突然、音も無く天井がパッカリと割れた。
 たまたま天井を警戒していた隊員や、視線を向けたらその場面に遭遇した少数の隊員たちは、降ってきた『モノ』を目にして恐怖に顔を引き攣らせた。
 悲鳴を上げる間もなくなぎ払われた隊員たちのその音で、ようやっと全員が緊急事態に気づく。
 途端、上がった悲鳴を皮切りに恐怖が隊員たちを飲み込み、隊長が命じるまでもなく始まった発砲によって爆音が3階フロアーを満たした。
 その間も次々と天井が音も無く開いていき、バケモノが降ってくる。
 2階で遭遇したバケモノよりも小柄だが、大人ほどの大きさのバケモノは、黒く光沢する体躯をしておりとてもじゃないが生き物とは思えなかった。
 ツルリとした光沢を持つ生き物など、そんなのがいるのだろうか?
 意思を持った金属のバケモノが実在するとしたら、まさにこれがそうかもしれない、とシドは槍技を繰り出しながらそのあまりの硬さに背筋を凍らせた。
 しかし、怯むことも、隙を見せることもしない。
 シドの周りでは2階で善戦してくれたのにどんどん隊員が倒されている。
 まだ若い未来のある隊員が沢山いるのだ、こんなところで死なせるわけには行かないし、いよいよ先行部隊として潜入している仲間たちのことが心配になってきた。

「くそっ、あいつら無事かよ!」

 だから、こんなところでグズグズしている時間などこれっぽっちもないのだ。
 しかし、焦るシドをあざ笑うかのようにバケモノは、痩身の体躯からは信じられないほどの力と俊敏性を見せ付けるように隊員たちを次々と戦闘不能状態に追い落としていた。






暁光 6







 クラウドは兄弟に取り囲まれているC−6の目の前に着地すると、少女をその腕に抱き上げてドアへ駆け出す。
 特に何かを考えたわけではない咄嗟の行動。
 理由なぞ、ちゃんとした言葉で表すことが出来ない衝動に駆られた行動だったが、クラウドは躊躇いのかけらも無く驚く少女を兄弟たちから引き離した。

 ただただ、この少女にとって兄弟たちは『今は』危険な存在になってしまったと感じただけであって、永遠の別離にするつもりがあったとか、そういうことは一切無かった。
 異様な雰囲気を身にまとい、計り知れない『何か』を持つとは言え、まだ幼い子供たちを傷つけるとか、そういう考えはさらさらなかったし、子供たちのことばかりに気が向いていて他の『事象』に対して警戒していなかったということもない。
 油断は…なかったはずだった。

 それなのに…。

 ドアを開けようとした手を伸ばした途端、外からドアが開き同時に耳慣れた音が鼓膜を打った。
 それが銃声だったと認識するよりも早く、クラウドは振り返った。

 少年が大きく仰け反って鮮血をほとばしらせ、後方へ軽く飛んでいるのが、まるでスローモーションのように目に映った。
 少年は目を見開き、口を中途半端に開けたまま己がどうしてしまったのか知ることも無く、冷たい床にトサッ…、と軽い音を立てて倒れ伏した。
 1度、軽く跳ねたがそれっきり…。
 みるみるうちに床が真紅に染まる。
 しかし、それをぼんやり見つめる間など微塵も無く、銃声が立て続けに上がる。

 クラウドは勢いよくドアを振り返り、凶行に走る犯人へ怒りをぶつけようとして止まった。
 自分が見たものが信じられず愕然とする。
 少年の命を奪った者の姿…、それを現実のものとして受け入れられないで、ただただ頭が真っ白になっているクラウドの周りで…、すぐ傍で…、次々とC−6の兄弟たちが少年と同じように血飛沫を上げながら後方へ吹き飛んでいく。
 銃声の数と同じだけ子供たちが打ち抜かれ、血飛沫を上げて背後へ吹き飛びながら床に倒れたときには絶命していった。

