― 『アタシ…信じられないよ。誰かが裏切ってるだなんてさ』 ―

 分かってる。
 私もそうだから…。

 ― 『だが、彼が死んだのは事実。彼ほどの凄腕が殺されたのならば、理由は一つ』 ―

 ― 『気の置ける人間が『敵』だったことだ』 ―


 あぁ…本当にそうなのかもしれない。
 信じられないし考えられない…。

 信じたくないし考えたくもない。


 でも…。






築く者 壊す者 8






 鈍い後頭部の痛み。
 たたき付けられる自分の身体。
 その強い衝撃で『どこか』にめり込んでしまう感触。
 ティファは自分が叩きつけられたのが屋上の飛空挺で、その後部座席にまで殴り飛ばされたことを知った。
 いくつもの繊細な機械が自分の身体の下にも上にもゴミと化している。
 全身に襲い掛かる痛みに顔を顰めながら、奥歯を噛み締めて素早く身を起こした。
 ガラガラ…という無機質な音を立てて壊れた飛空挺の機材が床に落ちる。
 機体の向こうで敵がティファの出方を窺っているのが分かる。

 ティファは一瞬だけ肩の力を抜いた。
 そしてその次の瞬間。


ああぁぁぁああっ!!!


 怒りの全てを力に変え、ティファは自分が開けた『穴』から飛び出した。
 飛空挺の前で待ち構えていた男にそのまま蹴りを繰り出す。
 足に鈍い痛みを感じながら、ティファは男が防いだ腕を見た。

 ただのリストバンドかと思った『それ』が、プロテクターなのだとようやく気づく。
 道理で、先ほどから腕でのガードが多いわけだ。

 ティファはそのまま宙で身を捩って男の頚部を狙う。
 首は保護されていない。
 男の筋肉がまるでプロテクターの変わりのように野太い筋肉で覆われていた。
 男はティファの攻撃を甘んじて受けるような愚かなことはしなかった。
 巨体からは想像も出来ない程柔軟な動きで上体を大きく仰け反らせる。
 背筋と下肢の筋力がよほどしっかりしていないとこの体勢はとれない。

 空振りをした足が男の手につかまれる。
 ユフィの攻撃で負傷した手で…!


 しまった!

 そう思った時には、既に手遅れ。
 ティファは思い切り振り回された。
 わざと頭部が床にぶつかるようにして振り回される。
 痛みと回転による急激な空気抵抗に息が詰まりそうだ。

 そうして、自分の身体がブンッ!と思い切り投げ飛ばされた感触。

 クルクルと旋回しながら飛んだ先には…。

 槍のように尖ったポール。

 意識を取り戻したらしいナナキの叫び声が聞える。
 だが、ティファは逆にそのポール目掛けて手を伸ばした。
 あと数センチ、ずれていたら確実に串刺しだった。
 素晴らしい反射神経により、ティファはそのポールを掴むことに成功すると、そのままポールを『しならせて』思い切り反動をつけ、男目掛けて飛び戻った。
 流星のようなスピード。
 男の目が驚愕に見開かれる。
 一瞬の隙が男に生じた。
 ティファはそれを見逃さない。
 渾身の力を込め…。



