将来の夢(後編)




「なぁなぁ、クラウドの子供の頃の夢ってなんだった?」
 デンゼルがニコニコしながらクラウドさんを見上げた。
「夢?」
「うん!マリンはセブンスヘブンでずっと仕事がしたいんだってさ。キッドはWROに入って人の役に立ちたいんだって!」
「ちょ、ちょっとデンゼル!」
 デンゼルがサラリと俺の夢の話しをクラウドさんに言っちゃったからちょっと慌てたけど、クラウドさんは、
「へぇ、キッドはエライな…」
 心底、感心したような声で相槌を打った。

 ……いや…滅相も無いです……。

「あれ?そう言えば、デンゼルの夢って何?聞いてないよね???」
 マリンが小首を傾げてデンゼルを見た。
 その途端、デンゼルは『しまった』って顔をして、
「な、なんでも良いじゃん……別に……」
 そう言って、プイッとそっぽを向いちゃった。
 そんなデンゼルがマリンには面白かったらしい。
 もう、目をキラキラさせて新しいおもちゃをもらった子供みたいな顔をした。

「ねぇねぇ!そんなに言えないことなの〜?」「ティファとクラウドにバレたらまずいような夢なんだ〜!」「へぇ〜。明日友達に言っちゃおうっと!」

 それはそれは楽しそうに、デンゼルに付きまとう。
 本当はマリンだってデンゼルの『夢』を知ってるくせに…意地悪なんだから。

 そう。デンゼルの『夢』はクラウドさんみたいになる事。
 でも、その事をクラウドさんは知ってるのかは分からない。

 そんな当のクラウドさんはと言うと…。

「触らぬ神に祟りなし……だな」

 ボソッと呟いて、俺を肩車したままサッサとセブンスヘブンに向かって歩いてる。
 どうやらマリンを止める気はサラサラ無いようだ。

 ………クラウドさん、その気持ちが良く分かります…。

 そんなクラウドさんにデンゼルが「うるさいな!何だって良いじゃないか〜!!」って、悲鳴みたいな声を上げながら追いついてきた。
「クラウドの薄情者!助けてくれたっていいだろう!?」
 デンゼルがクラウドさんの服を握りしめて恨めしそうに見上げる。
 勿論、マリンもすぐに追いついてきた。

 うわ〜…嬉しそうな顔…。
 良かった、俺が『おもちゃ』に選ばれなくて……。

「俺があんな風に目を輝かせてるマリンに勝てると思うか…?」
「…………思わない……」
「なら期待するな…」
「それでも、なんとか努力してくれるのが『父さん』だろう!?」

 デンゼルの『父さん』って言葉に、クラウドさんがピクリと反応したのを感じた。
 きっと、普段『クラウド』って呼ばれてるから、改めて『父さん』って呼ばれたからびっくりしたんだろうな。
 んでもって、すっごく嬉しかったんだと思う。
 だって、俺の足を掴んで落っことさないようにしてくれてるクラウドさんの手が、とっても熱くなって、綺麗な金髪から時々覗く耳が真っ赤になってたから…。
 …照れてるんだ…。
 うわ〜、これって物凄く貴重なシーンじゃないのか!?!?

 俺が一人で感動してると、デンゼルとマリンはその事に全然気付いてないみたいで、ひたすら漫才みたいなじゃれ合いを続けてる。

「あ〜、デンゼルったらクラウドにそんな事言うんだ〜!ティファに言ってやろうっと!」
「マリン!お前、なんでもかんでもティファに言いつけるの止めろよな!後で散々からかわれるんだから!!」
「へへ〜。それが楽しいんじゃない!」
「うわ〜!性質わりぃ〜!!おいキッド。マリンは見た目は大人しそうだけど、本当はこんなに底意地が悪いんだ。女の子ってほんっとうに見た目じゃわかんないよな。俺達も騙されないように気をつけようぜ!」
「ひっど〜!!そんな事ないもん。私はちゃんと相手を選んでるもん!キッドにはそんなこと……………」

 ……なに…その間。
 もう…その間だけで…。

「マリンは隙があったら俺もからかうつもりだろう……?」
「…う、ううん…そんな事……あるかな…?」

 ニッコリ笑って見上げてくるマリンは本当に可愛かった。
 うん。返事聞かなくても今の『間』で充分分かったよ…。
 デンゼルがニヤッと笑って同じく俺を見上げてきた。
 その顔は、『仲間が出来た』って純粋に喜んでる顔だった。

 ……………………まぁ…良いけどね……。

 だって、やっぱりマリンは可愛いし、すごく大事な友達だから。
 嬉しそうな顔を見られると俺も嬉しいし。
 デンゼルも満足そうにしてくれてるし。
 うん。やっぱりこう……なんて言うか……幸せだな!


