それは突然セブンスヘブンにやって来た。



英雄達のリーダー 2





 チリンチリン…。
 軽やかなドアベルの音が新たな来客を知らせる。

「「「いらっしゃいませ〜」」」

 クルリとドアを振り向いたセブンスヘブンの働き手達の目に飛び込んできたその三人の『新顔』は…。
 何ともイヤな目で店内をジロジロと物色し…。
 パタパタと駆け寄ったマリンを上から見下すように眺め…。
 接客をしようと口を開いた看板娘を無視してカウンターへ視線を移した。
 そして…。

「ヒュウ〜♪」
「広報誌よりも良い女じゃん♪」
「へぇ〜、良い身体つきしてるじゃねぇか!もっとこう、筋肉がついてるのかと思ったぜ!」

 下卑た笑みに下衆な発言。
 マリンがサッと顔を強張らせ、他の常連客達が一斉に目を剥く。
 比較的マリンの近くにいたデンゼルがマリンを背に庇い、三人をキッと睨み上げた。
 ティファも全身に闘気を漲らせ、滑るようにカウンターを後にした。
 看板息子が自分達を睨み上げているのを、赤い短髪をツンツンにワックスで固めた若い男がジロリと睨みつける。
 その口元には……冷笑。
「へぇ〜。流石英雄に育てられてるだけあって、良い気迫してんじゃん?」
 小バカにした言葉で、他の二人の視線もデンゼルに…そしてデンゼルの後ろでやはり睨みつけているマリンを見やった。
「フン…。目上の人間に対する躾がなってない…」
 黒い長髪を一本で括った男が蔑んだ目で見下ろした。
「へぇ…。こんなに小さいのにいっぱしのナイト気取りかぁ。やぁ、ボク?お名前は〜?」
 最後の一人、赤茶色の癖のある髪をあっちこっちに散らしている長身の男が口元を歪めていやらしく笑う。
 完全に馬鹿にしている男達に、デンゼルは睨みつけたまま無言を通した。
 しかし、無言だったのは男達に気後れしているからではない事は、その凛とした眼差しが雄弁に語っている。
 臆する事無く自分達三人と真っ向から睨みあう事が出来る看板息子に、常連客達が感嘆の溜め息を吐いた。
 しかし、若い乱入者達がそのデンゼルとマリンの態度に対し、常連客達と同じ感想を抱くはずも無い。

「目上の人間に対する礼儀って奴をクラウド・ストライフとティファ・ロックハートは教えてくれてないらしいな」
 威嚇するように一歩前へ足を踏み出す。
 しかし、デンゼルもマリンもそこから微動だにしない。
 全く臆することが無い子供達に、乱入者達の自尊心はいたく傷つけられたようだ。
 舌打ちをしながら徐(おもむろ)に足を振り上げたかと思うと…。

「お客様。その辺にしてどうぞお帰り下さい。今なら黙って許して差し上げます」

 低い声音で落ち着き払った女店主が、デンゼルとマリンの前に立ちはだかった。
 振り上げられた足はというと…。

「いって〜〜!」

 デンゼルを蹴り上げようとしたまさにその寸前、思い切りティファの足によって蹴り飛ばされている。
 仲間が足を庇って片足でピョンピョン飛んでいる姿を、他の二人はゲラゲラと指を差して笑っている。
 全く心配などはしていないようだ。
 ティファはその三人を見て、何かピンと来るものを感じた。
 昨夜のリーブの憔悴しきった表情が甦る。

「あなた達……WROの隊員ね…?」

 ティファの言葉に、周りの客達からざわめいた。
 子供達も目を丸くして見つめている。

「へぇ…。じゃあもう局長はアンタに話を通してくれたんだ」
「やっぱなぁ。それくらいの報酬は当然だよな」
「ああ。アンタも納得してるみたいだし、後で文句を言うなよ?」

 ニヤニヤと人の悪い笑い方をするこの若い男達に、無性に腹が立つ。
 しかし、同時に一体何の事を言われているのか全く分からず、首を傾げた。

 この目の前の三人が例のリーブを悩ましている『慢心している隊員』の内の何人か…ということは確定した。
 しかし…。
「ちょっと申し訳ないけど……何の話をしてるわけ?」
「「「え……知らないの……?」」」
 驚いた顔が一斉にティファに向けられる。
 ティファはその表情の変化に面食らっておどおどと頷いて見せた。