 自身の究極奥義を繰り出した。


 *


「…本当にお前はいつもいつも、信じられないことをする…」
「なにさ〜…、アタシだってこんなのは予想外だっつうの…」

 ほとほと呆れた声を出すヴィンセントの腕の中で、ユフィが弱々しく反論する。
 バレットとシドは、全身で安堵の溜め息を吐き出して脱力した。

「おめぇ…」
「俺達の寿命を縮める気かよ…」

 仲間の皮肉にいつもの『毒』がない。
 ユフィはいつものようにイタズラっぽく笑おうとして失敗した。
 右頬と脇腹を中心に、傷みが走る。

 低く呻いたユフィを、ヴィンセントがそっとテラスに座らせた。

「本当にヴィンセントが気配にいち早く気づいてくれて助かったよ…」
「…らしくない」

 本当に珍しく、感謝の意を口にしたユフィに、ヴィンセントは軽口でもって返した。
 もっとも、寡黙なこの男が軽口を言ってもあまり『軽口』には聞えないのだが…。


 ユフィが敵に強かに脇腹を蹴られ、屋上から落下したその時。
 偶然、ヴィンセント達はテラスから屋上へ向かおうとしていたのだ。
 宵闇に月の光が青白く辺りを照らしていたのが、一瞬陰を掠めさせ、咄嗟にヴィンセントがテラスから『毒沼』目掛けて飛び出した。
 シドとバレットが慌ててヴィンセントのマントと腰のベルトを掴んでくれたお蔭で、宙でユフィをキャッチしたヴィンセントは二人諸共、毒沼に水没するという目に合わずに済んでいた。


「バレット。ここでユフィと一緒にいてくれ。リーブに連絡して迎えに来てもらわなくては」
「おう、そうだな」
「シド、私と一緒に来てくれ。ティファと隊員達の加勢に行く」
「おうよ!任せとけ!」

 ヴィンセントの素早い指示に二人が頷く。

「ヴィンセント…」

 マントを翻して上空を睨んだガンマンに、ユフィが力なく声をかけた。
 赤い瞳がウータイの忍に向けられる。

「屋上に『遅効性の毒』が散布されてる。万能薬飲んで行って」

 ヴィンセントは息を飲んだ。
 青白い顔をして、途切れがちに貴重な情報をもたらした仲間に目を細める。

「分かった」
「ティファもまだ飲んでない。ナナキは嗅覚が鋭い分、アタシ達よりも毒の回りが早くて重いから…」
「ユフィ、わ〜ったからゆっくりしてろ。すぐに片付けてくるからよ」

 シドがニ〜ッと笑いながら万能薬を口に含んだ。
 バレットが慌てて自分の懐から万能薬を取り出し、ユフィに飲ませる。
 それを見届けず、ヴィンセントは手早く万能薬を口に含んで跳躍した。

「ユフィ、後は任せて休んでろ」

 そう言い残したヴィンセントの赤いマントは、すぐに闇夜に溶けて見えなくなった。

「あ〜…それにしても『こっち』からアイツが来たから、アタシもナナキも気づかなかったんだ〜、なるほどねぇ、盲点、盲点」

 自分を殴り飛ばした『鬼』が、階段を使わずテラスから屋上にやって来たのだと気づき、なんとなくおかしくて繰り返す。
 道理で『見落としている』感じがしたわけだ。

「…なに言ってんだ?」

 意味の分からないバレットは、気味悪そうに顔を顰めた。


 *


 巨漢の男の傍らに立ちながら、ティファは全身で息をしていた。
 ナナキが駆け寄り、ティファの隣で男を警戒する。
 男は失神している様だ。
 恐らく、肋骨も何本か折れているだろう。

「ティファ…やったね」

 フラフラしながらも微笑むナナキに、ティファはゆっくりと笑みを広げた。
 少しふらつきながらナナキの前でしゃがみ込む。

「大丈夫?」
「うん……でも、あんまり大丈夫じゃないかも…」

 ナナキにしては珍しく弱気な発言に、ティファは「うん…そうだよね」と頷きつつ、ポケットの中からコンパクトケースを取り出し、万能薬をナナキに与えた。
 ナナキがホッと、肩から力を抜く。

「お二方、本当にありがとうございました」

 足を引きずるようにして、大佐の1人が歩み寄った。
 周りを見ると、辛うじて歩くことが出来る隊員達が、負傷して動かない隊員の手当てを行っている。

「皆は…」

 心配で心が千切れそうなティファに、壮年の大佐は微かに微笑んだ。

「お蔭さまで、死者はいません。ですが、すぐにでもちゃんとした手当てが必要です」
 ティファとナナキは頷いた。
 確かにそうだ。
 一刻も早く、医師に手当てを受けなくては。
 特に、出血の多い隊員は急を要する。
 ティファとナナキは、とりあえず床に伸びている強敵だった男を縛り上げようと身を屈めた。

 その時だった。


 ボゴンッ!!


