ピリリリリ…ピリリリリ…ピッ。

「もしもし?クラウド、どうしたの?」
『あぁ、実はもうすぐエッジに着きそうなんだ』
「え、本当に!?」
『あぁ。想像以上にスムーズに仕事が進んでな』
「じゃあ、今夜は一緒に夕飯が食べられるわね!!」
『あぁ。今から楽しみだ』
「ふふ、デンゼルとマリンも喜ぶわ!」
『フッ…。…ところでティファ』
「ん?」
『今、どこにいるんだ?』
「え?」
『いや、なんだか周りがザワザワしてるみたいだから』
「あ。今ね、市場にいるのよ。今夜の夕飯、腕によりかけて作るんだから!」
『外なのか?じゃあ…』



待ち合わせ (前編)




 携帯を切ったティファは、嬉しそうに頬を綻ばせると、抱えている荷物を持ち直して足早に歩き始めた。
 彼女の颯爽と歩く姿は、多くの人達の視線を奪う。
 陽に煌く艶やかな黒髪。
 抜群のプロポーション。
 そして薄っすらと赤みを帯びた頬にキラキラ輝く茶色い瞳は、異性は勿論同性の視線までも惹き付けずにはいられない。

 クラウドからの思いがけない提案に、ウキウキと心が弾む。
 自然と足取りも軽くなり、目的地に向かって駆け出しそうになる。
 つい先ほどやり取りした会話に、ドキドキと心臓が跳ね、「フフッ…」と小さく笑う。



『じゃあ、待ち合わせしないか?』
「え?」
『記念碑の前でさ。もうすぐ着くから記念碑からフェンリルに乗せて帰ろうかと…』
「本当に!?」
『ああ。これでも俺は『運び屋』だからな。荷物を運ぶのは得意なんだ』
「ムッ。私は荷物なわけ?」
『あ〜っと…そういう意味じゃ…』
「フフ。ウソウソ。ありがとう、クラウド、助かるわ」
『じゃ、また後でな』
「うん!」



 目的地である待ち合わせの記念碑はすぐ目の前。
 市場からの帰りであったため、必然的にティファの方が早く到着することになった。
 記念碑の周りに最近設置されたばかりのベンチに腰を掛ける。
 既に何人もの街の人が腰を掛けて、道行く人達に視線を投げたり、腕時計を見たり、はしゃぐ子供達に笑みを浮かべて見守っていたりしている。

 ティファは抱えていた荷物を膝に乗せ、ゆっくりと息を吐き出した。

『待ち合わせ……か。もしかして…初めてじゃない?』

 クスクス…。
 頬が緩み、笑い声を漏らす。
 なんだか急にクラウドと自分の関係が『恋人』であると、はっきりした気がした。
 当然、『恋人』なのだが、こうして『恋人らしいこと』をあまりする機会がない為、ついつい『恋人』というよりも『家族』という意識の方が強くなってしまう。
 それは、可愛い子供達がいる為でもあるのだが、別にだからと言って子供達が邪魔であるというわけでは無論ない。
 だが…。
 本当に極々たまに、こうしてクラウドと『恋人』だ!という機会に恵まれると、嬉しいのだがどうにも気恥ずかしくて仕方なくなる。
 周りの人間は、そういう二人の初々しさを快く思いつつも、いつまでも進展しない二人の関係にヤキモキすら覚えている。
 ……ということも、最近は二人共感じてはいた。
 だがしかし…。
 周りの人達が心配したりヤキモキしてくれても、どうにもならないのが『クラウド』と『ティファ』なわけで…。
 仲間や常連客、果ては子供達まで心配してくれるのは嬉しいのではあるが、困ってしまう。

