Fairy tail of The world 4




 クラウドの話を最後まで聞いていたティファとシェルクの二人は、クラウドが口を閉ざすと、「「はぁ……」」と息を吐いた。
 なんと言って言いのか分からない。
 勿論、その『ミコト様』という女性が『男』に持ちかけたという契約も…だが…。
 それ以前に…。
「どうしてそんなに詳しく知っているんですか?」
 シェルクが首を傾げた。

 そうなのだ。
 男が『ミコト様』に契約=取り引きを持ち掛けられた事や、男が命の次に大事にしていた物を『差し出した』事。
 更には、男の顔に彼女が触れるという謎の行為…。
 その詳細に渡って何故クラウドが話を聞くことが出来たのか……。
 それがどうにも不思議でならないではないか。

 クラウドは一つ溜め息を吐くと、再び口を開いた。
「実はな…その男の『父親』がこの前配達した依頼人その人だったんだ」

「「…え!?」」

 驚き過ぎて言葉をなくした二人に、クラウドは軽く首を振った。

「その『父親』は、今でこそそんなに知られて無いけど、昔は大金持ちの中でも有名な人だったらしくてな。色々まぁ、浮気などもしていたらしい…」

 そして…。
 その『父親』の愛人の一人が、例の男の母親だというのだ。

「でも……おかしくない?その殺された男の人の『父親』って人がどうしてそんな話しを知ってるわけ?」
 ティファのもっともな質問に、彼女の隣でシェルクがジッとクラウドを見つめる。
「まぁ…普通はそうだろうな。知ってる方がおかしい話だ。でも…その依頼人、ようするに『男』の『父親』は実はずっと『男』と『男の母親』つまり自分の愛人の一人を探してたんだ」
「どうして?」
 目を丸くするティファを前に、クラウドは暫し言葉を探して黙り込んだ。
 そして、再び口を開く。
「彼…依頼人にとって…ただの愛人じゃなかった。初めて愛した人だったそうだ。でも…自分の立場を優先させてしまった結果、彼女を失ったんだ。『男』の母親…、その依頼人の愛人が依頼人の前から姿を消した時、お腹には子供がいたんだよ。その子供が…」
「殺された…売人…ですね?」
 シェルクの言葉に一つ頷くと、クラウドは溜め息を吐いた。
「彼が最後に愛人と会った時、次に会う約束をしていたらしい。そして、その約束の印として、家紋の入った指輪を彼女に渡したそうだ。次に会った時に返してもらうって約束をして…さ」
 そして…。
 彼女はその指輪とお腹の子供と共に姿を消した。


「当然、依頼主は彼女の行方を捜そうとしたらしいが、彼の家が許さなかった。ま、当然だろうな。時期当主の身である依頼人の愛人捜しを、名家が許すはず無いし…。依頼人もその当時はまだ若かったらしくて、結局親や周りの反対を押し切ってまで彼女を捜そうとはしなかったんだ」
「酷い話……。そのせいで、売人だった男の人は、ミッドガルでストリートチャイルドにならざるを得ない人生を歩むはめになったんでしょ!?」
 ティファの嫌悪感一杯の言葉に、
「ああ…。俺も最初はティファと同じ気持ちになったよ」
 そう同意してから「でもさ…」と話を続けた。



 今ではすっかり歳を取り、生きる意味を失った瞳をした老人は、遠い目をしながら話を続けた。
 そのシワだらけの手には、金色に光る指輪が握られている。

「ワシも愚かだった。あの時、周りの反対を押し切って彼女を捜し出していれば…。そして、こんな醜い家を捨てる勇気があれば…。そうすれば、彼女も『息子』もこんな事にはならなかっただろうに…」
 深い悔恨の念が込められたその言葉に、クラウドはただ黙っている他なかった。
 目の前にいる老人には、何も無い。
 子供も孫も、そして金も有る。
 しかし……それだけだ。
 老人はこの星に生きる全ての命ある者の中で、一番孤独に見えた。
「この指輪がまさか……こんな風に戻ってくるとはな…」

