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チャレンジ(中編)モデルの二人が来店したその翌日…。 ティファはエッジの街を歩いていた。 丁度切れてしまった調味料を買いに出ていたのだ。 子供達に頼んでも良かったのだが、少し早めに店の仕込をしてしまいたかったので、自分で買いに出る事にし、万が一子供達とすれ違った時の為に書置きを残す事を忘れなかった。 久しぶりに市場に出て来たティファは、そこで必要な物を買い揃えると、何となくこのまま真っ直ぐに帰宅するのが勿体無く思えてきた。 仕込を早くしたいが為に自ら買い物に来たというのに……。 そう思いながらも、立ち並ぶ色とりどりの軒先の商品に、ついつい目がいってしまう。 「お?ティファちゃんじゃないか!珍しいなぁ!!」 「あ、こんにちは」 声をかけられてその店の主を見ると、よくセブンスヘブンに来てくれる馴染みの客の一人だった。 人懐っこい笑顔を見せ、ティファに仕入れたばかりの品を見せる。 その店は、簡単なビーズアクセサリー等を扱っている店で、主に小さな子供達に人気の店だった。 「これなんかどうだい、マリンちゃんに!」 見せられたのは、黄緑色のビーズで作られた四葉のクローバーをデザインした小さな指輪。 マリンの小さな手にはさぞ可愛く映えることだろう…。 「本当ね!ん~~、そうね。じゃあ、それ貰えるかしら?」 日頃、文句の一つも言わず、手伝ってくれるマリンにお土産を買おう! そんな少しワクワクした気分になったティファは、では、デンゼルには何がいいだろうかと、並んでいる商品を物色する。 デンゼルは男の子だから、何かアクセサリー関係よりももっと武器に近いような物の方が良いのだろうか…? 確かに、息子はクラウドに大変憧れている。 何をするにしても、父親の真似をしたがる息子なのだが、だからと言って、武器を買ってやるわけにもいかない。 「ん~~……どうしようかなぁ…」 ついつい独り事をこぼしたティファに、店主は「デンゼル君にかい?じゃ、これはどうだ?」と一つのアクセサリーを差し出した。 それは、マリンに選んだ物とは少々異なるものの、グレーのビーズを使用したリストバンドのようなブレスレット。 幅の広いそのブレスレットは、男の子がしていてもおかしくはないだろうし、所々施された黒いビーズと金色のビーズが実に良いアクセントとなっている。 「うん!とっても素敵!!じゃあ、それ下さい」 「はいよ!」 ティファは笑顔でそれらの代金を支払いながら、店の奥にあるショーケースにも視線を移した。 そこには、子供向けのみならず、大人用のアクセサリーが展示されていた。 少々気にならないでもないが、流石に時間が惜しい。 ティファは後ろ髪を引かれる思いでその店を後にしようとした。 しかし…。 「ところでティファちゃん、最近雑誌の特集とかで取材を申し込まれたりしなかったかい?」 店主の言葉に、ティファは買ったばかりの子供達へのお土産を落っことした。 「な、ななな、何でそれを!?」 動揺しながらそれらを拾い集める。 店主は実に面白そうに大きなお腹を揺すって笑うと、 「実は、俺んとこの常連のお客さんがたまたまその雑誌のアンケートってやつに協力を頼まれたらしくてさ。そしたら、そのお客さん、『セブンスヘブン』を推薦したんだってさ」 俺の店に来て買い物しながらそんな事言うんだぜ~、参ったよなぁ~。 どこまでも陽気に笑うその店主に、ティファは引き攣った笑みを返すと、挨拶もそこそこに帰路を急いだ。 まさか…。 昨日の今日で、そんな話を他から聞かされることになるとは思いもしなかった。 それに…。 もしも、本当に人気ランキングとやらで上位を占める事になったら、やっぱり取材の申し込みが来るのだろうか!? ど、どどど、どうしよう……!! グルグルとそんな事を考えながら、気がつけば店に帰り着いていたティファは、店の前で心配そうな顔をして待っていた子供達に「ティファ!」