ポトリ…。
 マリンのフォークからウィンナーが皿に落下した。
 ベチャ…。
 デンゼルのスプーンから、目玉焼きの黄身が皿に落下した。
 その様子を、クラウドとティファは、注意する事もなくただ苦笑して見守るのだった。



Mission2




「クラウド…気は確か…?」
 たっぷり時間が経ってから漸く口にしたマリンは、信じられないものを見たかのような顔をしていた。
 その隣では、デンゼルがあんぐりと口を開けたままコクコクとマリンの言葉に同意している。


「ああ、本気だ」
 クラウドの至極簡潔な返答に、マリンは次にティファを見た。
 ティファに救いを求めているのだろう。
 しかしマリンとデンゼルの期待は、ティファの苦笑によって報いられる事になってしまった。
 マリンは、ゴクン…と唾を飲み込むと、一度口を閉じ、そして再び口を開いた時には完全に諦めた顔になっていた。
「何でそう……クラウドって変なところで思い切りが良いの?」
 呆れ返った口調でそう言う娘に、クラウドは困ったように眉尻を下げると、「すまない」と一言だけ口にした。
「大体、ティファもティファよ?ティファもクラウドの意見を飲んだんでしょ?」
「…ええ、まぁね」
 矛先が自分に向けられたことに対して、少々戸惑いながらも、ティファは視線を逸らさずにコックリと頷いた。
 デンゼルは、マリンと親代わりの二人とのやり取りをあんぐりと口を開けたまま傍観していたが、ミルクの入ったグラスを一気に煽ると、大きく息を吸い込んだ。
「俺…クラウドの事これまで凄い男だってずっと思ってた…」
「デンゼル…」
 デンゼルの重々しい口調に、ティファが悲しげな顔をする。
 クラウドは、そう言われても仕方ない、と覚悟していたのだろう。
 黙って、デンゼルの言葉に耳を傾けるつもりのようだ。
 マリンは、『余計なこと言わないでよ!!』と目で訴えている。
 しかし…。


「俺…俺!!クラウドの事、本当にホンットウに!!!すっげー尊敬する!!!!」


 感極まった顔で目を輝かせる息子に、クラウドとティファはびっくりして目を丸くした。
 マリンも同様だ。
 まさか、あんな重々しい口調で語っておいて、こんなにも感激の言葉を続けるだなどと誰が思うだろうか?
 いや、この場の席にいたなら誰も思わないに違いない。
「もう!デンゼルったら紛らわしいのよ!!!」
 マリンの文句にも耳を貸さず、デンゼルは尊敬の眼差しをクラウドに向けている。
「それで!その金持ちの兄ちゃんの宝物を取り返す為に、クラウドは敵の本拠地に潜入するんだ!?いつ!?!?」
 すっかりクラウドを正義のスパイにしてしまっている。
 クラウドは苦笑しつつも、子供達が案外すんなりと許してくれた事にホッと胸を撫で下ろした。

 昨夜、ティファと遅くまで話し合ったが、結局子供達には包み隠さず本当の事を全て話すという結論を出した。
 我が家の子供達は、とても聡い。
 しかも、肝が据わっている。
 もしも、これから先、何らかのトラブルに巻き込まれるような不測の事態に陥った時、話が分かっていなければ子供達は混乱するだろう。
 逆に、話の全貌を把握していれば、もしかしたら機転を利かせて危地を乗り切れるかもしれない。
 少なくとも、無意味に不安に叩き込まれることはないはずだ。
 それに、今回の『スタールビー』を奪回するというとてつもない任務は、長期戦になるかもしれない。
 宝石を盗み出したと思われる女性の信頼を得、そして、その女性の懐に飛び込んで宝石だけを気付かずに奪取しなくてはいけないのだ。
 おまけに、彼女はかなり世慣れている。
 下手すれば、ポーカーフェイスのクラウドですら手玉に取ってしまうかもしれない。いや、その可能性が大いにある。
 昨夜、話し合った席でティファは懇々とクラウドに言った。