 老人は悲しそうに、そして愛しそうに指輪へ視線を落とした。

 金は有るが、誰も己を省みてくれるもののいない寂しさというのは、どれほど辛いものだろうか…。
 老人はまさに、その寂しさを味わわされている只中にあった。
 そして、そんな老人にある日、一人の柄の悪い男がやって来た。
 玄関先で追い払っても良かった。
 しかし、ここ数年、友人はおろか実の子供すら尋ねて来なかった老人にしてみれば、相手がたとえ強盗であったとしても招き入れる心境になっていたのだ。
 老人は、柄の悪い男をすぐに招き入れると、自分に出来る限りのもてなしをした。
 男は、まさかもてなしを受けるとは思っていなかった為、大層驚いていたが、すぐにその老人の境遇に共感を覚えたという。
 そして…。
 男と老人は己の身の上話を語り合った。
 お互いに、生まれも育ちも違う者だったが、どうしようもない『孤独』を抱えているという共通点から、二人は長い間話しこんだという。
 そして、男は話のついでに老人に『売人の男』の話をした。

 その男も犯罪グループの一つの組織に身を置いている人間だった。
 しかし、元来気の弱い男にとって、その組織にそのまま居続ける事は耐えられなくなったのだという。
 そして…。
 男が組織を逃げ出すきっかけとなったのが、例の『売人の男』が制裁された事だった。

 男は一部始終を見ていたのだ。
『売人の男』が『ミコト様』に『死』を宣告された時から、何やら取り引きを持ちかけられ、それに乗ったところまでの一部始終を。
 そして、それを見ていたのはその男だけではなかった。
 男の仲間達五人全員が、その一部始終を見届けていた。
 なら、何故その途中で出て行かなかったのか…?
 出て行って、裏切り者をすぐに始末しなかったのか…?
 そうすれば、余計な目撃者など作らずに済んだのだ。
 いや、あわよくば一見ひ弱そうなマントずくめの女も売りさばける。

 しかし…。
 誰一人として身動き出来る者はいなかった。
 まるで、何かとてつもなく大きな力が働いているかのように、男達は『裏切り者』の人生最後となるその直前の場面をじっと見ている事しか出来なかった…。

 男達が動けるようになったのは、『裏切り者』が何かをマントずくめの女に差し出し、それを女が仕舞いこんだ瞬間だった。
 何かの呪縛が解けたように、身体の自由を取り戻した男達は、それまでの威圧感とも言える力を否定するように、そのまま『裏切り者』を始末した。
 そして、その勢いで『目撃者』となったであろうマントずくめの女をも始末しようとして振り返ったが…。

 そこには誰もいなかったのだという…。
 まるで、それまでもそこには何も存在しなかったかのように、ただ暗闇があるだけだった…。
 仲間達は一瞬呆然となったが、それでも我に返ると今ではただの躯と化した『裏切り者』を大きな袋に放り込むと、男を急かして足早にその場を後にしようとした。
 男もそれに続こうとして……気がついた。

 それまで女がいたと思われていた木箱の上に、キラキラと光る何かが落ちている事に。
 急かす仲間の目を盗んでそれをポケットに入れると、男はその場を立ち去った。

 翌日。
『裏切り者』の始末を無事終えて自分達の勤めを果たした男達は、そのまま手にした報酬で飲みに出かけた。
 しかし、男は仲間達に『具合が悪い』と嘘を吐いて離れると、その足で昨日の路地裏へ向かった。
 本当なら、あんな事があった現場に…しかも自分が手を下したその場所に行く事など、心の奥底ではイヤでイヤで仕方なかった。
 しかし…。
 自分の意志とは無関係に身体が……足が動く。
 そうして、気がついた時には既にそこに辿り着いていた。

