思いがけずに一人旅 4暫し停船していた船が再び動き始めた頃…。 ジュノンの港はちょっとしたお祭り騒ぎになっていた。 見事に船に乗り損ね、呆然としていたクラウドもその騒ぎにノロノロと顔を上げた。 視界に入って来たのは沢山の人だかり。 その人だかりが割れて現れたのは、マリンよりも小さい女の子と褐色の肌をした彫りの深い若い男性。 二人共濡れ鼠になっている。 そんな二人に沢山の人達が拍手を送っていた。 事情を知らないクラウドは、その光景に首を傾げたのだが、 「良かったよなぁ…」 「本当に!流石WRO隊員だけあるよな!!」 「あの女の子が落ちた事に気付いて、海に飛び込むだなんて…!」 「ああ!普通じゃ出来ないよなぁ!」 との人々の賞賛の言葉から、どうやら乗り損ねた船から女の子が落ち、それをあの若い男性が助けたらしいと言う事が分かった。 おまけに…。 「WRO隊員か…」 クラウドは褐色の肌の男性をまじまじと見つめた。 中々の美男子だ。 しかも若い。 あっという間に一躍ヒーローになったその隊員に、クラウドは苦労性な仲間を思い出した。 「ああいう奴が沢山いるなら、リーブも心強いよな…」 ポツリと呟くと、視線を逸らして海を見つめた。 もう船の姿は見えない。 乗船名簿を見せてもらおう、という気も起きない。 一週間の疲れがドッと襲ってきたかのような体のだるさを感じる。 ポケットに入れていた携帯を出し、ヴィンセント達に『船に乗り損ねた』という事を報告する気すら起きない。 もう…。 本当に疲れてしまった…。 と…。 「あの…クラウドさん…ですよね…?」 顔を上げると、一躍ヒーローになった褐色の肌をした隊員が目の前に立っていた。 「え…ああ…そうだけど……」 「そうですか、良かった」 何が良かったのだろう……? 軽く首を傾げるクラウドに、その隊員は背筋を伸ばして敬礼した。 「自己紹介が遅れました。自分はWROジュノン支部所属のクラウン下士官です。リーブ局長からティファさんと行動を共にしてコスタへ行くよう命令を受けてまして」 「なに!?」 クラウンの言葉に、クラウドはガバッと立ち上がった。 そして、沢山の人達の注目の的になっている事にも気付かず、クラウンの両肩をガシッと掴み、 「本当か!?本当にティファと一緒にコスタへ行くよう命令を受けたのか!?!?」 ガクガクと強く揺さぶり、鬼気迫る勢いで詰め寄った。 「あ…ああ…あの……そ、そうですが……」 その返答に、激しかったクラウドがピタッと停止する。 そうして、次の瞬間、 「アイツら〜〜〜…………」 ガックリ膝を着いて脱力した。 「え…あの……クラウドさん?自分は何か失言をしたでしょうか……?」 クラウドの奇行にオロオロと戸惑いながら、クラウンが声をかける。 それを港にいた人達が奇異な視線でもって眺めていた。 そんな多くの視線を全身で浴びながら………。 「ク、ククククク……」 突如クラウドの口から、不気味な笑い声が漏れる。 クラウンは勿論、傍観していた人々がギョッとして後ずさった。 青ざめてたじろぐ人々を尻目に、クラウドはユラリと立ち上がった。 その顔は……。 唇の両端は吊り上がっているのに目が全く笑っていないという、般若のような形相……。 傍観者数名が「ヒッ!」と息を呑み、更に数名が真っ青になって逃げ出し、数名が腰を抜かして座り込む…。 クラウドのその只ならぬ様子に、その場の気温が一気に急降下した。 極寒の雰囲気を放出しながら、クラウドが一言口にした言葉……。 それは……。 「……ユフィ………覚悟は良いだろうな………」 ゾッとするようなその声音に、その一部始終を見守っていたジュノン港の傍観者達は『ユフィ』という人物に心から同情の念を寄せた。 快晴の空の下…。 クラウドの心は暗雲がたちこめ雷鳴が轟いていたのだった……。 「ぶぇっくしょい!!」 