 セブンスヘブンに着くまでそんなにかからなかったけど、着くまでクラウドさんは俺を肩車しててくれた。
 だから、その……、物凄く周りの人達の視線を浴びる事になったんだけど、クラウドさんは人から注目される事に対してあんまり気にしないみたいでさ。
 平然として歩いてたんだ。
 デンゼルとマリンも、目立つクラウドさんやティファさんと歩く事に慣れてるから、自然と注目される事に違和感が無いみたいだった。
 ニコニコと嬉しそうにクラウドさんや俺に話しかけたり、冗談を言ったり、それはそれはとっても楽しそうな顔をしてた。
 でも…。俺はあんまり人に注目されるって経験が無いから…。
 街を行く人達がジロジロ見たり、立ち止まって目を丸くして見てきたり……っていうのが段々恥ずかしくなってきてさぁ。
 でも、だからと言ってクラウドさんにこうして肩車される機会なんて、もう絶対にこれからはないだろうから、『下ろしてください』なぁんて勿体無くて口が裂けても言えなかったんだ。

 というわけで…。

 セブンスヘブンに着くまで、色々な人の視線を浴びる事になったんだけど…。
 いつもよりもうんと高い視線で通りを見てて気が付いたんだ。

 クラウドさんを見つめてる若い女に人達がどれだけ多いか……って。

 ティファさんがモテるのは知ってたよ。
 前に一度、セブンスヘブンでティファさんに告白してきた男の人がいたし、デンゼルとマリンからもティファさんがモテるって話をよく聞くからさ。
 でも、そう言えばクラウドさんがモテるって話はあんまり聞いた事が無かった。
 全然なかったことは無いんだけど、ティファさんがお店に来るお客さん達に贈り物をされたり、口ではとても言えないような口説き文句を言われた……って話の方が多いからあんまり印象に残らなかったんだけど…。

 クラウドさんはモテる!
 もう、そりゃあ……ティファさんに負けず劣らず……ってところだね。
 だって、肩車されてる俺がようやく見えるか見えないか……ってくらい離れた所にいるお姉さん達までが、ものっすごく『熱い視線』を向けてるんだもん。
 クラウドさんは全然気付いてないみたいだけど…。
 今のところ、クラウドさんの関心は自分の周りをグルグル回ってはしゃいでるデンゼルとマリンにしかないみたいなんだよな…。
 チラリ…と通りを挟んだ舗道を見ると、オープンカフェに座ってたお姉さん達が、顔を真っ赤にさせて慌てて椅子から立ち上がってる。
 きっと、クラウドさんの後を追っかけてくるつもりだ。

 え?
 何でそんな事が分かるのかって…?
 いや、だって…。
 目の色が違うんだよなぁ…。
 こう、なんていうか…。
『獲物を見つけた猛獣の目』だ!!!
 何が何でも絶対に逃がさない!!って強い決意がヒシヒシと伝わってくる。

 それなのに、クラウドさんもデンゼルもマリンも全然気付いてないみたいで、全くもって無反応………。
 良いのかなぁ…。
 このまま真っ直ぐセブンスヘブンに着いたら、案の定、後を着いて来てるお姉さん達もセブンスヘブンまで着ちゃうことになるだけど…。
 まぁ…来たところでクラウドさんが相手にするとは思えないけど、やっぱりティファさんはイヤな思いをするんじゃないのかな…。
 ……着いて来てるって教えた方が良いのかな……。


「クラウド〜!」
「ん?」
「良いの〜?」
「…まぁ…良いんじゃないのか?」
「そうかなぁ〜?」
「…ダメか?」
「私達は別に良いけど、ティファは繊細だから気にするんじゃないかしら?」
「……そうか……な……?」
「「そうだよ!!」」


 無邪気な顔はそのままで、目だけが笑ってないデンゼルとマリンに、俺はクラウドさんの肩の上でびっくりしちゃった。
 それを顔に出さないで済んだかは…ちょっと自信が無い。
 でも、普段からあんまり表情が変わらない子…って言われてるから大丈夫…かな???