「や…」

 子供たちはあっという間に残り2人になる。
 クラウドの理性が擦り切れるのに時間は必要なかった。

「やめろ!!」

 銃声のみが響く中、クラウドは駆け出した。
 まさに弾丸のように『殺人者』目掛けて疾走する。

「やめろ!ヴィンセント!!」

 悲鳴のような声を上げながらクラウドは反射的にソードを抜き放ち、いまだに銃を撃ち続けているヴィンセントの武器目掛けて振り下ろした。
 しかしその攻撃は、横合いからのびた白刃によって阻まれる。
 紙一重のところで攻撃を阻んだ武器の持ち主を見て、クラウドは更に目を見開いた。

「…シュリ…!」
「ヴィンセントさん、とどめを!絶対に逃がしてはダメだ!!」

 青白い顔をしてヴィンセントに半ば叫ぶように言いながらシュリはそのままクラウドが小脇に抱えていたC−6へ左腕を突き出した。
 手には銃、指はトリガーにかかっている。

「よせ!!」
「クラウドさん、邪魔するな!!」

 キーンッ!と上がった高い金属音はクラウドがシュリの銃をソードで弾き飛ばした音。
 何かが殴られたような鈍い音はシュリがクラウドを蹴り飛ばした音だ。

 互いに容赦のない攻撃。

 クラウドはC−6を小脇に抱えたまま後方へ飛び、部屋の中ほどに逆戻った。
 クラウドの靴が床を踏んだと同時に銃声がやむ。
 ハッと顔をめぐらせると部屋の中は無残な子供たちの死骸と鮮血により、すっかりその様子を凄惨なものに変えてしまっていた。

 あまりのことにクラウドの胸中はグチャグチャだった。
 怒りと混乱、それに突然の惨事に呆然としているC−6への申し訳なさが怒涛のようにこみ上げ、ひしめき合う。

 怒りを込めて仲間である2人を怒鳴りつけようと口を開くが、それよりも先にシュリの銃が火を噴いた。
 反射的にC−6を庇うように半身を捻って銃弾を避ける。

「なにをする、シュリ!!」
「クラウドさん、頼むからその子供から離れてくれ!」
「ふざけるな!!」
「ちゃんと後で説明する!折角の好機なんだ、これを逃すわけには行かない!!」
「な…!」

 一体、なんの『好機』と言っているのかさっぱり分からない。
 分からないが、それでもクラウドはC−6を離さずシュリの銃弾からことごとく少女を守った。
 途中、ヴィンセントもシュリに加勢するようにして駆け寄ってきたがクラウドはそれをも避けるようにしてひたすら部屋の中を飛び回る。

「クラウド、聞け!時間が無いんだ、こいつらが再生するのを止めるには…」
「何を言っている!!」

 子供1人を小脇に抱えてローテーブルの上、食器棚の上、はたまた血塗れた床を足がかりに跳躍を繰り返して銃弾をひたすら避ける。

 もしも…。
 もしも、シュリとヴィンセントが攻撃をしないでクラウドに呼びかけていたら、あるいはその言葉に耳を傾けるだけの余裕がクラウドに生まれたかもしれない。
 しかし、シュリもヴィンセントも必死だった。
 必死過ぎて、C−6を仕留める手を中断させてクラウドを説得するという考えが全く無かった。
 だから、C−6を離そうとしないクラウドも一緒になって攻撃をしてしまった。

 お互いが全力で攻撃、守りに入ったためにあっという間にタイムリミットが訪れた。

 突如、ヴィンセントがハッと床を見た。

「シュリ、手遅れだ」
「…くそっ!」

 青白い表情を苦々しそうに歪め、シュリが床を睨みつける。
 2人の視線を追ったクラウドはギョッと目をむいた。

 先ほどこの部屋の床が自分を飲み込もうとしたことをクラウドは思い出す。
 ハッとする間もない。
 床がグニャリと波打ったかと思うとバックリと突如、その口を開いた。
 赤々と光る床の口腔内。
 その中に床は子供たちの亡骸を飲み込んでしまった。

