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思いがけずに一人旅 13一方それより三十分程経ったゴンガガ村では…。 無事にシャインを母親の元に送り届けたクラウドとクラウンの姿があった。 「本当に……何とお礼を言って良いのか…」 両親の病室の前で涙を流しながら深々と頭を下げるスーンに、彼女の背後には彼女の両親の友人達までもが頭を下げていた。 その思いがけない人数に、クラウドとクラウンは揃って首を横に振る事しか出来なかった。 ティファがゴンガガ村を出立してから小一時間ほど経っている。 クラウド達がシャインを送り届けてくれる事をその間、すっかりスーンから聞いていたスーンの両親の友人達は、それはそれは二人に感謝した。 自分の親友の家族の恩人は恩人! そう言って、「是非にもお礼を!!」「ご連絡先とお名前をお聞かせ下さい」と申し出る村人達にクラウドは何と断って良いのか途方に暮れた。 しかし、意外にもその窮地を救ってくれたのはスーンだった。 彼女はティファとクラウド達が何やら事情を抱えており、急いでいるという事をちゃんと分かってくれていたのだ。 残念がる村人に簡単に説明をし、すぐに病院を後に出来る様、その場から「お見送りしてくるから、お父さんとお母さんをお願いします」と、頭を下げて連れ出してくれた。 病院内を少々小走りで歩く再中も、スーンは涙が止まらないようだった。 勿論、シャインを無事に届けてくれた感謝の念もあるのだが、それよりも両親への贖罪の念に駆られての涙だろう。 シャインは、涙を流している母親の姿にショックを受けているようだが、それでも一緒に泣き出したりはしなかった。 しっかりと母親の首に両腕を回して抱きついている。 シャインも、強くわが子を抱きしめていた。 本当ならもっとゆっくりと慰めや励ましの言葉をかけるべきなのだろうが、こちらも事情が事情なだけにゆっくりしていられない。 スーンの好意に感謝しつつ、二人は病院の前で母子と別れた。 「本当に……ありがとうございました。このご恩は一生忘れません!」 「いえ、気にしないで下さい」 「ご両親を…お大事に……」 クラウドとクラウンの言葉に、スーンは何度も頷きながら二人を見送った。 村の外に待たせていたヘリに乗り込み、すぐに出立する。 シャインが一生懸命小さな手を振って、 「お兄ちゃん達、本当にありがとう!!」 そう叫んで別れを惜しんでくれたのが、クラウドの心に温かく染みた。 あっという間に眼下に小さくなるゴンガガ村に、クラウドは目を細めていつまでも見つめていた。 「クラウドさん?」 躊躇いがちに声をかけるクラウンに、クラウドは魔晄色に染まった瞳を若い隊員に向けた。 「俺の親友の……故郷なんだ」 かみ締めるようにそう言ったクラウドに、クラウンは「そうですか…」と、たった一言を口にするだけで、それ以上追求はしなかった。 クラウドにはその心遣いがありがたかった。 根掘り葉掘り聞かれて気持ちの良い話ではない。 ザックスとの思い出は……そんなに簡単に口に出来るものではないのだから……。 「それにしても……ティファはもうシエラ号と合流したんだろうか……?」 「多分もうそろそろだと思います」 すぐにクラウンがそう答え、クラウドはびっくりして「そ、そうか……」と相槌を打った。 そんなクラウドに、クラウンが怪訝そうな顔をする。 何故クラウドがびっくりしたのか…。 それは、プロペラ音でうるさいヘリの中であるにも関わらず、呟き程度にしか出さなかった自分の声をこの若い隊員がしっかりと聞き分けたからだ。 クラウドは、隣に座っているこの若い隊員がどれほど優秀な人材であるのかを改めて感じさせられた。 今の呟きも、別にクラウンに話しかけたのではなく、ただの独り言だったのに……。 『リーブは本当に良い人材を手に入れたな』 苦労性の仲間がこうして優秀な人間を隊員とする事が出来て本当に良かった…。 これで、少しはリーブの負担も軽くなるだろうし、彼が目指している『世界の復興』と『星に害をなすありとあらゆるものと闘う』という使命を果たす事が出来るだろう…。 しかし…。 仲間が優秀な人材を手に入れた事を喜ぶ反面、言いようの無い『違和感』を感じていた。 何となくこの隣に座っている若い隊員と、どこかで会った様な気がするのだ。 まじまじと褐色の肌をした鳶色の瞳の青年の横顔を見つめる。 