「戦況はどうなっている」
「いまだ、正体不明の軍団が激しい攻撃を仕掛けている模様。リーブ三部統合統括より直接の報告はありませんが、シェルク・ルーイ監視班長からは激戦の様子が伝えられています」
「それで、その正体不明の敵とやらの出現場所は?」
「別棟の地下とのことです」

 ルーファウスは舌打ちをした。

 はるか眼前には神羅ビルが闇夜に沈むようにして弱々しくなったライトに照らされている。
 脱出を余儀なくされたルーファウスだったが、さほど遠くない場所に急ごしらえの作戦本部とも言うべき陣を作り、神羅ビルに残っている部下から逐一報告を受けていた。

 別棟の地下から沸いてきた正体不明の軍団。
 どう考えても黒幕の正体は宝条だ。

 あの根暗!と、ルーファウスは下卑た笑いを浮かべる顔色の悪い科学者を心の中で罵倒する。

 神羅一族以外にはタブーとした上での別棟建設だったのに、父親であるプレジデントがそれをあっさり覆した時には耳を疑い、その理由を問いただした時の返答には正気を疑った。

「なにが不老長寿だ」

 科学と星の力で不老長寿を手に入れられるかもしれない、とのたもうた宝条の言葉を父親が本気で真に受けたのかは分からないが、少なくともその研究を進めるためにセトラの最後の生き残りを執拗に追っていたのは事実だ。
 最初はバカバカしい夢などすぐ醒めると思っていたのだが、醒める前に星に還るとは…。
 しかも、別棟の地下に『不老長寿のための研究施設』を造るという信じられない要請を既に許していたとは我が父親ながら呆れてものも言えない。

「そこまで愚かだったとは…」
「社長?」

 気遣ったようなツォンの呼びかけにルーファウスは無理やり思考を切り離した。
 溜め息を1つ吐いて気持ちを完全に切り替える。

「それで、現在の本社内部はどうなっている?連絡のつく幹部はいるか?」
「いえ…。全員、応答がありません」
「まさか全員死んだということはないだろうな?」
「それは大丈夫のようです。多数の死傷者が出ているのは確かですが、幹部の方々は概ねご無事のご様子」
「そうか」
「ただ…」

 言いよどむツォンにルーファウスは神羅ビルから視線を移した。
 長身の部下は微かに困惑を浮かべていた。

「正体不明の軍団とは別に、新たな”死神”が姿を現した…と」

 ルーファウスは驚愕に目を見開いた。





Fantastic story of fantasy 31






 爆発による衝撃が身体を襲う。
 パラパラと壁の破片が身体に落ちる感触でさえ、痛めつけられた身体には酷くこたえた。
 しかし、すぐにでも行動に移さなければならない。
 バレットは痛む四肢に力を込めた。
 関節と言う関節が悲鳴を上げるが無視をする。
 敵がすぐ近くまで接近している気配がするのだ。
 仲間はまだ動けない。

 ここで自分が踏ん張らなければ全員…。

 バレットは唸り声を上げ、勢い良く身を起こしながら振り返った。
 中途半端な態勢で義手を構える。
 まさに目と鼻の先にまで迫った新種の死神集団が白刃を振り上げていた。

 間に合わない。

 自分の攻撃は届かない。
 自分はここで死ぬ。
 まだ幼い娘の大きくなる姿を見ることも叶わず、敵に一矢報いることも出来ず、仲間を守ることも出来ず、ここで死ぬ。

 イヤだ!と、思う間もなく速やかに死がバレットに与えられる。


 かと思ったのだが。


 なんと表現すれば良いのか。
 死を感じたその直後、敵が突然吹っ飛んだ。
 吹っ飛んだ…という表現が正しいのか分からない。
 その姿が見えなくなった、というのが最も正しく、且つ的確な表現と言えよう。
 しかし、人間が突然消える現象などありえるはずがなく、従って『見えなくなった』とか『消えた』とか、言葉にするのはおかしいとしか思えない。
 だが、それ以外に表現のしようがない。