 ― どうしたら良いのか分からない ―

 というのが今のところ、二人の言い分。
 だからこそ、ウータイ産のお元気娘が色々と八方手を付くし、仲間達を引きずり込んで破天荒な行動に出てしまうわけなのだが…。

「クラウド…どれくらいで来てくれるかな…」

 思わずポツリと呟き、途端に頬を染め上げる。
 なんとも恥ずかしい。
 自分に会う為に、恐らく今、かなりのスピードで走ってくれているだろう青年に思い出して胸がくすぐったくなる。
 と、その時。
 同じくベンチに腰掛けている同年代の女性を見て、ふとある事に気が付いた。
 彼女もおそらく恋人を待っているのだろう。
 幾度も腕時計と道行く人達の間を視線が行き来し、頬が緩んでいる。
 そして、カバンの中から手鏡を出して念入りに髪形や化粧をチェックし、ソワソワ、ウキウキしている感情がこちらまで伝わってくるその仕草。
 ティファは自分の装いを振り返り、途端に気持ちが萎んでしまった。
 彼女は可愛らしいフリルの沢山付いたワンピースに、ばっちりと施されたメイク。
 綺麗にカールを施した髪は、恐らくかなり時間を掛けたのだろう。
 それに比べ、自分は全くいつもと変わらない地味な黒い服に化粧だって必要最小限しかしていない。
 髪だって朝起きてブラッシングを軽くしただけだ。

「………」

 予定外ではあるが、恋人と外で待ち合わせだというのに、この格好はどうよ!?
 非常に……まずいのではないか!?
 ティファの胸に黒雲が押し寄せる。
 小さな手鏡一つすら入っていない自分のポシェット。
 買い物に出掛けるときだけに身につけているそれですら黒。
 しかも………かなり安価で手に入れた代物。
 とてもじゃないが、恋人と待ち合わせをしているとは思えない。

 まずい…。
 非常にまずい!!

 ティファは落ち着きなく立ち上がると、通りの向こうに立ち並んでいるショーウィンドウに向かった。
 鏡の代わりに…と、さり気なく商品を見ている振りをしつつショーウィンドウを覗き込む。
 いつもと変わらないさえない自分が、不安そうに見つめ返した。
 不安が確信に変わった瞬間だ。

 これは非常にまずい!!
 まずいなんてもんじゃない、ダメダメだ!!
 このままでは…。

「クラウドに恥かかせちゃう……」

 青ざめながら若干身を仰け反らせる。
 あまりにも……あまりにも悲惨すぎる。

 反動的に周りを見渡す。

 道行く人達の…特に、自分と同年代の女性の服装をチェックする。
 復興途上にあるエッジ。
 ティファと変わらずバリバリに働いている女性はかなり多い。
 そして、その女性達の誰もがそんなに派手派手しい格好はしていない。

 だが!!

 よくよく観察してみると、彼女達は自分で出来る範囲で精一杯お洒落をしている。
 例えば、一見冴えないカバンのもち手にスカーフを巻いてみたり、質素な服の胸ポケットからさり気なく小さな造花を覗かせてみたり。
 かと思えば、一着では地味に見える服を上手に重ね着してみたり、帽子を被ってみたり…。
 それはそれは、細かい部分で女性らしさをアピールしている。
 それに、何よりティファの様に黒で統一した服装の女性は……いない……。

 ティファの全身から冷や汗がドッと噴き出した。
 改めてショーウィインドーに向き直り、中に展示されている商品を見る。
 そこには、色鮮やかなワンピースやカバン、帽子にピンヒールの靴を履いたマネキンが数体ポーズをきめて立っていた。
 そっと値札を見て…………卒倒しそうになる。

「む、無理……」

 軽く額を押さえて呻く。
 こんな金額、このご時勢で買える人間など本当にいるのか!?
 いや、いるにはいるんだろうが、そんなやたらといるはずがない!!
 ティファは深い深い溜め息を付きながらマネキンを見上げた。
 と、同時に中から店員がそのマネキンの着ていた服やらカバンを一式、取り外したではないか。
 呆気にとられてそれを見つめていると、店員はニコニコ笑いながら店の中に戻っていき、店内のカウンターでそれらを丁寧に畳んでいる。
 その店員の前には一組のカップル。
 ……と、思われる。

 いや、カップル…?
 親子…?
 いや、親子にしては顔が似ていなさ過ぎるから……親戚…?