 デンゼルとマリン、それにクラウドさんはちゃんと気付いてたんだ。
 追っかけのお姉さんの事を…。
 それを、実にさり気なく相談してる三人…、いや、デンゼルとマリンにもう…本当に感心しちゃったよ。
 だって、ティファさんの心配をして話をしてるようには全然見えないんだもん。
 クラウドさんは普段から無表情だから、そのまんまでも充分通用するから、今回の場合は表情がクルクル変わるデンゼルとマリンの演技力にかかってる。
 そして、二人はクラウドさんに純粋にじゃれ合って話をしてるようにしか見えない。


 ……デンゼルとマリン……恐るべし!!


 セブンスヘブンで生活してると、こんなにも自然体な演技力が身に着くのか〜〜……。
 凄いところだ、セブンスヘブンって!!!
 俺には絶対に無理!!
 もう、無愛想が服着て歩いてる…って前住んでた町で散々言われてた俺には…無理!!!


「いつまで『ジェノバ戦役の英雄』が珍しいんだか……」
 クラウドさんが苦いものでも吐き出すようにそう言った。
 そんなクラウドさんに、デンゼルとマリンが呆れたような顔で見上げて肩を竦めてる。
 俺も……二人に同感。
 絶対に、クラウドさん『個人』に興味があるんだよ……追っかけのお姉さん達は!!
 それに気づいてないクラウドさんって……やっぱりちょっと謙虚すぎるって言うか…鈍いって言うか…。
 まぁ、そこもクラウドさんのカッコイイところの一つなんだろうけどさ。

「さて…どうしたもんかな……」
 どことなくうんざりした口調で、クラウドさんが呟いた。
 その口ぶりが本当に困ってるように聞えたから…。


「クラウドさんがティファさんの事を大事にしてる…ってところを見せたら良いんじゃないですか?」


 クラウドさんがビシッと固まって足を止めた。
 デンゼルとマリンが目をまん丸にして俺を見た。
 そうして…。
 俺はクラウドさんの肩の上で慌てて口を押さえた。
 ……って…もう手遅れなんだよなぁ……。

 どエライ事を言ってしまった!!
 な、なななななんて『だいそれたこと』を言ったんだ、この口はーーー!!!!!
 あああああ…どうしよう!!
 クラウドさんが石化したまま動かない!!
 周りの人達の視線が痛い!!!
 あああああ…!!!!
 神様、ごめんなさい!!!!


「キッド!!」
「ナイスアイディア!!!!」

 ………へ…?

 パニックになってた俺に、デンゼルとマリンが目をキラキラ輝かせ、頬っぺたを真っ赤にさせながら心の底から嬉しそうな顔を向けた。
 クラウドさんはまだ固まってる…。

「そうだよ!クラウド、それが良い!!」
「そうよ、クラウド!もうそろそろ、ここらへんでビシッと決めとかないとダメよ!!」
「……な、なにがだ……」

 ギギギギギ……。
 音が立ちそうなほど、不自然な動きでクラウドさんが二人を見下ろす。
 俺も同感。
 もう、背中とかおでこから、変な汗が………。

 二人はそんな俺とクラウドさんには全くお構いなし。
 もう、二人で手を握らんばかりに興奮して…。

「そうだよな!それが良いよな!!」
「問題は、どうやってそれを見せるかよね!」
「あ、じゃあ、クラウドの子供の頃の『夢』を聞かせるって言うのは?」
「わ〜!それ、賛成!!クラウドとティファは幼馴染だし、丁度良いよね!!」
「そうだな、それじゃ、早速ティファを呼んでおかないと!!」

 なぁんて言いながら、あっという間に駆け出してしまった。

 二人の背中が小さくなる。
 クラウドさんは呆気に取られて突っ立ってたけど、ハッと我に返ったらしくて、
「こ、こら、二人共!!何考えてるんだ!?」
 大慌てで走り出した。

 ……勿論、俺を肩車したまんま。

 ちょっとバランスを崩したけど、クラウドさんがしっかり足を持っててくれてたし、俺もクラウドさんの頭を持たせてもらってたから落っこちなくて済んだ。
「あ、悪い、キッド」
「い、いいえ…。大丈夫です」
「……それにしても……あの二人があんな顔をしてる時はあんまり良い予感がしないな……」
「……そうですね……」
「「…………」」

 セブンスヘブンは、もう目前。

 チラリ…と後ろを振り返ってみると、お姉さん達が凄い顔で走ってきてた。

 怖!!!
 ありえないから!!!
 そこまでしてなんで追っかけてくるの!?
 そんなにヒールの高い靴履いて、普通走る!?!?
 しかも…。
 汗でお化粧が…………。
 もう……ほんっとうに怖いから!!!!

