本日貸切にて…(後編)「では、お時間になりましたので始めたいと思います!!」 幹事である例の青年がグラスを手に取り、ざわめく店内を見渡して声を上げた。 ざわめき声が少し小さくなり、店内の視線が集中する。 皆の意識が集まった事を確認した青年は、ニッコリと微笑んでグラスを掲げた。 「それじゃ、乾杯!!」 「「「「「かんぱ〜い!!!」」」」 あちらこちらでグラスの重なる音が響き、皆の気分が一気に盛り上がる。 ティファはカウンターの中で忙しく料理を作りながら、そんな皆の様子を見て内心ホッとしていた。 今のところ、目立って挙動不審な人間はいないし、集まった若い人達は皆、本当に楽しそうな笑顔で満ちていた。 昨日、幹事の青年とその彼女が挨拶に来た時には、もっと問題のある人間が集まるのかと思っていたのだが、今のところ、その様な人物は見られない。 皆が皆、楽しそうにめいめいの小さなグループに分かれて話をしたり、料理や酒を口に運んでいる。 自分と同年代の人達ばかりの集まり自体が初めてのティファにとって、それはとても新鮮な光景だった。 それでも、自分もその輪の中に入って談笑したい…と思わないところがティファの良いところであり悪いところなのかもしれない…。 勿論、この集まりが『合コン』ではなく、普通の誕生パーティーとかなら参加したいと思うのだろうが、如何せん、『合コン』なのだ。 ここに集まった若者達は、自分の伴侶…とまではいかなくても、それなりに出会いを求めてやって来ている。 相手が既にいるティファにとっては無関係の集まりなのだから、参加したいと思わなくてもそれも当然と言えば当然なのだろう。(しかし、世の中には伴侶がいても内緒で合コンに行く人も結構いたりする…) 「ティファさん、次の料理をお願いしても良いですか?」 「あ、はい。出来てますよ」 幹事の青年がカウンターにやって来た。 ティファは丁度出来上がった次の料理の乗った大皿を両手に持って見せる。 「うわ!すっごいなあ!!」 感嘆の声を上げた幹事に、カウンター近くにいた他の青年達が視線を移した。 そして、幹事同様、目を丸くして顔を綻ばせた。 「美味そうだなぁ!!」 「すっげ〜!」 「これ、一人で作ったんですか!?」 「さっすが、セブンスヘブンの女店長!そこらへんの居酒屋が出す料理とはひと味もふた味も違うね!!」 賞賛の言葉に、笑顔で応えながら真ん中のテーブルにそれを置く。 途端、店内の視線が新しい料理に釘付けになった。 「すご〜い!」 「これ、何ですか!?」 女性達からも驚きと賞賛の声が上がる。 「これは、当店の『あったかメニュー』のスペシャル版です。天ぷらをちょっと豪華に見えるように盛り合わせて、周りに野菜で飾り付けしただけなんですよ」 ペロリと舌を出して悪戯っぽく笑うティファに、確実に男性の何人かは胸をときめかせた。 「へぇ、でも量がすごいからもの凄く手の込んだ料理に見えちゃう!」 幹事の彼女がそう言って、天ぷらを一口口にした。 その途端、「ん〜〜〜〜!!」と何とも言えない幸せそうな顔をして、その料理の美味しさを表現する。 「すっごく美味しいです!!天ぷらの衣、隠し味使ってるでしょう!?」 「ええ。でも、それは企業秘密ですよ」 片眼を瞑ってにっこり微笑み、ティファはカウンターの中に戻って行った。 まだまだ、作らなくてはならない料理が山のようにある。 今夜集まったのは、男性十四名、女性十六名、計三十名なのだ。 いつものセブンスヘブンなら、三十人分くらい何とも無いのだが、一度にこれだけの人数の料理を出さなくてはならない状況になったことはない。 それに、今夜は子供達の助っ人は無しなのだ。 ティファはそっと二階を窺ったが、二階から物音はしていない。 今のところ、子供達がティファの目を盗んでパーティーを覗こうとはしていないようだ。 子供達が最後まで大人しく部屋で遊んでいてくれることを願いつつ、そして、一刻も早くクラウドが帰宅してくれる事を祈りつつ、ティファは新しい料理に取り掛かった。 