「え〜、こちらが今回の我々の強力な助っ人だ。くれぐれも、彼女の足を引っ張らないように!」
「「「「 はっ!! 」」」」


 横一列に並んだ隊員達の敬礼を受けつつ、クラウドは扇で顔をすっぽり隠したまま、深いため息を吐いた。





潜・入・捜・査!(後編)






 なんでこんな目に…。
 WROの車に揺られながら乗り物酔いと戦いつつ、クラウドは泣きそうだった。
 本当なら、今日一日は家族とゆっくり心穏やかな時間を過ごしていたはずなのに…。
 返す返すも、リーブが憎い。
 そして、リーブの依頼をあっさりと『あ、私無理!ごめんね〜』と断ったユフィが更に憎い。

 ユフィが断りさえしなければ、リーブがティファに依頼することは無かった。
 ティファに話しがいかなければ、こんな目に合うことはなかったのに…!!!

「あの……大丈夫ですか…?」

 隣に座っている隊員が心配そうに声をかける。
 無言でクラウドはコックリ頷くと、窓の外に目をやった。
 窓ガラスに映る自分の姿にげんなりとし、見るのをやめようとした時、隣の隊員が熱い眼差しで自分を見ている事に気がついて鳥肌が立った。

『…正直に言えば良かったのかもしれない…』

 クラウドは激しく後悔しつつ、昨夜のことを振り返った。



「クラウド〜、女装しない?」
「「「 えっ!? 」」」

 満面の笑みでそう言う恋人に、クラウドは一瞬思考がストップした。
 何処の世界に、自分の恋人に女装をねだる女性がいるのだ!?
 おかしいじゃないか!!

 だが、ティファは満面の笑みを浮かべながらもその目は真剣だった。

「だって、クラウドは私に潜入捜査をさせたくないんでしょ?」
「それは当たり前だ!」
「でも、明日でないと武器の密売組織の尻尾を掴むチャンスがないのよ?」
「それは……でも、ユフィが明日ダメでもその次のチャンスには任務に就けるかもしれないじゃないか」
「次のチャンスがもしも一ヵ月後だったら?その一ヶ月間の間にどれだけの武器が出回ると思うの?」
「いや…それはそうだが…」
「今のところ、WROはなんの証拠も握ってないの。だから踏み込む事が出来ないのよ」
「…それは…分かってる…」
「分かってない!」

 しどろもどろ言い逃れを繰り返すクラウドに、痺れを切らせて大声を上げる。
 子供達までもがビクッと身体を震わせた。

「クラウド、今、世の中は不安定なのよ、分かってるでしょ?そんな時に、大量に武器が出回ってみて?何の関係も無い人達の血が沢山流れるのよ?」
「 ……… 」
「ね?ニブルヘイムや、ゴンガガみたいなことにならない保証はどこにもないの」
「 ……… 」
「少しでもそんな危険があるのなら、迅速且つ徹底的に潰していく。そうしないと……星に還った皆に顔向けできない…」
「 ……… 」
「クラウド、選択肢は二つだけよ。私が乗り込むか、クラウドが女装して潜入するか…」
「 ……… 」
「私はどっちでもいいわ。クラウドが選んで」

 たっぷり苦悩した挙句、やはりクラウドは自分が女装することを選ばざるを得なかった。

『こんなの……脅迫じゃないか……』

 嬉々としてリーブに報告をするティファを横目に見ながら、クラウドは盛大なため息を吐いたのだった…。



 それからが大変だった。
 まず、WROからきたという特殊メイク係が即行で現れ、クラウドを寝室に引っ張り込んだ。
 かつら、メイク、ドレスの試着、靴に香水、ドレスに似合うバッグ。
 勿論マニキュアも忘れない。

