英雄達のリーダー 3「おい…ティファ。いい加減機嫌を直してくれないか…?」 「…………」 「だから、何度も言ってるだろう?今朝、リーブに電話をしたら、丁度あの三バカトリオと同じ事をお願いされたんだって」 「…………」 「昨日も言ったけど、リーブから頼って来られたら断らない、全力で助ける…って。だから断らなかったんだ」 「…………」 「…そりゃあ……ティファが『景品』にされるとは予想してなかったけど…」 「…………」 「絶対に負けたりしないから…」 「…………」 「…………はぁ…」 WROの中でも『問題児』として認識されている三バカトリオが逃げるように帰った後…。 店内はお祭りムードになった………………が!! 茫然自失状態から我に返った女店主の、血も凍るようなオーラに…。 わいわい騒いでいた客達は石化してしまった。 そして…。 その後は当然のように帰宅ラッシュ。 あっという間に店内から客達の姿は消えてしまった。 子供達は、無言のまま能面のような表情の下に怒りをたぎらせている母親代わりに声をかけるという無謀な事はせず、サササッと片付けを手早く済ませ、 「じゃ、おやすみ〜」 「クラウド、ごめんね〜」 と、実に薄情な台詞を残して子供部屋に逃げ込んでしまったのだった。 クラウドとしては、ティファがここまで怒ってしまった状態をどうして良いのかさっぱり分からないのだから、聡明な子供達にこそ何とかして欲しいのだが…。 聡明すぎる子供達は、今はそっとしておくべき時である事をわきまえていた為、サッサと逃げに徹してしまったのだ。 子供達をほんの少し恨めしく思いながら、クラウドは取り残された店内でお詫びの台詞を口にしたのだが…。 これがまたことごとく無言の壁によって跳ね返されてしまっている。 もう何を言ってもお手上げ状態だ。 冷静に考えてみたら、勝手に話が進められた結果、『ゲームの景品』にされてしまったのだから怒るのも無理は無いだろう…。 だがだからと言って先程ティファに言った様に、今朝、リーブに電話をした際に彼から相談を受けており、既にそれを承諾していたのだから結果的にはあの三バカトリオと手合わせする予定は覆らなかったのだが…。 それでも、ティファには一言きちんと言っておくべきだったのだろう…。 『でも……そんな余裕があったか……?』 帰宅した時の緊迫した状況を思い出し、クラウドは溜め息を吐いた。 店内に一歩足を踏み入れた瞬間飛び込んできた光景を思い出し、クラウドは『なかったよなぁ…』と心の中でぼやいた。 あと半瞬、自分の帰宅が遅かったら三バカトリオの一人は確実に床に沈められていただろう…。 まぁ、別に庇わなくても良かったのかもしれないが、咄嗟に体が動いてしまったのだから仕方ないじゃないか…とクラウドは自分を慰めた。 それに、結果的には三バカトリオに直接彼女が手を加えずに済んで良かったと思う。 いくら正当な理由があったとしても、自分達は『ジェノバ戦役の英雄』という肩書きを背負っているのだ。 それが望むと望まざると関係なく…。 その自分達がいくらWROの隊員という一般人とは違って、先頭の訓練を受けている人間が相手であったとしても、正式な『試合』や『相手が犯罪を犯した』場合を除いて、手を上げる事は………やはり出来ない。 世間の噂というのは、真実を実に素晴らしく歪めて伝え広めてくれるのだから…。 等々。 クラウドが考えてたわけだが、ティファはそうではなかったようだ。 すっかりへそを曲げてしまい、目を合わせようともしない。 クラウドはホトホト困り果てた。 「ティファ…」 「……………」 いくら話しかけても応えてくれない彼女に、とうとうクラウドは白旗を挙げた、 つまり…。 「俺…もう休むな。一週間後が約束の『手合わせ』の日だから、許してくれるなら……来て欲しい」 そう言い残して寝室へ逃げ込むべし! それ以外に取るべき手段がさっぱり思いつかない。 (それに、もしかしたら…しょげ返っている自分を見て少しはティファの心が揺らいでくれるかも…という、実に情けなくもある『藁(わら)にも縋る願望』があったりもしたのだが、それは絶対に誰にも知られてはいけないトップシークレット) そのまま二階に上がる階段を重い足取りで上るクラウドに、ティファが話しかける雰囲気は無く、英雄達のリーダーは溜め息を吐いて寝室のドアを開けた。 ゴソゴソとベッドに潜り込み、シーツに包まって一息ついた時。 『……そう言えば、『一週間後に手合わせの日だから、許してくれるなら来て欲しい…』って、許してくれない状態が一週間も続いたら……生き地獄じゃないか!?……いや、それよりも何よりも…『一週間経っても許してくれなくて、手合わせに来てくれなかった』ら………!?!?』 というとんでもない事を想像してしまい、ガバリ…!!と勢い良く跳ね起きる。 そのままの状態でダラダラとイヤな汗をかきながら、どうやってその『生き地獄』と『本物の地獄』を回避出来るか、頭の中はグルグルと堂々巡りに陥り、半パニックになっていた。 その為。 寝室のドアが開いたことも。 半パニックになってしまった原因の人がおずおずと顔を覗かせた事も。 その原因の愛しい人がバツが悪そうに恐る恐るベッドに近づいてきた事も。 そして…。 クラウドの様子にバツの悪そうな表情から、段々不思議そうな顔になり、最後は不審そうに美しい眉目を寄せたことも…。 これっぽっちも気付いていなかった。 だから。 「…クラウド…」 「…え…え!?うわっ!!」 ゴンッ!! 「っつぅ〜〜〜〜……!!!!」 「だ、大丈夫…!?」 クラウドにすると、突然目の前に悩みの原因である彼女の顔がドアップで目の前に現れたのだから、その驚きはまさに飛び上がらんばかりのものだった。 そして実際に後ろへ飛び上がってその驚きを表現してしまい、壁に頭から派手に激突、蹲って悶絶する羽目となった。 ティファ自身、目の前で飛び上がってびっくりしたクラウドにギョッとした瞬間、足が床から一センチ程浮き上がったのだが、それには本人ですら気付いていない。 慌ただしく寝室を出ると、出て行った時同様、慌ただしく戻って来た時には、その手に冷たい濡れタオルと水の張った洗面器が携えられていた。 クラウドの後頭部に出来たたんこぶに濡れタオルをそっと当てる。 瞬間、クラウドが小さく息を飲んだ。 「大丈夫…!?こんなにおっきなたんこぶ……」 「……いや……大丈夫…大丈夫……っつ……」 苦笑して強がった途端、ティファの手にちょっとしたはずみで僅かに力が入り、クラウドが顔を歪めた。 そのかなり痛そうな顔に、ティファは心配気な顔を一層曇らせ、 「大丈夫じゃないじゃない!明日、配達の仕事お休みしたら…!?」 クラウドの顔を覗き込む。 電気が点いてない寝室。 その部屋の中でもティファの心配そうに揺れる茶色い瞳が、窓からの星明りでくっきりと宵闇に浮かび上がっている。 『綺麗だな……』 クラウドは素直にそう思った。 同時に、あの三バカトリオには絶対に負けられない。 いや、他の誰であってもティファを『賭けた』勝負は絶対に負けられない。 そう強く思ったのだった。 しかしながら、口にした言葉は、 「いや……こんな事くらいで仕事をキャンセルなんか出来ないさ…」 だったが…。 「なに言ってるの!頭は打ち所が悪かったら、後々になってとんでもない症状が出てくるのよ!明日の仕事はキャンセルして、ちゃんと病院で検査してもらって!」 キッと眦を上げて怒る彼女に、頬が緩む。 こんな醜態を見せたのに全く呆れることもなく、それどころかこんなにも心配してくれる彼女が……。 誰よりも愛しい。 だから…。 「ティファ」 「うひゃ!?」 目の前で怒っている彼女を己の腕の中にしっかりと捕まえて。 