ウータイの忍と『何でも屋』(後編)




「ふ〜ん、二人して何でも屋やってるんだ〜?」
 ひとしきり店の客達に笑われた後、ユフィが興味津々に目を輝かせて二人に話しかけた。
「はい、そうなんです。でも、私はほとんど役に立ってないんですけど…」
「そんな事は無いっていつも言ってるだろう?」
 少し肩を竦めるようにする相棒に、セトが眉間にシワを寄せる。
 マナは、困ったように微笑んでミックスジュースに口をつけた。
 それに対してセトは一つ溜め息を吐くと、自身もウーロン茶を啜った。
「こらこら!若い者が辛気臭ーい!もっとこう、シャキッとバシッとしな!」
「ブフッ!ちょ、零れるじゃないですか!」
 お茶を口に運んでいる最中で背中を強く叩かれ、吹き出しそうになりながら面食らうセトに、ユフィは全く無頓着に大げさな仕草で自分のグラスを空けた。
「あのね〜、今という時間は今しかないんだよ〜?それを大切にしなくてどうするのさ!」
「…いや、別に無駄にしてなんか…」
「ん?なにさ!?」
「……いえ、何でもありません…」
「うむ。素直で宜しい!」
 大人しく口を噤んだ青年に、満足そうな顔をして大きく頷くお騒がせ娘を、カウンターの中から女店長が気遣わしそうに見つめていた。

「それにしても、二人だけで旅するって結構大変っしょ?」
「ええ、大変な事もありますけど、楽しい事の方が多いですよ」
 ニコニコと答える少女に、ユフィは釣られて笑みを浮かべた。
「ふうん。良い子だね〜、マナちゃんは!」
 そう言いながら、セトの皿から勝手に天ぷらを失敬する。
「ん〜、美味しい!相変わらずティファの手料理は天下一品だね!」
「…………」
 満足な溜め息をこぼすユフィに、突然目の前で天ぷらを掻っ攫われたセトは、無言で固まっていた。当然だ。初対面でいきなり人の皿から料理をパクつく人間が世の中にどれほどいると言うのか?
 いや、恐らくユフィ以外、いないだろう…。
「こら!ユフィ、何してるの!!」
「うへっ…見てた…?」
「もう!」
 慌ててカウンターから飛んできたティファに叱られ、首を竦ませる忍者娘を見て、セトは思わず苦笑する。
『何とも憎めない人だな』
 そう胸中で呟きながら、「いえ、別に構わないです」と、ユフィの頭を抑えながら謝罪するティファに片手をあげて見せた。
「おお!いい奴じゃ〜ん!!」
「ユフィ!」
「エヘヘ〜」
 悪びれずに笑って見せるお騒がせ娘に、ガックリと肩を落とす。
 丁度その時、新しい注文が入った事をデンゼルが知らせに来た為、ティファは気にしながらもカウンターへ戻って行った。
「ユフィ、あんまりセト兄ちゃん達にちょっかい出さないでくれよ」
 ティファの代わりに残る形になったデンゼルが、しかめ面で口を開く。
「ム!何だ〜、年上に向かってその口は〜!」
「イタタタタ…!!」
 グリグリとデンゼルの両こめかみを拳で締め付けるユフィに、看板息子が必死の抵抗を試みる。
 その様子は、まるで姉弟がじゃれ合っているようだ。
 看板息子は必死なのだろうが、どうにも微笑ましく見えて仕方ない。
「兄ちゃんも姉ちゃんも、笑ってないで助けてくれよ!何でも屋だろ〜!?」
 漸くユフィの手から解放され、唇を尖らせながら頭をさすっているデンゼルに、マナは肩を震わせながら「ごめんね…、でも、仲が良いんだなぁって思って…」と、実に楽しそうに笑っている。
「冗談じゃないよ!俺は虐待されて…」
 ムッとしながら反論するデンゼルだったが、丁度後ろを通りかかった看板娘が「デンゼル、仕事してよね!」ときつい口調で通り過ぎたものだから、言いたい事も言えずに慌てて仕事に戻って行ってしまった。
「う〜ん、デンゼルって将来は尻に敷かれるタイプだね」
 看板息子の背中を見送りながら率直な感想を口にしたユフィに、何でも屋の二人も無言で肯定を表したのだった。

