来なかっただろうが、それだけは出来たのに。 デンゼルにしてあげられたことはそれくらいしかなかったが、クラウドはそれすらさせてくれなかった。 病による痛みへの苦しみ、見通しのつかない未来への恐怖、それら全部を己の内に押し込め、病を伏せ、黙って出て行ってしまった。 あの時のことはティファの胸に深い影となって心の奥底に鎮座している。 恐らく、一生忘れることは出来ない。 当時のクラウドの気持ちを理解している今でも、やはりあの時感じた絶望や無力感、不安、苦しみ、そして…怒りは消えてくれない。 勿論、それらの負の感情は随分薄らぎ、淡いものとなっている。 だが時として、当時のものに及んでしまいそうな勢いを取り戻し、ティファの心をかき乱す。 それは、店を久しぶりに訪れた客の心無い一言だったり、逆に何もきっかけとなるものに出会わなくてもフッとした拍子に脳裏へ当時の情景がフラッシュバックするのだ。 そのたびにティファは静かに息を大きく吸い込んで、こみ上げてくるそれらを全部飲み干した。 自分が抱えている黒いものを誰にもバレないよう、完璧に飲み干してこられた、と思っていた。 「……」 ティファはいつの間にか止めていた息を細くフーッ…と吐き出した。 息は止めていたのに肩を擦る手は止めていなかったティファは、そのまま指先を滑らせてクラウドの頬へに触れた。 頬から顎のライン、そして唇へ触れそうになってそっと手を引いた。 『星痕への偏見がすごかったあの時、コイツだけが傍でずっと支えてくれていたんだ。俺の家族も友達も、皆が俺を汚いものでも見るかのように追いやった中、コイツだけが俺の味方だった。感謝しても仕切れない』 今日、いや、もうこの時間だと昨夜になるが、初めて店にやって来たある男性客の一言で、ティファの心の奥底で鎮座していた黒い感情が久々にムクリ、と頭をもたげた。 うっとりと隣に座る美しい女性を見つめながらしっとりとした口調で語る男性客。 その男性客に見つめられて頬を染め、嬉しそうに微笑む女性客。 2人の姿はティファに言葉に出来ないほどの嫉妬を抱かせた。 笑みを浮かべ、「そうですか、良かったですね元気になられて。本当に良かった。それに、中々そういう方と巡り会えることは出来ませんもの。羨ましいです」と、相槌を打ちながらも、思い出されるのは当時の暗い気持ちと情景だけ。 そして、思わずにはいられない。 どうして私にはそれをさせてくれなかったの…? 今さら言っても仕方ないことだと分かっているし、未だにこんなことを思ってしまう自分のズルズル加減に嫌気が差す。 だが…この気持ちを殺してしまうことがどうしても出来ない。 たった一言が欲しかった。 − 俺もデンゼルと同じになった − そう言ってくれたら、数少ない出来る限りのことをして、声をかけ続け、愛を囁き、昼も夜も抱きしめて…。 ティファはクラウドの寝顔を締め出すように顔を伏せると目を閉じた。 どう思ったところで誰にもどうしようもない。 過去は変えられない。 起こってしまったことは覆らない。 出来るのは、苦い過去をこれから生きる上での糧にすることだけだ。 そう、分かっているのに。 『ズルズルズルズル…、ズルズルズルズル、いつまで引きずってるの?』 そう言うはずだったあの時の台詞は、現れたレノによって攫われてしまったがティファが言ったようなものだ。 そして、その言葉を今、誰よりも自分へ向けて叱咤したい。 幸せそうな2人の客を見てこんな暗い感情が呼び起こされるなんて、自分がとんでもない人でなしのような気がしてティファは気持ちが更に落ち込んだ。 目を閉じたまま、回される腕の温もりに包まれて暫く過ごすと波立った感情が少しずつ癒えていく…。 心が凪いだ頃、再びティファは目を開けた。 そして、変わらず穏やかな眠りに身を委ねているクラウドを見つめる。 知らず、心に浮かんだ言葉が小さな声となってティファの唇から滑り出した。 「今度は…ずっと傍にいるから…」 もしも。 星痕症候群とまではいかなくとも、何かしらの病に倒れたり怪我を負ったり、もしくは心が酷く痛めつけられて深い悩みと苦しみに突き落とされてしまった時がきたならば。 今度こそずっと傍にいて、抱きしめてあげたい。 傷つき痛むその場所へ優しいキスを落として、寄り添ってあげたい。 他の誰に頼るのでもなく。 思い出のよすがに縋るのでもなく。 