「………」

 イヤな想像が頭をもたげかけてティファは視線を逸らし、片頬を抓った。
「バカね。他人様の事を色々考えるだなんて…」
 己をたしなめるように一人ごちて再び視線を戻す。

「…………………」

 戻した視線の先では、若い女性が媚びるような笑顔で壮年の男性に抱きついていた。

「………………………見なかったことにしましょう…」

 どこをどう見ても『純愛』で結ばれている二人には…見えない。
 ティファはそっとその場を離れた。
 再び記念碑のベンチに戻る。
 先ほどまでいた同年代の女性はいなかった。
 恐らく自分がショーウィンドーを覗いている間に待ち人が来たのだろう。
 周りを見渡したが、彼女の後姿は見つからなかった。

「………ま、良いけどね」

 彼女に用事があったわけじゃない。
 だが、ちょっとだけ…。
 ちょっとだけ、彼女が着ている服に興味がわいた。
 もしも、記念碑の近くの店で買ったのなら、クラウドが来るまでに買えるかも……と思ったのだ。
 いくらなんでも…この服は……。

「酷すぎる…よね…」

 ガックリと肩を落としながら力なくベンチに腰掛ける。
 人間、不思議なもので、一つ気になり始めるととことん気になってしまう。
 今の自分の装いが、あまりにも浮き立つ街には不似合いなのではないだろうか…?
 そこまで考えてしまうようになった。
 この格好で店もしているわけだから、もう少しこれからは考えた方が良いのかもしれない。
 しかし、自分を着飾る為に金を使う余裕は……あまりない。
 完全に無いわけではない。
 当然だ。
 クラウドの稼ぎもあるし、自分も働いている。
 周りで子育てをしている近隣の人達から比べてみたら、まだ自分達一家には余裕があるくらいだ。
 だが、そうやって着飾る為に金を使うのは………ちょっと抵抗がある。
『贅沢』だと思えて仕方ない。
 自分に金を使うくらいなら、子供達やクラウドに使いたい。
 それに、身寄りのない子供達や身体の不自由な人達のための制度がこの星にはない。
 だから、慈善事業のように金持ち達が、自分達の遊ぶ金の一部でもって彼らを養って『やっている』。

 そういうものではなくて…。

 ただの『ほどこし』ではなく、彼らがきちんと自立して生活出来るような援助をしてやりたい。
 そういう考えが漸く最近、皆の中に生まれてきつつあった。
 それは、ようやくそこまで思える『心のゆとり』が出来てきたという証。
 孤児や支援を要する人達が自立した生活を行えるよう、孤児院や職場を作るための募金活動などがWROを中心として行われてきている。
 だから、自分を着飾るために金を使うよりもそちらの方に金を使いたい。
 ということで…。

「やっぱり……『贅沢』だよね…」

 はぁ…。

 溜め息を吐いて道行く人達を見つめる。


 愁いを帯びた彼女の眼差しは、近くを通り過ぎる異性の心を鷲掴みにする。
 何度か店に通ったことがある程度、という男性達が思わず見惚れて口を開けている。
 だが、その数々の視線に当の本人は気付かない。
 ぼんやりと街行く人達、特に同年代の女性達を目で追う。
 彼女達を見れば見るほど、自分がみすぼらしく思えてきて……。

「ダメダメ!まったく、なに考えてんだか!」

 落ち込みそうになる自分の思考に喝を入れる。
 その時。
 自分一人の力では不可能でも、一緒に居てくれたらなんでも可能にしてくれる唯一の人のエンジン音が聞えてきた。
 心臓が跳ねる。
 自然と気分が高揚する。
 立ち上がって顔を向けると…。


「クラウド」


 金色の髪が陽の光を受けて輝いている。
 スッとサングラスを取った青年の紺碧の瞳が自分に向けられていることに、頬が緩む。
 街行く人達が思わず振り返って見つめるその青年の口が自分の名を呟いてくれたことが分かり…胸がときめく。

