My hero6(中編)
「それじゃ、たまたまティファさん達の旅行先にアイリさんが入院されてたんですか!?」
「うん、そうなんだよ」
私は、たった今聞かされた話に目を丸くした。
「それで、クラウドさん達にとってもお世話になってね。色々あったけど、こうしてアイリを呼ぶ事が出来たんだ」
そう言って、プライアデスさんは照れ臭そうに微笑みながら、優しい眼差しを隣に座るアイリさんに向けた。
アイリさんは、ずっと無表情なままだ。虚ろな眼差しを煌めかせる事無く黙って座っている。
時々、プライアデスさんやグリートさんが、アイリさんに何か料理を差し出したりスプーンに掬って持たせてあげてたけど、それを彼女は物言わぬ人形のように無表情のまま口に運んでいた。
正直言ってしまうと、物凄く落ち着かない。
お店に並んでいるショーウィンドウのマネキンが、物を食べてるみたいな錯角を覚えてしまう。
ふと気づくと、ラナが気遣わしそうな視線を私に向けていた。
私がアイリさんを気味悪がっていないかどうか案じているんだ……。
慌てて笑って見せたけど、きっとラナには通じないんだろうな。
物凄く顔が引き攣ってるのが自分でも良く分かるんだもん。
「えっと、それで…クラウドさん達に助けてもらって、アイリさんは一緒に帰ってきたんですよね。良かったですよね!だって、ずっと一緒にいたいと思ってたんでしょう?」
ラナの視線に耐え切れなくなる前に、わざと明るい声で話を盛り上げようとする。
これも失敗したんだろうなぁ。
ラナが困ったように笑みを浮かべたのが、視界の端に映った。
「ええ、まぁ…」
「なぁにが『ええ、まぁ…』だ!ハッキリ言えよな!!『会いたくて会いたくて死にそうだったんです~!』ってさ!!」
「やめてくれよ!」
「ハッハッハ、本当に純粋培養育ちは可愛いよなぁ~!!」
「リト!!」
ほんのりと顔を赤らめてはにかむプライアデスさんを、グリートさんがアイリさんを挟んだ反対隣からからかう。
アイリさんが間にいなかったら、絶対にグリートさんは椅子から落とされてるんだろうなぁ…。
「楽しそうね。どう、アイリさんも楽しんでくれてる?」
ニコニコと笑顔でティファさんが料理を手にやって来た。
「どうかね?姫、ティファちゃんが聞いてるよん」
「兄さん!軽々しく”ちゃん”付けしないで!それから、どさくさに紛れて何しようとしてるのよ!」
アイリさんの顔を覗き込みながら、グリートさんがさり気なくティファさんの手を握ろうとするのを、目ざとく発見したラナが柳眉を逆立てた。
その視線の鋭さは、雌豹の様だ……と思う。いや、私も写真でしか見た事ないけど…。
「おっと、こりゃ失礼。美しいものにはどうしても反応してしまうのさ」
「寝言は寝てから言いなさいよ!」
「本当、楽しい兄妹ですね」
「ティファさん!!そんなおぞましい事言わないで下さい!!」
「おいおいおい!!それが実の兄に対して言う台詞か!!」
心底嫌そうな顔をして自分を抱きしめるラナに、プライアデスさんと私、そしてティファさんは堪らず吹き出した。
「本当、二人共昔から全く変わらないんだから」
「うるせえよ!俺達の親戚筋で大きく変わったのはお前くらいだ!」
少し拗ねた口調でグリートさんがそっぽを向いた。
私はそんな姿に益々笑いを誘われたんだけど、ラナはそうじゃなかった。
それまでの砕けた雰囲気から一変。鋭い眼差しを向ける。
「兄さん!」
ガタンッ!と椅子を倒して勢いよく立ち上がり、殺気立った声で鋭く牽制した。
そんなラナは、今まで見た事が無い。
つい先程、『雌豹』の様だと思ったけど、前言撤回。
このラナこそが『雌豹』そのものだ。
思わず全身が総毛立つ。
ティファさんも、驚いてラナを凝視し料理を持ったまま固まっているし、プライアデスさんもいつもの笑みをサッと消し去っている。