「…お前、仮にも女だろう?何だ、その色気もへったくれもないくしゃみは……」 「ううう……何かすっごい寒気が……」 派手にくしゃみをしたユフィを、シドが呆れた顔をして見やった。 丁度食堂で昼食を摂り終わったところだったので、くしゃみの被害に合った者はなかったのがせめてもの救いだろう…。 ユフィは、肩を抱きしめながら「うう…なんだろ…すっごく嫌な予感がする」とブツブツ言いながらブルルッと身体を震わせた。 「それってさぁ…」 遠慮がちにデンゼルが口を開く。 「んあ?なに?」 鼻をぐずぐずさせながらユフィが興味なさそうに相槌を打つ。 「それって……やっぱり計画が上手くいかなかったっていう『虫の知らせ』じゃないの?」 「ゲッ!!なんつぅ恐ろしい事をサラッと言うお子様だ!!」 ギョッと顔を引き攣らせて仰け反るユフィに、 「ん〜、私もそう思う……」 マリンが追い討ちをかけた。 「マ、マリンまで……」 ピクピクと頬を引き攣らせるウータイの忍に、ナナキがそっと溜め息を吐いた。 「だから…止めとこうって言ったのに…」 「……自業自得だな……」 ボソボソっと上がる非難の言葉に、ユフィは顔を真っ赤に怒りだした。 「もう、なにさ〜〜!!言っとくけど、ナナキもシドもバレットもデンゼルもマリンもハッキリ止めなかったじゃん!!おまけに、ナナキとヴィンセント以外は案外ノリノリだったじゃんか!!」 ギャンギャン喚くウータイの忍に、子供達とジェノバ戦役の英雄達、それにクルー数名が耳を塞ぐ。 「ユフィ…分かってるってば…。もしもユフィが怒られる事になったら、オイラ達も一緒に謝るから…」 前足で耳を押さえつけながら辟易したようにナナキが宥める。 「当然でしょうが!!連帯責任だよ連帯責任!!」 「ゲッ、俺もかよ!?!?」 バレットがギョッとして椅子の上で大きく仰け反った。 それを見たマリンが「父ちゃん……」と、情けなさそうに項垂れる。 「あったり前でしょう!?それに、言っとくけどリーブだって責任あるんだからね!!」 ドキッパリと言い切るユフィに、「無理やり巻き込んだクセに……」とデンゼルが呆れたような顔をした。 他の仲間達は言いたい事が山ほどあるのだが、子供達よりも長い付き合いの中で培ってきた経験から、これ以上ユフィに言う者は誰もいなかった…。 『『『『言っても無駄』』』』 ボーンビレッジに着く遥か手前で既にドッと疲れた英雄達一行は、現地で待っているWRO局長にそっと合掌したのだった。 自分の知らないところで勝手に共犯扱いにされ、連帯責任を負わされる事に決まってしまったのだから…。 「計画がバレタとして…」 「コラ!!勝手にバレタって話しにするな〜〜〜!!!」 ナナキが隣に座っているヴィンセントに小声で話しかけた言葉を耳ざとく拾い上げたユフィが抗議の声を上げるが、ナナキは首を竦めるだけで無視すると、 「せめて、クラウドとティファが仲直りしてボーンビレッジに来てくれたら良いのにね…」 と、言葉を続けた。 「ああ…。こんなに心労を負わされたんだ。少しくらい報われても良い筈だ……」 盛大な溜め息を吐きつつ、ヴィンセントはガックリと肩を落としてウータイのお元気娘を見やるのだった…。 シエラ号がボーンビレッジに着くまで、あと三時間…。 「それで……これからどうしたら良いのかしら…」 ユラユラ波に揺られながら航行する船の上…。 ティファは甲板に出て風を頬に受けながら一人ごちた。 同行する筈だったクラウン隊員とは、出港早々に離れ離れになってしまった…。 まぁ、この場合は仕方ない。 むしろ、女の子が海に落ちた事にティファや他の人間は全く気付かなかったのに、いち早くそれに気づいて我が身を省みずに海に飛び込み、そうして小さな命を見事に救った彼の行いは実に尊い。 こんなにも行動力に富み、機敏な反応を持っている人間がWROに所属しているという事は、リーブにとって非常に大きな喜びであろう。 