「なっ!?」

 驚き固まるクラウドの腕の中でC−6が微かに震えた。
 慌てて少女の目を塞いだクラウドに、
「クラウド、もうここは落とせない。早く来い!!」
 ドアの外に駆け出しながらヴィンセントが怒鳴る。

「クラウドさん、早く!!」

 シュリも一歩遅れて続きながらクラウドを急き立てた。
 混乱しながらも、今度はその仲間たちの言葉に素直に従う。
 ドアに着いた直後、靴底を通じて背筋の凍る振動が伝わってくる。
 直感だけで跳躍する。
 下を見ると、パックリ床が口を開いていた。
 床に開く穴が1つだけでないことに戦慄する。
 転がるようにして廊下を3人で駆け出す。
 まるでその部屋が後ろから追ってくるかのようにヴィンセントもシュリも、脇目も見ずに疾走する。
 クラウドは2人に先導されるように迷路のような廊下をひた走った。
 頭の中は当然、疑問でいっぱいだ。
 先ほど、子供たちを虐殺した理由を問いただしたい気持ちが一番強い、当然だ。
 だがしかし、それと同じくらいに何故今まで音沙汰がなかったのかを問う気持ちが強かった。
 目の前に現れたのがあまりにも突然過ぎる。
 それに、他の先行部隊はどうした?
 ナナキは?バレットは?

 頭の中は相変わらずグチャグチャで、冷静に2人の後を追って言われるままに素直に走るような心境ではないのに、身体は何かに急き立てられる本能に忠実に動いていた。
 子供たちを飲み込んだあの部屋が、後ろから追ってくるはずもないというのにこの危機感はなんだろう?
 恐怖が『危機』だと錯覚させているだけなのか?

 その自問自答は、唐突に途切れた。
 突如、シュリが壁に向けて発砲したのだ。

 ハッとして真横を見たクラウドは、ザーッ…!と全身の血の気が音を立てて引くのを感じた。

 子供たちが言っていた『赤いランプ』が毒々しい真っ赤な虹彩を放ちながら壁を波打たせている。
 しかもそれは、2人の後ろを走っているクラウドに併走するようにして壁を蠢かせていた。
 実は、本当は壁自身を波打たせているのではなく、あくまで赤いランプが明滅しているだけだったのだが、冷静さを失っているクラウドにはそれが分からない。
 分からないなりにもパニックに陥ることなく自分の持てる力全部でクラウドは駆けた。
 それを追うようにして壁に埋め込まれている無数のランプが明滅を繰り返す。
 いつしかクラウドを追い越し、ヴィンセントを追い越し、そして先頭を走っていたシュリに併走するようにして明滅する。

 シュリは前方に広がる壁目掛けて発砲した。
 乾いた音と共に電機の爆ぜる音が響く。
 同時にランプの虹彩の一部分が黒く沈黙した。
 何度の何度もそれを繰り返し、3人は沈黙したランプを持つ壁の前を走り抜けた。
 しかし、すぐに壁はその光の勢いを取り戻す。
 ヴィンセントも発砲するが、シュリとは反対側の壁を撃つので手一杯だ。
 そうしてとうとうシュリの弾丸が切れ、弾倉に新たな弾を装填する僅かな隙を突いて壁が反撃してきた。


「うわっ!!」


 クラウドは思わず短く声を上げて飛び退った。
 突如、壁の一部が伸びた。
 それは、子供たちを飲み込んだ床の穴のように、黒い壁一面に毒々しい真っ赤な光を宿した『手』。
 壁の一部分が変化した『手』だ。

 それが、ウネウネとうねりながらクラウドが小脇に抱えているC−6諸共に掴もうとした。

 間一髪でそれを避けたクラウドは、少女を庇いながら床を転がり、その勢いを殺さないまま立ち上がって再び駆け出した。
 床を蹴って跳躍したその一瞬、クラウドの踵をコンマ数ミリで『手』が掠める。
 直接触れられてはいないのに全身が氷水に浸かったかのような悪寒を感じ、思わずクラウドは振り返った。