ただ、そんなラナの視線を全身浴びながらも、ラナを怒らせた張本人のグリートさんだけが、飄々と何処吹く風と言った感じで、笑みを浮かべていた。(アイリさんは相変わらずだ…)
「お前ね、リリーちゃんとティファちゃんがびっくりしてるだろう」
グラスを傾けながらのんびりとした口調で語りかける。
その言葉にハッと我に返ると、ラナは気まずそうに倒れた椅子を起こして腰を下ろした。
店内の他のお客さん達も、一瞬何事かとこちらを見ていたけど、すぐに自分達の輪に意識を戻してしまった。
ほんの少しの間、気まずい雰囲気が私達のテーブルの空間を支配する。
ラナは……じっと自分の膝辺りを見つめているみたいだったけど、良く分からない。
……だって、私も気まずくてとてもじゃないけど直視出来ないんだもん。
「ティファちゃん、本当に不肖の妹が申し訳ない」
気まずい沈黙は、グリートさんの陽気な声で破られた。
ティファさんは、困ったように笑みを浮かべるとゆっくりと首を振って料理をテーブルに並べてくれた。
「あ、これ美味しそうだな~!うちのシェフには作れそうもないな!!」
「あら!お褒めに預かり光栄ですわ、お坊ちゃま」
グリートさんの明るい調子に合わせて、ティファさんも屈託ない笑顔を見せれくれた。
この場にある澱んだ空気を洗い流そうとしているのが、痛いほど伝わってくる。
「社交界広しと言えど、こうもお坊ちゃまに似つかわしくない財閥子息はそうはいないね」
「うおい!!友人であり従兄弟であり幼馴染をそこまで言うか!?何て冷酷な奴だ!!」
プライアデスさんも、実にさり気ない口調を取り戻している。
ああ、それなのに私は強張った笑顔すら浮かべられない…。
ラナの親友の私こそが笑うべきだって分かってるのに…。
それでもどうしてかな、笑ってあげられない。
『気にしないで…』そういう笑顔を見せてあげられない。
その理由は……。
「すみません。化粧室は何処ですか?」
テーブルを後にしようとするティファさんに、慌てて声をかける。
「あ、ここから見える?カウンターをの突き当たりに当たる所なんだけど…」
「あ、はい。すみません」
軽く頭を下げる私に、ティファさんはふんわりと微笑を返してくれた。
その笑みは、心を包み込んでくれるような、温かな眼差しをしていた。
化粧室に入って、私は顔を洗った。
とんでもなく醜く歪んだ顔を、心を洗い流したかった。
うん、分かってるんだ。
どうしてラナに笑ってあげたり、「気にしないで良いよ」って言ってあげられなかったのか…。
何かね…、悲しかったの。
私の知らないラナが沢山いて。
アイリさんの事とかもそうだけど、あの時ラナが怒った原因とかも全然分からないし。
それに…。
きっと、教えてはくれないと思う。
プライアデスさんのプライベート、それも彼の古傷に触れること…だろうから。
私は、決してその古傷には触れられない。
私とラナは親友……だと思ってるけど、ラナにはラナの生活がある。
WROの隊員としてもそうなんだけど、大財閥のご令嬢という生活が。
だから、一生友達でいたいけど、いつかは会うことも出来なくなっちゃうんだろうね。
……ああ、もう、今夜は駄目だなぁ。
思考がマイナスに傾いちゃうんだから。
ハハ、何か悲しすぎて涙出ちゃうよ…。
「何泣いてるの?」
「うぇ!?」
洗面所に手を置いて体重を預けていた私に、ラナが心配そうな顔をして立っていた。
「あ、ああ、何か急に目に埃が入ったみたいで…」
「うそばっかり…」
一つ溜め息をついて、私の隣に立つ。
「…ごめんね。怖かった…?」
「…あれを怖くないと思える人って、心が壊れた人だと思うわ」
「う……本当に御免なさい」
ラナは深い溜め息をついて肩を落とした。
「泣くくらい怖かったの?」
「え…違うよ!!」
「じゃ、何で泣いてたの?」
「…………」
じっとグレーの瞳が私を見つめる。
ううう、言えるわけないじゃん…。
