何と言う事だろう…。
神様、僕は何か罰を受けねばならない事をしたでしょうか……。
Ouch!1
僕はその日、エッジにある『セブンスヘブン』という店に、従兄弟であり友人であり同僚であるグリートと一緒に訪れていた。
何故かと言うと、先日僕の不肖の従姉妹が『セブンスヘブン』の店主とその御家族に、多大なご迷惑をおかけしたという事実を、聡明で敬愛する、友人でもあり、今では同僚となった従姉妹、グリートの妹から報告を受けたのが、つい先週。その為、そのお詫びと、エッジに来て日が浅いが故に、美味しい料理のお店に今までありつけない状態であったので、聡明な従姉妹殿の勧めでこの店に来る事となった。
僕は、正直言ってあまり気が進まなかった。
大体、何故不肖の従姉妹のお詫びを僕がしなくてはならないのだろう…。
その事をリト(グリートのあだ名)にこぼすと
「俺だって同感!でも、相手はあの≪ジェノバ戦役の英雄≫だからな。今後の事とか考えると、早めに謝罪しておくに越した事はないだろうな」
と、いともあっさり返されてしまった。
そこで、仕方なくリトと一緒に謝罪も兼ねて、美味しいと評判の料理を食べに来たと言うわけだ。
「何で俺まで付き合わなくちゃならないんだ…?」
「薄情だね、君も。良いじゃない、美味しい料理にしばらくありつけない状態で、散々愚痴をこぼしてただろ?」
「だからと言って、何故、あのバカ女の謝罪を、よりよってあの≪ジェノバ戦役の英雄≫様方にせねばならんのだ!?」
「早めに謝罪しておくに越した事はないって、君の言葉だったと思うけど?」
「ああ、確かに言ったな。でもな。俺にとってあのバカ女とは血の繋がりも、何にもないただの他人なんだぞ!?」
「でも、彼女も君も、僕にとっては父方、母方の従兄妹なんだよね。と、言うわけで、少なくとも君にとって彼女は全くの赤の他人と言う訳でもないんだよ?」
「お前、本当に言うことが嫌味だよな」
「そうだね。そう思うよ。多分、世界で君の次くらいに嫌味な性格だよ」
「……おい……」
「ま、来てしまったんだから諦めて、さっさと中に入ろうか?」
店の前で立ち往生していた為、気付けば僕達の後ろには少々列が出来てしまっている。
後ろで不愉快そうな顔をしていた男性に、軽く頭を下げて謝罪すると、僕は悪あがきをするリトを引きずるようにして店の中へと足を踏み入れた。
そこは、店の外観からはちょっと想像できにくいほど、気持ちのホッとする空気が流れていた。
店内は、早い時間だと言うのに既に客で満席に近い状態だった。
その光景だけで、この店がどんなに評判の良い店か窺えると言うものだ。
「期待して大丈夫そうだな」
「そうみたいだね」
リトが、口笛でも吹きそうな感じで感想を述べる。
僕が頷いた時、パタパタと可愛い足音を立てて、可愛い女の子が駆け寄ってきた。
「いらっしゃいませ。お二人様でしょうか?」
可愛らしい笑顔を向けられたけど、僕もリトも咄嗟に言葉が出なかった。
確かに、昨今の世界情勢を鑑みれば、この様な小さな子供でも何か働かなければ、食べるに窮する家庭は多い。
しかし、まだ早い時間とはいえ、もう夜といって良い時間に、この様な酒の出る店でこんなに小さな女の子が働くと言うのは如何なものだろう?
リトもきっと同じ事を考えたのだろうが、彼の方が僕よりも立ち直るのが早かった。
「あ、ああ。二人だけど、席空いてる?」
「はい。こちらへどうぞ」
女の子はにっこりと笑って僕達をカウンターへと誘導した。
「こちらになりますが、よろしいでしょうか?」
「うん。良いよ、ありがとう。それから、少しお願いしたい事があるんだけど…」
「はい?」
「『ティファ・ロックハート』さんと『クラウド・ストライフ』さんにお会いしたいんだけど、出来るかな?もし今日がご都合が悪ければ日を改めて出直すけど…」
「えっと、ティファとクラウドに御用事の方ですか?」
「え〜、まあ、用事と言うか何と言うか…。ああ、でも変な勧誘とかお願いじゃないから大丈夫だよ」
キョトンと小首を傾げてじっと見つめる女の子に、僕は慌てて手を振って見せた。
変な印象を与えてしまった気がする。
それに冷静に考えると、そもそも何の約束もせず、いきなり押しかけてきて「先日は不肖の従姉妹が〜」と、お詫びするのも、かなり非常識な行為ではないだろうか!?
マズイ……、これは非常にマズイ気がする………。
僕は、咄嗟に「やっぱり今日はこれで失礼して、後日ご都合の良い日に」との台詞を口にして、席を立とうとした。その時、
「マリン、どうしたの?」
「あ、ティファ!丁度良かった。あのね、こちらのお客様がティファとクラウドに御用があるんだって」
優しい声音の女性が女の子に声を掛け、女の子が声の主を笑顔で振り仰ぐ。
自然と女の子に釣られるようにして、僕とリトも声の主へ視線を移した。
そこには、一言で言えば『絶世の美女』が、優しい眼差しで女の子を見つめて立っていた。
うん。ただ綺麗なだけじゃない。女の子を見つめる優しい瞳は、暖かな雰囲気をかもし出しつつ、凛とした意志を感じさせる。
本当の意味で『綺麗な女性』だと感じさせる何かを、彼女は持っていた。
はぁ〜、世の中にはこんな綺麗な人もいるんだなぁ。
僕が心の中で賞賛していると、女性『ティファ・ロックハート』さんが女の子、マリンちゃんに話しを聞いて、僕達の方へ向き直った。
「今晩は。私がティファですけど、何か?」
にっこりと微笑んで問いかけられ、僕は一瞬身構えた。
「え、えっと。その、実はですね…」
僕が口を開いたまさにその時、僕の隣に腰掛けていたリトが、ガタンっと大きな音を立てて椅子から立ち上がる。彼は、外界から完全にシャットアウトされたかのような、夢見る眼差しでうっとりとティファさんを見つめているではないか!