「それにしても、残念だったな〜」
「何がですか?」
 暫く談笑していたが、ふいに漏らしたユフィの言葉にマナは首を傾げた。
 セトも無言で見つめる。
「ん〜?いや、今夜はティファにも誰にも言わないで急に来たわけよ、ここに」
「はぁ…?」
「んで、突然ババーンと登場して、皆の驚く顔が見たかったわけよ」
「…皆、充分驚いていたと思うが…」
「ム…生意気な!」
 率直な意見を口にしたセトを軽く睨んで、青年の額を指ではじく。
「足りないの、一人!」
 はじかれた額をさすりながら、青年は相棒の少女と顔を見合わせ、「「あ…」」と声を上げた。
 セブンスヘブンの住人の一人、クラウドがいない。
「そうですよね。私達もガッカリしてたんです」
 若干肩を落とし気味にそう言うマナに、
「へぇ。クラウドとも知り合いなんだ」
 そう言ってユフィも頬杖をつく。
「はぁ〜、あの無愛想男が『カチーン』って固まるのが、何とも言えずこう、ツボをつくんだよね〜…」
「……そういうもんなのか…?」
「…そういうものみたいね」
 眉を顰める青年に、少女が苦笑しつつ小首を傾げて見せた。
 そんな何でも屋の二人のやり取りと聞いてるのか聞いてないのか、ユフィはグチグチと「あ〜、折角の私の楽しみが〜」「頑張って船酔いに負けずにここまで来たのにな〜」「乙女の一人旅の苦労を水泡に帰すような野暮な事するだなんて…!」などなどこぼしている。
 ユフィのグラスは既に空になっており、その空いたグラスを指先で危なげなく弄り回している様子は、酔っ払っているようでもあり、拗ねているようでもある。
 そんな仕草を少々ハラハラしながら二人は見守っていたが、ユフィの愚痴がふと止まった。
 そして、何か耳をそばだてている。
 それまでのおちゃらけた顔から一変し、真剣な顔をしている為、二人は声をかけそびれて見守るしかなかった。

 すると…。
 突然真剣な表情を再び一変。

 ニヤ〜。

 小さな子供が悪戯をする直前のような何かを企んでいる笑みを浮かべる。
 何でも屋の二人は揃ってビクッと体を竦ませると、恐る恐る顔を見合わせた。
「あ、あの…ユフィさん?」
 マナが恐々声をかけた時、店のドアベルがチリンチリン…と可愛らしい音を立てた。

「あ!おかえり、クラウド!!」
「おかえりなさ〜い!!」
「ああ、ただいま」

 店の戸口に現れた金髪・碧眼の青年に、看板息子と看板娘が満面の笑みで駆け寄り、勢いを殺さずそのまま飛びついた。
 青年もそれを苦も無く受け止めると、左右一本ずつの腕で子供達を抱き上げた。
 そして、子供達二人と笑みをかわすと顔を上げ、カウンターでその光景を見守っていたティファに穏やかな眼差しを向けて「ただいま」と言おうとしたまさにその瞬間。
 クラウドの視線がカウンター手前のテーブルに釘付けられた。

「よ!おっかえり〜!!」
「…………!!!」

 ヒラヒラと手を振るウータイの忍に、クラウドの笑みがそのまま『カチーン』と固まって動かなくなる。

 一秒…。
 二秒…。
 三秒…。

 クルリ。

「くぉらー!!ちょっと待てーーー!!!」
 テーブルから猛然と駆け寄ると、踵を返して再び夜の街へ舞い戻ろうとする青年の肩をガシッと掴む。
「あんたね、可愛い仲間が折角会いに来たって言うのにそれはないんじゃない!?」
「………来てたのか………」
「あーーー!!なにさ、その顔ーーー!!!ティファ〜、クラウドがイジメル〜〜!!」
「ユフィ、うるさい…」
「キーー!うるさいとはなにさ〜!!」

