ミーハー振りはそこそこにする事こそが長生きの秘訣(後編)




 結局。
 その日の晩はいつものように店内の床や椅子で英雄達は雑魚寝をした。
 ユフィに至っては、我がもの顔でティファのベッドを占領してしまった。
 しかたなく(?)ティファはクラウドの部屋で眠る事になったのだが…。

「ねぇ、クラウド…」
「ん?」

 うつらうつらし始めていたクラウドは、ティファの呼び声にうっすらと目を開けた。
 暗闇に愛しい人の茶色の目が輝いている。
 真っ直ぐ自分を見つめるティファの瞳に淡く笑みを浮かべると、そっと抱き寄せた。
「なんだ…?」
「うん…ちょっと考えてたんだけど……」
 腕の中でちょっと躊躇いながら言葉を選んでいるティファに、クラウドは段々眠気が醒めていく。
 ゆっくりとティファの髪を梳きながら、彼女の次の言葉をゆっくりと待った。
 ティファは軽くクラウドのパジャマの胸元を握ると、ふぅ…と息を吐き出し口を開いた。
「あのね……さっき、皆で話をした時にちょっと思ったんだけど…」
「うん…」
「どうしてヴィンセントの居場所が簡単に分かったのかしら…?」
「……ん〜…さぁ……?」
 クラウドはティファの髪を梳いていた手をハタと止めると首を傾げた。
「話をしてた時はあんまり気にならなかったが……そう言えばそうだな……」
「でしょう?不思議だと思わない?」
「ああ…そうだな……」
「ね?それに、ナナキだってどうして簡単に次の行き先がバレちゃったのかしら…。行き先はどこにもバラしてないって言ってたし…」
「……そうだな……」
「ナナキの鼻は確かだし…。間違って似たような人と臭いを嗅ぎ間違えた……ってことは無いと思うの。それなのに、四箇所も同じ人達がナナキを追って来るだなんてこと、可能なのかしら……?」
「…………」

 クラウドとティファは黙り込んで考え込んだ。
 じっくり、冷静になればなるほど、なにか不可思議な……いや、不自然極まりないものを感じる。
 よくよく考えると、行動が定まっていないナナキやヴィンセントを追い掛け回す事が一般人に可能なのだろうか…?
 いくら常識から遠い所にいる人種であるとしても、その情報源は一体……?
 世界中の人達から居場所に関しての情報を追っかけ軍団のコンピューターへ提供したとしても、その集めた情報をさらに追っかけ軍団のメンバーに伝達している間にナナキとヴィンセントはその地域から離れられる。
 それなのに…。

「妙だな…」
「そうよね…」
「どうしてナナキとヴィンセントの居場所に的確に集合出来るんだ…?」
「……………」
「……………」

 微妙な沈黙に包まれた二人は、自然と一つの可能性に辿り着いた。
 それは実に…。
 何と言うか…。
 非常に…。
 イヤな可能性で…。

「………なんか……イヤなこと考えちゃった……」
「………俺も……」
「……………」
「……………」

 ベッドの中の二人はこれっぽっちも甘い雰囲気など欠片も無く、押し黙ってしまった。
 考えれば考えるほど…。
 今しがた脳裏をよぎった『推理』が確かなものだと思えてくる。

 クラウドはティファを見た。
 ティファはクラウドを見た。

 お互いの中に芽生えた『疑問』が『ある結論』に達したのを見て取ると、どちらからともなく深い溜め息を吐いた。

「ティファ…」
「なに…?」
「バカみたいだけど…俺の考え聞いてくれるか……?」
「うん……って言うか、私の出した結論もすっごくバカげてるの…。後で聞いてくれる…?」
「ああ…勿論…」
「…ありがと…」

 一呼吸置いて。
 クラウドが話して聞かせた『推理』はティファのものと全く同じものだった…。

「…………」
「…………」
「……どうする…?」
「……どうするって……黙ってるわけにも…」
「いかないな…やっぱり…」
「そりゃ…ね…」
「はぁ……気が重いな…」
「うん…」
「「はぁ……」」

 深い深い溜め息を吐いた二人は。
 お互いの身体をゆっくりと抱きしめ合いながら、
「大丈夫だ…。ちゃんと話したら分かってくれるさ」
「うん…そうよね…」
「ああ…………………………………多分…」
「…クラウド、その間がとっても不吉だわ…」
「すまない…」
「ううん、良いのよ…」
「「はぁ…」」
 慰め合っているのか一緒に落ち込んでいるのか…。
 甚だ疑問ではあるが、二人の考えが一緒である…という事にほんの僅かな慰めを得て、胸に込上げている不快感と戦いながらいつしか眠りに落ちたのだった…。