 異音と共に屋上の床が盛り上がり、内側から床が砕け散る。
 飛び出してきたのは…小柄な女。
 そうして、その後に続くようにして飛び出したのは…。

「「 クラウド!? 」」

 飛び出した二人は、そのまま宙で戦いを始めた。
 クラウドはバスターソードを…、女は格闘術を駆使する。
 途中まで空に向かって上昇していた二人は、重力の法則に従って落下してきた。
 そのまま、屋上に着地するとまたもや突進して拳と剣を交わす。
 信じられないスピード。
 クラウドのバスターソードが女の頭部を狙う。
 女の癖のある黒髪が数本、宙を舞った。
 クラウドの脇腹を女の細腕が掠める。
 クラウドの顔が痛みで歪むが、構わず彼は女に蹴りを繰り出した。
 その足を両手で掴み、女はそのまま倒立して、膝打ちを顔面に叩き込もうとする。
 上体を大きく仰け反らせてかわし、思い切り足を振り下ろした。
 屋上の床にたたきつけようとして、女が直前に手を離し、距離を置く。

 息もつかせないような連続わざ。

 隊員達とティファ、ナナキは息を飲んだ。
 だから気づかなかった。

 ティファの攻撃を受けて失神していたはずの男が目を覚ましていたことに。

 ぬっ!と男の丸太のような太い腕がティファの細首に伸びる。
 それに気づいたのは、クラウドがティファよりも半瞬だけ早かった。

 ティファに向かって警告を発しようと口を開く。
 だが…間に合わないことが分かった。
 ドッと汗が吹き出す。
 それは一瞬だった。
 ティファへの攻撃を視界の端で捉えた途端、クラウドはアドレナリンの過剰分泌のためか、全てがスローモーションに見えた。
 ティファの表情も。
 自分の動きも。
 男の狂気に走った笑みも…。

 なにもかもが…。



 パーンッ!!



 乾いた銃声。
 赤いマントが月の明かりを受けて闇夜に浮かぶ。

 男の苦痛に満ちた呻き声。
 ティファはその声でようやく自分が狙われていたことを知った。
 男が撃たれた手を押さえながら、床をのた打ち回り、転がっている。

「ヴィンセント!」

 感謝を込めたクラウドの呼びかけに、ヴィンセントは片目を眇めた。

「気を抜くな」

 紅玉の瞳は真っ直ぐクラウドの向こう……、敵の総大将に向けられていた。
 クラウドは唇の片側を持ち上げて笑うと、女に向き直った。
 ナナキも腰を低くして威嚇の姿勢をとる。
 ティファも注意深く、激痛に呻く男をにらみつけた。
 妙な真似をしたら、今度こそただでは置かない。
 毒沼に放り込んでやる。

 軽い着地音がして、シドも遅れて登場した。
 ヴィンセントが屋上に達すると同時に発砲したその原因を目の当たりにして、用心深く槍を構える。


「さぁ…もう観念しろ」


 バスターソードを突き出しながらクラウドが降伏を勧告した。

「断る」

 いささかも検討せずに女が応えた。

「このままだと無駄に死ぬしかないぞ」
「それがどうした?」
「死んでお前にメリットがあるのか?」
「生きていて私にメリットがあるとでも?」
「生きてさえいたらいつかは幸せになれる日が来る」
「それは幻想だ。ただの世迷言に過ぎない」

 クラウドの言葉に、女は全て否定した。
 これほどまでに、『あの』クラウドが敵に話しかけ、降伏を呼びかけたことがあっただろうか?
 ティファはクラウドの背を見つめた。
 クラウドは真っ直ぐ女を見つめている。
 女もクラウドを見つめていた。
 その瞳が魔晄の色をしているのに、改めて気づいた。
 彼女の強さの秘密に、ティファの中で苦いものが込上げる。