 絶句する。

 壁が『手』を伸ばすことだけでも信じがたいのに、今、目の前にあるのは『手』ではなく…。

 先ほど、飲み込まれた子供たちの顔。
 それもご丁寧に11人ぶん、みっちり。

 クラウドの口から彼にしては高い声が漏れるのと同時に装填し終えたシュリが発砲した。
 半瞬遅れてヴィンセントも発砲する。
 そして、更に銃声が上がり、シュリが少しだけ青白い顔を緩ませた。

 3人が向かっている廊下の先で銃を構え、クラウドたちを援護している隊員。
 先行部隊の隊員たちだ。
 シュリ、ヴィンセントの攻撃に加え隊員たちの攻撃を受けて、壁から伸びた『何か』は奇妙な鳴き声のような音を立てると弾けて勢いを失った。

「今だ!早く!!」
「クラウド、見るな!走れ!!」

 シュリとヴィンセントに急かされるまでもなく、クラウドは走った。
 先ほど目にしたものについてじっくり考える暇など勿論ない。
 ひた走り、気がついた時には廊下の終着点とも言える壁にとってつけたようなドアの向こうへ飛び込んでいた。

 C−6を離して床に座り込み、全身で荒く息をする。
 シュリとヴィンセントですら荒い息を繰り返し、全身から湯気を立ち上らせんばかりだった。
 暫くはまともに話すことは不可能な状態の3人を守るようにして隊員たちがドアを警戒する。

「中佐、大丈夫ですか?」
「あぁ……助かった……」

 荒く呼吸をしながらシュリが短く答える。
 紫紺の瞳を安堵したように細め、その隊員はシュリ、ヴィンセント、そしてクラウドに水筒を差し出した。

「ライ…お前も……いたのか…」
「はい。ご無事で何よりです」

 久しぶりに会ったその青年は、いつも見せていた温和な微笑に今、微かな疲れと翳りを落としてクラウドを見た。
 正確には、クラウドの傍らに居る少女を…。

「中佐」
「いい…分かってる」

 ドアを警戒していた他の隊員がシュリへ声をかける。
 非常に言いにくそうな声音が、イヤでもC−6の存在を歓迎していないことをクラウドに伝えた。
 クラウドはそっとC−6を背後に庇うようにして立ち上がった。
 C−6は無表情で何を考えているのか分からない顔をしているが、少なくとも怯えたり、逆に侮蔑しているわけでもない。
 強いて言えば、不思議そうにこの状況を見つめている、と言った風だ。
 クラウドはそんな少女にほんの少しだけホッとしていた。
 なにしろ、目の前で兄弟が殺されてしまい、わけの分からない間に見ず知らずの人間に囲まれているわけだ。
 混乱したり、泣き叫んだりと、興奮してもおかしくはない。
 もっとも、普通の子供の反応を見せてくれるわけもない、ともう既に理解はしているし、もしも普通の子供のような反応を見せてくれたらそれはそれで、『まだ普通の子供らしい姿を持っている』ということになり、一般社会に戻してやろう!という気持ちが強くなってくれて気持ちが高揚するだろうが…。
 なにしろ、いまだに若干息は整っていないし全速力で走りすぎたせいで力が入りにくい。
 だから、少しでもモチベーションを上げたいところだ。

 どうしてもこの少女を害することを容認出来ないのだから。
 それが、例えどんな理由であっても。
 デンゼルやマリンとどうしても重ね見てしまうがゆえに、まだ年端も行かない子供を有無を言わせず殺害したヴィンセントやシュリが余計に許せないと思っている。

「クラウドさん」
「シュリ、説明してもらおうか」

 青年の言葉を遮るようにして先制したのは、C−6を害するいかなる言い訳をも聞き入れない、という意思の表れ。
 無論、クラウドにとっては無意識の行動だ。
 シュリは既にいつもの冷静な態度を取り戻し、警戒を通り越して敵意すら滲ませる部下を視線だけで制した。
 仲間であるヴィンセントですら、クラウドの行動を非難するように目を眇めているが、何も言わないのはクラウドの立場に立って考えてくれたからかもしれない…。

