「あ〜…、やっと一段落ついたなぁ…」 「ふふ、そうね」 ここはエッジ。 つい数日前まで、この夫婦には娘がいた。 しかし、突然姿を消してしまった…。 それは、娘を見つけたとき同様、なんの前触れも無く…。 夫婦には子供がない。 唯一の娘は『星痕症候群』で世を去った。 その入れ替わりのタイミングで現れた『女性』。 娘が戻ってきたような気がしていた。 顔は…全く違うし、性格も決して悪い子じゃなかった。 「あの子……幸せだといいわね」 「そうだな…」 夫婦は空を見上げた。 今日もいい天気だ。 Fairy tail of The World 96「ほら〜!早くしないと遅れちゃうよ〜!」 「わ〜ってる、わ〜ってるから、キッド、ちょっと待て!」 「ほら、キュート、お父さんに『頑張れ〜!』って言ってあげて」 「おとーた、がばれ〜!(お父さん、頑張れ〜!)」 「うぉお!!可愛い娘にそう言われたら頑張るしかないぜ!いくぞーー!!」 「あなた、頑張るのはいいけど、信号はちゃんと守ってね」 「なに言ってる!信号の一つや二つ、無視して行かなくては遅れるじゃないか!!」 「でも、あなたが怪我するのは仕方ないかもしれないですけど、キュートに怪我があったら大変ですもの」 「おおう!そうだった、可愛い娘のために、信号は守らなくては!!……ところで、俺は怪我してもお前はどうでもいいのか…?」 「あら、なに言ってらっしゃるの?良いわけないじゃないですか」 「お、おお、そうか。イヤイヤすまん、ちょっと俺の事はどうでもよさそうな口調だったような気がしたから…」 「まぁ、そんな…私のあなたへの愛を疑うんですの?」 「いやいやいやいや!そんなことはないから!!」 「…どっちでもいいけど、信号変わったから早く渡ろうよ…」 「ん〜…まだかなぁ…」 「デンゼル、まだまだだよ。こういうのってすっごく時間かかるんだから」 「え〜…でもさぁ、俺腹減った」 「だから、ちゃんと朝御飯食べなさいって言ったのに〜」 「うぅ…緊張して昨夜寝られなかったんだもん」 「デンゼルが結婚するわけじゃないのに?」 「そうだけど!ちゃんとクラウド、式が出来るかどうかが…心配で心配で…!!」 「……まぁ…ちょっと心配かも…」 「お〜い、お二人さん、ティファの心配はしないの〜?」 「「 ユフィ(お)姉ちゃん! 」」 不毛な会話に突然割り込んできたウータイの忍に、子供達は顔を輝かせた。 彼女の服は、ピッタリとしたワンピースで裾がタイトなのだが、スリットが両脇に入っている。 深紅の生地は光に当たってキラキラと光っており、大きな花が色とりどりに刺繍されていた。 そして、彼女の黒髪は沢山のヘアピンで斜めにぴっちりと留められ、耳元に大輪の花が飾られている。 「「 わ〜!すっごく綺麗! 」」 「へぇ、馬子にも衣装ってぇやつだな」 「なんだいバレット!一言多いんだよ!」 「…お前は口を開かない方が良いな…特に今日は…」 「う……ヴィンセント…キツ…」 バレットの突っ込みには勢い良かったユフィが、ヴィンセントの的確な突っ込みにシュンとすると、周りは笑いの渦に巻き込まれたのだった。 その時。 係りの人が準備が整ったことを知らせに来た。 皆、パッと顔を輝かせると、式会場となるあの『教会』へ、足を向けた。 二人のたっての希望で、エアリスの思い出が深く残る教会で式を挙げることとなった。 幸か不幸か。 プライアデスを生かすために、『命の泉』は枯れ果ててしまい、その部分が窪みになっていた為、新しい土で塞ぎ、その上に直接長椅子を設置した。 今回の式が終れば、その長椅子は撤去され、その新しい土の部分にエアリスの花が育てられることとなっている。 式の壇上には、既にシルバーグレーのフロックコート式のスーツに身を包んでいる。 わざと修繕しなかった屋根からは、陽の光がふんだんに降り注ぎ、クラウドの金髪とシルバーグレーのスーツをキラキラと輝かせた。 