すっと通った鼻筋に濃い眉。 切れ長な瞳は長い睫で覆われており、文句のつけようのない美青年だ。 『……やっぱり……会った事ないよなぁ……』 心の中で首を捻るクラウドと、クラウンの視線がバチッ!!と音を立てて合わさった。 クラウドの視線に当然気付いていたクラウンは、何とも落ち着かない気分に耐えられなくなったのだろう。 「あの……何か俺の顔についてますか……?」 恐る恐るそう尋ねる隊員に、 「あ、ああ……いや………………すまない…」 クラウドもジロジロ見ていた事に対して妙に気恥ずかしくなってしまい、口篭もりながら謝罪の言葉を最後に口にした。 「……いえ…特に無いも無いなら良いんです…」 「何も無い!うん……気にしないでくれ……」 「……そうですか……?」 「…………ああ…」 ぎこちない会話の後、沈黙が流れる。 ヘリのプロペラ音が耳に響き、不快なことこの上ないのだが、それでも「シーーーン……」と静まり返ってしまう事を考えるとまだマシだ。 と…。 ピピッピピッピピッピピ……。 クラウンの携帯が鳴った。 素早くポケットから取り出し、今の所在地とこれまでの現状の結果(シャインを送り届けた事)を報告する。 その隊員の隣で、クラウドは葛藤していた。 クラウンはヘリの音でも独り言が聞えるほど耳が良いので、携帯での会話も問題ないだろうが、自分はどうだろう…? 本当は、直接子供達の声が聞きたくて堪らなくなっていたのだ。 それに……。 彼女ももしかしたら合流しているのかもしれない。 それなら、彼女の声を聞けるチャンスだ。 もう、『謝罪するなら顔を見てから』とか『メールだと彼女に自分の誠意が伝わらないかもしれないし、失礼になるから…』と言い訳をして逃げるのは止めにしたかった。 イヤ、もう止めると決めたら即決断。 今こそ、自分の反省している事を伝えて彼女に許しを請わなくては!!(← もう完全に誤解しておかしな方向へ思考が流れてます) クラウンがリーブと話している間中、クラウドは耳を最大限に澄まして、クラウンが切ろうとしたらすぐに代わってもらえる様に待ち構えていた。 しかし…。 「クラウドさん、デンゼル君とマリンちゃんが代わって欲しいそうでう」 いとも簡単に、クラウドの意気込みは肩透かしを喰らった。 「え……?」 「あ、聞えませんでしたか?デンゼル君とマリンちゃんが…」 「いや、そうじゃなくて……二人共俺と話をするの……嫌がってないのか……?」 「???嫌がってないと思いますよ……。今でもこの電話の向こうでなにやら電話の取り合いしてるみたいですし……」 クラウンのその言葉に、クラウドは差し出された携帯をひったくった。 「デンゼル!?マリン!?」 『あ!クラウド~!!』 電話に出たのはデンゼルだった。 いつも元気一杯で明るい声をしているというのに、携帯から聞こえる息子の声は恐怖で一杯だった。 涙声になっているデンゼルの声に、クラウドは真っ青になった。 「だ、大丈夫か、何かあったのか!?ああ、いや、ドラゴンに追いかけられてるのは知ってる。他に…怪我をしてるとか……」 パニックになりながら、プロペラ音にデンゼルの声を掻き消されないよう、必死に聞き耳を立てているクラウドに、 『うん……大丈夫……誰も怪我してない……』 切れ切れに聞える息子の涙声が胸に突き刺さる。 『あ、マリンが代わって欲しいって言ってるから代わるな?』 デンゼルのその言葉が聞え終わるかどうかの速さで、今度は、 『クラウドー!!ふぇぇえええん!!!』 というマリンの泣き声が聞こえてきた。 「マリン…大丈夫か?」 『うん…だいじょぶ……。ひっく…」 普段、これまた元気一杯な娘の泣き声に、クラウドはもう頭が真っ白、どうして良いのか分からない。 「マリン、今そっちにティファが向かってるだろう?」 『うん……ひっく……あと十分くらいで……っく…着くって……リーブさんが……言ってた……』 しゃくり上げて一生懸命話すマリンの声に、何やらバレットの『どうしたんだ、マリン!!』という慌てた声が混ざって聞えてくるが、それは勿論無視をする。 「どうした?何かあったのか?」 ヘリのプロペラ音に負けないよう少々大声になりがちだが、それでも何とか優しい声になるよう気を使いながら、泣き声の娘へ話しかける。 マリンは一生懸命泣くのを堪えようとしているのだろう…。 何度か深呼吸している息使いが聞えてきた。 『あのね……ごめんね……。