だから、今回のアクシデントによってユフィの言っていた計画通りにいかなくなったのだが、それは仕方ない。 むしろ、隊員と女の子の命が無事だった事を一緒に喜んでもらいたいくらいだ。 しかし…。 「これからどうしようかなぁ…」 もう一度一人呟きながら溜め息を吐く。 目の前に広がる大海原は実に雄大で、いつもの自分なら見とれているはずなのに…。 どうにも気分が下がり気味だ。 ポケットに手を入れ、携帯を取り出す。 電源は切ったままだ。 クラウン隊員と離れ離れになってしまった事をユフィに連絡すべきかどうか迷いつつ、まだ連絡していない。 何となく…。 気分が落ち込み気味な為か、元気一杯のユフィの声を聞く気力が湧いてこない。 こんな事は今までなかった。 むしろ、自分が元気がない時にはユフィの元気な声を聞く事によって元気を分けてもらっていたくらいなのに…。 「はぁ……」 もう何度目か分からない溜め息をこぼし、ティファは柵に寄りかかった。 すると…。 「もしもし。そんなに浮かない顔をしてどうしたんですか?」 「え…?」 横から突然声をかけられた。 少々放心状態だった為、自分に向けた言葉だと認識するのに時間がかかる。 視線と人の気配を間近に感じ、漸く自分に向けて言われたのだと理解すると、ティファはキョトンとした顔で振り向いた。 そこには若い男性が『何とも言えない』笑顔で立っていた。 何故『何とも言えない』なのか…。 それは、あまりにもその笑顔が作り物だったからだ。 正直…。 見ていて不快になるというか、背筋が寒くなるというか、全身にむず痒〜い感触が走るというか…そんな感じ。 ティファはこの手の笑顔を見慣れていた。 お店に来る客の中で、ティファを何とか振り向かせようと躍起になる男達と同種のものだ。 そして、そういった客の大半がクラウドが以前家出をした事を『ダシ』にして、彼の悪口を口にし、『自分ならそんな無責任な事はしない』だの『彼は男として最低だ』だのと知ったような顔をして最低な言葉をティファに聞かせた。 しかし、今ではそういった類の男は来ない。 問答無用で子供達とティファ、時には常連客が叩き出したからだ。 『あぁ…何か久しぶりに見たかも…。こういうイヤな笑い顔…』 心の中で呟いた声は、そのままティファの顔に出る事はなかった。 長年培ってきた『接客業』が、無意識に『仮面』を被らせた。 その為、目の前の男性は自分をティファが拒否していないと判断した。 気色の悪い、媚びたような笑顔を更に色濃くする。 「君みたいに綺麗な女性が一人で船旅かい?」 「はぁ…まぁ…」 曖昧に答えながら、ソロソロと足元に置いていた荷物に手を伸ばす。 男性はその手にそっと自分の手を伸ばしながら更に声をかけた。 「もしかして…傷心旅行…とか?」 うっかり男性に手を握られそうになり、ティファはサッと荷物に伸ばしていた手を引っ込める。 そして、引き攣った笑みを浮かべると「いえ……別に…」と口篭もりながら、足元の荷物を足で後ろへ押しやりながら、自身も少しずつ男性との距離をとろうと図る。 しかし、目の前の男性は何を思ったのか、一人で訳知り顔に「うんうん、分かるよ、君の気持ち」と頷きながら、ティファに近付いてくるではないか。 ティファが半歩後ずされば一歩近付き…。 ティファが一歩後ずされば二歩近付く…。 そんな感じで確実に距離を縮められ、ティファはあっという間に甲板の端に追いやられた。 その間も男性は、 「傷心旅行…。それは一人で傷ついた心を慰める旅…」 「しかし、こんなご時勢で一人旅…ましてや女性の一人旅は非常に危険だ」 「君の心を傷つけた愚か者の為に、君が命を賭けて旅をするなど…そんな事、神が許しても僕が許さない」 「君は十分頑張った。