「ちぇ〜っ。なんだよ〜!」
「結局俺らの意見は聞き入れられないってか!?」
「フン。どうせそんな事だと思った。局長はバルト・ノーブル兄妹・それにデナリのオッサンがお気に入りだってことだろ?」
 途端に始まったリーブへの誹謗中傷に、ティファの心が怒りに染まる。
「リーブが誰よりも優秀な指導者だと世界中が知ってるわ。それを……!!」
 怒りにまかせて声を荒げるティファに、
「あ〜、まぁ、世間受けは良いよな…確かに」
「でも、所詮は人間だからな。自分のお気に入りをとっとと昇進させて、傍に置いとけるようにしたいんろうぜ」
「そんなの、誰だって分かってるっつの!」
「見え見えだもんなぁ…。どう考えたって、俺達の方がバルトの連中よりも有能なのによぉ」

 その言葉に、それまで黙っていた子供達が激昂した。

「バカ言うな!!」
「そうよ!!ライお兄ちゃん達の方が絶対に優秀な隊員さんに決まってるじゃん!!」
 その子供達に、三人の『問題児隊員』は一瞬顔を歪めたが、すぐに嫌味な笑みを浮かべる。
「そりゃ、あんた達には人気があるだろうけど、俺達隊員の中では今回の二階級特進について納得してる奴なんざ、ホンの一握りしかいないんだぜ?
「それに、実際にバルト達よりも優秀な奴らなんか掃いて捨てるほどWROの中にはいるんだよ」
「ま、実家が資産家だと色々と都合が良いよな〜」
「そうそう。所詮、局長も俺らと一緒。ただの人間ってことさ」
「いくら『ジェノバ戦役の英雄』だからって、なぁんにも特別な事なんかありゃしない」

 その一言は子供達は当然の事、周りにいた客達の怒りを誘った。
 そして…。
 その一言は目の前にいる『ジェノバ戦役の英雄』の逆鱗に触れた。

「もう一度言ってみなさい…」
「「「!?」」」
 低く…低く押し出された怒りの声音。
『問題児隊員』達はその声音に混じった確かな『怒気』に思わずビクッと身を竦めた。
 ギラギラと怒りに燃えるティファの茶色い瞳を前に、思わず後ずさりそうになる。
 しかし、彼らの歪(いびつ)な自尊心がそれを許さなかった。
 グッと逃げ出したい衝動を押さえ込み、わざとらしい笑みを顔に貼り付ける。
「へっ。やっぱりな」
「アンタ達『英雄の皆様』とバルト達が仲が良いって俺ら隊員達の間じゃ有名だから、今更そんな風に凄まれたって意外でもねぇよ」
「流石、良い家の子息令嬢は世渡り術を心得ている。かの有名な『英雄』を味方につけることが、どれ程自分のこれからの人生にプラスになるのか、ちゃんと計算出来てるんだから…」

『英雄』という言葉を連呼されて、ティファはぶち切れる寸前になった。
 しかし…。
 ぶっ飛ばしたい気持ちをグッと堪える。
 自分が『英雄』だからではない。
 一般常識から考え、相手が親友の悪口を言っただけで手を上げるのは、自分や親友達に非がある事を世間に公表するようなものだ…と、僅かに残っていた理性がはじき出したのだ。

 ところが。
 周りにいた客達が一斉に怒声を上げた。

「お前ら…散々好き勝手言いやがって!!」
「結局、お前らが言いたい事っつーのは自分達が認められないっていう腹いせだろうが!!」
「そうだそうだ!それに、あの兄ちゃん達はお前らみたいに自分の力を吹聴するような下賎な人間じゃねぇんだよ!」
「実家が金持ちだからって鼻にかけたこともねぇっつの!!」
「それどころか、実家から出て自分達の力で頑張って生活してるんだぞ!?」
「おおよ!あのラナの姉ちゃんなんか特にたいしたもんだぜ!ご令嬢だっつうのに気取った所なんかこれっぽっちもねぇし、俺達と一緒に酒飲んで笑って騒いで…。とにかく、俺らと自分達を同等に思ってくれてるっつうのがイヤでも伝わって来るんだよ!!」
「自分達が認められないからって、それをライ坊達の実家の影響だと決め付けるような度胸のねぇお前らなんかが、ライ坊達以上のはずがねぇだろう!!!」