 目を見開き、呆然と床にへたり込むかたちのバレットは、次の瞬間思い切り襟首をつかまれて後ろへ引きずられた。
 うおっ!という間抜けな声が喉の奥から咄嗟に洩れる。
「お、なんとか大丈夫そうだな」と、どこかで聞いたことのある声にバレットは目を剥いて振り返った。

 ニッカリ笑い、ザックスはバレットの襟から手を離すと、
「おし、クラウド。もう良さそうだな」
 緊張感のない声はどこか楽しそうだった。

 クラウド!?と勢い良く顔を向けると、濛々と舞う埃のカーテンがスーッと切れ、そこに立つ男の姿がくっきりと現れる。
 男の足下にはたった今、自分たちを追い詰めていた新種の死神たちがゴロゴロと転がっている。
 生きているのか死んでいるのか分からないが、当分の間、脅威にはなることはないだろう。
 だが、そんな敵の姿よりも自分を…、仲間を救ってくれた男に目が離せない。
 自分は今、さぞバカ面をしているだろうな…とバレットはどこか他人事のように思いながら、馬鹿デカイソードを一振りして振り返った男を見ていた。
 金糸の髪は埃を被り、ところどころくすんで見えるが、それでも元来の輝きを隠し切れないかのように明滅する赤い緊急照明の下、光っている。
 明滅する明かりのせいで青年の整った顔(かんばせ)に陰影が濃く薄く刻まれる様は、ゾクリとするほど非現実的で、そして美しかった…。

「大丈夫か?」
「お、おう!てか、てめぇの方こそ大丈夫なのかよ!いきなりどっか行きやがって!!」
「あぁ、問題ない」

 急に、「ほい」と手を差し出され、バレットは振り返った。
 ニッカリ笑ったザックスの顔と手へ視線を行き来させ、手を乗せる。
 クラウドよりは体格が良いが、それでもバレットに比べるとはるかに華奢だ。
 だが、その手の力はとても強く、あっさりと助け起こされる。

「ティファは?」

 周りで身を起こし始めていたアバランチメンバーや他の神羅兵の姿にホッと安堵の息を吐いたのだが、クラウドの一言に途端、ホッと緩んだ気持ちが重く沈んだ。
 ゆっくり首を振って見せると青年の顔が微かに曇る。
 だが、クラウドはすぐに気持ちを切り替えるように表情を引き締めた。

「ティファは俺たちが探す。アンタたちはエアリスと一緒に脱出してくれ」
「は!?連れてきたのか!?」

 ギョッと仰け反ったのはバレットだけじゃない。
 唖然と目を見開いた面々は、ケホコホ、という女が咽(むせ)る声にグリンッ!と顔を向けた。

「あ〜…すっごい埃。って、あ!みんな、良かった!」
「エアリス!?」

 目を見開き固まる自分たちを尻目に、エアリスはニコニコと嬉しそうに駆け寄り、安堵したように胸に手を当てた。

「あ〜…本当に良かった!誰か怪我している人いない?」
「いや…特にデカイ怪我ってのは…」
「ん?そっちの人、大丈夫?」
「って、おい!」

 仲間に視線をササッと走らせたかと思うと、エアリスは床に蹲っている神羅兵に躊躇いなく近寄った。
 そしてそのまま祈りに入る。
 エアリスの祈りに応え、明滅する赤い照明の色を押し出すように淡いエメラルドグリーンの輝きが辺り一帯を支配すると、神羅兵は目を見開いてその奇跡の瞬間に魅入った。
 当然、アバランチとしてはエアリスを狙う神羅兵を助けることに諸手を挙げて賛成、というわけにはいかない。
 しかし、メンバーの中で一番反対しそうなエルダスでさえも、エアリスの行動に複雑そうな顔をするだけで止めようとはしなかった。

