夢を追って(前編)




 WRO。
 それは、『ジェノバ戦役』で激しく傷ついたこの星で急速に成長し続けている『星のための組織』。
 星の脅威となる『敵』から星を守る為に立ち上がった勇士達が集い、日々鍛錬し、今日も星の復興に全身全霊を賭けて戦っている。(勿論、そうではなく『WRO』という肩書きを目当てとしている不届き者もいるわけだが…)
 そんな勇士達が憧れている存在。


 ― 『ジェノバ戦役の英雄達』 ―


『ジェノバ戦役』を勝利の内に収め、星の危機を打ち破った英雄達。
 そんな英雄達は、隊員達にとっては憧れそのもの。
『ジェノバ戦役』では多くの者が大切な人達を失った。
 その心の傷跡は今も人々の胸に深く刻み込まれている。
 だが、そんな人々の心を明るく照らしてくれる存在が……『ジェノバ戦役の英雄』。
 たった九人で星を救う戦いに赴き、勝利をもたらしてくれた『星の恩人達』。
 惜しいのは、一人が星に還ってしまったこと…。
 しかしそれすらも、今はどこか神話のように人々の間では語られている。

 曰く。
『彼女』の死は、『ジェノバ戦役』を勝利に導く上では必要不可欠であった『尊い犠牲』というもの。

 そんな話しがまことしやかに囁かれ、星に生きる人達の間で急速に広まっていた。
 恐らく、その話の発端となった人物が『英雄達』に知られたら、どんな恐ろしい目に合うか……。
 その事実を知る者は誰もいないし、くだらない『神話』を作り上げた人物が『英雄達』に探しだされることも不可能なわけで…。

 結局、その『彼女』の死が人々の口に上る事を止められる手段もないまま、日々が過ぎていった。
 そうして、そんな『神話』には、勝手に人々の『想像した英雄達の姿』があたかも本当の『英雄達』であるかのように語られるようになってしまったのも……誰も止められる事などなく…。

 WROに続々と志願する勇士達の大部分が『己の中で勝手に作り上げた英雄達』に憧れて、そんな英雄達の後に続くべく入隊していたりする。




「それで、今日初めてユフィ様のお姿をお見かけしたんだ!あんなに若いのに本当に凄い!!」
「「「へぇ!!」」」
「明るい笑顔を見せておられたが醸し出しておられるオーラが何とも…!こう…やっぱり『英雄』なんだなぁって思ったね!」
「良いなあ!俺も見たい!」
「そうだよな!リーブ局長にお会いするのも緊急招集くらいだし…」
「お忙しいからなぁ…」
「そう言えば、俺はこの前チラリとだけだがバレット様とシド様のお姿をお見かけしたぞ!」
「「「お〜!?凄いじゃないか!!!」」」
「なんでも新しい油田の開発でシド様の持っておられる飛空挺の技術が必要とか…」
「へえ!」
「やっぱり、英雄は崇高な思考をされている!」
「星の為に身を粉にして働かれて……」
「俺も頑張らないと…!」
「「「ああ!!」」」

 当人達が耳にしたら、全身に怖気とむず痒さが走り抜けること間違いないだろう。
 もしかしたら卒倒するかもしれない。
 しかし、興奮しきりに話をしている隊員達がそんな事を知るはずもなく、日々、彼らの想像は逞しく『当人達を無視して』成長していくのだった…。
 まぁ、もっともここまで極端に『己の世界』を作り上げている隊員はごく一部であるが、多かれ少なかれ、ほとんどの隊員達がある程度の『理想像』を胸に描き、『英雄』に続くべく日々任務に励んでいる。

 そうして…。
 今日も『己の中で育てた英雄』の姿を追うべく、若者が入隊してきた。





「はぁ……凄く大きな建物だなぁ……」
 ポカンと口を開けて建物を見上げる。
 なんというか……感無量だ。
「とうとう…ここまでやって来たんだなぁ…」
 あのど田舎から復興が急ピッチで進んでいるエッジに沿うようにして建てられているWROの本部に、俺は胸が一杯になった。

