思いがけずに一人旅 5ティファが一人、船のカフェで涙を流している時。 クラウドはクラウン隊員から今回の件について問いただしていた。 「それで、リーブから何て言われてたんだ?」 目の前で直立不動の体制を取っている青年に、ついついきつい口調になってしまう。 勿論、目の前の隊員に責める要因が一つもない事を頭の隅では理解していたし、こんなにもイライラした口調で質問する事が間違っていると分かっている。 それなのに、どうしても目の前にいる『何か』に八つ当たりしたい気分だった。 そして、目の前の生真面目な隊員は、不快な顔一つせず、どこまでも真面目に応えてくれた。 「はい。自分が局長から直々に話を受けたのはつい一時間ほどくらい前です。『ジェノバ戦役の英雄、ティファ・ロックハートさんがジュノン港よりコスタ・デル・ソルへ向かわれる為、彼女が無事コスタへ着けるように護衛せよ』との事でした。また『その際、ティファさんの恋人のように装うように』との指示がありました」 「……は……?」 クラウンの最後の言葉に、クラウドは思い切り眉を顰めてこめかみに青筋を立てた。 『一体……『恋人同士のように振舞え』ってどういうつもりだよ…』 元々穏やかではなかったクラウドの心中で、更なる嵐が吹き荒れそうになる。 それを察したのかどうか…。 クラウン隊員は再び口を開いた。 「ティファさんは容姿端麗であり、一人旅をしている事が周りの男性達によからぬ思いを起こさせる危険がある為、それを阻止するのが目的だと説明を受けております」 「あ……そう…」 クラウンの実に適切で簡潔な説明に、クラウドはホッと息を吐くと、苦労性な仲間に心中で詫びた。 そして、その苦労性な彼の背後に見え隠れするお元気娘に…。 『ユフィ……ボーンビレッジで会った時……覚悟しろよ……』 改めてお元気娘への怒りをジワジワと温めるのだった…。 ユフィが『ティファの一人旅を案じてリーブに若い男性隊員を同行するよう頼んだ』とはこれっぽっちも思っていない。 恐らく、『ティファと若い男性が一緒にいる所を目撃させる』事が目的だったはずだ。 そして、その時の自分の反応を面白おかしく、ワクワクしながら待っていたに違いない。 恐るべしクラウド・ストライフ。 流石はジェノバ戦役の英雄達のリーダー。 ウータイの忍の思惑をしっかりと看破している…。 しかし、ここでクラウドはハッと現実に帰った。 それは、勿論今朝の事…。 そもそも事の発端は自分の至らない言動にあるのだ。 子供達と彼女との約束を破ったりしなければ…。まぁ、破ったからこそ一人の青年と一人の女性が幸福になれたわけなのだが…。 しかし、それでも今朝のあの言葉と態度は……我ながら許し難い…。 落ち込んでいるであろう彼女と子供達の為に、ユフィが練った計画。 それが今回の騒動に繋がっているわけだと考えると、ユフィ一人を責めるのもどうかと思われる。 それに、恐らく今回の計画のお陰で一番心労を負わされたのは自分でもティファでもなく、お元気娘の傍にいる仲間達だろう…。 『特にヴィンセントは疲れただろうな…』 寡黙な仲間からの電話を思い出して思わず苦笑が漏れる。 「それで……さ…」 「はい?」 急に歯切れの悪くなったクラウドに、褐色の肌をした青年は軽く首を傾げた。 「つまり…デンゼルとマリンはいなかったんだな…?」 「はい。ティファさんお一人でした」 「その事について…何か言ってたか?」 「何か…とは?」 キョトンとする隊員に、クラウドは「あ〜、いや…。やっぱり良い…」と言葉を濁した。 要するに、これで子供達がティファと一緒ではない事がこれではっきりした。 きっと子供達は予定通り、シエラ号に乗っているのだろう…。 そして、必然的に今回の計画について子供達も了承済みだと分かった。 もしも子供達が納得していないままユフィが計画を実行に移したら、その時点で子供達から自分に連絡が入るはずだ。 