「それで〜、私のパパは、建設会社を立ち上げたばっかりなんです〜」 「へぇ、じゃあ、君は社長令嬢ってことか!」 「え〜、そんなぁ、大した事ないですよ〜。とっても小さな会社ですし〜、社員の人達も五十人くらいしかいませんし〜」 「へぇ!!このご時勢で五十人も社員抱えてるなんて、凄いじゃないか!」 パーティー開始から数十分後。 そこそこお酒が入った事と、この環境に慣れてきたこともあり、次第にパーティーは盛り上がりを見せてきた。 そんな中、一つのグループが一際目立った盛り上がり方をしている。 そのグループの会話が、カウンターの中で忙しく働いているティファの耳に届いたのは、彼らがカウンター近くにいたから…という単純な理由からだけではなく、どうにも鼻に掛かる女性の声が耳について離れないからだった。 自分の親の自慢話から始まり、これまで恵まれてきた環境で育った事をやたらと媚を売る口調で自分の周りにいる男性に語って聞かせていた。 彼女の周りにいる男性陣も、彼女の話しに大いに乗り気になって聞き役に回っている。 その構図はどう見ても、『逆玉の輿』を狙った下心満載の狼達と、そんな狼達にちやほやされてご満悦の世間を知らないお嬢様。 『子供達には絶対に見せられないわ!!』 世の中の……大人の汚い一面がそこにはあった。 ティファはなるべくそのグループの会話を聞かないようにと、一層仕事に精を出した。 「それで、君って本当に彼氏、いないの?」 「ええ…だって、私ってこんなだし…。ちっとももてなくて…」 「こんなって!君って本当に謙虚なんだか無自覚なんだか…」 「そうそう!本当に君って綺麗だよ!」 「なんなら、僕とどう?」 「おい待て!俺が先に声かけたんだぞ!」 「あ、待って下さい。お願いです、私の事で喧嘩しないで…」 一つの小さなグループの会話が聞えてきた。 しかも、中々どうして、不穏な空気が流れているじゃないか。 もしも、店内で喧嘩でも起こったなら、ティファは黙ってみているつもりは無かった。 長年かけて鍛えてきたこの腕で、そのお客様方にはご退場願うつもりだ。 ティファは、料理の手を止めてその声のした方を見た。 そこには、清純そうな顔をした中々の美少女が、オロオロと三人の男性の間に立っており、男性達はどうやら彼女を巡って言い争いをしている様だ。 お酒も入っているし、何より目の前には可憐な美少女がいる。 ここで自分の『男らしさ』を見せつけ、彼女と『オトモダチ』になりたいと思っているのだろう事は明白だ。 ティファは、そのグループを諌めるべく、そして、困りきった彼女を助けるべくカウンターから一歩踏み出した。 そして、そこで見てしまった…。 可憐と思われていた美少女が、困惑したようにオロオロしていたその僅か一瞬の隙に、『ニヤリ』と微笑むのを…。 …………。 ……………。 見なかった事にしましょう…。 もしも本当に殴り合いにでもなったら、その時にこそ鉄槌を下せばいいだろう…。 ティファは、フッ…と空しい笑みを漏らすと、再び料理に取り掛かったのだった。 それから、結局その男性達は殴りあいになる事もなく、美少女を間に挟んだまま楽しげに(表面上は)過ごしてくれた。 お陰で、ティファは自慢の『腕』を振るう事もなく、次々とメニューを仕上げていく事が出来たのだって。 そして、何品目かの料理を運んでいると、突如、黄色い声がティファの耳を貫いた。 「え〜、本当ですかぁ!?」 「うそ〜!絶対にそんなの信じられな〜い!!」 両手が大皿で塞がっている為、耳を塞ぐことの出来なかったティファは、モロに耳にダメージを受けて顔を顰めた。 反射的にその声のした方へ顔を向ける。 そこには、薄茶色の髪を短くまとめ、スラリとした背の高い中々な美男子が、多くの女性に囲まれてにこやかに立っていた。 『あれ…?あんな人、最初からいたかしら…?』 ティファは小首を傾げながら料理をテーブルに置き、代わりに空いた皿を重ねてカウンターへ戻って行った。 