『クラウド…。クラウドは黙っていたらそのポーカーフェイスで何とかなると思うけど、一言口にしたらすぐにボロが出ちやうから、極力しゃべっちゃダメよ、ね?』

 クラウドは、その言葉に反論出来るだけの実績がなかった…。

「彼女のボディーガードになるのは取り合えず、考えさせて欲しいと断ってあるんだ。色々皆と話をしなくちゃいけないだろ?」
 そう言ったクラウドに、子供達は満足そうに微笑んだ。
 自分達をのけ者にせず、しっかりとストライフファミリーの一員として考えてくれている事がとても誇らしい。
「それで、いくつか確認しなくちゃいけない事がある。今からそれを順に説明するけど…」
 そこで言葉を切ったクラウドは、苦笑しながら自分の手元を見た。
「朝飯が冷め切ってしまう前に…食べるか…?」
 家族はその言葉で自分の皿に漸く意識を向けた。
 そして、冷め切る手前の朝食をいつものように笑いながら食べるのであった。



 朝食後、ティファを手伝って家族総出で後片付けを行う。
 いつもなら、朝食後はクラウドは配達の仕事、子供達は片付けの大半を終えた時点でティファからお許しを貰って友達と遊びに行ってしまうのだ。
 しかし、今日は最後まで家族揃ってのお片づけに、それだけで子供達は何だかワクワクするものを感じているようだ。
 終始、マリンは鼻歌を歌い、デンゼルはご機嫌でテーブルを拭き清める。
 クラウドは、洗い終わった皿を拭きながら食器棚に戻しつつ、時折窓の外に視線を走らせていた。
 そのクラウドの様子に、ティファは勿論気付いていたが、その事についてクラウドに声をかけることはしなかった。

 そうこうするうちに、あっという間に片付けも終わり、家族は何故か子供部屋に集合する事となった。

「なぁ…何で俺達の部屋なんだ?」
 首を傾げるデンゼルに、マリンも何か聞きたそうな顔をしてクラウドを見上げる。
 クラウドは、やんわりと微笑を浮かべると、窓を背にしてベッドに腰を下ろすと、子供達をそれぞれの膝の上に抱き上げた。
 そのクラウドから少し距離を置いてティファがベッドの端に、同じく窓を背にして腰を下ろす。
「ティファ…もう少し寄ったら良いのに…」
 マリンがキョトンとしながら声をかけるが、ティファは苦笑しただけでその誘いに乗ることはなかった。
「じゃ、話の続きをする」
 クラウドが口を開いた。



「まず、最初に覚えておかないといけない事は…、俺の配達先の金持ちの男が、家宝を盗まれたという事、そして、その事実を公に出来ないという事だ。理由は、そんな間抜けな事がバレたら、その男は社交界からつまはじきにされてしまうからだ」

 本当は、宝石を盗んだ女が、最近勢力を伸ばしてきている資産家の愛人だという事はワザと伏せている。
 そんな男女の間柄の事までバカ正直に話すこともないだろう…。

「その為、そのドロボーに面と向かって『宝石返せ』と言う訳にはいかないんだ。それも分かるか?」
 子供達は揃って首を縦に振った。
「それで、そのドロボーから宝石を取り戻す為に…俺もドロボーをしないといけないんだ…それも分かるか?」
「え!?そうなのか!?!?」
 クラウドの言葉に、さっきまで感動していたデンゼルがギョッとして身を仰け反らせた。
「何言ってんのよデンゼル…。さっきからクラウド、そう言ってるじゃない…」
 マリンが呆れた顔をするが、デンゼルは「そ、そうだっけ?」と首を捻るばかだ。
 クラウドとティファは、そんな子供達に苦笑すると、話を先に進めることにした。
「それで、そのドロボーから宝石をドロボーする為に、俺はその女のボディーガードをする事にする。それは…分かったか?」
「うん、そこは分かってるんだ」
 不安そうな顔をするクラウドに、デンゼルが胸を反らせた。
「そこでだ…。一つ大きな問題が出来てくる…」
 不快溜め息を吐きながらクラウドが子供達を見る。
 マリンは何事かを悟ったようだが、デンゼルはいま一つ良く分かっていないような顔をしていた。