 昼間だというのに、陽の光の差さないその裏路地は、昨夜の情景を思い出させるには十分で、男は全身に鳥肌が立った。
 一刻も早くこの場を離れたい…。
 イヤ。
 もう、こんな生活は真っ平だ。
 そう強く思った時…。

「今のままじゃ、無理ですね」

 突然耳に届いた女の声に、男は文字通り飛び上がった。
 そして、勢い良く振り返る。
 そこには…。 
 先程までいなかった人影が木箱の上にあった…。
 まるで、ずっと前からそこにいたかのように、その人影は静かにそこに存在していた。
 昨夜と全く同じ姿でそこにいるその黒いマントに身を包んだ女に、男は全身が総毛立った。
 そんな男の様子に、全く関心が無いように、女は言葉を紡いだ。

「あなた…昨日の人の元仲間でしょう…」

 疑問系ではなく確固たる事実として言い切った女に、戦慄が走る。
 しかし、相変わらず男の様子に気をかける事なく、女は言葉を続けた。

「もしも…本当に今の生活を抜け出したいなら…方法を教えてあげますよ」
「え!?」

 独り言をこぼしたわけでもない。
 それこそ、誰かに本心を語った記憶も無い。
 勿論、酒に酔った勢いで少しは漏らしたかもしれないが、それでもキッパリと『今の生活はイヤだ!』と思い、それを胸に抱いたのは……正直昨夜が初めてなのだ。
 それなのに、この目の前にいる闇と微かに差し込む光の狭間にいる女は、男の心の中を読み取って口にしている。
 それに対して恐怖心を煽られない人間がいるだろうか!?

 恐怖にがんじがらめになり、固まっている男に、女は全く意に介さないで言葉を続けた。

「ただ…あなたにはしてもらわなくてはならない事があります」
「……なにを…?」
 震える声で訊ねると、女は黒いマントから己の手を差し出した。
 真っ暗な闇の部分から差し出された女の手は、対照的に真っ白で…。
 とてもじゃないが生きている者の手とは思えなかった。
 輝くように…透き通るように白いその手が指し示すもの…。
 それは…。
 男の上着のポケット。
「あなたのポケットの中にある指輪。それを『ある人物』まで届けるのが条件です」
 男は幾度目かの恐怖に襲われた。



 何故、昨夜手に入れた指輪を今も持っていると知っているのか!?
 しかも……。

「ちょ、ちょっと待てよ…。俺はお尋ね者だぜ!?そんな俺が大陸を離れる手段を持ってると思うのかよ!?」
 女が告げたその場所にいる『ある人物』とは、ニブルヘイムのある大陸。
 エッジとは別の大陸だ。
 そんな所に行く手段を男は持っていない。
 船に乗り込もうとしたところで、あっという間にWROに捕まってしまうだろう。
 しかし、女は全く意に関せず…といった口調で、
「それくらいの危険は当然でしょう…。あなたの望みを叶える為なら…」
 と言い切ったのだった。

 男は当然迷った。
 このままの生活はとてもじゃないが耐えられない。
 しかし、この女の言う通りの事をやり果せる(おおせる)自信も無い。
 よしんばやり果せたとしても、自分の今いる組織は世界中にその根を広げている。
 裏切った事がバレたら、即座に昨夜の男と同じ末路を辿る事になるだろう。

「む、無理だ……。とてもじゃないが……俺には…とても…」
 震える声でそう呟く男に、女は、
「では、諦める事です」
 至極あっさりとそう言った。
 男は、あまりにもあっさりとそう言い切られた事にポカンと口を開けた。
 そして、次第に女に対して怒りが込上げてきたのだという…。
「何だ…よ、それ……」
 声を震わせ、黒いマントをすっぽりと頭から被っている女が腰掛る木箱に……建物の影になっているところへ、一歩近寄った。
 その部分だけが……まるで異世界のように暗闇に包まれているその場所へ。

「期待させるだけさせておいて、何なんだよ、その言い草はよ!!」
 第三者がもしいたら、この男の言い分にはいささか理不尽だと思っただろう。
 そして、目の前にいる女もそれを指摘した。