途中、幹事とすれ違った為、たった今思った疑問をぶつけてみると、彼は顔を顰めて溜め息をこぼした。 「ああ、彼ね。今さっき来たんですよ。仕事で遅くなったらしいんですが…」 幹事の口調からは、友好さの欠片もない。 「ひょっとして…あの人って彼女がいるんですか?」 眉を顰めるティファに、幹事はゆっくりと手を振った。 「いや…いないんですよ…。いないのがまた厄介でねぇ…」 はぁ…と、また溜め息をこぼす。 その姿から、ティファはその男が警戒していた『女癖の悪い人間』だと判断した。 見るからにモテそうな容姿に、遊びなれた雰囲気、そして、自分に自信のあるその態度…。 全てがティファの神経を逆撫でする。 『その程度の見てくれでいい気になるだなんて、とんだお笑い種ね。 クラウドの方がよっぽどカッコイイわ。 それに、クラウドの方が紳士だし。 そりゃ、鈍感なところもあるけど、そこがまた……良い所なのよね…』 現在、仕事を急ピッチでしているであろう彼の事を思い描き、自然と頬を緩ませたティファは、目の前で怪訝そうな顔をしている幹事の視線でハッと我に返ると、頬をうっすら染め上げて、そそくさとカウンターの中へ逃げ込んだ。 そんなティファに突然、 「大変そうですね。何かお手伝いしましょうか?」 たった今、心の中でこきおろしていた男が声をかけてきた。 しかも、あろうことか勝手にカウンターに入ってきている。 「ちょ、ちょっと、ここには入らないで下さい!」 びっくりしながらもムッとするティファに、その男はクスクスと余裕の笑みを浮かべた。 「イヤ、さっきから見てたんだけど、一人で大変そうだからね。何か手伝うよ、こう見えても一人暮らしで家事は得意なんだ」 そう言って、さっさと袖を捲り上げて本当に何か手伝おうとする。 カウンターから少し離れたところにいた女性達が、恨めしそうな顔をしてティファを睨んでいるのが見える。 それに、例え見えなくても彼女達の怨念の込もった眼差しなら、イヤでも感じざるを得ないだろう。 ティファは大きく一つ息を吐き出すと、ツカツカとその男に近付き、力を込めてその背を押した。 「本当に結構です。それに、今夜は折角のパーティーであなたはそのお客様。お客様にそんな事して頂くわけには絶対にいきません」 断固として拒否するティファに、男は目を丸くした。 そして、本当にほんの少しだけ、その目に苛立ちの色を浮かべた。 恐らく、自分になびかない女などいないと思いこんでいるのだろう…。 大した自信家だ。 ティファが内心そう呆れていると、男は軽く肩を竦めて見せた。 その姿も……癪だが中々サマになる…。 「確かに俺はお客だけど、あなたもこのパーティーに参加する資格があるんじゃない?」 「はい!?」 予想外の言葉に、ティファの声がひっくり返る。 ティファの裏返った声は、意外と店内に良く響き、パーティーで盛り上がっていた参加者の視線が一斉にティファに向けられた。 向けられた視線の数々に、ティファは顔を真っ赤にさせると「す、すみません」と小声で何度も謝り、次いでギンッと元凶である男を睨みつけた。 男は、ティファに睨まれても余裕の態度を崩さなかった。 そして、恐らく今のティファにはどんなに睨まれても迫力はないだろう。 顔を真っ赤にさせて上目遣いで睨まれたって、怖くもなんともないではないか…。 勿論、それに気付いていないのはティファ本人だけなのだが…。 「そんなに素っ頓狂な声出すとは思わなかったな」 肩を震わせながら笑う男に、ティファは益々顔を赤くした。 「あなたが突拍子もない事、言うからじゃないですか!」 「どこが突拍子もない事なの?」 「だから!私も参加する資格があるってことに決まってるでしょう!?」 段々声を荒げるティファを、幹事とその彼女が助け舟を出すべきかどうか気遣わしげに見守っている。 しかし、その他の面々は、このやり取りを実に面白そうに見ていた。 …一部の女性陣は、嫉妬と妬みの視線を投げつけていたのだが…。 