他の誰でもなく私を思い出して。 私の傍にいて。 痛みを代わってあげることは出来なくても、一緒に苦しんで、戦って、そうして共にその時を歩んで生きたい。 それを他の誰かに望まないで。 どうか、私を選んで。 傍にいて…。 そうしてティファは、こみ上げてくる震えるモノを押さえ込むように深く息を吸い込むと、ゆっくり吐き出した。 そっと目を閉じ、額をクラウドの顎の下へ擦り付けるように顔を寄せてから暗い気持ちに区切りをつけるようにしてパッと目を開けた。 そのまま、クラウドを起こさないよう回されてる腕から抜け出そうと身を捩った。 とてもじゃないが、今すぐ眠ることは出来ない。 水でも飲んでからもう一眠りしようと思ったのだ。 だから。 「どこに行くんだ?」 回された腕に急に力が入ったかと思うと、ほんの少しだけ出来た隙間があっという間に縮まり、先ほどよりもうんと密着した状態になって心臓が勢い良く跳ねる。 「傍にいるって言ったくせに」 ひゃっ!と、小さな悲鳴を上げたティファに少し寝ぼけたようなモソモソとした声が詰る。 途端、ティファの鼓動が早足状態から駆け足状態へとスピードを上げた。 「聞いてたの!?」 「聞いてた、と言うか…聞こえた…」 半分眠ったような口調でボソボソ答えるクラウドに、顔から火が出る勢いで猛烈な羞恥心に襲われる。 寝ぼけた声しか出せないくせに、クラウドはティファの頭を抱きこんで離さない。 丁度、ティファの頭のてっぺんに自分の顎を乗せるようにして力いっぱい抱きしめているから、真っ赤な顔をクラウドに見られずに済んでいる。 だが、照れ屋なティファにとって、それはあまり救いとなるようなことではなく、出来れば今すぐ、クラウドの前から消えてしまいたくて仕方ない。 だってあろうことか、独り言を聞かれてしまったのだから。 独り言というのは、自分の本音、心の底に隠していた言葉であることが多い。 その大事で隠しておきたい言葉を誰でもないクラウドに聞かれてしまったのだから、穴があったら迷わず飛び込んだだろう。 逃げ出そうともがくが、もがけばもがくほど抱きしめる彼の腕に力が入り、ふくらはぎに乗るようにしていたクラウドの足にまで抱え込む力が入ってくる。 「ク、クラウドお願い。ちょっと…離し」「イヤだ」 「イヤって…、でもちょっと…苦しいか」「イヤだ」 「あの…ちょっと力緩め」「却下」 「却下って…」 これ以上密着しようがないと思えるほどの抱擁に、ティファはあたふたしながら離してくれるよう何度も懇願したが、寝ぼけた声のままクラウドは頑として首を縦に振らない。 そればかりか、抱きしめている片腕を徐々にティファのウエストラインへと移動させる。 その手の動きにビクッ、と思わず震えてしまい、耳の端まで真っ赤になる。 だが、やはりクラウドはそんなティファに気づかないのか、ゆっくりとした手つきで背中とウエストを往復させた。 「あ、あの…ちょっと待って」「なにを?」 「なにをって…クラウド、そ、それやめて」「だから…なにを?」 「も、だから…ちょっと」「ティファ、はっきり言わないと分からない」 「っっ!!」 突然、耳を甘噛みされてティファは息を鋭く吸い込んだ。 そして、その時になってようやくクラウドが寝ぼけたフリをしていたのだと気づく。 至近距離で甘やかに見つめるアイスブルーの瞳は全く眠気を含んでいない。 妖艶とすら言える微笑を浮かべているクラウドに、これ以上無理だ、というほど真っ赤になると羞恥心のあまり涙が滲んできた。 「…イジワル!」 「ティファ限定でな」 「〜〜〜、変態!」 「それもティファ限定で、だな」 「……」 「ティファ?」 赤くなって恥ずかしがる自分をまるでからかうように余裕なクラウドに、突然ティファの視界が本格的にぼやけた。 ハッとして顔を伏せて隠そうとするが、当然のようにクラウドはそれを許さない。 顎に手をかけ、強引に上を向かせると有無を言わせず唇を重ねた。 深いその口付けに吐息すら飲み込まれる。 何度も角度を変えて深く交わってくるクラウドに、気がつけばいつしかティファ自身もクラウドの背中へ手を回し、必死にしがみついていた。 「…ごめん」 ほんの少しだけ顔を離し、息を乱すティファへクラウドが小さく謝った。 ボーっとした目を向けるティファに、クラウドは真摯な眼差しを注ぐ。 