クラウドの声聞いたら、なんか物凄く安心しちゃって…………』 その言葉に、クラウドの胸が締め付けられた。 今朝、あんなにもみっともない姿を晒してしまったのに、こんなにも自分を頼ってくれている。 そんな子供達にどうしようもない愛しさが込上げてきて、何だか視界がぼやけそうになる。 「マリン……ごめんな……」 何とかそれだけを口にしたクラウドに、 『ううん!クラウドの声聞けて元気でた!ありがとう、クラウド!!』 マリンが明るくそう答える。 そして、『デンゼルに代わるね』と言ってすぐ、 『クラウド……』 デンゼルの照れたような……どこか不安そうな声が耳に届いた。 「デンゼル……今日は本当に悪かった」 心の底からの謝罪。 デンゼルはマリン同様、それに対して、 『良いんだ。だってクラウド、今日の為に無理してきただろ?疲れてイライラするなんて当たり前じゃん!』 そう明るく、元気に答えてくれるのだった。 『それにさ……』 「ん…?」 子供達の優しい言葉の数々に、どうしようもなく胸が一杯になっているクラウドに、デンゼルが話を続ける。 『俺もマリンも、今朝の事くらいでクラウドの事、嫌いになんかならないからな!だって、クラウドが俺達を喜ばせようと一生懸命頑張り過ぎたせいで…あんなに毎晩疲れて帰って来てさ…。俺、クラウドのそういう約束を守る為に頑張る姿……本当に尊敬してる!』 「………デンゼル……ありがとう……」 『へへ…』 胸が一杯になり過ぎて、たった一言口にするだけでもう何も言えない。 あやうく涙が出そうになるクラウドに、デンゼルの照れ笑いが耳に温かく届く。 そして、 『じゃ、リーブのおっさんに代わるから。あ、その前にさ、ティファだけど…』 ティファ……という言葉に、一瞬身体が強張る。 『ティファ…クラウドの事、全然怒ってないぞ。それどころか、ティファが怒ってる…ってクラウドが思い込んでる事をすっげー心配してた』 その言葉に……。 クラウドは全身から力が抜けた。 怒ってない…? ティファが…? それどころか……。 俺が『ティファが怒ってる』って思い込んでいる事を心配してる……? 『じゃ、リーブのおっさんに代わるな』 そう言ってデンゼルからリーブに代わったのだが、リーブの声が全く耳に入らない。 『もしもし?クラウドさん??もしもーし!!!』 放心状態のクラウドから、隣に座っていたクラウンが携帯をそっと取り上げて代わりに応対する。 「すいません、クラウドさんは何やら今、話しが出来る状態でないので代わりに私が…」 そう言っているクラウンの声も、何やら別世界で誰かが話しているようにざわざわと聞えてくるだけだ。 デンゼルから告げられた真実に…。 クラウドはようやく心の底から安らいだ気持ちに包まれた。 「はい、ではそこへ向かいます。はい、失礼します」 携帯を切ったクラウンは、パイロットにリーブからたった今指示されたポイントへ向かうよう伝えると、隣に座っているクラウドを見た。 そして、 「やれやれ…。本当に世話の焼ける人だよなぁ……」 呆れたようにそう呟きながら、後ろのシートに常備している毛布をそっとクラウドにかけた。 窓にもたれるようにして座るクラウドは、何とも言えない幸福そうな顔をしてぐっすり眠っていた……。 クラウドとクラウンのヘリが、目標地点に到着するまで…。 あと約二時間半…。 そうして…。 クラウドが子供達と電話を終えたその直後、ティファの乗ったヘリがシエラ号に収容された。 「「ティファ!!」」 「デンゼル、マリン!!」 自分に駆け寄り、思い切り抱きついてきた小さな子供達を、ティファは強く抱きしめた。 「本当に……色々ごめんね?」 「ううん!ティファが無事に来てくれて本当に…本当に……」 満面の笑みを見せていたマリンの大きな目に、みるみるうちに涙が溢れてきた。 ポロポロと涙をこぼすマリンに触発されたのか、デンゼルも顔をクシャリと歪めて、顔を背けた。 そんな子供達にティファは堪らない気持ちになった。 クラウドと自分が子供達に心配をかけてしまったこと…。 未知のモンスターに追われるという心細い思いをしている時に傍にいてやれなかったこと…。 そのほかにも沢山、子供達には今回辛い思いをさせてしまった。 この『新種のモンスター』問題が解決したら、私は……いや、私達は子供達に償いをしなくてはならない。 その為にも…。 私達三人を囲うように集まってきた仲間達を見た。 