「だって、あなたも俺達と同じ年代で、独身なわけだし。参加する資格があるでしょう?」 至極当然!と言わんばかりに言い切った目の前の男に、ティファは唖然とした。 確かに、ティファは独身だ。 養っている子供達がいるとしても…だ。 それに……クラウドとの付き合いも長いが…。 結婚しているわけではない。 だからと言って……。 クラウドと言う恋人がいる自分に『合コンへの参加』を促すとは…!!! 呆れ・怒り・放心・軽蔑……。 様々な感情からティファが口をきけないでいる間、男は実に口達者に己の事を話しだした。 「実は、俺『ティーンエッジ』って雑誌のモデルをしてるんだ。そこでモデル仲間からこのお店とあなたの評判を聞いてね、前々から興味があったんだ。 実際会ってみて、本当…噂以上でびっくりしたよ。あいつらも…あ、モデル仲間だけど、言ってたんだ。『お酒の出る店で仕事してるのが勿体無い』ってさ。色々苦労してるんだろ?酒が出る店はやっぱり物騒だしさ。それに、いくら『ジェノバ戦役の英雄』でもあなたは女性なんだから、イヤな目に合ったりする事もあるだろう? モデルの仲間が心配してたんだ。でも、初めてこの店に来た時にあなたに失礼な事を口にしてしまったって言ってて、中々会いに来辛いみたいでさ。だから今夜はあなたの様子を見てくるようにも頼まれてたんだ。 あいつらが心配してる通り、何か大変そうだし、それに何よりこんな店で汗水流すだなんて…」 饒舌な男のおしゃべりが突然途切れた。 それは…。 「デンゼル、マリン!!」 顔を真っ赤にさせた子供達が、男に向かって洗面器とバケツ一杯の水をぶっ掛けたからだ。 いつの間に下りて来ていたのか、全く気付かなかった。 子供達の怒りに満ち満ちた表情から、男の言葉をすっかり聞いていた事が窺える。 という事は、長い時間、じっと我慢していたのだろう…。 店内は文字通り、水を打ったようにシンとなった。 そんな中、子供達の荒い息と男の怒りの唸り声が響く。 「こ、このクソガキども…」 水をかけられた瞬間は、何をされたのか分からなかった男も、麻痺した脳が回転し始めると一気に怒りに駆られたようだ。 殺気だった目で子供達を睨みつける。 その視線に全く怯える事無く、デンゼルとマリンは逆に睨み返した。 「こんな店とは何だ!!」 「ここは、エッジで頑張る人達が疲れても元気になってもらえるようにって、毎日頑張ってるティファと私達のお店なんだから!!」 「それをバカにするな!」 子供達の言葉に、店内にいた面々は息を呑んだ。 こんなにも幼い子供達が胸を張ってここまで誇れるお店。 それをバカにした男に対して、こんなにも強く対峙出来る子供達…。 そんな小さな姿をした中身の大きな子供達に、その場の全員が今の自分達を振り返った。 そして……何とも言えず、気まずく、恥ずかしい思いに囚われる。 自分達に、果たしてこの子供達のように誇れる何かがあるだろうか…? そして、この子供達のように全身全霊を賭けて守ろうとするものがあるだろうか…? 「デンゼル、マリン…」 そっと子供達の前に立ち、ティファは嬉しそうに二人を抱きしめた。 「ありがとう、二人共…」 耳元で囁くティファに、デンゼルとマリンは顔をクシャクシャにすると「何だよ!俺達、怒ってるんだぞ!」「そうよ!ティファったら何にも言い返さないんだもん!!」と声を震わせた。 「うん…。だから…私の分まで怒ってくれてありがとう」 ニッコリと微笑み、身体を離す。 クルリと男を振り返り見たティファは、極上の笑みを浮かべた。 そう…。 未だかつて、誰も見たことのない様な…。 極寒の笑み。 怒りで頭に血が上っていた男の血圧が一気に急降下する。 真っ赤になっていた顔が、正反対の真っ青な顔に変化するさまは、ある意味貴重な見世物だった。 そんな男に、ティファは一歩近付く。 男は一歩、後ずさる。 「お客様…お酒が過ぎたようですね。もうそろそろお帰りになられたらいかがでしょう?」 