 翌日。
 ジェノバ戦役の英雄達と子供達が揃った朝食の席で、クラウドとティファは昨夜、二人が話し合って出た結論を皆に語って聞かせた。
 二人が危惧した通り、仲間達と子供達はあんぐりと口を開け、目をまん丸にして驚いた。
 しかし…。
 二人が心配したような『反論』や『反発』などはなく、逆に
「あ〜、そっかぁ…!」
「凄いや二人共!おいら、全然気付かなかったよ!!」
「確かにな!それなら俺達の行動がすぐにバレた説明がつくぜ!」
「くう……これが本当の『灯台下暗し』ってやつだな」
「………成る程な」
「「さっすがクラウドとティファ!!」」
「それが本当だとすると……私は首を括るしかありませんよ……」
 などなど口々に賛成の意を表した。


 そうして。


 仲間達が自分達の推理をすんなり受け入れてくれたことに心から安堵したクラウドとティファの目の前で…。
 お元気娘がいつもの『元気』を取り戻した。
 目がキラキラ輝き、頬が紅潮している。
 完全復活した証だ。

「よっしゃー!そのふざけた野郎共にウータイの忍がいかに恐ろしいか存分に味わわせてやる!!」
「「「「「おーーーー!!!!」」」」」

 椅子に上って息巻くお元気娘とそれに同調する子供達と赤い獣、それに中年オヤジ二人。
 それを苦笑しながら見守る英雄達の元リーダーと女店主に寡黙な青年とWROの局長。
 そんな一見珍妙としか言えない光景は、幸いにも第三者の目に止まる事は無かった…。





 さてさて。
 所変わってここは某施設。

 関係者以外立ち入り禁止の札がぶら下がっているその室内から、何やらブツブツという人の声と、カタカタというコンピューターのキーを叩く音がする。

「くぅ…たまんないねぇ…」

 悦に入ったその声が、実に嬉しそうに震えている。
 次いで、何やらチャリンチャリン…という実に景気の良さそうな音。

「これだから『ミーハー』って人種は有り難いねぇ」
 イッヒッヒ……という表現が実に似合いそうなその笑い声。
 軽やかに踊るような足取り立ち上がると、その人物は「さぁてと」とウキウキと弾んだ声を漏らしながらドアノブを回した。
 彼はまさに、幸せ絶頂期。
 ドアを開けて現れたその顔には、満面の笑み。
 しかし…。



「!?!?!?!?」



 目の前に勢ぞろいしたその面々に、彼は幸福の絶頂から奈落の底に転落した。
 それはもう、這い上がれない程の深〜い深〜い奈落の底に…。
 衝撃のあまり、懐に仕舞いこもうとしていた財布がド派手な音を立てて床に落下する。
 こぼれ落ちたギル硬貨が、耳障りな音を立てて床にぶちまけられた。

「ほぉ…」
「随分景気が良さそうね」
「こんなご時勢なのにねぇ、まったく驚いたよアタシ」
「おいら、星を旅して沢山の人達と会ってきたけど、おじさんみたいにお金持ちに全く見えない人がこんなにお金を持ってるの…初めて見たね…」
「こりゃあ、油田開発が軽く二つくらいは出来そうだなぁ」
「飛空挺の部品がいくつか調達できそうだぜ」
「……………撃つ」

 目の前に怒髪天を突く…という表現がまさにピッタリなジェノバ戦役の英雄達に、中年の小太りの男は真っ青になった。

「本当に……WROの中で貴方のような下劣な人間がいたとは…。見破れなかった私も私ですが……本当に情けない話しです」
「きょ、局長!?」
 打ち沈んだ声音の中に、抑えきれない怒りが込められている。
 小太りの男は全身の毛穴がパカーッと開き、汗が滝のように吹き出して流れるのを止める術が無かった。
 ガタガタと震え、何か謝罪の言葉を……贖罪の言葉を……出来ればこの場を言い逃れるだけの言葉を…!!