 まさか、客達の心までプライアデス達が掴んでいるとは爪の先ほども思っていなかった『問題児隊員』達は、目を丸くした。
 それはティファと子供達も同様で。
 びっくりして子供達は顔を見合わせ、そして心から嬉しそうに笑顔になる。
 ティファも胸があったかくなり、思わず涙が込上げてきた。
 涙が零れそうになるのをごまかし、満面の笑みを浮かべると店内でいきりたつ客達を見渡して、
「うん、うん!そうよね、皆!!」
「「「おーー!!!」」」
「「当たり前だろう!?」」
「「お前ら、帰れ〜!!」」
「「「帰れ〜、帰れ〜!!」」」

 店内の空気を揺るがす『帰れコール』に、『問題児隊員』達は流石にたじろいだ。
 ここまでの人の心を掴んでたとは正直計算外だ。
 しかし、ここで怯むのは『負け』と同じ…。
 そう思ったのだろう。
 新顔の若い男達はサッと目配せすると、急に余裕顔になった。
 そして、未だに『帰れコール』を続ける客達に向かって、小バカにしたように口を開く。

「へぇ…大した人気じゃん?」
「なら、その大好きな『ライ坊』達がどれ程のもんか、その目でしっかり見る機会が欲しいだろう?」
「なぁ……ティファ・ロックハートさんよ。アンタ達の大切なお坊ちゃん達が俺達よりも立派な隊員だって世の中に広めたいと思わないか?」

 いかにも何かを狙って発言している男達に、ティファの直感が警鐘を鳴らす。
 うかつに返事をしてはいけない。
 きっと何か…。
 プライアデス達を陥れる以上の何かを狙っているに決まっている…。

 しかし、ティファが返答を躊躇っている間に、周りの客達がいきり立った。

「そんなの今更だっつーの!!」
「そんなもん、改めて照明して見せなくてもライ坊達が立派に決まってんだろ!!」
「お前らみたいに自分に自惚れてる若造が、あの頑張り屋達以上にしっかりしてるはずねぇだろ!!」

 店内はプライアデス達の味方をする客達の声で溢れ、それは凄い騒ぎになった。
『問題児隊員』三人は、その喧騒にニヤニヤと笑みを深くする。
 その表情が、悪巧みがあと少しで成功する……と物語っているように感じ、ティファは今すぐにこの三人を店から追い出すべきだと判断した。
 しかし…。

 その判断は一瞬遅かった…。



「そんなに言うなら、俺達がバルト達の本当の実力を証明してやるさ」



 シーーン…。

 男の台詞に、喧騒がウソのように静まり返る。
 客達は怒鳴り声を上げていた口のまま、ポカンとした表情で固まっていた。
 子供達も目をまん丸にして顔を見合わせ、渋面になったティファを見上げる。

 隊員達はその光景に悦に入った笑みを漏らし、ティファを見た。

「実はこの前、局長にお願いしたんだよ」
「ジェノバ戦役の英雄達のリーダー、クラウド・ストライフと俺達で『試合』をさせて欲しい…ってな」

 その爆弾発言に、再び店内が騒然とする。
 どう考えても、目の前にいる隊員達がクラウドに敵う筈も無い。
 子供達もティファも、あまりの事に開いた口が塞がらなかった。
 この目の前の若い隊員達は、よっぽどのバカなのか、自惚れやなのか……はたまた自殺願望でも持ち合わせているのだろうか……?