「大丈夫!?」と、声をかけられて漸く現実に戻ったのだった。 「え…?あれ…??」 「あれ、じゃないよ!」 「あんまり遅いからどうしたのかと思ったじゃない!」 子供達の言葉にびっくりして時計を見ると、予定していた帰宅時間を大幅に過ぎているではないか。 考え込みながら歩いていた為、変な道順で帰宅してしまったようだ…。 ティファは大慌てでカウンターへ買った物を置いてエプロンを着け、思い出して子供達に小さな紙袋を差し出した。 首を傾げる子供達に、ニッコリ笑って「日頃頑張ってくれてるお礼」と一言言うと、子供達はパッと顔を輝かせて袋の中身を取り出し始めた。 マリンは丁寧に袋の口を開き、デンゼルは男の子らしく豪快に破く。 そして、二人共中から転がり出たアクセサリーに歓声を上げた。 「わ~!!可愛い!!!」 「うっわ~、カッコイイ!!」 嬉しそうにそれを身に着ける子供達に、ティファは顔を綻ばせると、お礼を言う二人に笑みを返し、気合を入れなおした。 「さ、それじゃ、遅くなっちゃった分を取り返さないとね!」 「「は~い!!」」 結局、その夜に出す予定にしていた漬けダレ肉の料理はメニューから外す事になったが、それでもセブンスヘブンのメニュー量は豊富だ。 恐らくクレームは出ないだろう…。 そんなこんなで、バタバタしながら開店準備を進め、何とか予定時間どおりに開店するに至った。 子供達はお土産のアクセサリーがよほど嬉しかったのだろう…。 マリンは右手の人差し指に、デンゼルはエプロンのポケットから覗かせている。 洗い物をしないといけないので、手首に嵌められないのだ。 それでも、そうして肌身離さず持っていてくれる姿に、ティファは自然と笑みがこぼれるのだった。 「いらっしゃいませ!」 元気な看板娘の声が店内に心地よく響く。 今夜も例に漏れず、大盛況のセブンスヘブン。 客の回転も速く、料理の注文も汚れた皿もどんどん出て来る出て来る! それでも、看板娘と看板息子は実に良く女店長を支えている。 そして、そんな子供達の姿と女店長の温かな笑みと美味しい料理に、常連客達は今夜もホッと一日の緊張を解きほぐすのだった。 そんなセブンスヘブンだが、今夜はほんの少しだけ常連客が笑うシーンが多かったりする。 それは…。 「お!?マリンちゃん、可愛い指輪してるじゃないか」 「エヘヘ~。ティファが買ってくれたんです」 「へぇ!良く似合うよ」 「ありがとうございます」 嬉しそうに笑うマリンに、デンゼルが負けじと店の奥の方から手に泡をつけたまま飛んで来て、 「俺も!ホラ、ティファが買ってくれたんだ!」 と、エプロンのポケットを突き出し、ティファに苦笑交じりに怒られるというオマケ付きがあったからだった。 チリンチリン…。 何十回目かのドアベルの音に、看板娘と女店主が「「いらっしゃいませ!」」と笑顔と共にドアを振り向いた。 すると、そこには昨日やって来たモデルの二人組みが、まさに今まで撮影していました!!と言わんばかりの出で立ちで立っていた。 その姿は、セブンスヘブンに来ている客達とは一種の別世界…。 洗練された身のこなしに、高価そうな服を見事に着こなすその二人に、店内の客達までもが釘付けになる。 前回来た時もそうだったが、今夜は更にその時よりも着ている服が凄かった…。 別に露出しているというわけでもないのに、何とも言えない色気の様なものが二人から漂っている。 一瞬、呆気に取られていたマリンとティファだったが、モデルの二人が恥ずかしそうに「「こんばんわ」」と声をかけてきてようやく我に返った。 「こんばんわ!凄いですね~!!物凄くカッコイイ!!」 マリンが大きな目を輝かせながら、二人にパタパタと駆け寄った。 