 まぁ、しかし。
 そんな台詞がフリーズした頭に浮かぶはずも無く…。
 ダラダラと冷や汗を流し、顔面は死人のように土気色になりながら己に下される『審判』を震えながら待つしかなかった。

 半分ライフストリームの住人になりかけているその小太りの男を、ジェノバ戦役の英雄達がある者は薄ら笑いを浮かべ、またある者は真剣な怒りを滲ませてジワジワとその包囲網を縮める…。

 そうして…。



「ひぃぃぃいいいいいいい!!!!!お母ちゃ〜〜〜〜〜ん!!!!!!!」



 中年男の耳障りな悲鳴が廊下中に響き渡って反響し、WROの本部内を歩いている隊員達がギョッとして立ち竦んだのだった。



 数日後。

【ジェノバ戦役の英雄達に憧れるファン達のストーカー行為を手助けしたうつけ隊員の末路】
 そう題したWROの広報誌が臨時発行された。
 その号外とも言える広報誌には、顔にモザイクをかけられた小太りの男が、ウータイのダチャオ像に逆さに吊るされて『お仕置き』されている写真が掲載されていた。
 ダチャオ像の前では、ウータイ産の忍びが満面の笑みでVサインをしている。
 また、その写真の下には今回の事件のあらましが書かれてあった。


 ― 今回、このような愚行に走る人間がWROの隊員として所属していた事を皆様にお知らせしなくてはならないのは、まことに遺憾であります。しかしながら、私達WROはこの元隊員のように私利私欲で動く人間は決して許さない……その事を皆様に知って頂く為、あえて今回臨時で広報誌を発行する事といたしました。今後、このような人間がWROの隊員であると名乗ることの無い様、より一層気を引き締めて隊員達の育成と、皆様の為、星の脅威になるものと闘う事を改めてここに誓います ―


 久しぶりに自宅に戻る事が出来たシエラが、クスクスとその広報誌の記事を読みながら、椅子に腰掛けて寛いでいる夫に話しかけた。
「まさか追っかけさん達に情報をリークしていたのがWROの隊員さんとは思わなかったわね」
「ああ…まったくだ。ったく、呆れた野郎だぜ。自分の立場を利用して荒稼ぎしてやがったんだからよぉ」
 忌々しそうにタバコの煙を吐き出したシドに、シエラはふんわりと笑いかけた。
「でも、クラウドさんとティファさん、よく分かりましたよね」
「おうよ!流石の俺様もまさかリーブの部下がWROのコンピューターを使って、俺様達の居場所を調べてるとは思わなかったぜ!」
「これが本当の『灯台下暗し』ですね」
「ああ…まったくだ…」
 あ〜あ…。

 そう溜め息を吐いたシドは、咥えていたタバコを灰皿に押しつぶすと、シエラの煎れてくれたコーヒーを口に運んだのだった。


 小太りの男を追い詰めた日の朝。
 クラウドとティファが仲間達に話して聞かせた『推理』とは、【WRO隊員の誰かが、自分達の携帯電話の位置を走査し、その情報を追っかけ軍団にリークしているのでは…?】というものだった。
 そして、それがものの見事に大当たりだったわけである。
 まさにシエラの言う通り『灯台下暗し』。
 ジェノバ戦役の英雄の一人、リーブが局長を勤めるWROの施設で、リーブの部下がそんな事をしているとは…!!
 冷静に考えてみれば意外でも何でもないからくりではあったのだが、それにしても部下の愚行にリーブは心の底から落ち込んだことは言うまでも無い。
 部下を追い詰めるのは至極簡単だった。
 要するに、情報部の人間で携帯電話の位置を走査することの出来る権限を持つ人間と、その走査する為のコンピューターを扱える人間に絞れば良いのだから。
 そして、人材豊富なWROの中でもその両方を兼ね備えている人間はほんの一握り。
 ちょっと聞き込みをしたらすぐに『怪しい行動をする人間』に行き当たったわけだ。
 かくして、英雄達を追い掛け回す迷惑な軍団達はあっという間に解散する事になった。
 というのも…。

 追っかけ軍団のメインコンピューターへ、英雄達が発した警告が功を奏したからに他ならない。
 警告文は至極簡単明瞭。


【我々もあなた方と同じ人間です。故(ゆえ)に、当然ながら喜びもすれば怒りもします。今後、我々の生活に関して詮索されませんように。もしもこの言葉を無視し、これまでのようなストーカー行為を続けるようなら…】