「はい、おしまい。どう?ダイジョブ?」

 ニコニコと花が咲くような笑顔を向けられ、癒された神羅兵たちはどこまでも呆けた顔で躊躇うようにコックリ頷いた。
 うっとり、という表現が相応しい呆けた顔の神羅兵に、ザックスがムッと眉根を寄せる。
 そうして、ツカツカとエアリスに歩み寄ると背後からヒシッ!と抱きしめた。
 ビックリして振り返ろうとするエアリスの頭に顎を乗せて固定し、呆けている神羅兵をジト目で睨む。

「おい。いいか、お前ら。エアリスは オ・レ・の!なの。だから、うっかりホイホイ、惚れたりすんなよ!」

 クラウドは呆れたように両眉を開いた。
 バレットたちもあんぐりと口を開ける。
 しかしザックスは全く気にした様子もなく、目を見開いて赤くなっているエアリスをクルリと反転させた。
 そして、そのまま顔を覗き込むように身を屈める。

「エアリス、すっごい不本意だけど行ってくる。その間、絶対にオレ以外に目を向けないように!いいな?分かったか?」

 赤い顔のままエアリスは目をパチクリさせたが、
「もう、本当にバカなんだから…」
 ベシリッ!とザックスの胸を一発叩き、そっぽを向いた。
 赤い頬がまんざらでもなさそうに緩んでいるように見えたのは、ザックスの惚れた欲目…というわけではないだろう。
 その様子に満足するとにんまり笑い、拳を打ち鳴らした。

「おしっ!それじゃ行くぜクラウド」
「……」

 1人、自分のペースで調子の良いザックスにクラウドはどこまでも呆れたような顔をしていたが、すぐに厳しい顔つきになった。
 そのまま2人して駆け出そうとするが、「あ、ちょっと待って」とエアリスに引き止められる。
 振り返ったクラウドの眉間にシワが寄る。
 その表情は、苛立っているというよりも焦っていると言った方が相応しいものだった。

「ヴィンセントが心配だから、私たちはヴィンセントのところに向かって、皆と合流してから脱出することにするわ」

 そう言われれば…とバレットたちはエアリスと行動を共にしているはずの仲間の姿がないことに気がついた。
 気がついてしまうとヴィンセントがどこに行っているのかが気になる…。

 ザックスは少し逡巡したものの、「気をつけろよ?」と心配そうな眼差しを残し、クラウドと共に今度こそ駆け出した。
 あっという間に見えなくなったクラウドの背に、どれほどティファの身を案じているかを目の当たりにした思いを味わう。
 無論、ティファの身を案じる気持ちは負けない、という自負をそれぞれ持っているが、それでも彼女の幼馴染の余裕のなさは…。

「まぁ…アイツたちが間に合ってくれるって信じるしかないな」

 ポン、と肩を叩かれてエルダスはビッグスを睨んだ。
 口を開いて文句の一言でも、と思ったものの、何を言って良いのか分からず結局そのまま苦い思いをかみ締めるように口を閉ざす。
 ジェシーとウェッジが顔を見合わせて苦笑した。

「さ。それじゃ行きましょ」

 歩き出したエアリスに「どこ行くってんだ?」とバレットが至極最もな質問をする。
 エアリスは前を向いたまま応えた。

「監視室の奥」

 ガラリと雰囲気が変わり、緊張を孕んだ硬質な声音にその場の面々はハッと息を飲んだ。


 *


 赤と黒で埋め尽くされた世界。
 そこに浮かび上がっている光景はまさに地獄。
 大好きな友人。
 大切な仲間。
 そして、愛おしくてなにものにも変えがたい人…。

 彼らのためなら死んでもいいと思ってた。
 それなのに…。

「みんな…。クラウド…」

 轟々と音を立てる風に歯向かうようにティファは駆ける。
 自らの呟きが風にかき消されることなど厭わずに。
 伸ばしても届かなかった仲間の命。
 愛しい人の存在。
 それを守れなかった己が両手を握り締め、ひたすら駆ける。