 クラウドの親友を思い出さずにはいられない…。

「何故そこまでリーブを憎む」

 クラウドのストレートな質問に、隊員達が息を飲んだ。
 いつしか、呻き声を上げていた男が、歯を食いしばってふらつきながら立ち上がり、女の傍らに控えている。
 女は目を細めてクラウドを見た。

「『何故』…か。そんな事を聞いてどうする?共にリーブ・トゥエスティを滅ぼしてくれるとでも?」
「バカを言うな。リーブは仲間だ。そんな事をするはずがない」
「なら、無駄なことを聞くのはよすが良い。私は無駄が嫌いだ」
「俺にとっては充分意味がある」
「ほう?何故?」


「リーブが仲間だからだ。リーブの何を憎んでいるのか…。それを真正面から否定してやる」


 クラウドの言葉に、その場の全員が目を丸くした。
 ヴィンセントですら、驚いてクラウドを振り返る。
 金髪の青年はどこまでも真剣だった。


「っふ…はっはっは…」

 力のない笑い声が女の口から洩れる。
 どこか諦めたような…そんな笑いだった…。


「良いだろう。否定出来るものならしてみるが良い」


 女は片手を腰に当てた。

「リーブ・トゥエスティは自分の部下に裏切り者がいる事に気付かず、大切な任務を非隊員に任せた。その裏切り者は、私利私欲にまみれ、敵に情報を流した。その結果、任務に就いた者数名が死亡する結果となった」

 数人が息を飲んだ。
 リーブを信じている仲間は勿論だが、隊員達にとってもこれは衝撃の告白だった。
 だが、肝心のクラウドは鼻先で笑っただけだった。
「……ウソだな」
「ほぉ、ウソだと言い切るか…?」
「当然だ。リーブはずっと『裏切り』の中に身を置いていた。自分を裏切ろうとしている人間を見分ける力は、仲間内の中でも一番だ」
「だが、事実は変わらん」
「あんたの思い違いだね」

 いつにない強気な発言のクラウドに、ティファ達は口を挟むことも出来ず、その場を見守った。
 クラウドのその態度を前にして、女は怒ったか…と言えば、そうではなかった。
 紺碧の瞳に面白がる色が浮かぶ。

「ふぅん、本当にあんた、リーブ・トゥエスティを信じてるんだ」
「当然だ。仲間だからな」
「仲間…ねぇ」

 しみじみと感心したような口ぶりで繰り返す女に、クラウドは片眉を上げた。

「あんただってそうだろ?そこの男。あんたにとっては仲間だろう。その男を信じてるあんたの気持ちと、俺達がリーブを信じる気持ちは同じものだ」

 バスターソードで、負傷したまま女の傍らに立っている男を指す。
 男は胸を張り、何事かを言おうと口を開いた。
 恐らく、『当然だ』とか『バカな事を聞くな』といったことだろう…。


 だが…。


「私がこの男を信頼している…と?」



「とんだお笑い種だ」



 男が鈍器で殴られたような顔をする。
 隊員達が目を見開き、ヴィンセントとティファ、シド、ナナキは眉を顰めた。
 クラウドは、眉をピクリ…と動かしたきり、女を睨み付けた。
 女は小バカにしたように癖のある短い髪をクシャリ、と掴んだ。

「私とこの男は利害関係が一致したから手を組んだに過ぎない。信じるなど、論外だ」
「な……!」

 抗議にも似た声が上がる。
 それまで、この男は皆の目に、どこまでも『非人間』のように見えていた。
 だが、女に暴言を浴びせられた男の狼狽振りは、彼を急に人間に見せた…。