会場には、極々親しい人達のほかにも、店の常連客、グリート・ラナノーブルとその両親、バルト家からも家長とその妻、長男とその妻が参列した。 そのお蔭で、非常に格式高い雰囲気が生まれてくれたのは、きっとクラウドとティファにとっては計算外であろうが、それでも…嬉しかった。 やがて、厳かなオルガンと共に、リーブに父親役を頼んだティファが、マリンの花巻き娘に誘導されるようにして会場に現れた。 ティファが会場に姿を見せた途端、ざわざわとしていた会場内はシン…と静まり返った。 どの顔も、ティファの美しさに口をポカーンと開けて、完全に見入っている。 ティファに腕を組まれて非常に緊張しているリーブや、可愛いピンクのワンピースに身を包んだ愛らしい少女には視線がいかないのは、仕方ないのかもしれない。 マーメイドラインの純白のウエディングドレスに身を包み、頭から長いベールを流しているティファは、神々しいばかりに美しかった。 ティファの身体の美しいラインを生かしたそのドレスは、当然ユフィがドレス選びにくっ付いていって、『絶対にコレ!』と言い張って譲らなかったものだ。 やがて、ティファはリーブの手を離れて一人、クラウドの横に立つ。 差し出された手を乗せ、そっと彼を見ると、クラウドは緊張を感じさせないほど穏やかな眼差しをしていた。 その包み込むような温もりに、ティファも徐々に緊張がほぐれ、自然と笑みを浮かべる。 「クラウド・ストライフ。汝はティファ・ロックハートを妻にし……」 式ではお決まりの誓いの言葉。 二人は固い誓いを皆の前で言葉にし、クラウドはそっとティファのヴェールを後ろに流した。 一瞬見つめ合う。 クラウドはティファを。 ティファはクラウドを。 二人共、幸せそうに目を輝かせている。 そっと目を閉じ、唇が重なった…。 ― 星よ、喜べ!命よ歌え。今、新たに生まれし若き夫婦(めおと)に 星の恵みを 光の祝福を祈りて 歌え ― 突然、大きな歌声が教会一杯に響き渡った。 それに伴い、笛の音も…。 一斉にその場の全員がびっくりして立ち上がり、キョロキョロ見渡したり、隣の人と何事かを言い合ったり…。 と…。 「「「「 あ!! 」」」」 数人がある物を見つけ、天を指す。 そこから…。 「わ〜〜!綺麗!!」 「すご〜い、素敵〜!!」 口々に感嘆の言葉が洩れる。 クラウドもティファをしっかり抱きしめながら、ティファもクラウドの温もりを感じながら、その歌声と笛の音、そして…。 舞い散る白銀の羽と白と黄色の花々のシャワーを見つめた。 誰からの祝福なのか、わざわざ口に出さなくても分かる。 「クラウド!!」 「ああ……ちゃんと……帰ってきたんだな…」 その時、二人には見えた。 教会の柱にもたれるようにして立っているザックスを。 その傍らで手を振っているエアリスを…。 ティファの頬に行く筋もの涙が伝う。 嬉しくて…幸せで…。 愛しくて…愛しくて…。 まだ人々が驚き、喜び、騒いでいる間。 クラウドとティファは、もう一度見つめ合うと、心を込めて口付けを交わした。 ― 1年後 ― 「ティファ、じゃあ行って来るから」 「うん、行ってらっしゃい、気をつけてね?」 「それは俺の台詞だ。本当に気をつけてくれよ…?」 「大丈夫、クラウド。私とデンゼルがいるから」 「そうそう!だから、安心して行ってきて!あ、それからちゃんと今日も早く帰って来いよ?でないとまたティファが心配症という悪い病気を発症させるから」 「ああ、分かってる」 「もう、皆して〜!」 プン…、と膨れた顔をして見せたティファに、クラウド達が笑う。 ティファもすぐに笑顔になると、 「行ってらっしゃい」 そっと『いってらっしゃい』のキスを交わした。 クラウドは軽く微笑んでゴーグルを被り、愛車のエンジンを思い切り吹かせる。 「あ〜、すっごいスピード。