 目に見えて『お前らが敵う筈無いだろう…』とシラッとした表情になる客達に、隊員達はいたく憤慨した。
 キッと客達を睨みつけて赤い髪をツンツンに立てた男が口を開こうとする。
 しかし、それを赤茶色の癖毛の男が制し、残りの長髪の男がゆったりとした口調で話しだした。

「勿論、俺達一人一人が英雄達の元リーダーと戦って勝てるとは思わない。それくらいは分かってるつもりさ。だけど…」

 言葉を切って台詞の効果を高める。
 客達は引き込まれるように黙って続きを待った。


「俺達三人に対して……ならどうかな…?」


 途端に店内はざわめきたった。
 客達は隣にいる顔馴染達と小声でこの提案について議論している。

「クラウドさんとこの三人か……」「どうかな…?」「いや…まさかこんなアホ共に負けないだろう…?」「まぁ、そうだよな」「でもよぉ……、いくらいけ好かなくてもWROの隊員だぜ…?」「いやいや、それでも旦那ならこんな若造達一捻りさ!」「そうだよな…」「そうだぜ!!」

 客達は三人の隊員達とクラウドが三対一で対決しても、決して負けるはずは無い……という結論に達した。
 全員で話し合ってそうなったわけではないが、小さなグループで小声で話をしていても、隣のグループの会話が聞えてくる。
 そして、そこに自分達の願望……つまり『クラウドにはこのいけ好かない隊員達に是非とも勝って欲しい』という思いがミックスされてしまった。
 店の雰囲気が『クラウドが目の前の三人をまとめて相手にしても負けるはずは無い!』という流れになっていっていく様子にティファは今更ながら後悔した。


 何故、この三人がプライアデス達を愚弄した時にすぐ叩き出さなかったのか……と。
 恐らく、この三人はわざと客達にいけ好かない姿を見せつけたのだ。
 そうする事で、『自分達とクラウドが三対一で対決する事を断りづらく』出来る。



 客達が『クラウド対自分達三人の決闘』を望ませるように…。



 そうして事実、こうして客達がクラウドに是非とも三対一で対決して、隊員達をコテンパン伸してくれる事を望んでいる。

『はめられた!』

 ティファはギリッと奥歯をかみ締め、拳を握った。
 どうにも我慢ならない。
 完全にクラウドの意思を無視し、自分達の願望を叶える為にプライアデス達をバカにし、客達の心を巧みに誘導して思い通りの結果に持って行こうとしているこざかしいこの狐達に…!!
 込上げる怒りをそのまま抑える事はもうしない。
 ティファは闘気を全身から漲らせ(みなぎらせ)、こざかしい狐達に大股で歩み寄った。
 一瞬にして間合いを詰められ、ギョッとする短髪の男の鳩尾目掛けて鉄拳をめり込ませようと突進したまま膝を屈めた。

 男の顔から血の気が引く。

 しかし…。


「ティファ、そこまでだ」
 渾身の力の篭ったティファの肘鉄を、横から伸びた逞しい手が男の鳩尾にHITする寸前すれすれで受け止めた。
「「「クラウド!?」」」
「「「!?!?」」」
 ティファと子供達がびっくりして声を上げる。
 三人の隊員達に至っては、いつのまにか現れていたクラウドに、ギョッと目を剥いた。
 それは店内にいた客達も同様で、一瞬シンと静まり返り次いでドッと歓声が湧き起こった。

「さっすがクラウドの旦那!!」
「あのティファちゃんの攻撃を片手で受け止めるなんてよぉ!!」
「しかも、いつの間に帰ってきたんだ?」
「おうよ!全然気付かなかったぜ!!」

 興奮しきりの客達に片眉を下げて苦笑して見せると、まだぼんやりと自分を見つめているティファにフンワリと笑顔を浮かべた。

「いつまで呆けてるんだよ」
「え……あ……うん……」
 ゆっくりと攻撃態勢から身体を起こす。
 その間も、ティファの目はクラウドに釘付けた。
 クラウドはそんなティファにますます笑みを深くすると、
「ただいま、ティファ」
 そう言って、軽くティファの額に『ただいま』の挨拶をした。
 途端に店内は冷やかしの口笛と黄色い歓声が上がる。
「ただいま、デンゼル、マリン」
「おかえり!」「おかえり、クラウド!!」
 子供達二人は満面の笑みでクラウドに飛びつくと、しっかりとクラウドの首に腕を回した。
 ジェノバ戦役の英雄達のリーダーは、軽々と子供達を両腕一本ずつで抱き上げると、ティファにしたようにそれぞれの額に『ただいま』の挨拶をする。
 子供達はクスクスとくすぐったそうに笑いながらも、嬉しそうにそれを受けた。