 そうして出来上がった完成品(?)に、特殊メイク係はうっとりとクラウドを見やった。


「こんなに素敵に女装が出来上がったことは今まで無いですよ…」


 鏡の中の自分の姿に、クラウドは失神しそうになった。



「「「 !!!!! 」」」
「どう、皆!こんなに化粧のノリの良い肌の男性、自分、初めてであります!!」
「「「 …………… 」」」

 女装が終わった後。
 嫌がるクラウドを無理やり特殊メイク係は家族の前に引きずり出した。
 恥ずかし過ぎて顔を上げられないクラウドに、家族の視線が突き刺さる。
 もう……穴があったら例え底の見えない大穴であろうとも、迷わずに飛び込みたい!!!!
 そんな心境だった。

 だからこそ、クラウドは気付かなかった。
 ティファの手にしっかりとカメラが握られていたことに。

「…クラウド……」
 デンゼルの呆然とした声が胸に突き刺さる。

「すっごーい!!!」
 マリンの素直な賛辞に気分がどん底になる。

「ね、言ったでしょう…」
 どこか陶然とした声の恋人に本気で泣きたくなる。

 何が悲しくて無理やり女装させられて褒められなくてはならないのか…。

 クラウドの心境とは裏腹に、子供達は心の底からの賛辞を惜しみなくくれた。
 それがまた、気持ちを奈落の底に突き落とす。

「クラウド…本当に美人だったんだ…」

 デンゼルの言葉がとどめとなった…。
 茫然自失状態のクラウドは、気がついたらWROの車に押し込められ、家族の熱い視線に見送られながら任務に向かったのだった…。





 ショックリョウホウと言う奴だろうか…。(ショックすぎてカタカナ (笑))
 車酔いせずに目的地に着いたのは初めてだった。
 もう、今の自分の置かれている状況を認められない心境のまま、放心状態で気が付けば…。


「では、これから任務に移る。よろしくお願いします」

 今回の任務のリーダーに敬礼され、クラウドはハッと我に返った。
 いつの間にやら、怪しげな建物の影にいるではないか。
 ぎこちなく頷いてみせると、クラウドは持っている扇で顔を隠した。
 隊員達がどこか残念そうな顔をしたが、既に任務モードに入っているクラウドには伝わらない。

 隊員達の心を車の移動中と言う短時間ですっかり鷲掴みにしていることなど気付いていない、世界一女装の似合う英雄は、そっと物陰から外を窺った。
 目的地の建物は非常に立派な作りの…カジノ。
 車が何台も横付けされ、煌びやかな衣装に身を包んだ女性達がエスコートを伴い入っていく。
 いつの間にやらそのカップルが列となっており、クラウドはタキシードを身につけた任務のリーダーと目配せすると、一番後ろに何食わぬ顔で並んだ。
 そうして、一番後ろのカップルを一瞬で気絶させると、実に手際よく物陰に引きずり込む。
 その間数秒。
 声も出させずに失神させたので、前に並んでいるカップルや、招待状を確認しているガードマン等には全く気付かれていない。
 道路を挟んだ反対側で待機していた隊員達が、その手際の良さに感嘆の溜め息を吐いた。


 軽く失神したカップルを縛り上げて手荷物を漁る。
 案の定出てきた『招待状』をせしめると、リーダーと共に平然とした顔で一番後ろに並んだ。
 列が少し進んでいる。


 隣に立つリーダーは、これから行わなくてはならない任務に緊張気味だが、緊張しすぎている…と言う風ではない。
 その事に、クラウドは仲間が良い部下に恵まれていることを素直に喜んだ。
 そのお蔭だろうか…。
 特に変に緊張せずにガードマンのチェックを終え、無事に中に入る。
 当然、そこからはエスコートと女性は別の部屋に連れて行かれた。
 途中で軽い身体チェックが入る。
 これは、武器や盗聴器の類が無いかのボディーチェック。
 クラウドは今夜、イヤリング型の盗聴器を身に付けていたのだが、WRO最新版ということもあり、金属探知機には引っかからず無事にパスをした。
 問題は……。