仲間はずれみたいだった…とか、一生友達でいたいんだけど、無理だって思っちゃった…なんて事。
暫し気まずい空気が流れる。
でも、それは本当に一瞬だった。
「さっきはごめんね。兄さんが気軽にライの過去の事を揶揄したから、ついカッとなって…。具体的に私からは話せないけど、ライの過去は本当に重いの…。だから、それを冗談みたいに口にした兄さんに腹が立っちゃって。でもね…。リリーがここにこもってる間、兄さんに言われちゃった」
「何を?」
『全く、お前はライの事になると異様に感情的になるな…』
『でもな。もう良いと思わないか?今のライを見ろよ、俺達が守ってやらないといけない時期はどうやら過ぎたみたいだし』
『それに、リリーちゃん。多分ショック受けてるぜ?だって、自分の親友が全くわけの分からない事で怒りだしたんだ。それに、何よりも彼女にとって俺達ってまだまだ知らない未知な人物なわけ。そんな俺達にしか分からない話し目の前でされたらさぁ、たまんないぜ?そういうの、結構疎外感感じるもんなんだ、分かるだろ?だから……』
「迎えに来たの」
照れ臭そうに笑うラナは、私の知ってるラナだった。
その笑顔にまた涙が浮かぶ。
「ごめんね、リリー。嫌な思いさせて…」
「そ、そんな、こと、無い、んだから!私達、ずっと、友達、だもん!!」
「うん。私もリリーとずっと親友でいたい。だから、今夜アイリと一緒にこの店に来たの」
ラナの言葉に、私は涙で濡れた顔を上げた。
絶対に、物凄く不細工な顔をしていたはずよね…今考えれば。
でもそんな私に、ラナは頷いて見せると、そっとハンカチで私の頬と目元を拭いてくれて、最後には「うん!これで大丈夫。リリーは本当に可愛い顔立ちしてるわよね!」と、ギュッとハグしてくれた。
「な、そんな事全然無いもん!!」
「はいはい、照れない照れない。それじゃ、皆心配してるから戻ろうか?」
すっと手が差し伸べられ、私はその手を自然に取る事が出来た。
そして、手をから伝わる温もりに、また涙が出そうだった。
「よー!リリーちゃん、具合どう?リリーちゃんが帰ってくるまで俺達食べるの待ってたんだぜ~」
「あ、すみません」
テーブルに戻ると、グリートさんが陽気に片手を上げてくれた。
プライアデスさんは、スッと立ち上がると柔らかな笑みを向けてくれて、私が座る椅子をさり気なく引いてくれた。
うわ。
これって、なんだか社交界風…!?
「お!ライ、お前って奴はそんな紳士振りを見せて株を上げようってか!何て姑息な奴なんだ」
「何でそうなるんだよ!これくらい大した事にはならないじゃないか」
プライアデスさんをグリートさんがからかって笑ってる。
でもでも、実は男性に椅子引いてもらったのって初めてだから物凄くドキドキしたのですが!?
私はその事がばれないように、メニューを見る振りをしてさり気なく顔を隠した。
「ライ兄ちゃん、カッコイイ!!」
突然、私のすぐとなりから男の子声がして、デンゼル君が目をキラキラさせながら、顔をひょこっと覗かせた。びっくりして思わず仰け反ってしまう。
「お、看板息子君もライのファンか?」
「ヘッヘッへ~!まあね!」
グリートさんのからかいを、実に素直に返答する事で応酬すると、「おっとコリャ何とも素直なお返事で」と肩を竦めるグリートさんにニヤッと笑って見せた。
「アイリ姉ちゃん。料理と飲み物の感想は?」
テーブルをぐるりと回ってアイリさんの傍に行き、彼女の手をとって握手をしたデンゼル君が、無邪気な笑顔で話しかけた。
でも、アイリさんの表情が変わることなど当然無く、私はデンゼル君がガッカリするのではないかと内心ヒヤヒヤしていた。
気づけば、ラナとグリートさんもアイリさんを見つめている。
そんな中、デンゼル君が嬉しそうに満面の笑みを浮かべて「だろう!?ティファの料理は天下一品なんだ!絶対姉ちゃんにも気に入ってもらえると思ったんだ~!」とガッツポーズをしたじゃない!