あれってスピード違反だよなぁ…」 「まぁ、クラウドのスピード狂は今に始まったことじゃないし」 「でも、やっぱり今は大事な時期なんだから、もうちょっと安全運転して、怪我とかしないようにしてほしいよな」 「うん、帰ってきたらお説教だね!」 子供達のやり取りを、ティファは嬉しそうに聞きつつ店の中に引っ込んだ。 そして、店の片付けをしつつ、本日のメニューと買出しを検討する。 「ティファ、今日はどうしますか?」 「うん、今日は暑そうだから『あったか定食』はやめておこうと思うの。だから…」 「スタミナ定食ですね」 「うん!それで良いかな?」 「ティファがこの店の主人です。それに、とても的確な選抜だと思います」 シェルクの堅苦しい賛辞の言葉にティファは声を上げて笑った。 一年前、シェルクは一端シャルアと共に住み始めた。 しかし、すぐにシャルアは仕事が忙しくなり、シェルクもティファの状態が気になったので、こうして半年前からまた一緒に暮らすようになったのだ。 「じゃあ、買い物に行ってきます」 「うん、よろしくね」 軽い足取りで市場に向かうシェルクに、ティファは手を振って見送った…。 が。 「あ……リンゴ買って来て、ってお願いするの忘れてた…」 「じゃあ、携帯にかけたら?」 ジャガイモの芽を取りながらデンゼルが提案する。 しかし、ティファは軽く首を振ると、 「ううん、リンゴだけだったらすぐそこの果物屋さんで大丈夫だもの。ちょっと行って来るわ」 途端に子供達が慌てて作業をやめて駆け寄る。 「ダメだよ!ティファは無茶するから!!」 「そうよ!もうほんっとうにもう少し自覚持って!!」 子供達の剣幕に、ティファは苦笑しつつ、 「じゃあ、二人共着いてきてくれる?私だってたまにはちゃんと運動しないとね」 子供達は満面の笑みでティファと手を繋いだ。 目的のリンゴは本当にあっという間に手に入った。 ブラブラと三人で街を歩くのは久しぶりだ。 だから、こうして色々な店を覗きながら歩くのが楽しい。 なんとなく新鮮な感じだ。 暫く歩き、もうすぐ店に戻る…という時。 デンゼルが「あ!」と言って、一軒の店に駆けていった。 キョトンとするティファに、 「あそこにすっごくへんてこりんなお面が売ってるの。最近、デンゼルったらそのお面を見るのが楽しみになってるみたいで…」 苦笑しながらマリンが教えた。 そして、 「デンゼル〜!ほら、帰ろうよ〜!」 と、呼びかけながらその店に駆け出す。 ティファも笑いながらその後に続こうとして………。 トンッ。 通行人と肩が触れた。 道路と歩道の段差に躓く。 『こける!!』 長年培ってきた武術により、身体はなんとか転倒を免れた。 しかし、手にしていた紙袋からリンゴが転がり落ちる。 「はぁ…やっぱり運動不足よね…」 前なら絶対にこぼさなかったのに…。 そう思いながら、何気なく落ちたリンゴを拾うとして…。 プァプァァアアアアンッ!!!! 大型トラックのクラクション。 トラックの運転手が慌ててハンドルを切るが、大きな車体は止まらず斜めにスピンしながらティファを襲った…。 「「 ティファーー!!!! 」」 子供達の悲鳴と周りの通行人の悲鳴が重なり、一気に騒然となる。 子供達は真っ青になり、自分達の出せる限りの速さで駆けつけた。 ティファは!? ティファはどうなったの!? ティファの身体は!!!! 大きな車体を回り込み、デンゼルとマリンはその場を見て…。 目を見開き立ち竦んだ…。 クラウドは目の前のドアを蹴り破らんばかりの勢いで、治療室に駆け込んだ。 そして、中にいるティファと子供達に……目を見開く。 正確にはティファに…。 ティファのお腹に手をかざしている人物に…。 「はい、大丈夫です。母体がびっくりしたからお腹の子までびっくりしただけ。すぐに元通りになります」 「じゃあ……赤ちゃんは無事なの?」 