「あのね、クラウド…暫く一緒に暮らせないのよ…」
「ええーー!?」
 ティファの言葉に、デンゼルは素っ頓狂な声をあげ、その声にマリンは思い切り顔をしかめた。
「何でさ!ここからボディーガードで通えば良いじゃん!!」
 口を尖らせる息子に、クラウドはポンポンと頭を叩いた。
「ボディーガードって言うのは、常に雇い主を守らなくちゃいけないんだぞ?何時から何時まで出勤します…ってなわけにはいかないだろ?」
「……そりゃ…そうかもしれないけど…」
 ワクワクしていた息子の表情が一転、暗いものになってしまう。
 マリンは、既にその事を予想していたらしく、特に表情を変える事無くクラウドとティファの次の言葉をじっと待っていた。
 ティファは、一つ息を吐くと、
「ねぇ、デンゼル…。やっぱりクラウドにボディーガード…やめてもらう?」
 と声をかけた。
 その言葉には、暗にティファも気乗りしない事が窺えた。
 クラウドは困ったような顔をしてティファを見ると、結局は何も言わず視線を床に落としてしまった。
 気まずい沈黙が流れる。

 しかし…。
「ううん。俺、やっぱりクラウドに頑張って欲しい。だって、そんな危ない事が出来るのってクラウドしかいないと思うし…。それに、俺達ならクラウドの事、いつまでも待ってられるもんな!」
 意を決したデンゼルの言葉がその気まずい沈黙を破った。
 それを待っていたかのように、マリンがニッコリ笑いながらコクリと頷く。
 クラウドは、子供達の絶大な信頼に感激し、「そうか…」と呟きながら膝に抱えている子供達をギュッと抱きしめた。
 ティファは、その光景にとうとう観念したらしく、再び息を吐き出すと、
「皆がそれでいいなら、もう反対しないわ。ただ…」
「ただ?」
 視線を移したクラウドの瞳に、不安そうな茶色の瞳が揺らめいている。
「ちゃんと…帰ってきてね?それから…私達に出来る事がもしもこれから出てきたら、絶対に躊躇せずに相談して欲しいの。何でもかんでも、自分で対処しようと抱え込まないで。…約束…出来る…?」
 不安そうなティファの瞳が、数ヶ月前の自分の家出騒動をイヤでも思い起こさせる。
 クラウドは改めて悔恨の念に襲われながらも、子供達を抱きかかえたままティファに近寄ろうとし、それを踏みとどまってグッと堪えると、
「ああ、勿論だ…。皆の事…頼りにしてるから…。いざとなったら俺の事、助けてくれよな」
 と淡い微笑を彼女へ贈った。



 さて…。
 話はまとまった。
 クラウドは最小限の自分の荷物をまとめると、フェンリルに積み込んだ。
 積み込み作業の最中は、倉庫内で独りで行った。
 そして、完全にその作業が終わって倉庫から出たところで、彼の家族が丁度店先に彼を見送りに出てきたのだった。

「行ってらっしゃい」
「気をつけてね」
「今日は帰って来れないんだろ?また電話くれよな?」
 ティファ、マリン、デンゼルにそれぞれ声をかけられたクラウドは、子供達の頭をそれぞれ軽くポンポン叩くと、ティファには実に素っ気無く、「行ってくる」と視線すら合わせずに一言言い捨てると、そのままフェンリルを走らせてあっという間に消えてしまった。
 その彼の後姿を、何とも切なげに…悲しげに見送るティファを、子供達は心配そうな顔をしてそれぞれが彼女の手を繋ぎ、彼女を引っ張るようにして店に戻って行った。