「はいはい。二人共その辺にして頂戴。お客様達のご迷惑になるでしょう?」
 ギャンギャン騒ぐユフィと子供達を抱えたままげんなりしているクラウドに、ティファが苦笑しつつ声をかけた。
「だってクラウドが〜!」
「ユフィ、クラウドは仕事で疲れてるんだから、ゆっくりさせてあげて?」
「ぶ〜!ティファは昔っからクラウドには激甘なんだからな〜」
「な、そんな事…!」
「無いって言うの〜?」
 顔を赤らめたティファを新たなターゲットに、ユフィがニヤニヤ笑いながら絡む。
「も、もう!ユフィ、からかうのもいい加減にして!」
 赤い顔をさせるティファに、一層ニヤニヤ笑いを濃くしながらも、ユフィはひらひら手を振った。
「はいはいっと。ここで追い出されたら寒ーいエッジの街を独りで寂しく安宿探さないといけなくなるもんね〜。今夜はこの辺にしといてあげるよん」
 背中越しにそう言うと、自分のテーブルにユフィにしては珍しく退散してしまった。
 しかし、当然残されたクラウドとティファの顔はトマト顔負けに真っ赤になっている。
 そして、そんな親代わりの二人を、子供達が嬉しそうな顔をして見上げていたのだった。
 その光景は、セブンスヘブンの名物になっている心温まるひとコマでもあり、それに慣れている常連客達は、
『相変わらず初々しい奴ら…』
『クラウドの旦那とティファちゃんって、あれで付き合い長いって言うんだからなぁ』
『未だに、二人の事についてちょこっとからかっただけで真っ赤になっちゃうんだからさ』
『そうそう。この前もあそこのテーブルの奴にからかわれて真っ赤になってたぜ』
『あ、そうなんだ。俺の時はあっちのテーブルのおっさんだったなぁ』
『『『二人共、そういうところが可愛いよなぁ』』』
と、ヒソヒソと囁きあうのだった。



「と、とにかく…。クラウド、おかえりなさい。汗流してきたら?それまでに夕食の準備しておくから」
「あ、ああ。そうさせてもらう…」
 若干ギクシャクしながらも子供達を下ろして、居住区に向かうクラウドは、その途中のテーブルに久しぶりに見る顔に気づいて足を止めた。
「あんた達は…」
 軽く目を瞠った先には、『何でも屋』として名高い若い二人連れ。
「こんばんわ」
「…お久しぶりです」
 軽く会釈をする二人に、紺碧の双眸を和らげる。
「ああ、本当に久しぶりだな。噂は聞いてるよ、中々順調そうだな」
「はい!お陰さまで」
 すっかり打ち解けた雰囲気の三人に、同じテーブルに座っていたユフィが黙っているはずがない。
 エビフライを咥えながら「ふぇ!?ふぁんでそんにゃににゃかひいの!?(何でそんなに仲良いの!?)」
「…口に物が入ってる時にしゃべるんじゃない…」
「むぐ!?んむむむ…っくん!ぷはぁ…んで、何でそんなに仲良いのさ。わたしゃてっきり『何でも屋』のお二人さんは、クラウドに憧れてるだけなんだと思ってたのにさ〜。もうすっかり友達モードじゃん!?」
 ずるい〜、ずるい〜!

 そう唇を尖らせながら足をブラブラさせるお騒がせ娘に対し、シラッとした目で一瞥すると、
「じゃ、またあとで」
 何でも屋の二人に軽く片手を上げ、居住区へ続く階段へと消えてしまった。

「ムキー!!なにさ、あの態度〜!!」
 どこまでもお子様なユフィは、当然のように癇癪を起こして腕をブンブン振り回した。
 同席のマナとセトは「お、落ち着いて下さい…」「あ、危な…!」と、ハラハラしながらどうして良いものやら途方に暮れている。
 さほど広くない店内で腕を振り回す行為は、周りの人にとって迷惑以外の何ものでもない。
「ユフィ……」
「……はい、ごめんなさい…」
 店長であるティファが眦を上げて凄んだのも、そして、そんなティファとユフィのやり取りを隠れてお客達が笑っていたのも自然な流れであったのだった…。



「はい、お疲れさん!」
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様」
「ああ、ありがとう…」
 シャワーで汗を流したクラウドは、いつものカウンター席ではなく真っ直ぐ三人のテーブルにやって来た。
 四人はグラスを合わせて乾杯し、ホッと一息ついていた…ハズだったのだが…。