「今から簡単なボディーチェックを行います」

 クラウドは血の気が引いた。
 胸は……大丈夫なのだ。
 何故なら、気合の入った特殊メイク係に胸まで付けさせられているのだから。
 だが、執拗に触られたら一発で分かる…。
 周りの女性達もザワザワと不安そうな顔で隣に立つ人達と顔を見合わせた。
 それはそうだろう。
 彼女達は、一応『高級ホステス』なのだが、いきなりボディーチェックなどと物々しく言われたことなどないはず。
 おまけに、そう言ったのはいかにもヤバそうな……男。
 彼女たちの心情を察したわけではないだろうが、
「では、失礼します」
 そう言って、後ろに控えている中年女性に顎でしゃくって指示をした。

 同性がチェックすることになって、女性達にホッと安堵感が流れる。
 だが、当然クラウドはそうではない。
 心臓が今にも爆発しそうだ。

「はい、良いですよ」
「あなたも合格」
「では次」

 着々と順番がやって来る。
 もう冷や汗はダラダラ、心臓はバクバク。
 こんなにも『変に』緊張したのはコルネオの屋敷に潜入した時以上じゃないだろうか…!?

「では、最後ね」

 ドッキーーーーン!!!!

 女性の手がそっとクラウドの体に触れる。
 緊張しすぎて身動き出来ない。
 徐々に手が胸に伸び、ドレスの下にあるかもしれない武器を探している。
 その間、僅か数秒。
 クラウドにしては数時間。

『やけに俺だけ長くないか!?』

 そう思ったその時。
 女性がジッとクラウドを見つめた。
 食い入るように見つめるその目に、失神しそうになる。
 もしもここで正体がバレたら、『ジェノバ戦役の英雄のリーダーは女装が趣味』と、世間に吹聴されてしまう。

 実際。
 もしもバレたら今回の作戦は失敗なので、この場にいる全員を失神させ、捕獲してからトンズラする手はずになってるのだが、そんなこと、今のクラウドの頭には微塵も残っていない。

 ドックン、ドックン。

 心音がやけに耳につく。

 も、もうダメか!?
 そう思ったその時。


「アナタ……本当に綺麗ね…」
「…!?」
「ふふ、本当に綺麗だわ」
「 … 」
「照れてる仕草と言い、緊張してる様子といい、初々しくて良いわ」
「 … 」

 クスッと笑って女性は離れた。
 ドッと全身から冷や汗が噴き出す。

 ガードマンは満足そうに頷いた。

「では、全員終りましたので、こちらにどうぞ」

 女性達がパッと妖艶な笑みを浮かべる。
 彼女達にとって、これから会う男性は『カジノの総支配人』なのだ。
 裏の顔を知らない彼女たちにとって、今夜、総支配人の眼鏡にかなうかどうかが勝負どころ!
 周りにいるのはライバル。
 颯爽とボディーチェックをした女性の後に続いて部屋を出る。
 クラウドも肩に入っていた力をはあ〜〜…と抜くと、気を引き締めて後に続こうとした。

 が…。


「すいません、アナタはこちらに」

 グイッ。
 ガードマンに腕をつかまれる。
 数人の女性が振り返って哂った。
 恐らく、ライバルが減って喜んでいるのだ。
 クラウドは女性の恐ろしい一面を見た気がした。
 だが、そんな余裕はあっという間に掻き消える。


 グイグイとガードマンに引っ張られ、彼女たちとは全く違う部屋に連れて行かれる。


 バレた!?


 緊張がクラウドを襲う。
 もしもバレたのなら仕方ない。
 待機している隊員達に一言『撤退』と告げるべきだ。
 盗聴器でもあり、無線機にもなっているイヤリングを通し、外の隊員には十分それで伝わる。

 クラウドの目がスッと細められ、状況を見極めようとした。

「ここです」
「…?」

 立ち止まったのは豪華な作りのドアの前。
 戸惑うクラウドに、ガードマンは丁重に一礼した。

「支配人の今夜の相手はアナタです」
「 !? 」

 目を見開くクラウドに、ガードマンはちょっと驚いて……ほんのりと頬を染めると目をそらした。

「先ほどのチェックの際、チェック係がアナタを褒めたでしょう?アレが合図なんですよ」
「 …… 」

 声を出さないクラウドを、ガードマンは驚き過ぎて声も出ないのだと勘違いしたらしい。
 フッと微笑んで見せ、
「大丈夫、支配人は女性には優しいですから」
 そう言って、緊張をほぐそうとする仕草をした。