 そう…。
 もう既に、作戦は始まっているのだ。
 彼女とクラウドを見ているかもしれない(イヤ、絶対に見ている)ご近所さんに、クラウドとティファの不仲説を勝手に作ってもらう。そうして、一人歩きした噂は、尾ひれ・背びれを付けまくって大きくなるだろう。
 その時にこそ、ドロボー女が油断する時だ。
 それをこちらはひたすら待つと共に、彼女と彼女の取り巻きの信頼を得ておく必要があるのだが、その点においては恐らく大丈夫だろう…。
 何しろ、本人達はあまり名誉な事とは思っていないのだが、『ジェノバ戦役の英雄』なのだから…。
 そんじょそこらのチンピラとは腕っ節も肝っ玉も比べるべくもない。
 ボディーガードに身辺を警護されなくてはならないのなら、彼女は割と危険な環境に身を置いているという事だろう。
 という事は、彼女の危機を救い、自分を売り込むチャンスを掴むのに苦労しないかもしれない。
 イヤ、必ず手にしてみせる!!
 自分で乗りかかった舟とは言え、何が悲しくて自分と彼女の不仲説まで作り上げ、その間他の女と一つ屋根の下で暮らさなくてはならないのか…。
 フェンリルを走らせるクラウドは、固い固い決意を胸に、しっかと前を見据えて戦闘体制に入った…。



「ティファ…あの…」
 店内に戻ったマリンとデンゼルは、いつまで経っても浮かない顔をしているティファに眉を寄せた。
 もうクラウドを見送って、クラウドとティファの仲が悪くなりそうな光景を、ご近所さんには見せてある。
 だから、店内に戻った今なら、そんな悲しそうな、不安そうな顔をする必要などないというのに、ティファは一向にその表情を晴らす事無く暗いままなのだ。
「もしかして…」
 クラウドの作戦、反対だった?とデンゼルの問いかけは、ティファの鋭い眼差しの元、口にされることはなかった。
 その代わり、ティファは思い出したように微笑みを浮かべると、
「あ、そうだ。昨日、とっても新鮮な果物が手に入ったの。一緒に食べない?」
 いそいそとカウンターの中に入って行ってしまう。
 これには、流石に子供達も顔を顰め、「「ティファ!!」」と抗議の声を上げた。
 しかし、子供達の母親代わりはその抗議の声を聞かなかったかのようにカウンターでりんごの皮を剥きに掛かっていた。
 マリンとデンゼルがムスッとしているのを苦笑しながら、ちょいちょいとりんごに細工を施し、可愛いウサギりんごがあっという間に出来上がる。
「ホラ見て、二人共。可愛く出来たでしょ?」
 しかし、すっかりへそを曲げた子供達は、ウサギりんごを見ようともせずにプイッと横を向いたままだ。
 ティファは溜め息を吐くと、それを皿の上に飾り、イチゴソースで何やら可愛らしく飾り模様を描くと、今度こそどうだ!と言わんばかりに子供達の目の前に皿を持っていった。
 その皿を渋々…と言った表情で見た子供達の目が丸くなる。
 そして、パッと明るくなると、
「うん!すっごい!!」
「ティファ…天才!!」
 たちまち破顔すると、ウサギりんごを頬張り、満足の溜め息を吐いた。
 ティファも一つ口に放り込んで笑顔になる。
「う〜ん。りんごだけでも美味しいけど、こうしてイチゴソースかけるともっと美味しい!!」
「うんうん!!それにティファ、本当に綺麗に模様が描けるし…!!今度、お店でも今みたいに出したら?」
「あ、それ良いわね。マリン、ナイスアイディア!!」
 三人の笑い声が店内に明るく響く。