え……?
全然分からないんだけど……。
アイリさんは無表情のままなのに、何でそこでガッツポーズなの?
もしかして、デンゼル君って超能力者なわけ!?
いささか混乱する私を余所に、更にデンゼル君はアイリさんに話しかけている。
「なぁなぁ、姉ちゃんは酒は飲まないのか?……ん~、そっか。ミディールでもそう言えば飲んでなかったな~。それじゃ、俺とマリンが大好きなティファ特製のミックスジュースは飲む?……うん、じゃあティファに言ってくるから待っててよ!」
そう言うと、踊るような足取りでデンゼル君はカウンターへ行ってしまった。
「ねぇ、今の…何?」
訳が分からず隣に座っているラナに小声で囁くと、ラナは悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「あのね、アイリは周りの事が私達が思ってる以上に分かってるみたいなの。ただ、返事が出来ないだけでね」
そして、軽く肩を竦めながらアイリさんに視線を移す。
「私達も最近知ったんだけどね~…」
「ライは分かってたみたいだけどな」
おかしそうに笑いながらグリートさんがからかう。
プライアデスさんは顔を赤くしながら軽く睨んでるだけだ。アイリさんが間にいなかったら、きっとゲンコツの一つくらい落としてたんだろうな…。
きっとグリートさんがアイリさんの反対隣に座ったのは、プライアデスさんを思う存分からかう為に違いない…うん!
「アイリは言葉や表情で自分の意思を伝えられないけど、手を握る事で伝えてるの」
こんな風に……。
そう言いながら、ラナは席を立つとアイリさんの片手を握った。
でも、正直、それだけじゃ良く分からない…。
だって、パッと見ただけじゃ握手してるみたいなんだもん。
戸惑ってる私に気づいたプライアデスさんが、優しく手招きをした。
「見てるだけじゃ良く分からないよね。リリーさんもラナみたいにアイリと手を繋いでやってくれない?」
「そりゃそうね。ほら、リリー」
「う、うぇ……!?」
思わず変な声が喉から飛び出す。
い、いや…だって、いきなり今夜初めて会った人と握手って……。
おまけに、アイリさんは…その……イヤな事もイヤって言えないでしょう…?
私と握手するのがイヤだったらどうするのよ……。
「大丈夫だよ。アイリがもしリリーさんの事イヤなら、とっくに僕達この店にはいないから」
私の気持ちを見透かしたプライアデスさんが微笑みんでくれる。
「え……でも…。って言うか、とっくにこの店にいないってどういう意味ですか…?」
「ん?ああ、そりゃそうだな。知らない人には訳分かんないな」
訳知り顔でグリートさんが一つ頷く。
そして、おもむろに口を開こうとした。
が……。
「アイリ姉ちゃんは、ストレスが溜まると発作が起きるんだよ」
「発作?」
デンゼル君がアイリさんの為にジュースを持ってやって来た。
「うおい!人の台詞を取るんじゃない!!」
グリートさんの苦情を小さな背中で撥ねつけながら、デンゼル君が私を見る。
「アイリ姉ちゃんは自分の言いたい事とか感情とか俺達みたいに出せないだろ?その分、心に負担がかかるんだってさ。んで、そのたまりに溜まったストレスが発作として出るんだって。姉ちゃんのお医者さんが言ってたんだ」
「だから、もしもアイリがリリーさんの事をイヤがってるなら、既に何らかの症状が出てると思うんですよね。グラスを落とすとか、料理を食べなくなるとか…」
プライアデスさんが柔らかな眼差しをアイリさんに向け、釣られて私もアイリさんに視線を移した。
アイリさんは、相変わらず何の変化も表してはいない。
でも、それは逆に私の存在が彼女にとって少なくともストレスにはなっていないって事…なのかな…?
本当にそうなのかな…?