 本当は……根は良い人なのかもしれない……。
 声を出さないのは、男だとバレるからなのだが…。
 クラウドはぎこちなく微笑んで見せた。

 ガードマンが赤くなる。

 ゴホンッ!
 それをごまかすかのように咳払いを一つすると、彼はドアをノックした。

『入れ』

 中から男の声がする。
 ガードマンがそっとドアを開け、クラウドを中へと促した。

「大丈夫ですよ、頑張って」

 ………本当に根は良い奴なんだろうなぁ……。

 そう思いながらそっと足を運ぶ。
 フカフカの絨毯に足をとられそうになる。
 なにしろ、今履いてるのはピンヒールなのだ。
 履きなれてなど勿論いない。
 油断したら転倒すること間違いない。

 ぎこちなく、ゆっくり、ゆっくり歩いていると、突然目の前に影が下りた。
 ビックリして顔を上げると…。

「へぇ…今夜はなんて素敵な女性だ…」

 顎に手を添えてジッと見つめる…褐色の肌をした中々の男前。
 転倒しないように気をつけるばかりで、周りに意識を向けていなかったことに今更ながらに慌てる。
 意味も無く、咄嗟に手にしている扇で顔を隠す。

「ふふ、キミ、照れ屋なんだね」

 ぐい。

 慣れた手つきで腰に手を回され、密着状態になる。


 ゾッワ〜〜〜!

 全身に鳥肌が立つ。
 気色悪い!!
 その一言。

 いきなりのスキンシップに固まるクラウドに、男は変に勘違いしたらしい。
 クスッと笑うと、耳元に顔を近づけて、
「大丈夫、優しくするから」
 と、のたもうた。


 何をだーーー!?!?!?


 心の中では絶叫しているのに、身体はガチガチで言う事を聞かない。
 まさか、こんな砂を吐きそうな台詞を聞かされるとは…!!

『ティファに行かせなくて良かった…』

 まだ冷静に判断出来る脳みそがそうクラウドの心を慰めた。


 と…。


 ドサッ。


「 !? 」

 いきなりベッドにダイビング。
 ギョッと顔を上げると、妖艶な笑みを浮かべた男の整った顔が至近距離に近付いているではないか。
 思わずベッドの上で後ずさる。
 何が悲しくて同性に迫られなくてはならないんだ!!!
 しかし、着慣れないドレスとピンヒールで上手く動けない。
 そんなクラウドは男の心をくすぐるものでしかないようだ。
 クスッと笑うと、
「そんなに怯える女性は久しぶりだな。いつも場慣れしてるような化粧臭い女ばっかりだったから新鮮だよ」
 グイッとクラウドの腕を掴んで動きを止める。

「大丈夫、優しくする。それに、キミのこと気に入ったしね」
 そっとクラウドの頬を撫でる。

 クラウドのリミットゲージがマックス間近になる。

 ガッチガチに固まったクラウドだったが、ふと室内にあるテーブルの上のモノに気がついた。
 そこにあるのは…。

「あ〜、あれ?ふふ、まぁいっか。当分キミ以外、相手にする気は無かったし」

 クラウドから離れ、テーブルの上にあるモノを取り上げる。
 それは…。

「見た事ないだろ?これ、最新型なんだよ。プラスチック製だから金属探知機にも反応しない。でも、威力は普通の銃と変わらないんだ」

 そう……拳銃。
 しかも、拳銃と一緒にある物は…一枚の紙。
 恐らく、密売組織がらみのものだろう。
 幾つか名前と地方が記載されている。

 黙り込んだクラウドに、男はクスリと微笑んだ。

「これでキミはもう逃げられない」

 ゆっくりとベッドに近付く。

「この秘密を知って、逃げられると思うほど、バカじゃないだろ?だからさ」

 クラウドの肩に触れる。

「大人しく、俺のものになった方が利口だよ」


 男の吐息がクラウドの頬に触れた。



 リミットゲージ………マックス完了。



「………き…」
「ん?」
気色悪いんだよ!!!!!