それがなかったのだから…やはり子供達も子供達なりに……。 「怒ってるよなぁ…やっぱり…」 弱々しく項垂れるクラウドに、若いWRO隊員は何と声をかけるべきか迷い、オロオロしているのだった…。 「…という訳なんだけど……どうしよう…?」 『…………』 コスタ・デル・ソルに着いたティファは、変態男に見つからないよういち早く下船すると、とりあえずユフィに事情を説明した。 予想の範疇を遥かに超えたアクシデントに、ユフィが電話の向こうで固まっている気配を感じる。 そのまま暫し沈黙が流れ、ティファはユフィが何か言うのをじっと待っていた。 目の前には白い砂浜と青い海。 そして楽しそうに笑顔を浮かべ、腕を組んだり肩を抱き合ったりしているカップル達…。 今のティファには目の毒だ。 『…クラウドと仲直り出来たら…ああいう風に…手を繋いだりしたいな……』 これまでのティファからは考えられない大胆な願望が胸に湧く。 人前で手を繋いだりする事を未だに恥ずかしがる二人は、数えるくらいしか世で言う『カップル』のような触れ合いをしながら歩いた経験がなかった。 もっとも、クラウドも仕事で忙しいし、ティファも街を歩く場合は大抵店の買出しが多かったりして、所謂(いわゆる)デートをする機会が極端になかった事も原因の一つなのだが……。 『あ〜、ティファ…?』 ぼんやりそんな事を考えていると、漸くユフィが言葉を発した。 「あ、うん」 『あのさ…それで……』 「うん…?」 『結局…クラウドとは一緒にいないんだよね…?』 ユフィの言葉に、ティファの胸に鈍い痛みが走る。 ここに……自分の傍に……彼はいない…。 その事実に、ティファは溜め息と涙が零れそうになる。 グッと唇をかみ締め、一つ大きく息を吸い込んで、 「うん…いないよ」 そう答えた。 『そう…なんだ…。あ、でもさ、ジュノンの港でチラッとでも見かけなかった…?』 僅かな期待を滲ませるユフィに、ティファは危うく涙声になるのを必死に押さえ、 「ううん…」 と、苦労してやっと一言だけ答える事に成功した。 『……あ〜…そうなんだぁ……』 ユフィの戸惑ったような…がっかりしたような声に、胸の痛みがひどくなる。 携帯で良かった…。 顔を合わせて話をしていたら、きっと優しいウータイの忍は自分の為に怒って、悲しむだろう。 それに、こんなにも弱々しくて情けない顔を見られたくない…。 ティファがそう思っていると、何やら携帯の向こうから、 『だから上手くいくわけねぇって言っただろうが…』 『シド〜〜!!何さ、結局私だけが悪いわけ!?』 『考えたのはユフィじゃん…』 『ナナキ〜!!』 『いや、今はそんな事言ってる場合じゃないと思うな…』 『デンゼルの言う通りだ。これからどうする?』 『うう…ヴィンセントもデンゼルも…酷すぎる〜〜!私はティファの為に〜〜!!』 『いや…それは分かってるからよ。こうなっちまった時の為に他の案は考えてなかったのか?』 『あのねぇバレット…。誰が航行中の船からWRO隊員が飛び降りるなんて想像出来るのさ!!』 『いや、そうじゃなくて、計画が上手く行かなかった時の事を言ってるんだっつぅの』 『私の計画では隊員がいなくなったときの事は考えてなかったの!』 『じゃあ、とりあえず隊員さんが『いる』ことにして、クラウドがティファと一緒にコスタに行けなかった時の計画を実行したら良いんじゃないの?』 『俺もマリンの意見に賛成』 『私もだ』 『どうなんでぇ?クラウドとティファが一緒にコスタに行けなかった時の計画って何なんだよ?』 『…………』 『ユフィ…?』 等々、仲間と子供達のやり取りが聞えてきた。 ティファは携帯を耳に押し当て、仲間達のやり取りを出来るだけハッキリ聞こうと耳を澄ましていたのだが…。 『…ダメなんだよ…』 『『『『『は…?』』』』』 