だから、もう良いじゃないか」 「君のように素敵な人は、いつまでも過去に囚われていては行けないよ」 「もうそろそろ、新しい恋に目覚めても良いんじゃないのかい?」 「君の新しい人生、それを僕と一緒に探してみないか?」 等々、あり得ない妄想劇場を一人で展開して見せた。 自分に酔っているその男性は、周りの乗船客達が奇異な視線でジロジロ見ている事に全く気付いていなかったが、当然ティファは気付いていた。 認めたくないが、自分までその好奇の視線の的になっている事も……イヤというほど自覚していた。 『な、なんでこんな目に合わなくちゃいけないの…!?』 ティファは泣きそうな気分になりながら、目の前に現れた変態男をどうやってやり過ごすべきか、必死に考えていた。 口説かれた経験は…自慢じゃないが結構豊富な方だ。 勿論、それは店に来るお客さん達が多く、その大半が酒が入った状態で迫ってくるので、酔っ払いとして適当に受け流す。 という訳で、『酔っ払い』の扱いには慣れている。 しかし、この目の前で自分に酔っている所謂(いわゆる)『変態さん』には迫られた事がない。 その為、どうやって対処したら良いのか分からないのだ。 今更ながら、ユフィが自分にWRO隊員の…しかも若い男性を『護衛』として付けてくれたのか分かった……とティファは勝手に解釈した。(← 実はユフィの狙いとは全然違う) 『クラウンさんがいてくれたら…』 褐色の肌をした美男子隊員。 もしも、女の子が海に落ちなくて彼がここにいてくれたら、きっとこの『変態さん』は自分に迫ってこなかっただろう。 何しろ、自分の事を『失恋の傷を癒す為の傷心旅行に出た女』だと勝手に思いこんでいるのだから……。 ここでこの変態男が手を上げたりしたら、遠慮なく叩きのめす事が出来るのに、今のところそういった行動に出る気配はない。 むしろ、ただありもしない妄想をペラペラ捲くし立て、隙あらば手を握ろう……とするくらいなので、ティファとしては鉄槌を下すべきかどうか悩んでしまう。 『だって…。私が手を先に出したら、それこそ変な噂が立っちゃうじゃない……』 こう言う時に、『ジェノバ戦役の英雄』という肩書きは本当に邪魔だ。 自分が望んでいるわけでもないのに、勝手にそう呼ばれ、憧れを持たれ、そうして憧れが一人歩きをして今では『理想の女性』とかなんとか言われるに至っている。 まぁ、そんな『一人歩きした噂』を自分が忠実に再現する気はサラサラないのだが、それでも注目されているという事実は消えるものではないわけで…。 注目されている人物が『先に手を出した!』という話が広まったりしたら、それこそ話しに尾ひれ、背びれが付きまくってとんでもなくデカイ話しになってしまいそうだ…。 いや…。 なる…絶対に『それ、絶対に違うから!!!』と目を剥いてびっくりするような話が『事実』として人々に吹聴されるようになる!! もしもそうなってしまったら、被害は子供達とクラウドにまで累が及ぶだろう。 そんな事態は絶対に避けなくてはならない!! とは言うものの…。 「さぁ!恥ずかしがらずに僕と一緒に!!」 と両腕を大きく広げて芝居がかった口調で迫るこの『変態』をどうすれば良いと言うのか!? ティファはササッと傍観している乗船客に視線を向けた。 どの客達もティファと視線が合いそうになると目を逸らす。 『……薄情者……』 ティファは溜め息をこぼした。 そして……。 「あ!!!!」 突然大声を上げて、男の後方を指差す。 男はびっくりして「え!?」と振り返り、傍観していた乗船客達も一斉にその指差す方へ顔を向けた。 その刹那。 ティファは足元の自分の荷物を抱え上げると、得意の跳躍で甲板の中程までジャンプする。 呆気に取られて男が視線を戻した時には、そこにティファの姿は無かった。 そうして、男が 「え?ええ!?!?」 と、一人オロオロしている様を、同じく顔を戻した客達が呆気に取られて見守り、次の瞬間ドッと笑い声を上げた。 