 怒声と共にクラウドは男を吹っ飛ばした。
 男にとって、クラウドがバスターソードでなく、素手で吹っ飛ばしたのが幸運だったのかどうか分からない。
 まぁ、バスターソードだったら確実に星に還っていただろうから、まだマシだったのかもしれないが…それにしても…。


 怒声に驚いて部屋に飛び込んだガードマンが見たもの。
 それは、顔面がへしゃげていつもの男前が見る影も無く変形して失神している主と、鬼のような形相の美人…、もとい、クラウドの姿。

「ひっ!!」

 あまりにも鬼気迫る形相にガードマンが息を飲んで立ち竦む。

 その一瞬の間合いを詰め、ティファ直伝のクラウドの回し蹴りがクリーンヒットした。





「いやぁ、クラウドさん、本当にありがとうございました!!」
「……別に…」
「本当に助かりました。これだけの証拠があれば、組織は勿論、絡んでいる他の組織も一掃出来ます!」
「 ……… 」

 嬉々としてそう言う仲間に、クラウドは無言で頷いた。
 もう……色々な意味で疲れた。

「後は我々で対処出来ます!本当にありがとうございました。あ、それから明日からの一週間はストライフデリバリーサービスの仕事はこちらで代行します。せめてものお礼ですよ。ゆっくり休んでください」

 リーブの最後の言葉に、ようやくクラウドはホッと息を吐いて淡い笑みを浮かべた。




「ただい……ま……」

「あ!」
「おかえり〜!!」
「「 クラウド、お疲れ様〜!!」

 疲れ切ったクラウドを出迎えてくれたのは4人。
 そう……4人!!

 ここにはいるはずのない人物が一人、満面の笑みの家族の中に混じっている!!!!


「な、な、な…!」
「ん?何でここにいるのかって?」

 ニヤ〜ッと笑うお元気娘。
 そう。
 今回、リーブの依頼を蹴っ飛ばしたが故にクラウドが女装しなくてはならない羽目になった張本人。

「へへへ〜、だってアタシ、ずーっと見てみたかったんだ〜♪」
「 …? 」
「クラウドの女装〜♪」
「 !!!!! 」

 ユフィの手にビラリ、と握られているのは……。

 女装したクラウドの写真。

 ティファがちょっとだけ申し訳なさそうに……だが、心底嬉しそうに笑った。

「ごめんね。どうしても欲しかったから……撮っちゃったVVV」


 クラウドは意識が遠くなるのを感じた。


 なんてことはない。
 今回、ユフィが断ったのはティファに潜入捜査させるくらいならクラウドが女装すると見越してのことだったのだ。
 まんまとお元気娘の思惑通りに運んでしまった…。

 デンゼルとマリンは、大量の女装の写真をテーブル一杯に広げ、マジマジと、
「本当に綺麗だねぇ」
「うん……俺、クラウドの事尊敬する!だって、これって絶対にクラウドだって分かんないもん」
「うんうん!まさか、あのクールなクラウドがこんなことするなんて誰も思わないしね」
「うん!女装してこれからも潜入捜査、出来るよな!!」
「うん!すっごいよね!父ちゃんなんか、絶対に出来ないし」
「ヴィンセントの兄ちゃんもちょっと無理があるしなぁ…」
「クラウドにしか出来ないよね」