皆、それぞれ嬉しそうな…ホッとしたような……どの顔も温かな笑顔に満ちていた。 私はゆっくり子供達から身体を離すと、一歩前に出て皆に向かって深く頭を下げた。 「ちょ、ちょっと…ティファ…」 「おいおい…頭下げるのはティファじゃないだろうが…?」 「あぁ…落ち着かねぇ!!頼むから頭上げてくれ!!」 「ティファ、お願いだから~」 「………ティファ、気にするな」 仲間の皆は、それぞれの言葉で私に頭を上げるように言ってくれた。 それでもティファは、そのまま頭を上げる事無く口を開いた。 「今回は、私とクラウドが至らないせいで本当にごめんなさい。デンゼルとマリンも本当に…ごめんなさい。これからは皆に心配かけないよう、もっと………頑張るから……だから……これからもよろしくお願いします」 そう言って顔を上げたティファの目に、仲間達皆の顔が真っ赤に染まっているのが映ったのだった。(ヴィンセントは僅かに横を向いて顔を隠してる) 「へへへ…何かくすぐったいな」 頬っぺたを掻くユフィの隣で、ナナキが尻尾をファサファサと振りつつコクコク頷く。 「ま、俺達は仲間だから当然だ。だからよ…気にすんな」 「そうですよ、ティファさんもクラウドさんももう少し私達を頼ってくれたら良いのに」 「おう、ま、そこが二人の良いところでもあるんだろうけどよぉ…。ちょいと寂しかったりもするしな」 「………というわけだ。気にするな」 仲間達の温かな言葉に、ティファは涙で滲む瞳を真っ直ぐに上げ、満面の笑みを浮かべたのだった。 「ところで…。状況はどうなの?」 操舵室に移動し、スクリーンに目を移す。 皆、それまでのほんわかした表情を引き締め、スクリーンを睨むように見た。 相変わらず状況は芳しくない。 せめてもの救いは、ドラゴンがシエラ号以外に興味を示していないという事だ。 もしも近隣の村や街、それに荒野や森に生息しているモンスターへ興味を抱いて方向転換するような事があったら、想像するもおぞましい被害が出ただろう…。 「今のところ、ドラゴンの興味はこの『角』らしきものにしか注がれていないようです」 リーブが指差す方を見やると、そこには捻じくれ曲がって『角』に見えないことも無い物体がテーブルの上に大切に置かれていた。 ティファはそっと遺物に近寄ると、顔を近づけてじっと見つめた。 これといってなんの特徴もない様な……遺物。 それがどうしてあの得体の知れないドラゴンを引き寄せているのだろうか……? 「ねぇ、今のところ、あのドラゴン以外は引き寄せてないの?」 リーブが顎に手を当てながら、 「それは確認出来てないですね。もしかしたらここまでに通過してきた大陸のモンスターが何らかの反応を示したかもしれないですが、全速力で航行しているこのシエラ号追いついているのは今のところ、あのシルバードラゴンだけです」 「そう……」 ティファは眉を顰めて再び視線をスクリーンに戻した。 スクリーンには獰猛な顔をした白銀に輝く鱗を持つシルバードラゴンの空を翔る姿。 その体躯は引き締まっており、空を翔るその様は雄大で美しくすら見えるというのに……。 「本当に……ゾッとする顔つきね……」 狂気を思わせる血の色を髣髴とさせる深紅の瞳は、ヴィンセントとは全く違う色合いを帯びている。 大きく裂けた口から覗く牙は、捻じれて曲がり、獲物を引き裂き、命を奪う凶悪さを感じずにはいられない。 チラチラと牙の間から見え隠れする二股に裂けた舌は、命ある全ての存在の魂を欲しているようだ…。 『こんな凶悪な顔つきのモンスター……今まで見た事ないわ……』 ティファは背筋に冷たいものを感じながらこれまで遭遇した数々のモンスターを思い浮かべた。 どれもこれも、愛嬌があったりそんなものとはほど遠いものだったりしているが、目の前で自分達を追って来るドラゴンほど醜く、恐怖心を煽るモンスターにあったことは無い。 『そう言えばセフィロスでさえ、醜くは無かったわね……』 二年半前の宿敵をふと思い出し、ティファは苦笑した。 「ところで、これからどうするのか具体的に決めてるの?」 仲間達に顔を向けると、皆が一様に困った表情を浮かべた。 その表情だけで答えを聞きたくない気持ちになった…。 ティファのその感情が顔に出たのだろう。 リーブが苦笑しながら口を開いた。 「実は、具体的にはまだ決めていないのですが、とりあえずあのドラゴンをミディール地帯におびき寄せる事にしました」 「え…?」 