「え…あ、そ、そう……ですね…」 しどろもどろ応える男に、更に別の声が追いつめた。 「なんなら、自慢のバイクで送りましょうか?」 「「「クラウド!」」」 声の方を振り向き、子供達とティファが驚きの声を上げた。 客達も数名が「キャッ!クラウドさん!!」と黄色い歓声を上げる。 クラウドは、居住区へ続く階段の扉にもたれて立っていた。 裏口から帰宅したのだろう。 ゆっくりとした足取りで家族の元へ歩み寄り、しゃがみこんで子供達をそれぞれ片腕ずつで抱き上げた。 「ただいま、遅くなって悪かったな」 「本当だよ!」 「もう…クラウドがもっと早く帰って来てくれてたら良かったのに!!」 唇を尖らせながら、そう言って首に縋り付いて来る子供達の頭にそれぞれただいまのキスを贈る。 その姿に、モデル男以外の全員が「ホウ…」と陶酔の溜め息を吐いた。 「ただいま、ティファ」 「お帰りなさい、クラウド」 柔らかな笑みを浮かべるティファは、もういつもの彼女の姿。 ティファの笑みに対してクラウドも笑みで返す。 子供達を抱きかかえたまま、クラウドはモデル男に向き直って再び口を開いた。 「それで?アンタ、歩いて帰れるのか、それとも俺が送ってやろうか?」 セブンスヘブンから脱兎の如く男が飛び出したのは……当然の帰結である。 その後。 何となく浮ついた気分も冷めてしまい、うやむやの内に初の『セブンスヘブンの貸切』は終了してしまった。 「本当に申し訳ありませんでした」 満天の星空の下、幹事とその彼女が何度も頭を下げた。 「いえ、こちらこそ、上手く対応出来なかったせいですし…」 彼ら二人に頭を下げられ、ティファは心底申し訳なさで一杯だった。 幹事とその彼女のせいではないというのに…。 しかし、幹事と彼女は顔を上げた時、妙に清々しい表情をしていた。 「それにしても、本当にティファさん達が羨ましいです」 「私もティファさんやクラウドさんみたいな素敵な家庭を作りたいです!!」 彼女達の最高の賛辞の言葉に、クラウドとティファは顔を赤くさせると嬉しそうに微笑んだ。 そんな親代わりの二人を見て、子供達もニッコリと笑みを交わすのだった。 「あの…また食事に来ても良いですか?」 帰り間際、不安そうに尋ねる幹事と彼女の二人に、ストライフファミリーが揃って頷いたのは言うまでもない。 「何だか…悪いことしちゃったかな…」 「何がだ?」 「ほら…、たった一人のイヤな人のせいで、私、ペースが狂っちゃったでしょ?そのせいで『合コン』が失敗したようなもんだし…」 「ティファ…」 「それに、きっと他の人達…物凄く楽しみにしてたと思うの、今夜の『合コン』。そりゃ、中にはちょっと…って言う人もいたけど、純粋に楽しんでいた人達の方が多かったのよね」 「………」 「だから、もしも今度、また今夜みたいに『貸切』のお願いがあったら…」 「それは却下!」 ティファの言わんとしている事を先読みして、ピシャリと言うクラウドに、ティファは目を丸くするとシュンとなった。 そんなティファに苦笑し、クラウドはティファのおでこを指ではじく。 「あのな、何を勘違いしてるのか分からないが、『ティファが一人で貸切に応じるのは却下』って言ったんだ」 「へ?」 「今度からはもっと前もって『貸切予約』を受け付けるようにしてくれ。配達の仕事の調節が利く様にな」 皮肉っぽく微笑むクラウドに、ティファは満面の笑みを浮かべて抱きついた。 エッジで頑張る若者達が、少しでも幸せを手に出来るように…。 そのお手伝いが出来る様に…。 セブンスヘブンの目標が一つ増えた夜だった…。 あとがき はい、何だかわけの分からない終わり方になってしまいましたね。 しかも、何だか無駄に長くなっちゃったし…(汗)。 作中で出て来た『モデル仲間』とは、『内緒…』のお話しの中のオリキャラ二人の事です。 あの二人の仕事仲間…のクセに、何て性格の悪い……(コラコラ!) ここまでお付き合い下さり、本当にありがとうございましたm(__)m |