 二人の距離があっという間に縮まったのは、お互いが逸る気持ちに素直に身を任せた結果。
 微笑合いながら互いの名を呼び、嬉しそうに寄り添う二人は、まるでドラマや映画のワンシーン。
 記念碑の周りには他にも沢山のカップルがいた。
 しかし……。
 ついつい、隣に立っている自分の恋人と目の前の美男美女カップルを見比べてしまったのは……笑って許してやって欲しい。


「お帰りなさい、クラウド!」
「ああ、ただいまティファ」

 二日ぶりの笑顔に、二人の笑みが深くなる。
 黙って差し出された大きな手が、ティファの抱えていた大きな袋を極々自然に取り上げた。
 大事な人を自然とフォローする青年の仕草に、見つめていた女性達が頬を染めた。
 次いで、はにかみながら青年の行為を受けている女性に羨望の眼差しを向ける。


「ティファ。すぐに帰らないとダメか?」

 愛車に荷物を手際よく括り付けながら訊ねるクラウドに小首を傾げる。
 表情だけで「なんで?」と質問する彼女に、クラウドは照れたように少し視線を空に向けた。
「いや、まだ早い時間だから…少し一緒に歩こうか……と思って……」
 途切れがちにそう言うと、愛しい人に満面の笑みが浮かんだ。
 その笑顔に、クラウドの心臓が喜びのダンスを踊る。



「折角だから、なにか他に買い物でもしないか?」
 愛車をパーキングに入れて街を歩く。
 たったそれだけでも幸せなティファに、クラウドは照れながらもそっと手を差し出した。

 ドッキン!

 本日最大の動悸。
 クラウドがまだ陽の高い時間に帰って来てくれただけでも嬉しいのに、こうして一緒に街を散策している。
 更に、買い物にまで誘ってくれた上に、恥ずかしがり屋の彼が手を差し出してくれた。
 おどおどと手を大きな彼の手に乗せると、軽く握ってくれたことに愛しさが込上げる。
 嬉しくて…ティファも手をキュッと握り返した。
 照れ隠しで顔を向けない彼の耳が、ほんのりと赤くなったのを見逃さなかったティファの口元が、更に緩んだ。


 二人して適当にブラブラと手を繋いで歩く。
 途中、一度だけ一緒にお茶をしたオープンカフェを通り過ぎようとして……クラウドが立ち止まる。
 キョトンと見上げてくるティファに、クイッと顔でカフェを指す。
 ティファの顔に再び満開の笑顔が咲いた。


 二人で向かい合って座る。
 運ばれてきたのは、フルーツタルトとチーズタルト。
 フルーツタルトはクラウド。
 チーズタルトはティファ。
 そして、コーヒー。
 クラウドは甘い物があまり好きではない。
 だが、どうしても不規則になりがちな食生活をしている彼に、ティファがやや強引に注文したのだ。
 ビタミンをしっかりと取って欲しいということと、フルーツタルトなら、フルーツの甘みを生かすためにさほど砂糖は使用していないという、この二点。
 彼女の力説に、クラウドはあっさりと白旗を上げた。

 早速嬉しそうにチーズタルトにフォークを入れ、口に運ぶ彼女に目を奪われる。
 無邪気に嬉しそうな彼女は久しぶりだ。
 彼女の周りにはいつも子供達や店の客が居たから。
 いない時は、もうその日の疲れが色濃く残っている状態。
 だから、こうして楽しそうに、嬉しそうな顔を見せてくれるのは……久しぶりで仕方ない気がする。
 きっと、自分が仕事に行っている間にはこういう顔を誰かに見せてるのかもしれないが…。