 愕然と見つめる男の眼差しに気づいているだろうに、女の態度はいささかも揺るがなかった。
 後ろめたい感情も、男に後ろから攻撃されるかもしれないと言う警戒心すらない。
 ただ女の目にあるのは、男を軽視している色だけ。

「お…まえ…何を…」
「何を驚いている?私は初めから言っていたはず。誰も信じない…と」

 振り返ることすらしないで女は言った。

「まさか、私が『あいつら』とは違った目でお前を見ていたとでも?」

 男の顔が紅潮する。
 怒りの故か、それとも別の感情故か…。
 それはクラウド達には分からなかった。
 ただ分かるのは、この場に存在する唯一の仲間とも言える人間を真っ向から否定し、孤立無援状態に自らを追いやったということだけ。
 女が何を意図してそのような『不利益にしかならない』ことを口走ったのか、その真意は計り知れない。

「俺は…お前のために…」

 男の声が震えている。
 泣いているようにも聞こえるが、恐らくそれは聞き間違いだろう。
 この『鬼』のような男に涙は似合わない。
 きっと、声が震えているのは怒りのせいだ。

「私は特別にお前に頼んだことは何一つない。『リーブ・トゥエスティを殺す』という目的が一致したので手を組んだ。ただそれだけだったはずだ」

 冷たいアイスブルーの瞳がクラウドを射抜く。
 クラウドは眉を顰めただけでその鋭い眼光を跳ね返した。

「私は…」

 ゆっくりと右手を胸元に持っていく。
 首から細いチェーンが垂れていた。
 服の中から出てきたもの。
 それは…、小さな小刀。
 片刃のその小さな小刀は、アクセサリーとして…だろうか?
 華奢な体躯で、尚且つ利発で活動的な彼女の雰囲気にはとても良く似合っていた。
 女はその小刀に一つ、キスを落とすと初めて男を振り返った。

「『コレ』でWROを大きく築き上げようとしているリーブ・トゥエスティを殺す。それだけのためにここにいる。利用出来るものはなんでも利用する。それが、人の命であろうが、武器であろうが…なんでもな」

 わなわなと小刻みに男が震える。
 呼吸が荒くなり、目が血走っているのが月明かりでもはっきりと分かった。
 クラウド達はグッと腹に力を入れた。
 直感で、男が何かをしでかすと察知したのだ。

 そうして、その予感は見事に的中した。

 男が突然、己の腰に手を当てて『何か』を取り出した。
 ヴィンセントが素早く発砲して『何か』が壊れる。
 途端。

「うわっ!」
「きゃっ!!」
「くっさーい!!何コレ、何コレーー!?!?」

 皆の口から悲鳴が上がる。
 立ち上る白煙に、皆が目と鼻を覆った。

 古城の周りを埋め尽くしている毒沼の成分と同じモノだということは、後で知らされる事となった。

 濛々と立ち上る白煙が風によって払われた時、屋上には女と男の姿はなく、エンジンの爆音がしてそちらを振り向くと、唯一壊し損ねた小型の飛空挺が空高く飛び立つのが見えた。

「おい、リーブに連絡だ!」
「既に局長も動いておられます!」
「あ〜!逃げられる、早く、早く!」

 女と男を乗せた飛空挺が上空高く飛ぶ後を、WROの飛空挺が追う。

「くそっ!」

 珍しくヴィンセントが舌打ちをした。
 片方の手で目元を押さえながら忌々しそうに空を見上げる。
 シドは、今の毒の攻撃で再びノックダウン状態になってしまったナナキに万能薬を与えた。
 ティファは悔しそうに屋上を見渡して…。


「クラウド…?」


 愕然とする。
 ティファの声に仲間と隊員が反応し、ギョッと目を見開いた。
 隅々まで屋上を見渡し、ついでに身を乗り出して毒沼を見下ろす。

 いない。


「クラウド!!」


 豆粒ほどの大きさになってしまった飛空挺に向けて、ティファの悲痛な叫びが響いた。