 その笑い声を…。
 セブンスヘブンの通りに面した数十メートル離れた車の中で、神経質そうな顔の中年の男が聞いていたのだった。

 イヤホンを耳から引き抜くと、その男はニヤッと卑しい笑みを口許に浮かべ、
「どうやら、奴(やっこ)さん。マジで女の家族と手を切るつもりみたいだな」
 と満足そうに仲間に告げた。
「そうか?まだまだ油断は禁物だと思うがな。大体、あの二人の絆はジェノバ戦役の英雄達の中でも特別だって話だっただろう。それを、うちのお嬢に奴が一目惚れ……とはちと考えが安直過ぎやしないか?」
「まぁ、そうかもしれないがな…。いずれにしろ、今のところは奴もボディーガードの話をしていないらしいからな。これからじっくり品定めしていけば良いさ」
 下卑た笑い声と共に、神経質そうな男が車のシートに身を沈める。
 しかし、相棒のガタイのしっかりした色黒の男は神経質そうな男違い、まだ安心し切れていない様だ。
「だが…俺達がセブンスヘブンの窓の外に盗聴器を仕掛けたのは、奴らが飯食って二階に行った後だぞ?その間に話をしているかもしれない…」
 僅かに引っかかっている小さな不安、疑念を口にする。
「そんな話し、小さなガキにするか?」
「………そうだな」
「それにだ…。奴も只の男だってことじゃないか?長年一緒にいた女に飽きて…、しかも配達の仕事だなんて奴には到底その価値を生かせない仕事を生業とするだなんてよ。やっぱ、『英雄』と謳われる男だからな。自分の腕を存分に振るう場が欲しいってのよ」
「…………」
 色黒の男はそのまま黙って考え込んだ。
 確かに、そんじょそこらの女や子供ならこんなに警戒することもないだろう。
 しかし、相手は『英雄』の一人で、子供達はその英雄達に育てられている普通の子供とは違う環境にいるのだ。
 だがしかし…。
 クラウド・ストライフが自分達の主(あるじ)に尽力してくれるなら、これ以上喜ばしい事はない。
 結局、小さな疑念を頭の隅に追いやると、色黒の男は車のエンジンを吹かせて走り出した。



 まさに、その車が走り去った時、スモークガラスの貼られた車が走り去るのを店の陰から窺っていたのは、『英雄』の一人、ティファ・ロックハート。
 盗聴器が仕掛けられる可能性を、昨夜のうちからクラウドと充分に話しこんでいたのだ。
 盗聴器が仕掛けられるとしたら、深夜、自分達が寝静まった後か、朝食後に家族が席を外した時。
 クラウドとティファは、後者を選んだ。
 何故なら、自分達はこれでも『英雄』と称される人間なのだ。
 夜の暗闇に乗じてコソコソ何かを企んでいる連中に対する気配を察知する自信はあるし、それは相手も知っているだろう。
 そこで、今朝、ワザと子供達を伴い、子供部屋で話をしたのだ。
 案の定、自分達が一階の店内から消えるのを今か今かと待っている気配がビシビシと伝わってきていた。
『もう少し上手くやれば良いのに…』
 ティファとクラウドは、苦笑するのを必死に堪えていた。
 そして、今。
 怪しげな車が店の数十メートル先から去っていく。
 そっと店の外の窓枠の下を覗くと、カウンター近い窓の下に一つ、怪しい突起物を発見した。

『本当に…バカねぇ〜…』

 ティファは苦笑すると、物音を立てないよう気をつけながら、そっとその場を離れて店内に戻った。
 子供達は、いつも通り元気一杯で、
「じゃ、遊びに行って来ま〜す!」
「それじゃ、お昼ご飯には帰ってくるからな!今日はチャーハンが良い!!」
 と、昼ご飯のリクエストをちゃっかりすると、満面の笑みで手を振りながら外へ駆け出していった。
「行ってらっしゃい!気をつけてね!!」
 手を振るティファに見送られた子供達は、いつもの公園に着くと、興奮しきりに囁きあった。
「まさか、もう盗聴器が仕掛けられてたなんてな…」
「うん。良くティファも気付いたよね…」
「それにしても、ティファって物凄く肝が据わってるよな。そりゃ、確かに腕っ節は凄いけどさ〜、普通はもう少しビビッたりするんじゃないのかな…」
「うん。でも、ティファの機転、カッコ良かったよね!まさかイチゴソースで『盗聴器が仕掛けられてるから要注意v』だなんて!」
「うんうん!!俺、クラウドとティファの足を引っ張らないように気をつけないと!!」
「うん!頑張ろうね、デンゼル!」
「おう!」



 女ドロボーとストライフファミリーの第一回戦。
 勝者、ストライフファミリー。




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