僕とティファさんは、リトの異常な様子に驚き、目を丸くしたけど、当のリトは、僕の存在なんかきっと宇宙の彼方に飛んでいってしまったんだろう。僕の非難めいた視線など全く気付かない様子で、ひたすら穴が開くほどティファさんを見つめている。
リト、君、そんなに見つめたら失礼だよ……。って言うか、その眼差し……!!ちょ、ちょっと!!
焦る僕の視線を全く感知せず、リトは真っ直ぐにティファさんの前に立つと、吃驚しているティファさんに向かって一言、
「お美しい……」
などと、鳥肌ものの台詞をこぼしてしまった…!!
「は!?」
「リ、リト……?」
「貴女の様なお美しい方に、こんな所で出会えるなんて!」
もう完全に周囲の事など目に入らないリトは、彼の異様な迫力に後ずさるティファさんの手をガシッと握り締めると、あろう事か自分の胸元に引き寄せた。
その非常識極まりない行為に、店内は一瞬にして無責任にはやしたてる酔っ払いや、彼女に想いを寄せているのであろう他の男性客達の非難の声で騒然となる。
その騒ぎに、店の奥から茶色のふわふわした髪の男の子が飛んで来るのだ見えた。
そして、ティファさんと、ティファさんの手を握り締めて『起きたまま夢を見ている』リトに目を吊り上げた。
そう、僕はこの時やっと、従兄弟で親友の、今は同僚となったこの男を一緒に連れてきた事は大失敗だったと気付かされた。
どうして、僕の親類は常軌を逸した人間が多いんだ!?
そんな僕の嘆きなど知るはずもない従兄弟は、戸惑いながらも何とか手を振りほどこうとするティファさんに、更ににじり寄り、とんでもない事を口にした。
「貴女の心を射止める為ならば、どの様な事でも致します。さぁ、なんなりとお申し付け下さい」
アホかーーー!!
彼のその一言で、切れたのは他でもない僕だった。
僕は生まれて初めて、従兄弟で親友で、今は同僚のその男を思いっきり、何の手加減もなく殴り飛ばした。
リトは、完全に無防備だった為、面白いほど良く飛んだ。そう、飛びすぎて店の扉を危うく突き破るところだった。しかし、丁度タイミング良く扉が開いてくれたお蔭で、何の障害もなく店の外へと吹っ飛んだ。
当然、店内は一瞬シンとなるし、扉をタイミング良く開けてくれた、金髪で紺碧の瞳をした男性が上手くリトを避けなかったら、彼にも被害が及んでいたところだ。
うん。今振り返ってみると、本当に素晴らしい反射神経をしていたよ、この男性は。
普通なら、絶対にぶつかってたね…。
「あ、あの?」
恐る恐る声をかけられ、荒い息をしていた僕はハッと我に返った。
「ああ!!本当にすみません。彼が変な事を口走ったり、変な事をしたりして!!」
勢い良く頭を下げる僕に、ティファさんが「い、いえ。私は良いんですけど、お連れの方は大丈夫かしら?」と、心配そうな声音で声をかけてくれた。
ああ、本当に優しい、良い人だな〜。…って、和んでる場合じゃない!!
そもそも、僕は彼女とクラウド氏に不肖の従姉妹の謝罪に来たハズなんだ。
それなのに、僕と従兄弟自身が彼女やお店に多大なご迷惑をおかけしているなんて、本末転倒ではないか!?
激しく自責の念に囚われている僕に、マリンちゃんが気の毒そうな顔をして、僕の顔を覗き込んできた。
優しい彼女に、何とか微笑もうとした、その時、
「大丈夫みたいだな。気を失っているが、意外と頑丈に出来てるらしい。頭にこぶが少し出来ただけですんだみたいだ」
先程、タイミングよく扉を開けてくれた男性が、リトを背負って店に戻って来た。
すると、その男性の声にマリンちゃんと、店の奥から男の子がパッと顔を向け、嬉しそうに駆け寄った。
「「お帰り、クラウド!!」」
え………、今なんて……?
「お帰りなさい、クラウド。お疲れ様」
「ああ、ただいまティファ、デンゼル、マリン」
あ〜……、何だか意識が遠くなる気がする。
この人が。
この、ご丁寧にリトを運んでくれたこの男性が……。
≪ジェノバ戦役の英雄≫の一人、クラウド・ストライフ氏!!
こうして僕は、不肖の親類達のお蔭で、この様な劣悪な状況の中でクラウド氏と対面する羽目になってしまった。
あとがき
はい、またまたやってしまいました(汗)。マナフィッシュの得意技、オリキャラ語りでございます(滝汗)。
実は、このオリキャラ達は、今後もちょくちょく登場させたいと思っています(ああ、石投げないで)。
ラナやリリー同様、マナフィッシュの代弁者として今後、活躍してくれる予定ですがどうなるでせう?(笑)。オリキャラ駄目!!って方にはあまりオススメ出来ないお話が沢山出来てしまいそうな予感が(既に、今回の話で終わらなかったので、続く事が決定してますし 汗)。ちゃんとその時には、注意って書いときますのでご安心を(笑)。では、大丈夫な方のみ、次回作をお読み下さい(ああ、すみません)

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