 褒められれば褒められるほど、男としてのプライドが粉々になっていく。

 ユフィがニンマリと笑った。

「ついでに、『謎の美女』って名目で売れそうだよねぇ〜♪」


 リミットゲージ……再びマックス。


そんな事してみろ……ぶっ飛ばすぞ…」


 殺気を含んだ声音に、ユフィがヒッと小さく悲鳴をあげ、ぎこちなく笑った。

「んなことするわけないじゃん、冗談、冗談♪」
「 ……… 」


 引き攣った笑いを浮かべるユフィを睨みつけ、屈辱で真っ赤になっているクラウドに、ティファが苦笑しながらそっと近寄った。

「ごめんね。でも明日からは暫くゆっくり出来るんでしょう?リーブから聞いたの」

 ニッコリと笑い、そっとクラウドの手を握る。
 そのままカウンターのスツールに腰を下ろさせ、いつものキツイお酒を入れてやり、手料理を振舞った。

「本当に…お疲れ様」
「 ……ん 」

 まだクラウドの女装写真で盛り上がっている子供達とユフィの目を盗み…。


 二人はそっとキスを交わした。
 ティファの温もりに癒されながら、クラウドは思った。


『二度と…女装なんかするかーー!!』




 リーブのくれた一週間の休日。
 それは女装した傷心のクラウドの傷を癒すには十分楽しいものだった。


 後日。


 チリンチリン。
「いらっしゃい……あら」
「こんばんわ」
「まぁ、いらっしゃい。WROの隊員さん達…ですよね?」
「「 …は、はい!! 」」「「 そうです! 」」
「どうしたの、皆さんお揃いで」
「あ、あの」「実は…」
「この前の潜入捜査のときの女性、どちらにお住まいかご存じないですか!?」
「「「「 …え……? 」」」」
「「「「 我々、彼女のファンクラブに入ったんです!! 」」」」
「「「「 !?!?!? 」」」」
「「「「 お願いします!是非、彼女を紹介して下さい!! 」」」」

 その手に握られているものを見て、クラウドは店を飛び出した。



ユフィーーーー!!!!


 その後。
 ウータイで、お元気娘の謝罪の声が響き渡ったことは言うまでも無い…。



 あとがき

 18881番リクエスト、ケイ様から頂戴しました♪
 リクの内容は…。

 ― 『クラウドの女装ミッション!(笑)』 “リーブの依頼で最近新たにできた密売組織を叩いてほしいと頼まれる。しかも女装姿で。情報によるとその組織のボスはなかなか頭はキレるが相当な女たらしで美人にはとことん弱いのだという。そこに付け込んで麻薬などの密売ルートを聞き出した後、合図をきっかけにWROの隊員が突入し幹部もろとも確保!!といきたいのだがまだまだ経験の浅いWROの女性隊員ではどうも心許ない。それで女顔美人で男性にしては華奢なクラウドが選ばれたというわけ。(本人には失礼だが)女装と聞いたクラウドはもちろん最初は断固拒否。しかしティファの猛烈に熱い説得でしぶしぶ了承。(ちなみにティファの説得の理由は再びクラウドの女装姿を見られること。そして今度こその秀麗な姿を写真に収めてやろうという野望から。)そして当日、メイク担当を自ら買って出たティファの手により見事に美女に変身!!その後リーブとの打ち合わせ通りに組織と接触しボスの所へ案内され気に入られる。セクハラされそうになりながらも苦労の末何とか密売ルートを聞き出すことに成功。その後突入したWRO隊員と共に抵抗する組織をクラウドは女装姿のまま華麗に闘い、鎮圧。ボスの方はというとクラウドが男と分かり大ショック!!?そしてクラウドの手により片付けられた幹部もろとも御用。すべてを終えてセブンスヘブンへ戻った後、ティファや子供達に女装姿を散々イジられバッチリ写真をとられてしまう。” ―

 です。

 ………そこはかとなく……脱線した気がします…。
 密売ルート……聞き出す前にボスってバラしてるし…。
 しかもティファがメイク担当してないし…。
 何より、ボスに女装がバレてない!!!!


 本当に…本当にすいません。
 な、なんでこんなことに……。・゜゜ '゜(*/□\*) '゜゜゜・。

 それなのに、寛大なケイ様はオッケーを下さいました…(号泣)。
 本当に申し訳ありません。
 そしてありがとうございました!!

 これからもどうぞよろしくお願いします(深々)

 皆様も楽しんで頂ければ幸いです♪