突然の事に慌てて身を捩って逃げようとする彼女の髪に頬を埋めて。 「ティファ……本当にさっきはごめん」 「……クラウド……あの…」 暴れていた彼女がピタリと動きを止め、言いにくそうに何か口にする前に。 「ティファ…。ティファが『手合わせ』に来てくれなかったら力が出ない」 「…クラウド…」 「だから…許してくれないか?」 「………私…、私こそ…」 「ティファに許されなかったら、勝てる試合も絶対に勝てないという『自信』がある」 「……それ…『自信』って言わないんじゃないの…?」 「そうか…?じゃあ、『確信』って言うよ」 「…………うん…」 少しおどけた口調で言うと……。 ティファの身体から力が抜け、クラウドの背にゆっくり彼女の細い腕が回る。 クラウドは破顔すると、一層強くティファを抱きしめた。 そのクラウドの耳に、 「私こそ……ごめんね?」 恥ずかしそうに謝る彼女の声が小さく届けられたのだった。 それだけで……充分。 充分過ぎる言葉。 この言葉だけでどんな敵が相手でも勝てる『自信』が湧いてくる。 「絶対に勝つから」 「うん!信じてる!」 そっと身体を離すと、漸く二人は『ただいま』『おかえり』のキスを交わした。 そして、それから一週間後。 「さぁて、やって参りました!!皆様お待ちかね、『ジェノバ戦役の英雄のリーダー 対 実力派WRO隊員』との『手合わせ試合』で〜〜っす!!!!」 司会の声に、会場が割れんばかりの歓声に包まれた。 場所は、WRO本部にある『闘技場』。 その『闘技場』の設計には『ゴールドソーサーの園長、ディオ』がかなり力を貸してくれたらしい。 クラウドはその『噂』をウータイ産の忍びから耳にしていたので、全く信じていなかったのだが、実際に『闘技場』に立ってみて、その『噂』が立派な『情報』だった事に心の中で密かに驚いていた。 もしも、クラウドの心を読む事が出来たなら、マイクを手にご機嫌な『司会』はさぞ怒りをぶちまけた発言をマイクで大音響にてお届けした事だろう。 そう。 この『手合わせ試合』の司会は、何故かユフィが務める事になったのだ。 この決定に、大半の人間が異議を申し立てたのだが、当然のようにそれらをお元気娘は一蹴した。 今では解説者に選ばれた初老の威厳ある男性の隣に席を獲得し、腰を浮かせながら盛り上げ役を嬉々として行っていた。 この解説者。 隊の中でもっとも力を持っているリーブの右腕になった『デナリ』。 あの三バカトリオがあの時、口にした『デナリ』というのはまさにこの人の事。 一気に二階級特進した彼は、先にいた『元帥』を押しのけて……というワケではない。 先にいた『元帥』が『老いた両親の面倒を見たい』と言って、退職したのだ。 その為、空きが出来てしまったのだがその空きを埋めたのは『大将』ではなく『中将』であった。 その事に対し、隊の中でブツブツいう連中がいたりするのだが…。 実は、自分を飛び越して『元帥』になるよう支持したのは他ならぬ『大将』だったのだ。 『自分が『元帥』になるよりも、デナリが『元帥』になるほうが隊の為です』 そう言って、自ら身を引いたのだった。 その事実は他の隊員達も良く知っている。 ただそれを、あんまり関係の無い下っ端が面白おかしくふざけた事を言っては、『局長は自分のお気に入りしか昇進させない』『俺達の方が断然実力は上だ』と勘違いしてやっかむのである。 まさに、『自意識過剰』で『怠け者』が合わさった『己を振り返る事が出来ない』輩の台詞だ。 そんな言う事は一人前で、実力がないという事を認めるきっかけを与える事。 それが今回の『手合わせ試合』の名目。 さてさて。 どうなることやら…。 「は〜い!!皆様、オペラグラス、カメラの準備は宜しいですか!?もしもビデオという高価なものを持っておられる方は、存分に駆使して素晴らしい名場面を収めて下さいネ〜!!」 