 生きてても仕方ない。
 存在してても仕方ない。


 あの人がいないのに。


 − ティファ −


 低く落ち着いた声音で名を呼んでくれる彼の声。
 伏せられた睫毛、憂いを含んだ横顔。
 時折、向けてくれる真摯な瞳。
 その全てが5年前とは比べ物にならないくらい美しく、力強く、心を寄せずにはいられなかった。

 ようやっと、『生きている』と感じられるほどの熱い想いを抱きしめられた。
 ようやっと、『生きる目標』が生まれた。

 クラウドと一緒に生きていきたい…と。
 世界の片隅でいい、彼と共に歩きたい…と。

 それなのに。

「クラウド…」

 呟いた声は涙を含む。
 例え、現実ではその双眸が乾いていたとしても、心は泣き叫んでいた。
 そして、泣き叫び過ぎてヒビの入った心で復讐を誓う。

「私の…」

 全てを…。

「奪った…」

 目の前で…。

「絶対に…」

 誰が許したとしても…。


「許さない」


 カッ!!と、目を見開く。


 そうして、ティファは己の全神経を研ぎ澄ます。
 五感を解放し、獲物を探す。
 階が離れ、幾枚もの壁に阻まれようと、どこに”生き物”がいるのかが手に取るように分かる。
 悲鳴を上げながら逃げ惑う”生き物”と、それを”狩る”モノたち。
 ティファは考えることなく駆け出した。
 無様に逃げ惑い、悲鳴を上げて命乞いをする取るに足りない存在などに興味はない。
 用があるのは”狩る”モノたち。
 逃げ惑う無力なモノを追い、狩ることをやめない殺戮者。
 かけがえのない人たちの命を躊躇うことなく刈り取ったモノたち。

「同じ目に遭わせてやる」

 苦痛を与え、死の恐怖を与え、悶えるほどの後悔の思いを味わわせてから死に至る傷を与え、放置する。
 迫る己の死を見つめ、最期の最後まで苦悶にのた打ち回るが良い。

 だけど。

「足りない」

 そんなものでは足りない。

「泣き叫んでも…」

 死ぬほど後悔しても。

「命乞いをしても…」

 這いつくばって縋っても。

「あの人は…」


 2度とかえってこない…。


 ヒュッ、と鋭く息を吸い込み、ティファは跳んだ。
 轟々と耳元で風が唸りを上げる。
 廊下の突き当たりである全面ガラス張りの窓がグングン迫る。
 衝突する直前、躊躇うことなく手にしていた”武器”を振るった。

 乾いた音。
 舞い散るガラスのカケラたち。
 赤く明滅する照明の中でガラスのカケラは、キラキラと冷たい光を反射させながら突進するティファの周りを舞った。
 ティファは外に飛び出すとそのままビル側面に細身のソード、”レイピア”を突き立てて支点とし、身体をしならせ空へと舞い上がった。
 まさに胡蝶が舞うかのごとく、華麗な身のこなしで一気に数階分飛び上がる。

 そして…。

 ヒッ!と、小さく悲鳴を上げてへたり込んだ神羅の幹部や、ガクガクと震えながら銃を構える神羅兵などに目もくれず、ティファは漆黒のボディースーツを身に着けた死神たちに襲い掛かった。
 突然窓ガラスを破って現れたティファに、さしもの新種の死神たちも混乱しているらしい。
 ティファはその隙を見逃さない。
 死神の1人に拳をめり込ませ、別の死神目掛けて吹っ飛ばす。
 もんどりうって壁に激突し、力なく床に倒れ込んむ様をチラリとも見ず、新たな死神に目を向け、雌豹のように襲い掛かった。
 フルフェイスのヘルメットを被っているせいで死神たちがどのような顔をしているのか分からないが、明らかにたじろいでいる。
 及び腰になる死神たちに回し蹴りを繰り出し、ギリギリでかわされても態勢を変え、踵落としを食らわせる。
 しかしそれも紙一重で避けられると、背後から襲いかかってきた死神たちの攻撃を振り返ることなく宙高く舞い上がって空を切らせる。
 ティファの黒髪が踊る。
 攻撃を避けられた死神たちが舞い上がったティファの下に折り重なったのは一瞬。
 ティファは躊躇いなど微塵もなく、折り重なった死神たちを思い切り踏みつけた。
 鈍く、イヤな音がして死神たちの骨が折れる。
 止めを刺そうとレイピアを振り上げたが、他の死神たちが群がり襲ってきたために阻まれる。