『ジェノバ戦役の英雄』に憧れて、あんな田舎からやって来たのかと思うと、こう……身体が震えてくるな!
 なんだか『よしっ!やってやるぞ!!』って気持ちになる。
 うん、来て良かった。
 この場に立てただけでも、両親と兄妹達の反対を押し切って志願した甲斐があったと思える。

「いよっし!頑張るぞ!!」

 ここで一旗上げる事が出来たら、もしかすると『英雄』に会えるかもしれないだろ!?
 会えるとしたら…やっぱり『クラウド・ストライフ』が良いな!!
 俺の……一番憧がれてる男。
 WROの広報誌で見たとき、正直『え?こんな人だったの!?』って思ったんだ。
 だって、写真の中の『英雄達のリーダー』は優男だったんだから。
 体つきもそんなに筋肉質…ってわけじゃないし、背もバカみたいに高いわけじゃない。
 いや、むしろ俺の方が高いかも……。
 それに、何と言ってもすっげー『美男子』!!
 女装しても全然違和感なさそうな小顔で綺麗な顔立ちに、兄貴と妹が目を丸くしてたな。
 俺的には、『リーダー』には『バレット・ウォーレス』ってガタイの良い色黒の人の方がそれらしく見えたんだけど、実際は『クラウド・ストライフ』が『リーダー』なわけで…。
 だからますます憧れる気持ちは強くなった。

 一体……どんな人なんだろう?
 きっと、外見と同じで中味も完璧なんだろうな。
 広報誌には『ティファ・ロックハート』と一緒に『子供達二人』と住んでる…って書いてあったけど、どうも血の繋がりは四人ともないらしい。
 それどころか、『ティファ』とも結婚しているわけじゃないみたいだし…。
 ま、そんな事はどうでも良いや!
 俺は、絶対に『クラウド』みたいな『男の中の男』になって、家族の度肝を抜いてやるんだ!!

「おい…置いていくぞぉ?」
「ハッ!す、すいません!!」

 ふいに声をかけられて一気に現実に引き戻された。
 少し離れたとこで、不審そうな顔をしてグレーの瞳をした『准尉殿』と、俺と同期になる新米隊員達が俺を待っていた。
 慌てて皆の所に駆け寄って再度頭を下げる。
「いや、まぁ良いけど広いからな。覚えるまでは一人でフラフラしてると迷子になるぞ」
 苦笑しながら『准尉殿』はそう言ってくれた。

 気さくな人で本当に良かった。
 まだ若そうなのにもう『准尉』なんだぁ…。
 四つ上の兄貴と同い年……くらいかな?


「んで、こっちが食堂、こっちが科学班と司令部に続く階段。そんでもってこっちが俺達一般隊員が寝泊りする宿舎に繋がってる廊下。あと、向こうに見える階段の先には技術班の研究室…って言うか、実験室があるからな。不用意に中を覗くなよ?スパイだと思われると大変だからな」

 広い…。
 すごく広い…!
 廊下なんか、車で走れるんじゃないか!?っていうか、絶対に走れるくらいに広々していてすごい解放感だ。
 天井もめちゃくちゃ高いし!!
 それに、WROって軍隊組織みたいなもんだからもっとこう……暗くて灰色っていうイメージカラーだったんだけど、建物の中は白がメインカラーになってて凄く明るい。
 それに、清潔感溢れてるし…真新しい病院……っていう方が軍隊組織の建物…ってよりも近い感じだな。
 でも、勿論、真新しい病院なわけじゃないんだけど……まぁ、そんな感じがするってだけだし。
 すれ違う人達は、気難しい顔をしている人よりも笑っている人の方がダントツに多い。
 気難しい顔をしている人達は、何かの書類を睨みつけながら足早に歩いてる。
 あ…、科学班の方に曲がって行ったから科学者なんだな。

「いいか?こっから先には入るなよ?この奥には『メインコンピューター』がある。勿論、簡単に先に進めるわけないんだけど、不法侵入すると自動的に『黒こげ』になってしまう仕掛けになってるからな。生きたまま『焼肉』になりたくないなら絶対に入るなよ?」