「本当は着替えてくるつもりだったんだけど、それだとうんと遅くなっちゃうから、思い切って仕事のままの格好で来ちゃったの」 照れ臭そうにいうアディーテに、マリンは「ううん!!こんなにカッコイイ服着たお兄ちゃんとお姉ちゃんを間近で見れて、とっても嬉しい!!友達に自慢しちゃおう!」と、至極ご満悦な顔をしている。 「そ、そうかな…。かなり浮いてるよな…やっぱり…」 どことなく居心地の悪そうにしているロキに、マリンが吹き出した。 「お兄ちゃんって、雑誌で見ると堂々としてるのに、何か意外~!」 「だって、あれは仕事だから出来るんだよ。今は、仕事じゃなくてプライベートの時間なんだから…」 照れ臭そうに頬を掻くその姿に、マリンは益々笑い声を上げた。 そして、二人をカウンター近くの二人掛けのテーブルに案内すると、慣れた手つきでメニューを差し出す。 「お飲み物からお伺いしても宜しいですか?」 マリンの看板娘っぷりに、二人は関心したように見つめると、サッとメニューに目を通した。 「じゃあ、俺は生ビール」 「私はカシスソーダー」 「はい、かしこまりました。少々お待ち下さいませ」 ペコリと一礼してカウンターへ注文を伝えに行く看板娘の小さな背中が、大きく見えるモデルの二人なのだった。 ティファは、マリンから二人の注文を聞いて、早速飲み物を作り上げた。 そして、ここでいつもならマリンにそのまま持って行ってもらうのだが、今夜は自分が行く事にした。 それに対して、マリンは小首を傾げたものの、丁度タイミング良く他の客から追加注文の声がかかった為、そちらへ向かう事にした。 「お待たせしました」 ティファ自らが飲み物を運んで来た事に、モデルの二人は少しだけ驚いたようだったが、すぐに笑顔になって昨日のお詫びを口にした。 「いいんですよ、気にしないで下さい…」 苦笑しつつ、ティファは気になっていた事を聞く事にした。 「あの……実は、今日…買い物に行った先で、昨日お二人が話しておられた雑誌の話が出たんです」 「え!?」 「そうなんですか!?」 ティファの言葉に二人は目を丸くし、その二人の反応にティファは驚いた。 「まさか、もうそこまで話が進んでるとは俺達も思ってなかった…」 呆けたように呟くロキに、アディーテがコクコクと頷く。 ティファは、モジモジとしながら、聞くべきか聞かざるべきか悩んでいた。 「どうしたんですか…?」 二人がそんなティファに首を傾げる。 ティファは、思い切って口を開いた。 「その…、もしも…、もしもですよ?『ここ』が皆さんから推薦されたりして、それも結構な推薦だったりしたら……やっぱり」 「…来ちゃいますね…取材依頼に…」 「間違いなく…」 二人の答えに、ティファは「はぁ~…」と溜め息を吐いた。 その様子があまりにも困りきっていた為、アディーテとロキは困惑した顔を見合わせ、恐る恐る口を開いた。 「あの…ティファさんが心配してらっしゃる事は分かってるつもりです…」 「だから、もしも取材依頼が来てもハッキリ断るっていう選択もあるし、そんなに深刻に悩まなくても…」 二人の言葉に、ティファは「そうですよね…」と弱々しく答えると、二人の注文を聞いてからカウンターへと戻って行った。 そう…。 イヤなら断ればいいだけの話しなのだ。 しかし、それはこのセブンスヘブンを推薦してくれた人達に対して失礼ではないだろうか…? そう考えると、どうにも断る言葉が見つからない。 『静かに今のまま暮らしたいんです』 だなど、断る理由にはならないだろう…。 逆に、『ジェノバ戦役の英雄ともあろう人がそんな事を言うなんて』という誹謗中傷の声が上がりそうだ。 まぁ、自分とクラウドはそんな声には気にしないが、子供達の事を考えると……。 結論は…一つしかない…気がする。 なるべくなら上位ランキングという事にはならないで欲しい…。 