「何の努力もせず、今の生活を打破する事が出来るかもしれない…そんな都合の良い事を考えるとは……」



 愚かですね……。



 冷たい声音が男の耳を打つ。
 男は、胸の内に燃え上がりかけていた怒りが、サーッと音を立てて引いて行き、代わりに再び恐怖が押し寄せるのを感じた。
 そして、それと同時に彼女の言う事が全くもってその通りであると認めざるを得なかったのだ。


 立ち尽くして考え込んでいた男は、やがて真っ直ぐ女に向き直ると、
「その正確な場所とその『人物』とやらを教えてくれ」
 そう決意を表した…。





「それで……その男の人は無事に指輪を『ミコト様』が指定した人に送り届けたのね……」
 何やら夢から覚めない様な顔をして、ティファがポツリとこぼした。
 シェルクも無言で大きく息を吐き出している。
「ああ…。そのお陰で、老人は自分の『唯一愛した人』の形見を手にする事が出来た。そして、その『売人だった』息子の願いも、『闇社会から抜け出したいと願っていた男』の願いも両方叶った…」
「……両方?」
 クラウドの言葉に、シェルクが首を傾げる。
 しかし、ティファはクラウドの言っている意味が理解出来たようだ。
 ハッとした顔をすると、
「そうね…。だって、死んでしまったけど『生きていた証』としてお父さんが指輪を受け取ってくれたし、それに……それに……」
 言い難そうに、クラウドとシェルクを見る。
 シェルクはまだ良く分かって無いような顔をしていたが、クラウドは複雑な顔で頷いた。

「ああ…。こうして俺が今、二人に話したことによって、また『彼が生きていた証人』が出来た事になる…」
「あ……」
 シェルクは目を見開くと、小さく声を上げた。
 漸く、クラウドとティファの理解した事を理解出来たのだ。
「でも、その指輪を届けた人は…無事に組織を欺き通す生活を送れるわけ?」
 尤もな疑問を口にしたティファに、シェルクも頷く。
「そうですね。今は確かに運良く逃れられているかもしれませんが、これから先は分かりませんよね?」

 しかし、クラウドは二人の予想に対して反対の言葉を口にした。
「それがな……。その『男』…、ジュノンから貨物船に紛れ込んで大陸に渡ったまでは良いんだが、辿り着いた途端にWROに捕まってな…」
「「え!?」」
 驚く二人を片手を挙げて制すると言葉を続ける。
「WROに捕まった時、自分の組織の情報を流す事を条件に、WROの隊員になったんだ…」
「……嘘でしょ……」
 呆然と呟くティファに、クラウドは苦笑いを口許に湛えた。
「いや…本当だ。勿論、階級は一番低いんだが、そのお陰でその『男』の所属していた組織は壊滅出来た。これはリーブから最近聞いた話だからな。間違いない」
「……お姉ちゃんは何も言ってませんでしたが……」
「まぁ、シャルアにまでそういう話はいかないかもしれないな。彼女は科学班だろ?」
 怪訝そうな顔をするシェルクに、クラウドがそう説明する。
 そう言われると、シェルクも何も言えない。


 しかし……。


「何か……あまりにも出来すぎた話よね…」

 ティファが呟いた。
 シェルクとクラウドも、黙って頷く。
 あまりにも出来すぎたその話し。
 まるで、舞台の上で予め決められていた脚本通りに役者が演じているかのような印象を受ける。
 そして、それが却って、ここまで正確に話を聞いた三人は、『ミコト様』の存在を信じるところまでには至らなかった…。
 しかし…、ほんの少しだけ、常連客達から聞かされた時よりも、ティファは興味が湧いたのだが……。