「それにしても、クラウドも大変だねぇ。一家の大黒柱って奴はさ!」
「…俺よりもティファの方がうんと大変だけどな…」
「あ、それは分かってるって!」

「「………(汗)」」

「そうそう!こういう飲み屋を兼ねたお店をしてるとさ〜、色々な客とか寄って来そうじゃん?ティファの事、心配じゃないわけ!?」
「…そこらへんの奴らがティファに敵うわけ無いだろう…?」
「あ〜、そういうんじゃなくてさ!クラウドよりも男前で、稼ぎもある甲斐性たっぷりの男が現れないっていう心配は無いわけ?」
「…………」
「そこまで自分に自信があるんだ〜…。旅してる頃からは考えられないくらい自信家になっちゃったんだ〜」
「……何が言いたいんだ……」
「はぁ、何だか残念だなぁ〜。初々しいクラウド君がお気に入りだったのにさ〜」

「「………(滝汗)」」

 ユフィとクラウドのやり取りを聞く側に回っている何でも屋の二人は、何とも言えない嫌な汗で背中がべたついていた。
 本当なら『そんな事無いですよ!クラウドさん以上に素敵な人なんかそうそう現れないですって!』『ティファさんがクラウドさん以外に惹かれる男性が現れるとは考えられないな』とかフォローの言葉をかけるべきなのだろう。
 しかし、とてもじゃないが、この目の前にいるウータイの忍の言葉を遮って口を挟む事など出来ない。
 ひっきりなしにしゃべくっているユフィの隙を突く事など、並みの人間では不可能だ。
 おまけに、セトもマナもおしゃべりが大好きと言うわけでもない。
 話し上手と言うわけでもない。
 二人はどこまでも人並みなのだ。
 そんな二人が、今夜初対面のユフィに正面から立ち向かって勝てるはずも無い。

『クラウドさん…頑張って!』『……誰か助け舟出してくれないものかな……』

 生憎、頼りになる看板息子と看板娘、そして女店長はにわかに客足が多くなった為に忙しく働いており、この窮地を救ってくれそうには無い…。
 何でも屋を生業とする二人だったが、この窮地に対してどうにも良い手が浮かばないまま、ただひたすら心の中で声援を送り、助けを求めて黙々と目の前の料理を口に運ぶのだった。

 しかし!
 天は哀れな二人を見捨ててはいなかった!!

 今夜幾度目かのドアベルの音が、新たな客の訪問を告げた。

「「「いらっしゃいませ〜!」」」
 入って来たのは、このご時勢だと言うのにパリッとした仕立ての良いスーツを着こなし、洒落た感じの若い男性と、明らかにその男性を守る為に雇われているだろう三人の黒スーツの男達。もう夜だというのに真っ黒なサングラスをつけている。
 その四人の姿を目にしたユフィは、軽く口笛を吹くと男達に視線を向けたまま、そっとクラウドへ耳打ちした。
「ねね、あのお客さん達さ…。この店に来るにはちょっと、『分不相応』な感じがしない?」
「……そうだな…」
 静かな眼差しの中に、少しの警戒を孕んだクラウドは、ちらりと子供達とティファを見やった。
 三人とも、あからさまな迷惑顔は勿論していていないが、他の常連客達に向ける温かな表情とは無縁の顔をしている。
 そして、周りの常連客達もどこか顔をしかめていたり、露骨に顔を逸らしている事から、この客達がセブンスヘブンにとって招かざる客である事が理解出来た。
 セトとマナも、無表情を装いつつも即座に動けるように体勢を整えている。
 クラウドは、内心で溜め息を吐いた。
 
 やっと仕事が終わって帰宅してみれば、予想外のアクシデントが満面の笑みで待ち構えていた。
 そして、懐かしい顔ぶれに出会ったと喜んでいれば、このアクシデントだ…。
 明らかに、新しい客人はこの店の店長を狙っている。
 ほら、今もそうだ。
 看板娘の愛くるしい営業スマイルをサラッと流し、一直線にカウンターにいるティファに向かっているではないか…!!
 …………。
 ……………。
 どうしてくれよう…!!