『若い隊員がいないと無理なんだよ〜…』 頭を抱えたようなユフィの声と、聞き返す仲間達の間の抜けた声が耳に届く。 どうやら、クラウン隊員がいないとユフィの立てた計画は達成出来ないらしい…。 一体…どんな計画だったのかしら……。 不吉な予感に見舞われながら、ティファは携帯の向こうへ意識を集中させた。 携帯からは、仲間達の戸惑った声や溜め息が漏れ聞える。 そんな中、再びユフィの声が聞えた。 『だから!!若くてカッコイイ男とティファが一緒にいるっていう設定しか考えてなかったんだよ!!』 その台詞に、 『ダアァァァーー!!!!』 『やっぱりおめぇに任せた俺達が間違ってたぜ!!』 『ユフィ…本当に頼むよ〜〜!!』 『ユフィお姉ちゃん……どうするのぉ…?』 『…俺、クラウドとティファがこれでこじれたりしたら一生許さない……』 『………ふっ……』 仲間と子供達の溜め息が零れ、雄叫びが上がった。 そうしてティファ自身も大きな衝撃を受けていた。 初めてユフィの計画が何だったのかが分かったのだから…。 ユフィ……。 もしかして、クラウドに私が他の若い男の人と一緒にいるところを目撃させるつもりだったの!?(← もしかしなくてもそうです…) あまりの事実に、ティファは眩暈がした。 もしもクラウドがクラウン隊員と一緒にいる自分を見たりしていたら…!? そう思うとお元気娘に対してフツフツ怒りが湧いてくる。 タダでさえクラウドとは気まずい状態にあるというのに、更に追い討ちをかけるような事をしてどうするのだ!! デンゼルの言う通り、もしもこんなくだらない事でクラウドとの仲がこじれたりしたら、きっとユフィを許せない。 いや、それどころかこれから先、前向きに生きる事が出来なくなりそうだ…。 「ユフィ……」 ティファが携帯の向こうでまだごちゃごちゃ言っているユフィに声をかけた。 その時、携帯の向こうで誰かの携帯が着信を告げる音が聞えてきた。 それ自体は全然珍しい事でもないはずなのに、何故か携帯の向こうで仲間達が息を飲む気配がした。 なんで…? 仲間達の誰にかかってきたのか分からないティファは、その不穏な気配に首を捻った。 そんなティファの耳に、 『……ああ………え!?………った……える………』 途切れ途切れにヴィンセントの声が聞えてきた。 着信を告げた携帯の持ち主がヴィンセントだったという事が分かり、ティファも少なからず驚いた。 無口で人付き合いの苦手な仲間に電話がかかってきたのだから…。 おまけに、どうもその電話はヴィンセントにとって驚くべき内容だったらしい。 常にない彼の焦った感情が携帯から流れてくる。 それを仲間と子供達も見守っているのだろう。 携帯からはシンと静まり返った静寂と、ヴィンセントが携帯を切る気配がリアルに伝わってきた。 ユフィが恐る恐る『誰から…?』と尋ねる声がする。 ヴィンセントが溜め息を吐いた気配がしたかと思ったその次の瞬間。 『『『『『『ええええーーーーー!?!?!?!?』』』』』』 大音量で響き渡った叫び声に、ティファは思い切り顔を顰め、目一杯携帯を耳から遠ざけた。 精一杯伸ばした手に握られている携帯からは、 『ど、どどどどうしよう!?!?』 『このバカ!!』 『やっぱりユフィの計画に乗るんじゃなかった〜〜!!!』 『ああああ、絶対に怒られるーー!!!!』 等々の仲間達の悲痛な叫び声がしっかり・バッチリ聞えてくる。 な、何があったの!? ユフィの計画に乗るんじゃなかった…ってどういう意味!?!? さっぱり状況が分からず困惑するティファを、道行く人達が不審そうな視線を投げながら通り過ぎる。 空は快晴。 波は穏やか。 風に運ばれる潮の香りが鼻腔をくすぐる…。 そんなリゾート地としては申し分ないコスタ・デル・ソルにやって来ているというのに、これ以上ない程不釣合いな重苦しい心を抱え、ティファはシエラ号に乗っている仲間達が自分の存在を思い出してくれるのをひたすら待っているのだった……。 