「ええ、すごく元気ですよ」 ティファに優しくそう語り掛ける青年。 漆黒の癖ある髪を持つ青年が、顔を上げてクラウドへ振り向く。 「お久しぶりですね、クラウドさん。お元気そうで何よりです」 「 シュリ!!! 」 一年前に消息を絶ったシュリが、穏やかな表情で目の前にいた…。 当然、それからは上へ下への大騒ぎ。 なにしろ、一年前に消息を絶った人間が現れたのだ。 おまけに、あろうことかシュリは、もう一度WRO隊員となるべく、新人として入隊希望をしているというではないか! 仕事に追われて時間に余裕の無かったリーブも、クラウドからもたらされたその話に、全てを放り出してエッジのWRO支部にやって来た。 シュリは、リーブが部屋に入って来たとき、 「局長。大変勝手なお願いかとは思いますが、また隊に加えて頂きたく、入隊許可を頂きに来ました」 敬礼して、サラリ…とこともなげにそう言った。 相変わらず、マイペースでつかみどころのない青年に、リーブはクラウドと顔を見合わせ…。 腹を抱えて笑った。 笑いながら…シュリの無事を喜び泣いた。 「シュリ、お前、今まで何やってたんだ?」 あらかた騒動が落ち着いた頃、ストライフ一家、リーブ、シャルアにシェルクとお茶を囲み、質問攻撃が始まった。 「主に『身体』と『魂』の融合の調整です。俺は『身体』と『魂』が離れている時間が長かったし、カーフ…いえ、ライはライで『覚醒していない時期』が長かったので、身体が拒否反応を起こしてましてね。ちょっと壊れかけてたんですよね」 サラッとこともなげに言われ、聞いていたメンバーはギョッとした。 シュリは全く気にしないで話を続ける。 「それにアイリこそ大変でしたね。死ぬ気満々でしたから。引き止めるのに時間も力も使いましたし。でも、『俺達の罪は死ぬことで償えるほど軽くはない』というライの言葉で思い直したんです」 「でも、生きる事を決めた後も大変で…。やっぱり普通の人間の『身体』に『アルファ』は入りきらなくて」 聞いてるだけで背筋がゾワゾワとする。 しかし、途中で口を挟む事無くシュリの話しに耳を傾ける。 「でも、『闇』からクラウドさんとティファさんを最期に庇ったお蔭で、大分、力が『磨耗』してくれてたので、余分な力は『器』を直す方に使うことで上手く処理出来ました」 ズズズ…。 説明がひと段落ついたのか、シュリがコーヒーを啜る。 全員がホォッ…となんとも言えない溜め息を吐いた。 「それで…ライとアイリさんは…今は…?」 おずおずとクラウドが訊ねる。 部屋をさり気なく見渡したが、プライアデスとアイリの物、と思われる物は何一つシュリは持っていない。 二人は…どうなった…? クラウドの不安は皆の不安でもあるようだ。 子供達は何を聞かされるのか…と、怯えたような顔をした。 シャルア姉妹も同様。 リーブは、もう覚悟は出来ている…と言わんばかりの表情だ。 シュリは……笑った。 「『人の恋路の邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえ』って言うでしょう?」 一瞬、ポカーンとする。 しかし、徐々にその意味が分かってきて…。 喜びの甲高い声が部屋に響き渡った。 数日後。 シュリは、希望通り入隊試験を最初から受け、難なくクリアしWROに戻って来た。 しかし、大佐という地位にいきなり戻ることを強く拒否したため、とりあえず曹長からのスタートとした。 それでも入隊から始まる地位ではないことに、青年は最後まで渋い顔をしていたが…。 青年の上司はかつて部下だった女性。 彼女は青年がいない間に昇進しており、位は中尉になっていた。 「ノーブル・中尉。本日からよろしくお願いします」 敬礼をして至極真面目な顔でそう言った青年に、ラナはこれまで見たこともない様な嬉しそうな笑顔を彼に向けたのだった。 