イヤ、上位にランキングされると言う事は、それだけ『セブンスヘブン』の本来の役目(エッジで頑張る人たちの憩いの場となること)を果たせていると言う事になるので、むしろ喜ばしいことなのだが……。 『はぁ……ジレンマだわ…』 ティファは心の中で大きく溜め息を吐きながら、それでも表情は女店長として馴染みの客達に笑顔を見せるのだった。 「なぁなぁ、兄ちゃん達はいつもそんな格好してるのか?」 洗い物をあらかた終え、店内の手伝いに出て来たデンゼルが興味津々にロキとアディーテに話しかけている。 子供の目から見ても、二人のモデルはとても素敵なのだ。 素直に憧れの眼差しを注いでくる看板息子に、二人は穏やかな表情を覗かせた。 「仕事の時にはね」 「でも、仕事以外は至って普通の格好よ。だって、こんな動きにくくて値段の張る服、普段着になんかで着ないもん」 「へぇ!!そうなの!?」 目を丸くするデンゼルに、ロキとアディーテは心からくつろいだ表情をしている。 ティファは、そんな二人の変化にじんわりと喜びが沸いてくるのを感じた。 店に入って来てから、どことなく身体に力を入れていた二人が、無邪気な看板息子と看板娘のお陰で、漸くその力を抜き、くつろいでくれているのだ。 『やっぱり、セブンスヘブンに来てくれるお客様にはのんびりした気持ちになってもらいたいものね』 そう思う。 そして、改めて子供達の存在がいかに大きいかを噛み締めるのだった。 本当に…、このまま穏やかに過ごしたい。 英雄だと騒がれず、一人の人間として地に足つけて必至に今を生きている人達と同じなのだと…。 そして、こんな小さな子供達に支えられないとダメなんだと…。 そんな人間なんだ……本当の自分は…。 だからこそ、雑誌に載る事を恐れている。 自分やクラウドが『偉人』だと騒がれるきっかけを生み出したくない。 「ところでさ、兄ちゃんの着てるその黒皮のジャケットっていくらくらいするの?」 「え、これかい?これは……」 「えーーー!?そんなにするのーーー!!!」 値段を聞いたデンゼルが素っ頓狂な声を上げている。 丁度、モデルの二人が座っているテーブルの近くを通りかかったマリンが、「デンゼル、仕事中なのにうるさいわよ!!」とピシャリと叱り付け、デンゼルの声で振り向いたお客さん達に頭を下げた。 看板娘に叱られた兄代わりは、ハッと我に帰ると慌ててマリンに倣って頭を下げる。 その光景に、馴染み客達は一斉に吹き出し、自分達の話や料理に戻っていった。 その心温まる光景に、モデルの二人も声を殺し、肩を震わせて笑っている。 「それで、何でそんなに大声出したの?」 「それがさ、この兄ちゃんの着てるジャケット、クラウドが似合いそうだなぁって思ってさ、値段を聞いたんだ。そしたら、目ん玉飛び出る値段だったからつい…」 「?いくら?」 「ボソボソ」 「!?」 興味を示したマリンにデンゼルは耳元で囁いた。 目の大きなマリンが、更にその目をまん丸にし、口に手を当てる。 『よっぽど高いのね…』 カウンターの中で料理を仕上げながら、子供達の様子を一部始終見ていたティファは苦笑した。 そんな漫才のような二人を前に、ロキとアディーテが更に笑い転げている。 「そんなに高いんだぁ。凄いなぁ、それを買えるくらい、モデルってお給料が良いのね…」 ほえ~~…と呆けたマリンとデンゼルに、二人は笑い過ぎて目に浮かんだ涙を拭き拭き、首を横に振った。 「ううん、これは事務所持ちの服なのよ。たまたま、私達が着てる服は、そのメーカー会社が私達にモデルをしてくれたお礼にってくれたやつなの」 「だから、着替えずにここに着たんだ。ホラ、これが俺達の普段着」 そう言いながら、テーブルの下に置いていた紙袋を開けて見せる。 カウンターの中からでは流石に中の服は見えないが、子供達が「あ~、結構普通なんだぁ」「へぇ、あ~、でもやっぱりセンス良いよなぁ」と言っている声が聞える。 