「ユフィ…ノリノリだね」 「そうだな」 「良いなぁ、おいらもちょこっとマイクを握ってみたかった」 「へぇ、ナナキ、お前がああいうことに興味を持ってるとは知らなかったぜ」 「ケッ!そんなら、俺様の方が断然ユフィよりも良い司会をしてやれたのによぉ…」 「「そうかなぁ……」」 「おいおいおい!そこのお子様達よぉ、しっかり聞えてるから、後で覚えとけ!」 などなど、仲間達と子供達、そして『景品』のティファは主賓席で腰を下ろし、楽しそうに話に花を咲かせていた。 微塵もクラウドの心配はしていない。 クラウドがいくらWROの隊員が相手だと言っても、負けるはずが無い。 そう固く信じているからだ。 そして、観客席に座っているセブンスヘブンの常連客達や、エッジに住んでて何らかの形でクラウドと接する事が出来た『密かなクラウドファンクラブ』のメンバーも、クラウドの勝利を信じて試合が始まってもいない現段階で、『何分くらいで勝利するか』と賭けまでする輩がちらほら…。 円形の闘技場中央に、英雄達のリーダーは愛剣を立ててジッと一点を睨んでいる。 その視線の先には…。 WRO隊員達が登場する入退場口。 直接壁に作られているので、ドア…というよりも格子が下りている状態では相手がいつ来るのか分からない。 向こうが見えない作りになっているからだ。 この時のクラウドはフッと…何となく…イヤな予感を覚えた。 『本当に…あの三人が相手なんだろうな……?』 イヤイヤ…。 リーブは何も言っていなかった。 だから気のせいだ。 そう自分に言い聞かせ、軽く頭を振って余計な雑念を追い払う。 と……。 ギギギ…。 重苦しい音と共に、格子が開く。 そして…。 「「「「え!?!?」」」」 ティファと子供達、そして観客達は目を丸くして登場した『WRO隊員』を見つめた。 クラウドはイヤな予感が現実となった事に軽く眩暈を覚え、次いで観客席のVIP席をギンッと睨みあげた。 そこには一生懸命手を合わせて自分へ謝罪のゼスチャーをする局長の姿。 「………リーブ……」 恐らく、今回のこの『手合わせ試合』でプライアデス達の実力を他の隊員達に知らしめる考えなのだろう。 『それならそうと言ってくれよ…』 深い深い溜め息を吐いて、視線を前へ転じると、何とも形容しがたい見慣れた三名の顔が自分を見つめていた。 そしてその更に後ろには、例の三バカトリオが、これ以上ない程イヤミったらしく笑っている。 フツフツと怒りが込上げ、胸がむかついてくる。 『………半殺し決定だな…』 他の人間が耳にしたら震え上がるような事を硬く心に決めた時、 「はぁ〜〜い!!おっまたせしました〜!!!これより、試合を開始しま〜〜す!!!!」 お元気娘の異様に張り切った声が『闘技場』に響き渡り、会場に割れんばかりの拍手が轟いた。 観客席のあちらこちらから、「旦那〜!!頑張れ〜〜!!」「キャー!!クラウドさ〜ん!!」という黄色い歓声が上がる。 それに混じって、「クラウドー!頑張ってー!!」「クラウドー!出来ればライ兄ちゃんに怪我させないでくれよー!」「あ、本当だ!!リトお兄ちゃんもライ兄ちゃんも頑張ってねぇ!」「シュリ兄ちゃんも頑張れー!!」という、子供達の声がはっきりと聞えてきた。 それは、目の前にいる顔馴染の三人も同様だったらしく、一様に引き攣ったを笑顔を浮かべている。(当然シュリは苦笑)。 「はい、ではここで試合前に簡単な説明を行いま〜す!」 ユフィの言葉に、会場の歓声が少しだけ静まる。 「え〜、ご覧の通り、クラウドの対戦者は計6名。一回戦はクラウド対シュリ中佐のガチンコ対決です!」 「「「「「……………え!?」」」」」 ユフィの爆弾宣言に会場は水を打ったように静まり返った。 そして、誰もが信じられない…という顔で闘技場へ目を向ける。 クラウド自身、まさかシュリとの一対一だとは思っていなかったので軽く目を見張った。 