その隣には、今年の暮れにリリーとの結婚が決まっているグリート・ノーブルが穏やかな笑みを湛えて妹とシュリを見つめていた。 シュリがあっという間に昇進し、結局元の大佐という肩書きを手に入れるのはもう少し後の話し…。 更には、シドに預けていたマテリアの原石のような石が、実はシュリからプライアデスに宛てた『遺言』であったことも、シュリが大佐に昇進したときの祝いの席で、思い出したシドに突っ込まれて露見し、皆から猛抗議を受け、ひたすら謝りとおすこととなる。 そんなドタバタの前に…。 シュリが帰ってきた二ヵ月後。 ティファは無事に男の子と女の子の双子を生んだ。 生まれたばかりの天使に、クラウドは相好を崩して愛しそうに、恐る恐る抱き上げた。 生まれたばかりの天使、そして生まれたばかりの父親と母親。 我が子を抱きしめながら、クラウドは感無量だった…。 「ザックスと…エアリスも…見てるかな?」 「うん…見てくれてるよ」 夫の肩に頭を預けるティファの腕の中にも天使。 「子供達の名前、どうしようか…?」 「ふふ、やっぱりシュリ君につけてもらいましょうよ」 「…そうだな。男の子だったらシュリ、女の子だったらアルファにしようと思ってたもんなぁ…」 「うん。それに、男の子二人の双子だったらシュリとザックス、女の子の双子だったらアルファとエアリスにしようって話しだったけど…」 「ザックスとエアリスが兄妹で生まれてきたら、やっぱり……」 「「 『恋』は出来ない 」」 言葉をはもらせてクスリ…と笑い合う。 『名前』がどれほど大切か。 それを『シュリ』から教わった二人は、子を授かった時にちゃんと『意味のある』名前をつけようと話し合った。 勿論、意味のある『名前』をつける気ではいたが、それ以上にもっと深く『名前には意味がある』のだと『シュリ』のお蔭。 生みの親がつけた名前を捨て、前世の名前を名乗ることでシュリは『シュリ』として生き、妹と従兄弟を見つけた。 だから…。 「シュリ君はどんな名前をつけてくれるかな?」 「そうだな…。あまり洒落た名前はつけられない気がするけど、それでもこの子達が幸せになる名前を付けてくれるさ」 「うん、そうだね!」 微笑み合って…唇を重ねて…。 二人で幸せを噛み締める。 「ティファー、クラウドー、皆来たよー!!」 階下から、マリンの元気な声と、仲間達のガヤガヤという大きな声がする。 途端に店内が明るくなった気配が二階にまで届き、二人はそっと離れ、額をくっつけて笑った。 「今行く!」 そうして、そっと二人は立ち上がる。 仲間達のところへ。 家族のところへ。 チラリ…と窓の外を見た二人の視界には、空が暮色に染め上げられていた。 雲が所々、青紫色に輝き、そのほかは見事なオレンジ。 胸のすくような美しい空。 二人は一緒に部屋を出て…静かにドアを閉めた。 子供が生まれた祝いに駆けつけてくれた仲間と親友達に会うために。 そして二人はリーブから聞く事となる。 星にまだ残る辺境の地。 隔絶された小さな村々に、現れたという一組の男女の話を。 歌と音楽で苦しい生活を強いられている人々に希望を与えて、病を癒し、傷を治す旅をしている話を。 その男女がセブンスヘブンに…。 シュリの前に現れるまで……あと……。 今日も星は命の輝きで溢れている。 あとがき FF7の壮大なゲームにのめりこんではや10年。 星の声が聞けるはずのセトラが、どうして滅んでしまったんだろう?という疑問から浮かんだこのお話し。 まさかここまで長くなるとは思いませんでした。 実は、もう少し細かい設定があったのですが、流石にそれはゲーム感を壊してしまう恐れがあったので(もう充分壊れていますが…)割愛させて頂きました。 矛盾した内容だなぁ…と思われる方もおられると思いますが、それはご愛嬌という事で笑って流してください。 こんなにも長い話にお付き合い下さった皆様、本当にありがとうございました! 心からの感謝を…。 |