 クラウド:『必殺技の練習をしている時に、うっかり巻き込んでしまっても恨むなよ』
 ティファ:『最近身体を動かしてないから、久々に運動したい気分なの。相手がいれば尚良いわね』
 シド  :『あ〜、俺様もたまには運動しないと、槍の使い方を忘れちまいそうだ』
 バレット:『ストレスが溜まると思いっきり銃をぶっ放す癖があるんだよなぁ。最近ストレス溜まってるし、またやっちまいたい気分だぜ』
 ナナキ :『おいら、肉食なんだよね』
 ヴィンセント:『たまには射撃の訓練が必要だ』

【以上です。私はWROの局長という立場にありますのでうっかり訓練をする事は出来ませんが、それでもあなた方をそれなりにおもてなしする事は充分可能です。それでも構わないというのでしたら、どうぞお続け下さい。丁重におもてなしさせて頂きます。尚、あなた方が元隊員に支払われた料金は、親を亡くした子供達の救済金に有り難く当てさせて頂きます。その点については心から感謝申し上げます】


 このような警告文を送りつけられて、一体誰が追っかけを続けられるというのだろうか!?
 おまけに、ご丁寧にダチャオ像の前で逆さづりされている自分達の情報源の『モザイク無しの写真』までが添付されているのだ。
 それでも尚、英雄達を追っかけまわし、熱い視線を送ることが出来る人間がこの地上にいるだろうか!?
 いや!
 いやしない!!


 というわけで、セブンスヘブンの異様とも言える長蛇の列も、クラウドの配達の馬鹿みたいな予約件数も、ウータイの入り口近くで根を張りつつあった迷惑軍団も、シエラへの脅威もその他の仲間達への影響は完全に消えてなくなった。
 広報誌が発行されたのは、警告文を発送した後だった。
 広報誌が発行されて世の人々の目に止まる頃には、すっかり落ち着き元通りの生活を送っている。
 デンゼルとマリンは、友人達と自由に遊びに行く事が出来るようになり、大はしゃぎだった。
 クラウドも、密かに負担になっていた慣れないお買い物から解放されてホッと胸を撫で下ろす。
 そして、ティファはいつもの顔馴染の客達で賑わう店内で、いきいきと嬉しそうに働くのだった。

 そんな何もかも元通り…。
 そう思えるようになって二週間後…。

 セブンスヘブンに三人の若い男が新顔としてやって来た。
 いや、正確には二回目の利用なのであるが、ティファの記憶には残っていなかった。
 三人は、何やらもの言いたげにチラチラとティファを盗み見ながらも、マリンの持ってきてくれたメニューへ一通り目を通し、何品かを注文した。
 そして、その注文した料理が来るまでの間、ひたすらテーブルの下で何やらゴソゴソと怪しい動きをしている。
 その事に気付いたのはデンゼルだった。
 何気ない風を装ってそのテーブルに近付き、「お客様、お水などお持ちしましょうか?」と、不意を付いて声をかけた。
 まさか自分達のテーブルにそう声がかかるとは思っていなかった若い男達は、ビクッと肩を震わせたが、相手が小さな男の子である事にホッと胸を撫で下ろし、
「いや、別に今は良いよ」「そうそう。すぐにビールが来るだろうし」「メニューも頼んだから、もう行って良いよ。また用が合ったら呼ぶから」
 そういささか素っ気無くデンゼルをあしらい、すぐに自分達の『作業』に没頭した。
 その瞬間。
 デンゼルの手が一人の若い男の手を掴み上げた。
 その手には携帯電話。
 そして、まさにその携帯電話は写真を取れるような状態になっているではないか。
「おい!何しやがるんだ!!」
 男の焦り混じりの怒声が店内に響く。
 他のテーブルに座っていた馴染み客達が一斉にデンゼルとその男のテーブルを見る。
 仲間達は慌ててデンゼルから仲間の男を隠すように立ちはだかると、
「おいおい…ちょっと友達とメールをしてただけじゃないか」
「この店では、いちいち携帯までチェックしないといけない決まりなのかい?」
 高圧的な態度を取った。
 しかし、その高圧的な態度こそが後ろ暗い事をしていた何よりの証拠…。

「お客様……」
「「「!?」」」

 低い声で女店主がいつの間にか歩み寄ってきている。
 男達は一斉に顔を強張らせた。
 ティファは満面の笑みで……しかし、その目は全く笑っていないという……実に背筋の凍るような氷の微笑で、ゆっくりと手を伸ばした。
「え…?」
「見せて頂いても……宜しいですよね…勿論」
 戸惑う若い男達に有無を言わさない迫力で要求する。
 華奢な女性からは信じがたいほどの……威圧感。