「あの時は…自分のことしか見えてなかった。自分自身すら守れない俺には、誰も守れないってそう思った。でもそれだけじゃなくて、エアリスやアイツのことを見殺しにした俺に、穏やかな死を望むなんておこがましいって思ったんだ。だから、家を出て、独りで死ぬその時を待つのが相応しいって…勝手に自己完結してた」 それは、家出から戻ってきて今日まで聞くことが出来なかった当時のクラウドの本音だった。 ティファは目を見開き、吸い込まれてしまいそうな深い色を宿すクラウドの瞳をただただ黙って見つめるしか出来なかった。 クラウドは少し苦い笑みを浮かべるとティファの前髪をそっと払った。 「いつか…、ちゃんと話さないとって思ってたんだ。だけど、結局そのタイミングが分からなくて、いつの間にか『もう、このまま言わないままでもいいか』って思ってしまってた。でも、それじゃああの時と何も変わらないよな。ほんとにごめん」 クラウドの誠心誠意の篭った真摯な謝罪。 目を見開いたままのティファの瞳から新たな涙がもう一滴(ひとしずく)流れる。 その涙を追うようにしてクラウドは顔を寄せると唇でこめかみを拭い、額へとおまけのようにキスを落とした。 「俺は本当に勝手だった。どう謝っていいのか分からない。でも、これから先、1人で勝手に自己完結するようなことは絶対にしないって約束する」 真っ直ぐ見つめるクラウドを見つめ返しながら、ティファは黙って頷いた。 先ほどまで溢れていた黒い感情が、歓喜へと変わる。 嬉しすぎて言葉が何も見つからない。 「なぁ、ティファ。ティファも俺に約束してくれないか?」 急に口調を変え、少し悪戯っぽくなったクラウドにティファはキョトン、と小首を傾げる。 「黙って1人で抱え込んで、自分の中で全部飲み込もうとするティファの悪い癖を直すってさ」 ニッ…と笑ったまま口を開いたクラウドにティファはハッと目を瞬かせた。 黙って1人で抱え込んで。 それは、あの時のクラウドと同じこと。 そして、そのことを自分がすることであの時味わった苦しい思いをクラウドにも味わわせるということに繋がるのだ、とティファは初めて気がついた。 まさに目から鱗。 クラウドはティファのその表情から彼女が理解したのだと悟った。 「俺が言えたことじゃないんだろうが…頼む。俺も努力するから」 優しい笑みを浮かべ、頬へ唇を落とすとそのまま耳元で囁いた彼にゾクッ、としたものが全身を走る。 それは決して嫌悪感からではなく、むしろその真逆の…。 「なぁティファ、返事は?」 「あ…、ぅ…んっ」 「ん、なに?」 喉の奥でクツクツ笑いながら、耳元に寄せた唇をそのまま首筋へと滑らせるクラウドに、治まりかけていた鼓動が再び全速力で走り出し、『うん』と返事をしたいのにまともに声にならない。 喉の窪みへ彼の唇が下りた時、ようやっとティファはいつの間にか自分の背中がベッドに押し付けられている体制になっていることに気がついた。 「も……イジワル……!」 「ティファ限定でな」 「〜〜…変態…!」 「それも、ティファ限定で、だな」 先ほどと全く同じやり取りに、またからかわれているのかと拗ねた気持ちと、クラウドの唇から与えられる甘い喜びに胸の中がせめぎ合いながら、全身を真っ赤に染めつつクラウドを睨みつけようとして…。 「だから、ティファも俺限定で、俺にだけわがままになって。いつでも…いや、しんどい時やツライ時にこそ、俺にだけ」 その彼の”わがまま”に、心の全部を奪われる。 吸い込まれるようにクラウドの瞳を見つめ、そうしてティファは頷く代わりのようにクラウドの首へと両腕を回した。 重なった唇はすぐ互いの吐息を貪り合うかのように深く交わる。 二人の手は互いの身体のラインをなぞり、今生きて傍にいるのだと確かめ合って、そうして貪欲に求め合う。 もう2度と、離れないと言わんばかりに。 何度も。 そうして、2人揃って新しい1日の陽を浴びる。 もしも今日、目の前の人に苦しいことや悲しいこと、ツライことや悔しいことがあったとき、傍にいて抱きしめることが出来る喜びを感じながら…。 あとがき マチキャラ見て唐突に浮かんだお話し。 出来上がりまでにすんごい時間がかかった上、なんか途中で脱線orz でも、クラティにはこんな風に寄り添っているだけじゃなく、お互いに貪欲でいて欲しヽ(*・ω・)┌┛)゚ロ゚)ゲシッ!ゥハ。 |