「でも、この話……あまり他の人に言わない方が良いわよね…」

 ティファはそう言いながら、珈琲のお変わりを煎れる為にカウンターへ向かった。
「どうしてですか?」
「子供達が興味を持ったら、間違いなく裏路地に行こうとするだろうからな」
「あ……そうですね」
 溜め息を吐きながら苦笑するクラウドに、シェルクも苦笑した。
 確かに、デンゼルとマリンなら興味津々で裏路地に向かうだろう…。
 いくら、クラウドやシェルク、そしてティファから護身術を少々習っているとはいえ、とてもじゃないが裏路地にまだいると思われる闇組織の人間相手に敵うはずも無い。
 誘拐されて売り飛ばされるか、殺されて臓器を売られるか……。
 悲惨な目に合う可能性のほうが断然高い。
 そんな所に、可愛い子供達を行かせるような…興味を持たせるような話は耳にいれるわけには行かないではないか。
 ただでさえ、店が店なだけに、子供達の耳に入れたくない様な会話をされている事もあると言うのに…。

「ま、そういうわけだから、クラウドが聞いた話は私たち三人の秘密…って事で!」
 新しい珈琲を盆に乗せ、ティファが明るい声を出した。
「はい」
「そうだな。ま、俺が言わなくても、あの老人と『闇社会』から上手く脱出出来た男が勝手に話を広げてくれるだろうから、俺達が無理して『生き証人』を作る必要も無いさ」
 三人はクスッと笑うと、珈琲の湯気を頬に受けながら、美味しそうに口に運ぶのだった…。





 翌日の早朝。
 クラウドはいつものように配達の仕事に出かけた。
 見送りは、ティファとシェルク。
 子供達はまだ夢の中。

 朝靄が街を霞ませている中、クラウドは記念碑の所までフェンリルを押して歩いていく。
 それは、この時間帯に配達に出かける時の決まりごとだった。
 店の前でエンジンを吹かせると、近所迷惑にもなるし、何より子供達が見送りしようと飛び起きてしまうからだ。
 まだ子供達は睡眠が必要な年頃だ。
 こんなに朝早くに起こすのは偲ばれる。
 シェルクは店のドアの前まで…。
 そしてティファは、記念碑の所までクラウドを見送るのが常であった。
 シェルクは、クラウドとティファが朝靄の中、仲良く消えていくのを見届けると、柔らかな笑みを口許に湛え、店の中に戻って行った。
 そして、ティファが戻るまでの間、朝食の下ごしらえをするのだ。
 シェルクのお陰で、ティファとクラウドは本当に助かっている。
 そして、今、記念碑に向かう途中でもシェルクの事で二人は話し合っていた。

「ねぇ、クラウド」
「ん?」
「シェルクが来てくれて本当に助かってるけど…、良いのかしら、このままで」
「……そうだな」
「シャルアさんとも和解出来てるんだし…本当はお姉さんと一緒に暮らす方が良いんじゃないかな……」
「……俺もそう思わないでも無いんだけど…」
 そのまま二人は黙ったまま、歩みを進めた。

 少しずつ朝靄が晴れてきて、街並みがはっきりとし始める。
 その頃に、丁度いつも記念碑に到着するのだ。

 記念碑に着いた二人は、そのまま『行ってきます』と『行ってらっしゃい』のキスを交わすと、
「まぁ、そういう気持ちにシェルクとシャルアがなった時に考えよう。今はこのままの方が良いみたいだし」
「そうね。うん、そうするわ。出来ればこのままずっと一緒……が良いんだけど……」
 苦笑し合って、クラウドは愛車に跨った。
 ゴーグルをかけると、自分を見上げている愛しい人に視線を戻す。
「それじゃ、今夜は早く帰ってこれると思うから」
「うん。待ってるね」
「ああ…。じゃ…」
「行ってらっしゃい!」

 勢い良くエンジンを吹かせ、愛車に跨ったクラウドはあっという間に小さくなって見えなくなった。
 その後姿を手を振って見送った後、ティファは帰路についた。



 そんなティファを、朝陽がゆっくりと照らしていく。
 今日も良い天気のようだ。



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