 うわ〜……。
 マジですか!?
 そんな仕掛け、映画とか小説だけの世界じゃないの…!?
 周りの同期達が息を飲んで青ざめる。
 勿論…俺も…。

「じゃ、簡単だけど建物の中はこんなもんだ。午後からは早速だけど任務に出発する。簡単な『モンスター駆除』の指令が出てるからな」

 ざわっ…。

『准尉殿』のいきなりの発言に俺達は一気にフリーズした。
 まさか、本部に到着したその日に任務に就くとはと思わなかった…。
 膝が笑うのは……仕方ないよな…?

「大丈夫だって。本当に簡単な『モンスター駆除』だから。基本的な銃の扱い方はもう『訓練生』の時にしてるだろ?それだけで十分だからそんなに緊張するな、良いな?」

 苦笑いをしながら俺達にそう言ってくる『准尉殿』には悪いけど、ビビるな…っていう方が無理だから。
 勿論、それなりの覚悟もしてきたし、『訓練生時代』はがむしゃらに頑張ってきた俺達だけど、やっぱりいきなり『実践』となったら……さ。
 誰かの生唾を飲み込む音がする。
 一気に和やかな雰囲気はピンと張り詰めた緊張に変わった。
 そんな中、『准尉殿』は「おいおい…本当に大丈夫だって…」と、茶色の短髪をガシガシと掻いて困っていた。

「じゃあ、このままフリーズしてて時間を無駄にするのも勿体無いから、各自自分の部屋に戻って荷解きしてくれ。十三時に飛空挺乗り場集合。それまでには昼食を摂っておくこと。良いか?緊張して喉を通らない…って気持ちも分かるし、食べ過ぎると動きが鈍くなるから食べない…って考えも分かるけど、『腹六分目』は最低食べる事。でないと、脳に糖分が足りなくなっていざと言う時、冷静で的確な判断が出来なくなるからな。ちゃんと、必ず何かは胃に入れておけ。じゃ、解散」

 テキパキと俺達に指示をして、『准尉殿』はさっさと背を向けて去ってしまった。
 長身で優雅な身のこなしを前に、俺達は呆然と見送るしかなかった。
 いや、だってさ。
 本当に何も喉を通らない気分なんだよ。
 それなのに、実に簡潔に分かりやすく『空腹を避けるよう』説明してのけたんだからさ…。
 まぁ、慣れてるんだろうけど……それでもやっぱりすごいって思うんだよな。

「じゃ、じゃあ……行くか?」

 同期達に声をかけると、俺達は重い足を自分達に当てられた部屋へと運んだのだった。





「よし、全員来たな」
「「「「「はっ!」」」」
「……今からそんなに肩に力入れてたら、本番でバテるぞ?もうちょっとリラックスしろよ……」
「「「「「はっ!!」」」」」
「………………ダメじゃん…」

 ガチガチに敬礼する俺達に、『准尉殿』は苦笑しっぱなしだ。
 それでも仕方ないじゃん。
 俺達はこれが初の任務なんだから!


「仕方ないよ、彼らはこれが初任務なんだから」


 そうそう!
 仕方ないんだ!!
 って……。
 誰!?

 俺達の心を代弁してくれた人の突然の登場に、俺達はギョッとした。
 いや、だって…!
 今までいなかったのに、いつの間に!?
 全然気配感じなかったぞ!?
 それに………その人の『目の色』が異常なんだ!
 あれって……。

「モンスターの色…」

 誰かがポツリとこぼした。
 こぼした本人か…それともその呟きを聞いた周りの人間か…それは分からないけど、何人かビクッと身体を震わせたのが目に入った。
 言われた本人はケロッとしていて……。
『聞えなかったのかな…』
 と思ってしまうほどだったけど、『准尉殿』がそれまで人の良い表情をしてたのに、一変して鬼の形相になってたから絶対に聞かれたはずだ。

「ほぉお〜…誰だ今、こいつの事を面白く言ってくれたのは…?」

 ヒィッ!!
『准尉殿』の背中から真っ黒いオーラがユラリと立ち上ってるのが見えるのは…俺だけ!?
 いやいや…周りにいる俺の同期達もガチン…と固まったから、皆にも見えてるらしい。
 って言うか、めちゃくちゃ……怖ぇえ!!!
 初任務に行く前に『殉職』しそうだ…!!!