 シュリは淡々とした表情で口を開いた。

「先ほどの部屋での出来事は覚えてますか?」
「あぁ」

 忘れろ、と言われる方が無理だ、とクラウドは思った。
 倒れたと言うC−12を案じて問う自分に対し、突然その態度を豹変させた子供たち。
 そして、自分を飲み込もうと口を開いた床の真っ黒い口腔内に光る無数の毒々しい赤い光。
 飲み込みに失敗した後で兄弟に囲まれたC−6。
 その様子が彼女にとってとても危険に感じられたため、咄嗟に飛び出し部屋から一時的に避難しようとした矢先、開いたドア、響く銃声、上がった血しぶきに絶命する子供たち。
 凶行に走ったヴィンセント(仲間)を止めようとした自分の邪魔をした青年(シュリ)。

 そして…。

 子供たちの亡骸を飲み込んだ床、走りぬけた廊下、追いすがる壁の赤い光に……。


 子供たちの顔を浮き上がらせた壁の…。


 そこまで思い出してクラウドはおぞましさを振り払うように一瞬だけギュッと目を瞑った。
「あれはなんだ?」
 自然、声が低くなる。
「あれこそがこの要塞で行われていた実験の成果です」
「成果?」
「はい」

 眉根を寄せるクラウドに、青年隊員は背を向けた。
 歩き出したシュリに、クラウドはその時初めて自分が飛び込んだ部屋がどういう部屋なのかに気がついた。

 まるで神羅屋敷の地下を髣髴とさせるその内装、置かれている器具、物品の配置に別の意味でおぞましさに襲われる。
 シュリはその壁に沿うようにして設置されているパネルに近づいた。
 慣れた手つきでキーを叩く。
 程なくしてモニターに映し出されたのは、科学者だろうか?白衣を着たヒョロッとした体躯の壮年の男が映し出された。
 その背後には合計7名の男女。
 いずれも科学者だろう、全員が白衣を着ており全員、同じように狂気に満ちた目をしていた。

我々はついに実験に成功した

 お決まりの台詞から始まった科学者の口上に、クラウドは最初、侮蔑しか感じなかった。
 人の人生、人の命を一体なんだと思っている!?
 自分たちの愉悦のために人の人生を踏みにじるような最低な奴らの戯言など、この耳に入れることすら汚らわしい!

 しかし、シュリをはじめヴィンセントや他の隊員たちが黙ってモニターを見ている前で、そのような子供じみた行動に出るわけにも行かず、憮然とした顔でモニターの中の男を睨みつける。
 歪んだ喜びに狂っている男の説明は続く。
 最初はわけの分からない化学式、栄養素がどうこう、人間の身体を形作る元素記号がどうこう、得意満面に語る狂人に苛立ちしか感じなかった。
 だが…。

この新しい生命体を制御出来れば、この星の命全ては我々の前に跪(ひざまず)く

 この一言がクラウドの神経に引っかかった。

 新しい生命体。
 確かに今、そう言った。
 スーッと怒りの熱が冷め、代わりにゾワゾワしたものが腹の奥底から這い上がる。
 知らず、傍らに立ってジッとモニターを見ているC−6へ視線が移る。

この星をめぐるライフストリーム。その雄大な流れを正確に汲み取り、且つ、新たなパワーに変換して神羅へより有益なものとして…

無機物へ意思を移し、その持っている物質を変質化して新たな生命へと…

これさえ成功してしまえば、我々神羅に敵はない

星の創りしウェポンをも凌ぐ最強兵器の誕生だ

 唐突にクラウドの脳裏に今は亡き彼女が甦った。
 この星を誰よりも愛したがゆえに散った、花のような彼女の微笑みを。


 エアリス。
 アンタの愛した星が、まさかこんな風に危機に直面していたなんて…!


 そして見る。
 まだ幼い姿をしたC−6を。


 この少女が本当にこの科学者の言うとおりの『新たな生命体』なら、一体どうしたらいい!?


 クラウドは足元が急に崩れ、奈落に落ちてしまうような錯覚に陥った。