ところ変わって、星の北に位置する大地では…。 「はぁ……」 「なんだよ、辛気臭い…」 頭を抱えるようにして机に突っ伏したリーブに、怪訝そうな顔を向ける男が一人。 「いや…本当に困ったもんです…」 「あん?」 首を傾げるその男に、リーブは苦笑しながら胸ポケットに携帯をしまいつつ仲間の名前を口にした。 その名前に、男は苦笑とも微笑ともとれる笑みを頬に浮かべた。 「あ〜、そりゃ困ったもんだな…」 「そうなんですよね。いつになったらしっかりしてくれる事やら…」 はぁ……。 再び溜め息を吐いたリーブに、「ほらよ」と素っ気無くコーヒーの入ったカップを差し出す。 礼を述べながらそのカップを両手で受け取るリーブに、男は複雑な表情を浮かべたまま、 「ま、あの二人なら大丈夫だろ…」 と、これまた素っ気無い口調で言った。 しかし、リーブにはちゃんと分かっていた。 彼が『二人』の事を本当は案じているのだと…。 「そうだと良いんですけどねぇ…」 一人ごちるようにして呟き、珈琲を口に運ぶ。 「それにしても、どれが『魔物を呼び寄せる遺産』なんでしょうかね…」 リーブの目の前には、最近発掘された『遺物』が並んでいる。 そのどれもが土にまみれ、発掘直後の状態を保っていた。 「さぁなぁ…。こればっかりは詳しく調査・分析しないと分からんな…」 「クレーズさんでも分かりませんか…?」 「あのな。見ただけで分かるわけないだろう…」 クレーズと呼ばれたその男は赤みがかった茶色い短髪をガシガシ掻きながら、リーブの隣にドッカと腰を下ろした。 このクレーズという男は、半年以上前までエッジに住んでいた。 しかし、セブンスヘブンの女店長に横恋慕してしまい、少々犯罪めいた事に着手してしまったのだ。(*詳しくは『The bonds between he and her』でどうぞ♪) その為、WROに連行されてここ、ボーンビレッジで発掘作業員として日々、肉体労働に励んでいる。 普通の犯罪者なら警察に引き渡されて監獄に入るところだが、クラウドとティファのたっての願いで公にされる事無く、こうして今日まで『遺産』と向き合う時間を送れていたのだが……。 「何でこうなっちまったんだかねぇ…」 クレーズもリーブに倣うようにしてテーブルに頬杖を着いて溜め息をこぼした。 目の前にあるのは、いずれも『モンスターをおびき寄せる遺物』として疑わしい物…。 つい三週間前に発掘した遺産達だ。 この三週間前に発掘した時から、採掘場近辺にモンスターの出没率がグンと上がった。 当時は全く訳が分からなかったのだが、誰かが『ひょっとして掘り当てたらマズイ物を掘り出したんじゃ…』と言った事により、その可能性が急浮上した。 その可能性を否定する者は、不思議と一人もいなかった。 逆に誰もが『その通りだ!!』と妙に納得したものだ。 というよりも、それ以外にモンスターの出現率が高くなった説明が出来ない。 気候も例年と全く変わらず、どこかの不埒者がモンスターを密輸してボーンビレッジ付近に放り出したという可能性もない……というか、モンスターを密輸する奇人など今日のご時勢ではいないだろう……。 何より、二年半前のジェノバ戦役では、ボーンビレッジで発掘した『ルナハープ』で『眠りの森』を抜ける事に成功した英雄達が現実にいるのだから、遺産達にどんな不可思議な作用があるのか分かったもんじゃない。 「それにしても、せめてX線検査だけでも出来たらなぁ…」 クレーズが溜め息混じりに呟いた。 リーブも苦笑しつつ「まぁ、あと少しですから…」と自分に言い聞かせるように慰めの言葉を口にした。 三週間前からこっち、発掘した遺物は全く何の検査もしていなかった。 もしも、それらの検査によりモンスターをおびき寄せる作用が上がってしまったら、とてもじゃないがボーンビレッジにいる人間だけでは対処しきれない。 