対するシュリはというと…。 『…シュリもあんな顔するんだな…』 何とも渋い顔。 それを、隣に立っていたプライアデスが困ったような笑顔を浮かべ、何やら必死に話しかけていた。 更にその反対隣に立っていたグリートが、プライアデスの肩を軽くポンポンと叩いて同じく困ったように笑っている。 何を言っているのかまでは聞えないが、今回の決定事項に関してきっと慰めているのだろう。 後ろの三バカトリオは実に嬉しそうに(腹の立つ)笑みを浮かべている。 「そして、その次の第二回戦はクラウド対ノーブル准尉&バルト准尉〜!!」 ユフィの言葉に、どこからか「「「「「キャーーー!!!」」」」」という女性の黄色い歓声が上がった。 途端、三バカトリオの顔が歪む。 「……ライ兄ちゃんとリト兄ちゃんって人気者なんだな」 「うん。でも、二人共それどころじゃないみたいだね…」 「……そうね」 「気の毒になぁ…」 「まぁ、若い頃の苦労は買ってでもしろって言うし…良い経験だろう……多分」 「…シド〜。おいら、なんかそれ違うと思うな」 「………哀れな…」 「はい、そして残ります最後の試合、第三回戦はクラウド対残りの三名でっす!!」 「「「おい!!」」」 ユフィの最後の説明に、三バカトリオは目を剥いた。 「何で俺らだけ名前を割愛してんだよ!!」「この贔屓野郎!!」「お前も金持ちだからって差別すんのか!?」 「うるっさい!!仕方ないじゃん、ここに名前が無いんだから!!!」 キーーーーーーン……。 マイクで声量が倍以上になった怒声に、観客達と闘技場にいた七名は顔を顰めて耳を塞ぐ。 その間に、ユフィは鼻息も荒く、 「はいはい!時間もないし…。第一回戦、クラウド対シュリ、試合開始!!」 カーン!! 勝手に試合開始宣言を行い、手元にあったゴングがユフィの手によって鳴らされた。 「「「「「「おい!!」」」」」」 「めちゃくちゃな奴…」 「本当に…」 同時に溜め息を吐くと、クラウドとシュリは改めて対峙した。 プライアデスとグリートは気遣わしそうに、そして三バカトリオは納得からはほど遠い不満たらたらの表情で、そでに引っ込んで行く。 「悪いけど、ティファが『景品』になってるからな。遠慮しないぞ」 クラウドは表情を引き締めると、すっかりいつも通りの相変わらずな無表情に戻ったシュリにそう宣言した。 そして、武器を構える。 手にされていたその武器は…懐かしい『ラグナロク』。 シュリは無表情なまま肩を竦め、 「……でしょうね…」 そう返答すると、腰に帯びていたソードタイプの武器を握る。 しかも……。 「お前、二刀流なのか…?」 「ええ。銃はあんまり使わないんですよ、本当はね」 刃がやや反った形のその武器はファルシオンというらしいくらいは、クラウドも知っていたが確か……。 「その武器、片手で操るような武器だったか……?」 「あぁ、いえ。普通は一本を両手で使うんですけど、俺は片手で一本ずつ使うんです」 「…………………」 予想以上に手強い相手の登場に、クラウドは完全に戦闘モードに切り替えた。 シュリもスッと目を細めると、静かに腰を落とし臨戦態勢を取る。 会場はいつの間にか静まり返り、息を殺して闘技場を見つめる。 子供達は勿論クラウドを応援しているものの、出来ればシュリに怪我が少ない方が良い…という実に複雑な思いを小さな胸に抱えて拳を握り締めた。 そして。 闘技場では…。 対峙する二人の間に見えない火花が散っている。 『『やるからには、全身全霊を込めて…!』』 その気迫が観客席だけではなく引っ込んで見守っている残りの対戦者にもビリビリと伝わってきた。 そして…。 スッと細められていた紺碧の瞳が、ギンッと光を灯し……。 爆発する。 ぎゃーー!!!! 終らなかったーーー!!!! すーいーまーせーんー!!!!(土下座)。 次へどうぞ行ってやって下さい!!! |