 ……なんとなく、そこまで考えて面白くなくなってしまった。
「どうしたの?食べないの?」
 ハッと顔を上げると、心配そうな彼女の顔。
 たった今見た、無邪気な笑顔は消えていた。
 恐らく強引に注文した手前、自分が食べないのは機嫌が悪いから…と思っているに違いない。
 慌ててフォークを取って「食べる」と一言のみ口にし、タルトを切った。
 フルーツが落ちないように口に運び…。
「…美味い!」
 口いっぱいに広がる果物の甘み。
 甘さを控えたタルト生地に塗られているカスタードも絶妙な甘さ加減だ。
 美味しさに驚いて目を丸くするクラウドに、ティファの顔に再び満開の笑顔。
 彼女の嬉しそうな笑顔に、クラウドの頬も緩む。
「一口食べてみるか?」
 フォークで一口大に切り分け、彼女へ差し出す。
 一瞬、面喰ったような顔をした彼女がニッコリと笑って身を乗り出し……。

 パクリ。

「う〜ん、本当!美味しいわね!!」
「だろ?これなら俺も充分食べられるな」
「ふふ、良かった。あ、そうだ。こっちのも食べてみる?そんなに甘くないよ?レモンの酸味が生かされててとっても美味しいから、クラウドも大丈夫だと思うけど…?」

 スッと、目の前に一口大に切り分けられたタルト。
 極々自然に身を乗り出してそれを食べる。

「 !! 美味い!」
「でしょう?」
「ああ。へぇ、意外とそんなに甘ったるくないもんなんだな…」
「ふふ、なんだか得した気分よね?」
「あぁ、そうだな」

 ニコニコ笑う彼女に、自然と顔が綻ぶ。
 その光景を、周りのテーブルにいたカップルは勿論、通りを歩く人達、果ては店員までもが羨望の眼差しで見つめている。
 なにしろ、人目を引く美男美女のカップル。
 着ているものが例え黒で統一された地味なものとは言え、醸し出している幸せオーラが地味な服装可憐に彩らせていて…。
 しかも!!
 本人たちは全くの無自覚なんだろうが、今二人がしたことは…。

 所謂、恋人達や恋人のいない人にとっても憧れの…。


『はい、あ〜んVVV』


 なのだ!!
 美男美女カップルが、オープンカフェで『はい、あ〜んVVV』!!
 しかも嫌味なほど似合っている。
 ある者はこう思っていた。
 こうも美男美女のカップルが、『純愛』で結ばれているはずはないと。
 自分の隣を歩くに相応しい…という『不純』な動機で相手を選んだのだと…。

 だが!!
 その妬みや嫉妬から生み出されたその予想はものの見事に覆された。
 お互いに自分の食べているものを食べさせ合った二人のはにかんだような……幸せ一杯な笑顔を見て尚、そんな憶測が出来るはずがない!

『世の中不公平だ…』

 まさか自分達を見て打ちのめされている人間がいるとは、微塵も気付いていないクラウドとティファのデート。
 二人にとって、思いがけずに手に入れられた至福の時間は、多くの人達の心と視線を惹きつけ続けるのだった。



「それで?なにか買いたいものは無いのか?」

 カフェを後にしてゆっくり歩く。
 クラウドは自分の腕に自然に腕を絡めてくれたティファに瞳を細めながら声をかけた。
 ティファは、自分がいつになく大胆な行動に出ている事に気付いていないのか、いつもみたいにテレまくって言葉がままならない…という事態に陥らず、「ん〜…そうね……」と、クラウドの質問に真剣に考えている。
 こうして陽の光の下、寄り添って歩くのは本当に久しぶり。
 陽の光が、彼女の美しさを際立たせているようで、彼女の肌理細やかな肌や、スッと通った鼻筋、長い睫に心臓がまたもや不規則なダンスを踊る。

「あ!そうだ」

 思いついたのか、顔を上げて自分を真っ直ぐに見つめる茶色の瞳に、ドキンッ!と一際高く跳ね上がった心臓。
 気付かれないよう、ポーカーフェイスを保ちながら、小首を傾げるだけで彼女に「何を買う?」と目で問う。
 ティファは柔らかに微笑んでスッと通りの向こうに立っている四階建てのビルを指差した。
 そのビルには、沢山のテナントが入っており、一階には子供服を取り扱う店がある。
 彼女の言わんとしている事にすぐ気付くと、
「じゃ、行くか」
 そう言って、そのビルに向かうことにした。




 あとがきは最後に書きますね♪