 クラウドさんの頭の中には、追っかけてきてるお姉さん達の事……きっともう微塵も無いんだろうな。
 絶対にデンゼルとマリンの事で頭が一杯だ。
 そして…。
 ティファさんに何を言われるか…って事で心配でたまらないはずだ…。
 だって、もう、めっちゃ必死なんだもん……気配が…。

 お陰で、あっという間にセブンスヘブンへ到着。
 少し肩で息をしながら、俺を地面に下ろした時。
 ナイスタイミングでティファさんがドアを開けた。

「おかえりなさい、クラウド」

 フンワリと笑うティファさんは、子供の俺が見ても本当に綺麗で、あったかくて…。
 若いお兄さん達に人気があるのも納得できるよ。

 そんなティファさんの後ろには、先に帰ったデンゼルとマリンが、何かを企んでる微笑を浮かべて立っていた。

 うわ〜……悪そうな顔……。
 俺、絶対に関わりたくない……。


 思わずクラウドさんの後ろに隠れた俺に、ティファさんは目ざとく見つけると、
「あら、こんにちはキッド君」
 クラウドさんの後ろを回り込むようにして、俺の前にわざわざ立ってくれた。
「あ、こんにちは!!」

 そうそう。
 ちゃんと挨拶はしとかないとな!
 …って、そうじゃな〜い!!
 今はそんな事を言ってる場合じゃないってば、俺!!!

 背後から、ゼーゼーという息切れが聞えてきた。

 ひぃぃいいいい…。
 振り向きたくない…見たくない!!
 ティファさんが俺の後ろを見て、びっくりした顔をしてる。
 もう、ティファさんのその顔だけで充分伝わってきます!
 だから、見たくないです!!!


「ティファ、今日さぁ、友達と『将来の夢』の話しをしてたんだ〜!」
 唐突にマリンがティファさんにそう言った。
 ティファさんは勿論、クラウドさんも戸惑った顔をしてマリンを見る。
 マリンの隣でデンゼルが満面の笑みで口を開いた。
「そうそう!マリンの夢は、おっきくなってもセブンスヘブンで働く事で、キッドはWROの隊員になって沢山の人の役に立ちたいんだってさ!」
「まぁ、そうなの?マリン、ありがとう、嬉しい!それに、キッド君。とってもステキな夢ね!絶対にキッド君なら立派な隊員さんになれるわよ!!」
 デンゼルの台詞に、ティファさんが嬉しそうにマリンの頭を撫で、次いで俺の頭もクシャクシャと撫でてくれた。
 その手がとっても優しくて、なんだかくすぐったかった。

 その間も、背中からゼーゼーという息切れが聞えてくる。
 ……よっぽど普段、運動してなかったんだね。
 って言うか、なんでここまで追っかけてきたの…!?
 もしかして……『つい、衝動的に』ってやつ!?!?

 とかなんとか思ってると…。


「それで、ティファはクラウドの子供の頃の夢って何か知ってる?」

 マリンがおねだりするように、目をキラキラさせながらティファさんを見上げた。
 ティファさんはちょっとびっくりしたような顔をしたけど、すぐに笑顔になって「ええ、ソルジャーになりたかったのよ。ね、クラウド」と、クラウドさんに顔を向けた。
 クラウドさんはマリンの質問に少し警戒しながら、「ああ……まぁな……」と一言だけ返した。
 すると…。
 デンゼルが俺とクラウドさんの後ろでようやく息を整えてきたお姉さん達をチラリと見ながら…。
 ニヤ〜っと笑って……。



「それって、ティファの為だよな!」



 爆弾発言を投下した。

「「「は!?!?」」」

 爆撃成功…。
 被爆者。
 クラウドさん。
 ティファさん。
 俺。
 そして、追っかけのお姉さん四名ほど。(怖くて振り返って確認出来てないので推定です)