「こら、ノーブル准尉。ダメだろ、私情を挟んだら」
「……お前の事なのになんでお前はそんなにサラッとしてるんだ……」
「だって、慣れてるから」
「慣れるなよ!」

 怒気を立ち上らせている『准尉殿』を止めてくれたのは『モンスター』扱いされた当の本人。
 ニコニコと笑いながら『准尉殿』の肩を軽くポンポンと叩いて宥める。

「僕の事で真剣に怒ってくれるお人よしがいてくれるから平気になったんだ、これって良い事だと思うけど?」
「………………………はぁ…」

 あっけらかんとそう言ってサラサラの黒髪を揺らし、『准尉殿』の顔を覗き込んだその人に、『准尉殿』はグッと言葉を詰まらせて最後には盛大な溜め息を吐いた。
 それで怒りを吹っ切ったらしい。
 ガックリと肩を落として……次に顔を上げた『准尉殿』は苦笑を浮かべていた。

「わーったわーった。(分かった分かった)。はいはい、今回は不問にする」
「うん、是非そうしてよ」

 はぁぁ〜……。
 た、助かった……。
 ありがとうございます!!
 アナタは俺達全員の命の恩人です!!
 ひどい事を言ってしまったのに…笑って許してくれるなんて……良い人だーー!!!
 とか感動していると…。

「准尉殿!」

 俺達の隊から離れた所にいた別の隊の人が声をかけた。

「はい、今行きます」

 応えたのは『准尉殿』じゃなくて……サラサラの黒髪のその人だったわけで。

 ……え!?
 こ、この人も…『准尉殿』なわけ!?
 その若さで!?!?
 どう見ても俺と同い年くらいじゃん!!

「これからまた任務か?」
「ううん、帰還したばっかりなんだよ。結果を報告に行く途中だったんだけど、リトが見えたからちょっと声をかけようと思ってね」
「そっか。じゃ、ちょっくら行って来る」
「うん、気をつけて」
「おう!」

 ニッコリと笑ってその『准尉殿』は俺達に向き直り、「皆さんも頑張って。大丈夫ですよ、『ノーブル准尉』は頼りになりますからリラックスして任務に就いて下さい」と励ましの言葉をかけてくれた。
 そして俺達が敬礼するよりも早く、クルリと身を翻すと待っている隊のところへ駆けて行ってしまった。

「まったく…あんな言い方されたら、イヤでも頑張らなきゃならないじゃん」

『准尉殿』は、頭をガシガシ掻きながら一人ごちると、

「じゃ、そろそろ時間だ」

 表情を改めて俺達に向き直った。



 初の任務はチョコボファームにほど近い湿地帯。
 モンスターが天然のチョコボを食い荒らす事が多くなったとかなんとか……。
 いや、ごめん、緊張しすぎて良く説明聞けてなかった…。
 手渡された銃に弾を込める。
 あ、ヤバイ。
 手が震える。
 チラリと周りを見ると、鼻歌交じりに今回の任務に臨んでいる『准尉殿』以外は、皆ガチガチに緊張していた。
 あ、でも一人・二人は『やってやる!!』って気迫が見える。

「ほら、ずーっと真っ直ぐここを行くとチョコボファームがあるんだ。『ジェノバ戦役の英雄』があの『ジェノバ戦役』の旅で贔屓にしてたんだってさ」

『准尉殿』の言葉に皆の視線が自然とはるか彼方に向けられる。

 へぇ!
 そうなんだ〜!!