ううう…、自信ない…。
「大丈夫だって!リリーはもっと自信を持って良いのに!」
じれったそうにそうに言うと、ラナは私の手を引いて立ち上がらせた。
そして、当然、そのままアイリさんの所まで引いていく。
「ほら、リリー。初めましての挨拶してよ」
「リリー姉ちゃん、まだアイリ姉ちゃんと挨拶してなかったの?」
ラナの言葉に、デンゼル君が目を丸くした。
う……。
そう言えば……まだ挨拶してなかった…。
変な汗が背中を伝う。
私って、本当に常識外れなイヤな奴…かも…。
うあー!ほら、絶対駄目!こんなイヤな奴に握手されたら、アイリさん絶対発作起こすーー!!!
「ほら、アイリも立って。初めましての挨拶しよう」
半分パニックになる私の前で、アイリさんは差し出されたプライアデスさんの手をスッと取った。
それは、全然何の抵抗も・躊躇いも無かった。
「はい、それじゃあ、記念すべき初めての顔合わせで~す」
いつの間にか私の隣に立っていたグリートさんが、おどけた口調で私の顔を覗き込んだ。
整った綺麗な顔、グレーの瞳に顔を覗き込まれ、私は思わず真っ赤になった。
いつもならグリートさんは絶対にからかうんだろうけど、この時は違った。
何だか私の臆病な背中を押してくれるかのように、そっと私の耳に小声で囁いてくれた。
「大丈夫だって、うちの姫もリリーちゃんも、二人共がすんごく良い子なのに、姫がリリーちゃんを拒むはずないだろう?」
静かなその声は、本当に私の心に勇気をくれた。
私は大きく息を吸い込むと、立ち上がったアイリさんに恐る恐る手を差し出して、アイリさんの手を握ろうとした。
でも…。
差し出された私の手が、アイリさんの手に届く前に摑まれてしまった。
びっくりして、思わず大きく目を見開く。
他でもないアイリさんの手が、私の手を握ってくれている。
「アイリからリリーさんの手を握ったね」
「ええ!?良いなぁ、リリー。私、まだアイリから先に握ってもらった事無い…。もう、こうなったら今度からアイリの方から握ってくれるの待っちゃうんだから!」
何だか、只それだけなのに、もうそれだけで胸が一杯で、何だか泣けてくる。
そんな私の手を握ったまま、アイリさんはそっと手を握り締め、そしてゆっくりと親指で私の指の付け根をさするように動かした。
その動きは、とてもじゃないけど全然滑らかじゃなくて、小さな子供が一生懸命するようにとてもたどたどしい。
でも。
ああ、何だか彼女に『泣かないで』って言われてるみたいだ。
うん。そっか、デンゼル君がアイリさんにさっき見せた色々な表情は、全部こういうことなんだ。
うん。
アイリさんの事、私、物凄く好きになれるかも
「な、大丈夫だったろ?」
「はい!」
グリートさんがそっと聞いてきた。
その声がとても優しくて、本当に私は嬉しくなった!!
その時。
デンゼル君がパッと顔を輝かせた。
そして、
「クラウドが帰ってきた!良かった~、皆がいる時間に帰ってこれて!」
とだけ言い残すと、あっという間に店の入り口に行ってしまった。
デンゼル君が店のドアを開けた途端、クラウドさんが大きなバイクに乗って店の前に着いたのが見えた。
これから車庫にでも入れに行くのだろう。
そのクラウドさんに、デンゼル君が何事かを早口で伝えている。
きっと、アイリさんの事だろうな…。
ん~~、クラウドさんに憧れている私にしては、会えるのは嬉しいんだけど、クラウドさんにとってもアイリさんは特別な人になってるんだろうなぁ……とか考えちゃうと……あああ!!もう、ダメダメ!!
そんなマイナス思考じゃ駄目!!
皆で楽しむんだから!
それに、やっぱりクラウドさんに会えるのは……物凄く嬉しい~!
だって…、だって……、やっぱりまだ好きなんだもん!
こうして、私は少々複雑な、でもでも、胸はドキドキしながらクラウドさんを待つ。
クラウドさんが店に顔を見せてくれるのもあと少し…。
あとがき
あああ!!!結局終わらない上、クラ……本当にごめんよう!!
しかもしかも、クラティファミリー皆が今回出番少ないし!!!
こ、後編ではもっとバランス考えます。本当にすみません。

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