そんな群衆を背に、ティファは「はぁ……疲れた……」と、深い溜め息を吐きながらそそくさと船内に戻ったのだった。 船内のカフェに入り、珈琲を注文する。 あのままロビーの椅子に座っていたら、運悪くあの『変態男』と鉢合わせするかもしれないからだ。 ここなら、海を眺めながらゆっくり座っていられるし、何より自分が今腰をかけているテーブルは二人掛け。 あの男が無理に相席をしようとしたら、その時はボーイに言って追い払ってもらえば良い。 ティファは珈琲をゆっくり飲み下し、再び溜め息を吐いた。 ゆっくり人心地着くと、どうしても考えるのはクラウドの事…。 想像したくはないが、まだ彼が怒っていたら……。 ユフィから聞かされた作戦は非常に大雑把で、 『とにかくコスタにWRO隊員と一緒に行って!コスタに着いたら連絡して!』 の一点張りだった。 その為、とりあえずコスタに着いたらイヤでも連絡しないといけないのだが…。 それにしても…。 「ユフィったら…何考えてるのかしら……」 何となくイヤな予感がしないでもない。 しかし、ユフィだけではなく子供達までもが、わざわざユフィの電話を取り上げてユフィの計画に従うようお願いいしてきたのだ。 あの場合、やはり断る事は出来ないではないか…。 「ま……悩んでも仕方ないよね…。乗りかかった船なんだもの…」 そう一人ぼやくと、残りの珈琲をゆっくりと口に運んだ。 どこまでも青く、広大な大海原が目の前に広がっている。 空には真っ白な雲と輝く太陽。 そして、真っ青な青空。 旅行に行くには絶好の日和だ。 この船旅が…一人で無かったなら…。 隣に…『彼』がいてくれたら…。 ううん。 例え、隣に誰もいなくて、まさに今、子供達もいない状態で…本当にたった一人の船旅だったとしても…。 今朝、あんな事が無かったらきっとこの絶景を見ているうちに心が浮き立っただろうに…。 クラウドは今頃どうしてるだろう? まだ仕事をしてるのだろうか…? 緊急の仕事って何だったんだろう…? 子供達の約束を反故にしてまでしなくてはならない仕事…。 きっと、クラウドにしか出来ない仕事だったに違いない。 だから、クラウドが約束を守らずに仕事をしたことについては全く怒っていない。 むしろ、そこまで彼が社会的に信用を得ているという事実がとても嬉しい。 これまで必死になって頑張ってきた彼の努力が実を結んだ証拠なんだもの。 それがどれほど大変だった事か…。 あの人付き合いの苦手なクラウドが、人と人とを結びつける仕事で信頼を得ている。 これほど素晴らしい事があるかしら? それなのに…。 『ティファはいつから俺の母親になったんだ!?』 彼の言葉が鋭い刃物のように心を抉る。 彼の苛立ちに満ちた眼差しが、身を竦ませる。 謝りたい…。 拒絶されるかもしれない。 でも。 このまま今回の件をうやむやにしてしまう事は出来ない。 そんな事をしたら、きっと後々までしこりが残り、お互いに心が離れてしまう結果にもなりかねない。 「フフ……もう、離れちゃったかもしれないのに……ね…」 自嘲気味に笑いながら、ポツリとこぼれた言葉…。 目頭が熱くなる。 ティファはカップを置くと片手で顔を覆い、周りに悟られないよう静かに涙をこぼした…。 透明の雫が、指の間からポタポタと零れる。 それは…。 もしも気付く者がいたら息を飲むほど胸が痛くなる彼女の弱った姿だった…。 あとがき ああ…。 ティファに可哀想な思いをさせてしまいました…(汗)。 こ、これからどうなるのか……!? クラウドは……そして、ユフィ達はどう出るのか!? そしてそして…。 今回のボーンビレッジの件ではちゃんとリーブの期待に皆が応えられるのか!?!? はい。 まだまだ終われません(土下座)。 どうか寛大なお心でお付き合い下さいませm(__)m |