 男達は真っ青になって携帯を差し出した。
 携帯を確認するティファを、息をひそめて客達が見守る。
 男達はもう失神寸前だ。
 子供達はただただジッとティファを見上げている。

 そんな沢山の視線の中、ティファは携帯での作業を終えると、に〜っこりと微笑んだ。
 その笑みに…。
 当事者の男達だけでなく、店内の常連客までもが背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。

「お客様……最新のWRO広報誌、読まれてないんでしょうか…?」
「あ……えっと……」
「いやその……」
「よ、よよよ、読みました……」

 絶対にウソは許さない。
 そんな眼力の込められたティファの視線を突き刺されてウソが言える人間はいないだろう。
 男達は、ただただブルブルと震えながら身を寄せ合って自分達に下される刑を想像し、ダラダラと汗を流して縮こまった。

「じゃあ…広報誌に載っているように、私の運動相手をしてくれますよね」


 ウソでしょー!?!?


 男達は真っ青になってガバッと床に膝をつき、深く深く頭を下げた。
 いわゆる土下座だ。

「もうしません、もうしません!!」
「許して下さい、ホンットウに申し訳ありませんでしたーー!!」
「ど、どどどどどどどうか今回だけは〜〜…!!」

 必死に命乞いをする男達に、客達がほんの少し同情の念を抱く。
 ティファ自身、ここまで頭を下げる人間をどうにかするのは気が引けた。

「じゃあ…今回だけ」
 そう渋々呟いたティファの言葉に、男達の顔に生気が戻る。
 しかし…。
「じゃあ、俺が必殺技の練習を今からするから付き合ってもらおうか」
「「「クラウド!!」」」
 ティファの言葉を遮るようにしてそう宣告したのは、たった今帰宅したばかりのクラウドだった。
 この騒ぎのせいで、彼の愛車の音がまったく耳に入ってこなかったらしい。
 クラウドは視線だけで殺すことが出来るのではないか…!?という程の冷たい眼差しで男達を射抜くと、顎をしゃくって外に出るように促した。
 それに抗う事など出来るわけもなく…。
 フラフラと立ち上がり、縋るような視線を周りの常連客や子供達に向けてみた。
 しかし、結局誰からも助けてもらうことも出来ず…。



「うぎゃーーーー!!!!」
「お、おゆるしを〜〜〜〜!!!!!」
「ひ、ひぃぃぃぃいいいいいい……!!!」



 エッジの街に、警告を無視した愚か者の断末魔が響き渡ったのだった。



 店内の客達は思った。

『ミーハー振りはそこそこにする事こそが長生きの秘訣だ。その相手がジェノバ戦役の英雄なら尚更……』

 後日。
 再び臨時でWROの広報誌が発行された。
 それには、クラウドが若い男三人に『お仕置き』をしたことと、バレットがやはり『お仕置き』をしたこと、更にはユフィがやっぱり『お仕置き』をしたことが、詳細に記されていた。

 この広報誌を読んだ世間の人々は、心の底から思ったものだ。



 ジェノバ戦役もやっぱり自分達と変わらない人間で、怒る時にはとことん怒って相応しい制裁を与えるという面でだけ自分達と違うのだと。



 その後。
 ミーハー追っかけ軍団がもどきすら完全に消滅した事は言うまでも無い。


 今回の事件での教訓。

・ミーハー振りはそこそこにすることこそが長生きの秘訣。
・遠い所からそっと彼らに想いを馳せている間こそが本当の幸せ。



 あとがき

 はい。何とか終りましたね。
 なんか、最後がいま一つだったのですが、あまり細かい描写を入れるのもなぁ…と思ったので、あえて今回はサラッと流す事にしました。
 追っかけ軍団。
 最初はどういうサポートがあって追っかけに成功しているのか…というので迷ってたのですが、結局WROの隊員さんが犯人という形で落ち着きました(苦笑)
 世界復興で必死に皆が頑張ってる時に、そんな携帯の居場所を走査する技術があるのって、やっぱりWROだけだと思ったんです。
 やっぱり今回もダラダラと長くなってしまって申し訳ありません。

 ここまでお付き合い下さり、本当にありがとうございました♪