 などなど、頭を悩ませている事を知ってか知らずか、忍者娘が暢気に呟いた。
「あ〜、中々良い男だよねぇ。着てるスーツも金がかかってるしさぁ。何より、周りが見えなくなるくらいティファに夢中みたいじゃん?」

 確かに、ユフィの言う通り、例の男は周りの白い目など気に止める事無く、ティファに擦り寄るようにして話しかけている。
 そう、それは荒涼とした心を抱えているクラウドにとって、到底黙認出来るものではなかった。

「私さ〜。ティファには幸せになって欲しいんだ。だから、ああいうタイプでも、『周りの事なんか気にせずに、ティファ一筋〜!』って言う男が良いと思うんだ〜」


 この一言が決定になった…と、後々何でも屋の二人は語り合うのだった。


 金髪で碧眼の青年は、無言のまま柳眉を逆立てると、脇目も振らずにカウンターまで直進した。
 その後姿は殺気に満ち満ちており、何でも屋の二人のみならず、店にいた客達は心の中で金持ち風の若者に合掌したのだった。



「何であんな事言ったんですか?」
 若者とそのボディーガードを『丁重に』店の外へ送り出した後、暫く店内は店長とその伴侶を冷やかす声でお祭り騒ぎになっていた。
 それが一段落し、店長に真っ赤な顔で叱られた金髪・碧眼の青年が、そのお詫びにと水色のエプロンを身に着けているのを眺めつつ、マナが事の発端であるウータイの忍に疑問をぶつけた。
「ん?あんな事って?」
「ほら、クラウドさんをたきつけるような事、わざと言ったでしょう?」
 マナの言葉に、ユフィはいつもなら『にやり』と笑うところであるだろうに、何故か穏やかな眼差しでカウンターを見つめた。
「だってさ〜。私、本当にクラウドとティファが大好きなんだ〜。それなのに、二人共、変なところで照れ屋で奥手だからね。見てて歯痒いったら…」

 だから、こうしてたまには背中を押してやらないと…ね。

 そう語るユフィに、二人はハッとした。
 今夜、彼女が見せていた『元気でどこまでもマイペース!』『お調子者で楽しいお元気娘』という姿とは別に、こんなにも仲間を想っている心優しい一面をも持っているのだ。
 そしてその事を、当然クラウドとティファはちゃんと知っている。
 だから、ユフィがお騒がせな事をしでかしていても、決して本気で怒ったりせずに、最後には苦笑しながら受入れているのだ。

 本当に、何て素敵な関係なんだろう…。

 何でも屋の二人は目を合わせると、無言のまま笑みを交わした。



「それじゃ、ご馳走様でした!とっても美味しかったです」
「ご馳走様でした」
「あ〜、もう帰っちゃうの?」
「俺、また話し聞けなかったなぁ」
 勘定を払う二人に、看板息子と看板娘が残念そうな声を上げる。
「また来るから、その時にお話しするね」
 ニッコリと笑うマナに、「絶対だぞ!?約束約束!」「本当にまた来てね」と、子供達は満面の笑みを見せた。
「今夜は何だかバタバタしててごめんなさいね」
「いえ、ホントに楽しかったです」
 申し訳なさそうな顔をするティファに、マナがふんわりと笑みを返した。
「仕事、頑張って」
「はい、ありがとうございます」
 その女性陣の隣で、静かに男性陣が言葉を交わしていた。
「ん〜、二人共、結局飲まなかったなぁ。残念残念!今度一緒になったら、その時こそ酔わせてやる〜!」
 ヒョイっとクラウドの肩から顔を出した忍者娘が、ニヤニヤ笑いながら二人を見下ろした。
「ユフィ、重いぞ」
「ムキッ!重くなんかないやい!」
「重くてうるさい」
「ムキー!!乙女心を踏みにじるこの鈍感男め〜!!ティファ〜、こんな奴やめて、他に良い男探しなよ〜!」
「余計なお世話だ!」

 クラウドとユフィのやり取りと、そんな二人をクスクス笑いながら見守るティファ、そして、楽しそうに明るい笑い声を上げている子供達に頬を緩めながら、二人はセブンスヘブンを後にした。
「本当に、良い人達でしたね」
「ああ、そうだな」
「また、会いたいですね」
「ああ。でも、酒を飲まされるのは勘弁だな…」
 夜空を見上げながらそうこぼす青年に、少女が軽く笑い声を上げた。



 そんな穏やかな心地でエッジの街をのんびりと行く二人を、満点の星達が静かに見守っていた。




 あとがき

 はい、後編やっと終わりました〜。
 相変わらず、ダラダラ傾向にありますが、いかがでしたでしょうか…(汗)。
 ユフィを書くのはとっても楽しく、大好きなので、『セト&マナ、セブンスヘブンにてユフィと遭遇』とのリクに大喜びしました(笑)。
 熊様、大変遅くなってしまって申し訳ないです!
 こんなお話しになってしまいましたが、お受け取り下さいませ!!