「ちなみに、こっちへ真っ直ぐ行くと、かの『ミドガルズオルム』という大蛇がいる沼地に辿り着ける。『英雄達』が『ジェノバ戦役』でここを抜けた当初は、あんまり強くなかったらしくてさ。チョコボファームでチョコボの捕まえ方聞いて、チョコボで一気に沼地を抜けたらしい。ま、旅してる間にめきめき強くなって、『ミドガルズオルム』も一発で倒せるようになったらしいけど、最初はやっぱり誰でも弱かったんだなぁ」

 へぇ!!
 そうなんだー!!!

「そうそう、ジュノン港から密航した話しは知ってるか?あの英雄の『ナナキ』も、船乗りの格好したらしいんだ。器用に二本足で甲板歩いてたんだってさ。でも、いくらベレー帽被ってても帽子の隙間から顔見えるよな?なんでバレなかったんだろう…」

 へぇぇ〜!!!
 そうなんだ〜〜!!!!

『准尉殿』が聞かせてくれる『ジェノバ戦役』の話は、どれもこれもレアなもので、俺は勿論、他の隊員達も食い入るようにしてその話を聞いていた。

「准尉殿は…お詳しいですね…」
 ふと、誰かがそう言った。

 何人かが不思議そうな顔をして『准尉殿』を見てる。
 こんなに詳しく『ジェノバ戦役』の逸話を語ってくれる『准尉殿』という存在が不思議で仕方ないらしい。
 あ〜、それは俺もそうだけど。
 だって、旅の途中の話し……特に『ナナキ』の密航の仕方とか…なんで知ってるの?

「あぁ、俺、ティファさんのお店の常連だから、クラウドさんとかとも知り合いだし」

 沈黙。

「「「「「「えええええ!?!?!?」」」」」」

 湿地帯に耳障りな男達の叫び声が響き渡った…。


 衝撃!
 まさか、『ジェノバ戦役の英雄』と知り合いだなんて!!
 い、いやいや、勿論、俺がWROに入隊したのはまさに『准尉殿』のように『英雄達』と知り合いになれたら…って気持ちもあるんだけど、まさか本当に『お知り合い』になれた人がいたとは!!
 ってことは、俺も『英雄達』と知り合いになれる可能性が高いってことだよな!?
 そう思ったのは俺だけじゃないらしい。

「准尉殿は一体どうやって知り合いになられたんですか!?」
「きっかけはなんだったんですか!?」
「やっぱり、『英雄』は素晴らしい人達ですか!?」
「ティファ・ロックハートはやっぱりWROの広報誌に載ってたように美人なんですか!?」
「バレット・ウォーレスが本当はリーダーじゃないんですか?」
「クラウド・ストライフは本当に『男』なんですか!?」
「ヴィンセント・バレンタインが元・タークスって本当ですか!?」
「ユフィ・キサラギは本当に忍なんですか!?あんなに若いのに!」
「ナナキが人の言葉をしゃべるのは本当ですか!?」
「シド・ハイウィンドは寝ながらでもタバコを吸ってるって本当ですか!?」
「リーブ局長は本当に『ケット・シー』という人形を操れるんですか!?」

 矢継ぎ早に質問を浴びせる同期達に、『准尉殿』は身を仰け反らせて引き攣った。
「いや…まぁ一つずつ順番に……」
 両手を軽く上げて苦笑する。
 その陽気な『准尉殿』が突然ガラリと変貌した。
 苦笑がサッと消え、キッと湿地帯を睨みつける。
 全身から緊張がほとばしり、「全員伏せろ!」短く一言命令して自身もサッと身を伏せた。

 雷に打たれたような衝撃が全身を駆け巡った。
『准尉殿』に遅れて俺達は地面に伏せる。
 丈の長い草の中に身を隠すようにしながら、俺達は息を殺した。
 はるか前方を窺っていた『准尉殿』が、振り返らないでそっと俺達に片手を上げる。
 指された方を見ると……。

 黄色い……大きな鳥。
 チョコボが数体走っているのが見える。
 そして……。

「…モンスターだ……」

 誰かの震える声がやけに大きく聞こえた。





 すいません。
 二部構成になります!(ヒィ…!!)