 クルリと宙で回転し床に降り立ったティファは、いまだ無傷な死神たちへギラギラ光る双眸を向けた。
 魂を引き裂かれんばかりの怒りはそのまま”敵”への殺意に変わり、ティファを突き動かしている。
 そして、”敵”と認定された死神たちにもその殺意は十分過ぎるほど伝わっていた。
 息を乱さず、まるで機械のようにティファへ向かって武器を構える死神たちに、ティファもまた、睨む双眸にますます力を込めた。
 へたり込んでいた神羅の幹部たちが神羅兵たちに助け起こされ、転びまろびつ逃げ出したが、ティファも死神たちも見向きもしない。

「絶対に許さない」

 呟きはとても小さく、淡々として熱を感じさせず、冷ややかそのものだ。
 誰にともなく呟かれたその独白。
 次の瞬間、ティファは飛び出した。
 人間では到底有りえないスピードで飛び出し、手にしていたレイピアを振り上げる。
 その速度に一瞬遅れて死神が防御の構えを取ったが、無意味なものでしかない。
 ティファの目に、それはとても陳腐でくだらない無駄な足掻きだった。

 瞼の裏に、地面に転がったクラウドの首が蘇る。

 目の前が真っ赤に染まり、ティファの意識が完全に消し飛ぶ。


 『 お前の敵を斬り殺せ 』


 突然、耳に蘇ったその言葉にハッと目を見開き、振り下ろしかけたレイピアを止めた。
 死神たちが群がり襲い掛かるより早く、ティファは後方へ大きく跳び、距離を開ける。
 床に着地した途端、激しい頭痛に襲われ片手で額を押さえると、また声がした。


 『 お前の敵は即(すなわ)ち、私の邪魔をするモノたち 』


 誰…?とティファは頭の中に響く声に問う。
 しかし、声は応えない。
 聞いたことのない男の声は、酷く不快で鼓膜にねっとりと纏わりつく。


 『 私はお前の主(あるじ)。私のために私の敵を排除しろ 』


 ティファは頭の中に響く男の声に嘔気を覚えた。
 全く意味が分からない。
 自分を主と言ったり、自分のために敵を排除しろと命じてくる声は、酷く傲慢で勝手なことばかりを並べ立てている。
 誰にも隷属した覚えなどないティファに、声は勝手な命令を述べ続けた。

 神羅の副社長、神羅の幹部、そして科学班の人間、監視班の兵士…。
 これらが主だと言う男の敵なのだ、と。
 それらを排除しろ、と。
 そうすることが大切な者たちの仇を討つのに繋がるのだ…と。

 ティファの中で急速に”敵”への意識が変化する。
 それは、目の前の黒いボディースーツの死神たちから、他のモノへの移行。


 『 お前の大事なものを奪った愚者に、鉄槌を下せ 』


 頭の中で囁き続ける男。

 ティファの中で、獲物は目の前のモノたちから完全に離れた。
 途端、新たな音が耳に飛び込んできた。
 風の音と頭の中で囁いてきたものと同じ男の低い声。
 そして、背後に聞こえるのはヘリのローター音。

 ティファは身を翻した。
 その突然の行動に全くついて来れない死神たちをその場に置き去りにし、ティファは疾風のように駆ける。


 『 お前の敵を斬り殺せ 』


「私の敵…、私の大切なモノを奪ったのは……あなたね?」


 呟くと同時にティファはエレベーターのドアを斬り飛ばした。
 そして、ワイヤーを避けてむき出しのコンクリートの壁を足場に、一気に屋上へと舞い上がった。






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