「うんうん。クラウドは小さい頃からティファ一筋だったもんね。ティファに認められる為にソルジャーになりたかったんでしょう?」
 マリンの一言で、クラウドさんは真っ赤になりながら勢い良くティファさんを見た。
 ティファさんもこれまた同じく、顔を真っ赤にさせながらクラウドさんに向かってブンブン首を横に振ってる。

 そんな二人に、この計画を立てたデンゼルとマリンがびっくりして目を丸くした。
「あれ…?本当だったんだ?」
「え…?そうなの!?」


 うわ〜〜…。
 二人共、それって反則だよ……。


 二人のその言葉でクラウドさんとティファさんは、デンゼルとマリンの策略だという事に気が付いたみたいだけど……それこそ『後の祭り』…。

 顔を見合わせて口をパクパクさせてる。
 ティファさんは恥ずかしさのあまり、
「わ、私、お夕飯の支度…途中だから!!」
 そう言い捨てて、バタバタと店の中に逃げてしまった。
 残されたクラウドさんは、真っ赤に染まった顔を片手で押さえながら、
「デンゼル……マリン………」
 恨めしそうな声を漏らしてる。
 でも、二人は反省なんかするはずもなく、逆に大はしゃぎだった。
「すっげ〜!俺達って天才じゃん!!」
「本当!!良かった〜、クラウドが小さい頃からティファに一途だって分かって!!」

 キャッキャッ…とはしゃぐ二人とは真逆に、背後からはガッカリしたような……無念そうなお姉さん達の呻き声が聞えてきた。

 どうやら、デンゼルとマリンの計画は大成功のようだ。
 恐る恐る振り返ると、肩を落としたお姉さん達が足を引きずりながら来た道をトボトボ歩く背中が見えた。

 ……ご愁傷様……ってやつかな……。

「キッドを送ってくる……」
 大喜びのデンゼルとマリンからプイッと顔を逸らして、クラウドさんは俺をひょいっと担ぎ上げた。

「うん、またなキッド!」
「今日はステキなアイディア、ありがとう!!」
「…えっと……うん……また明日……」
「「またな(ね)〜!!」」

 返事に困って言葉に詰まる俺に、二人はこれ以上無いくらい満面の笑みで手を振りながら見送ってくれた。
 クラウドさんのバイクに乗せてもらうのはこれで三回目だけど、これまでの中で一番……怖かった……!!
 いやもう…。
 動揺してるのが運転にモロに出てて!!

 無事に家に着いた時は『生きてて良かった…』って心から思ったよ…うん。


「…………」
「…………」
「………キッド…今日の事は……」
「分かってます!誰にも言いません!!」
「……頼む…」
「はい…」

 玄関先で、クラウドさんがまだ赤い顔をしながらボソボソッと話しかけてきた。
 もう…絶対に誰にも言わない!
 憧れの人の『たってのお願い』なんだから!!

 ……でも、俺は言わないけど……あの二人は……どうかなぁ…。
 ティファさんとクラウドさんの仲を引き裂こうとするお兄さんたちやお姉さん達の『武器』として、あっちこっちに言いふらしそうだけど……。

 …………ま、大丈夫……だよね……?


「それじゃ、またな」
「はい!ありがとうございました!!」
「また遊びに来い」
「うん!絶対に行きます!!」


 クラウドさんは大きな手で俺の頭をクシャクシャと撫でてから、バイクに跨ってあっという間に走って行ってしまった。
 その後姿は、やっぱりとってもカッコ良くて!


「あ〜、俺もクラウドさんみたいになりたいな〜!!」


 改めて、クラウドさんへの憧れが強くなった。
 意外と照れ屋なところもカッコイイって思えるクラウドさんは、俺とデンゼルの憧れの男の人だ。


 いつか大きくなったら。
 デンゼルと一緒に、クラウドさんみたいな強くて、優しくて……それで『真っ直ぐ』な男の人になりたい!

 それが…。
 俺の『将来の夢』



 あとがき

 はい。
 ちょこっと長くなりましたがちゃんと二部で終ってホッとしました(笑)
 今回、キッドのパパ・ママは登場しませんでしたが、機会があれば『親子四人』でセブンスヘブンに遊びに行かせてやりたいと目論んでます。

 ここまでお付き合い下さって本当にありがとうございましたm(__)m