意外な答えに目を丸くするティファに、シドがタバコをくわえたまま溜め息を吐いた。 「いやな…本当はどっか広い大陸であのドラゴンと決着つけようか…とも思ったんだがよ…」 「あのドラゴン、全然攻撃が効かないんだよぉ」 情けない声でユフィが言葉を継いだ。 「攻撃が効かない……って……」 ユフィの言葉に、ティファの眉間にシワが寄る。 「言葉通りだ。一切の攻撃が効かない。私の弾丸も全てあの銀色に輝く鱗に弾かれて傷一つ付かなかった」 「……ウソでしょう……!?」 ヴィンセントが渋面で口にした言葉にティファは絶句した。 「いや…本当だ。ハッキリ言って、今まで対峙して来たどの敵とも違う。あのシルバードラゴンが何故今までその存在を確認されていなかったのも不思議だが……全てにおいて、あのドラゴンは異質だ」 「だから『新種』なのね……」 「はい。実はドラゴンにシエラ号からミサイル攻撃をしてみようか…という意見があったのですが……」 「やめたんだ。多分、効きゃしねぇからな…」 リーブに続いてシドが口を開いた。 その表情は苦々しく歪んでいる。 逃げの一手しかとれないこの状況が歯痒くてならないのだ。 「もしも……もしもそのミサイル攻撃がかわされたら…とんでもない被害が出ます。海の上で攻撃をしようか…と考えなくもなかったのですが…」 「漁師が船を出しててなぁ…。ミサイルがかわされた時に、巻き込まれる可能性が高過ぎて攻撃出来なかったんだ」 バレットが太い腕を大きく振り振り、溜め息を吐いた。 「それに、先程も言いましたがシエラ号は全速疾走しているんです。ドラゴンに標準を合わせてミサイル攻撃するのは難しいんですよ」 「それで……どうしてミディール地帯に行く事になったの…?」 仲間達の報告からティファはこれまでの状況を把握しつつ、当初の疑問にぶつかった。 全ての攻撃に対して恐らく何の効果も期待出来ない『最悪の敵』を、何故ミディールに誘導するのか…? ミディールは孤島が多く点在している。 ハッキリ言ってその一つ一つは大きくないし、ドラゴンと対峙するには不向きな地形と思われる。 「あの未知の生命体も、恐らく我々と『共通する点』がたった一つあるはずなんです」 「『共通する点』?」 リーブの言葉にティファは首を傾げた。 「ライフストリームだ」 ヴィンセントの静かな声が、ティファの耳に浸透した。 ― ライフストリーム ― 精神世界とも命の源とも言われるその流れに、『生あるもの』が直接曝された時…。 その『生あるもの』は例外なく発狂する。 そうして、『魔晄中毒』となり、最悪の場合は『死』に至る…。 モンスターがライフストリームに身を投じた場合の例を聞いた事は無いが、恐らく渦巻くその流れに逆らって再び地上に浮かび上がる事は不可能だろう…。 例え地上に戻れたとしても、人間の時同様、『魔晄中毒』に侵される事はほぼ間違いない。 ティファは二年半前の自らの体験からそう断言出来た。 「そう……ライフストリームか…。確かに有効な手段ね」 ほっそりとした顎に手を添えて感心したように呟くティファに、仲間達は微妙な表情を浮かべた。 「でも……問題がありましてね」 「問題…?」 リーブが困ったように笑った。 「『どうやってライフストリームにドラゴンを落っことすか』が決まってないんです」 「え……でも、ライフストリームにこの『角』みたいなものを落っことしたら、自然と釣られて落ちてくれるんじゃないの?」 キョトンとするティファに、それまで操舵室の片隅で黙ってやり取りを聞いていた採掘作業員達が一斉に喚きだした。 「冗談じゃない!」 「こんなに貴重な過去の遺産をライフストリームに捨てるなんて真似、絶対に許さないぞ!!」 血走った目をして鬼気迫る形相でティファににじり寄る。 完全に気圧されて仰け反ったティファに、「というわけなんですよ……」と、リーブが苦笑した。 「そんな事言ってる場合じゃないのにねぇ…」 「本当に……頑固なおっさん達だよな…」 「私、大人になったらああいう石頭な人間にはなりたくないなぁ…」 「大丈夫だって。あのおっさん達が異常なんだよ…」 「「はぁ………」」 目の前の呆れた光景に、子供達がそっと溜め息を吐いた。 その間もシエラ号は刻々と目的地に近付いていた…。 あとがき 完全にクラティ要素ないですね…(汗)。 しかも…クラ…寝てますし…(苦笑)。 では次回をお待ち下さいませm(__)m |