 店内の空気が険悪なムードから『あったか家族オーラ』に一転する。

 三人の隊員達は、突然のクラウドの登場に完全に主導権を握られた。
 途中までは確かに自分達がこの場の空気を握っていたというのに…。


 面白くない…。
 実に不愉快だ…。


「クラウドさん、丁度良かった」
 この場の主導権を取り戻すべく、長髪の男がクラウドに声をかけた。
 その声は、先程まで完全にこちらの流れだったのに、あっさりと横からかっ攫われただけでなく、自分達を全く相手にしていないクラウドへの怒りに震えている。
 英雄達のリーダーは漸くWROの隊員達を見た。
 その紺碧の瞳は…。
 どこまでも冷め切っていて…。

 思わず三人は背筋に冷たい汗を流した。
 だからと言って、自分達の願望を達成させる気持ちは少しも萎えていない。
 グッと腹に力を入れて、若き隊員達は口を開いた。

「今もティファさん達に言ってたんですが、クラウドさんと俺達三人で『試合』をして頂きたいんです」
「まぁ、普通で考えたら一対三という『試合』は不利だとは思うのですが、この場合は不利でも何でもないでしょう?所詮俺達は局長に認められていない低能力の隊員ですし」
「それくらいのハンデがあっても良いと思うんですよね」

 全員がクラウドに視線を向ける。
 彼が一体何と言うのだろう…。
 クラウドはそんな全身に穴が開きそうな視線の中、意外にも冷静にたった一言口にした。



「ああ、構わない」



 あっさりと答えたことに、店内はお祭り騒ぎとなった。
 逆に、男達はあまりにも簡単にクラウドが了承して事に対して肩透かしを喰らってしまった。
 どうにもつかみどころの無い彼のその無表情に、苛立ちが込上げる。
 冷静な顔の下で、自分達を馬鹿にしている……そんな妄想が頭を支配した。

「クラウドさん。言っときますが真剣勝負でお願いします」
「ああ、分かってる」
「本当ですか…?」
「無論だ」
「俺達三人が相手だから…ってわざと負けた振りをしてやった……なんて事しないで下さいね」
「そんな振りをしなくてはならない理由が無いな」
「……どういう意味です……」
 クラウドの言葉に、隊員達は怒気を漲らせた。
 しかし、クラウドはそんな三人の様子に全く動じる事無く、淡々と口を開く。

「俺がお前たちに負ける可能性があるはずないだろう…?」

 その台詞に。
 店内の客達は歓声を上げ、子供達は嬉しそうに満面の笑みをこぼして「頑張ってね!」「絶対にあんな奴らに負けんなよ!?」とエールを送る。
 ティファはと言うと、クラウドがあっさりとこの条件を飲んだ事が信じられず、ボーっと呆けていた。

 しかし。
 その呆けていたティファが、一気に現実に引き戻される台詞を長髪の青年が苛立ちを露わに口にした。



「じゃあ、クラウドさん。俺達が勝ったら、ティファさんを『俺達専属の何でも屋』になって頂きます。構いませんよね?勝てないはずが無いんだったら」



 ………………はい!?!?!?
 ちょ、ちょちょちょっと待って!!!!



「ああ、構わない。ティファが賭かってるんだから、俺が手加減しない事を忘れるなよ」

 低い声でギラリと睨みつけたクラウドに、隊員達は今度こそ怯むと、
「じゃあ、クラウドさんから局長に話をしてくれよな」
「局長は俺達の話なんぞ聞く価値が無い……そう思って取り合ってくれないからさ〜」
「男に二言はない…って取らせてもらったからな。気が変わった……なんて言うなよ…」
 そう捨て台詞を口にして足早に店内を後にした。
 残されたのは、クラウドを応援する客達と、クラウドが決闘を潔く受けた事を誇らしそうに見つめる子供達。
 そして…。
 決闘の商品に仕立て上げられてしまい、茫然自失の女店長の哀れな姿だった…。




 あとがき

 おおう……何故だ〜〜!!
 二部構成の予定が……またまた伸びちまった〜〜!!!!
 T・J・シン様、本当に申し訳ありません!!
 次回で完結出来るように、そしていよいよリク内容をきちんと書けるように……が、頑張ります〜。・゜゜ '゜(*/□\*) '゜゜゜・。