それを恐れて現在は全くの手付かず状態だった。 検査は現在シエラ号でボーンビレッジに向かっている仲間達が到着してから行う予定だ。 「あ〜、全く面白くねぇなぁ…」 椅子の上で仰け反るようにして伸びをするクレーズの視界に、テントの天井が映る。 ところどころ布が薄くなっているその古びたテントに、こうしてWROの局長と一緒に椅子を並べているのがつくづく不思議だと思う。 「人生、何があるか分からねぇもんだなぁ……」 「突然どうしたんですか?」 クスッと笑いながらリーブがカップを口に運ぶ。 それに対して「いんや、別に…」とだけ答えると、 「あ〜、それにしても本当に世の中って不思議で一杯だな…」 と、再び独り言とも言える言葉を舌に乗せた。 「そうですねぇ…。こうしてアナタと一緒に珈琲を飲んでいる事も不思議の一つですね」 自分がまさに思って事をあっさり口にしたWRO局長に、クレーズはしかめっ面をして見せた。 「まったく…アンタもとことん変わり者だよな…。いい加減さっさとWRO本部に戻って他の仕事すりゃ良いのによ」 憎まれ口を叩く男に、リーブは相変わらずシレッとした顔で、 「折角ですから長い時間かけて求婚している相手に良いお返事を頂戴したいと思いましてね」 と、さらりと凄い台詞を言ってのけた。 「……本当にアンタもしつこいよなぁ…」 実は、クレーズはちょっとしたコンピューターの才能があり、それをWROで活かして欲しいと再三、リーブから誘いを受け、それらをことごとく断っている。 今回もリーブはボーンビレッジに着くなり、彼を見て開口一番勧誘の台詞を述べたのだ。 「ええ。何しろこの性格のお陰で今日まで生きてこられましたから」 「……本当に良い性格だよな……」 「フフ、母から受け継いだ大切な宝だと思ってます」 嫌味に対してもサラリとした口調で流してしまう男に、クレーズは苦笑を浮かべた。 「全く……大した宝だと思うよ…マジで…」 「ありがとうございます」 ニコリと微笑みながら、リーブはしみじみと目の前の遺産達を眺めた。 「それにしても…過去の偉人達は本当に凄いものですね…」 「ああ…本当にな」 土にまみれているというのに、どこか心を惹き付ける力を持っているそれらの遺産達…。 この遺産達のどれかが、魔物を引き寄せている。 「魔物までも虜にしてしまう遺産…かぁ…」 頬杖を着いたままクレーズがポツリと呟いた。 自分が心惹かれた……虜になった女性は……彼女だけだったのに…。 それと同じ気持ちに魔物達もなっているんだろうか…? その感情を抑える事なく、こうして日々採掘場へとやって来るのだろうか…? 心惹かれる存在に会う為に……。 そう考えてクレーズは一人苦笑した。 「ま、そんな事になったらこっちはエライ事だからなぁ…」 「はい?」 口をついて出た言葉に、リーブがキョトンとする。 「いや、こっちの事だ」 そう言って、クレーズは視線を逸らした。 『それにしても…。あの二人は固い絆で結ばれてるって思ってたのによぉ…。いい加減にきっちりケジメつけてハッキリさせれば良いのになぁ…』 この場に向かっているセブンスヘブンの住人二人を思い浮かべ、苦々しくそう心中でごちる。 リーブからクラウドとティファの件を聞いて知っているクレーズは、何とも複雑な心境だった。 「なんともはや……あっちもこっちも困ったもんだなぁ…」 「本当に…」 「「はぁ……」」 リーブとクレーズは目の前にぶら下がっている複数の問題に溜め息を吐いた。 その問題達が片付き、ボーンビレッジが元の姿……モンスターの脅威に曝されていない採掘者達で賑わうようになるのはいつの事か…。 それはまだ、誰にも分からないのだった…。 あとがき とうとう出しちゃいました……オリキャラ再びです(苦笑)。 はい…本当にすいません。 お話もほとんど進んでませんしねぇ…(土下座)。 |