「でも、やっぱりカッコイイよなぁ」 「うん!雑誌で見るよりもこうして本当に見る方がうんとカッコイイ!」 子供達の素直な賞賛の言葉に、二人ははにかむように微笑んだ。 「でもさ。兄ちゃんの着てる服と姉ちゃんの着てる服、クラウドとティファにも似合うよな」 そんなデンゼルの一言に、ティファは思わず包丁の手元が狂って危うく自分の指を切りそうになった。 ガバッと顔をまな板から上げ、子供達とモデルの二人に視線を投げる。 すると、丁度モデルの二人もティファに視線を移したところで、お互いの視線がバッチリ合ってしまった。 ドキーッとしながら、とりあえず愛想笑いを浮かべてぎこちなく顔をまな板に戻す。 以前、アディーテとロキが『モデルの仕事に貴女も向いている』と言ってくれた言葉が鮮明に甦ってきた。 アディーテとロキは、動揺しまくっているティファに苦笑すると、 「私達もそう思うわ」 「まぁ、俺達はクラウドさんとはお会いした事ないんだけど、ティファさんは充分モデルとしてやっていけるよ」 と言った。 しかし…。 「あ…そうじゃなくて、ただ単に、お姉ちゃんとお兄ちゃんの今着てる服が似合うだろうな、って思っただけで、ティファとクラウドはモデルには向いてないと思うな」 「そうそう。だってあの二人、物凄く照れ屋なんだもん。カメラ向けただけで緊張しまくって、絶対変に写っちゃうよ」 自信満々に言い切った子供達の言葉に、モデルの二人はキョトンとした。 そして、子供達の的を射た言葉に固まっているティファをチラリと見る。 「あ~、確かにティファちゃんと旦那ならそうだろうなぁ」 突然、隣のテーブルの常連客が話題に入り込んできた。 先程から会話を聞いていたのだろう。 実に楽しそうにカウンターの中で固まっているティファを見ながら、ヒヒヒ、と笑う。 「兄ちゃんと姉ちゃんはモデルなんだって?確かにベッピンだし良い男だな~!」 「「……どうも…」」 突然話しかけられて緊張する二人に、馴染み客はケラケラ笑って見せた。 「何だ~?二人共実は緊張しやすい性質なのか?」 ロキとアディーテは苦笑しつつ、コックリと頷いた。 「へぇ…、もっとこう、自信満々でどっちかと言うとエラそうに肩で風を切って歩くタイプ嫌味な奴が多いのかと思ってたぜ」 「それっておっさんの偏見じゃないのか…?」 「私もそう思う…」 「おっと、看板息子と看板娘は厳しいなぁ」 子供達に突っ込まれても尚、ケラケラと笑うその客に、モデルの二人は顔を見合わせて微笑んだ。 その客に対して慣れた様だ。 「まぁ、確かにそういう人もいますね」 「って言うか、そういう奴が多いっていうのが現実ですね……残念ですけど…」 「おう、そうなのか?でも、その点、あんた達は自意識過剰でもないし、自分を過大評価もしてないみたいだし、いいねぇ!俺は大いに気に入ったぜ!!」 豪快に笑うその客に、他の客達が「俺も~!」「そうそう、いい気になる奴ばっかの世界かと思ってたけど、中々捨てたもんじゃないじゃないか」と、口々に賛同の声を上げた。 『これがセブンスヘブンの良いところなのよね』 ティファはその光景に、胸を温かくさせた。 こうして、店にやって来る客達がいつの間にか絆を築いていってくれる。 そして、その絆が客達を更に強くし、新しい一日を生きる力になってくれるのだ。 だからこそ、この店を大切にしたいと思う。 子供達と常連客に囲まれ、すっかりくつろいだ表情で穏やかに微笑むモデルの二人を見つめながら、ティファはそう思うのだった。 あとがき 何故でせう…? 二部の予定が三部に……(ダク汗)。 困ったもんですねぇ、このダラダラ書くクセ…(遠い目)。 で、でも! 今度こそ次回で終わります!! ですから、もう少々お付き合い下さいませm(__)m |