思いがけずに一人旅 8深い深〜い溜め息を吐いて携帯を切ったヴィンセントに、皆の視線が集中する。 そんな中、寡黙なガンマンはボソボソと話しだした。 その内容に全員が目をまん丸にした事も……奇声を上げた事も……ガックリとうな垂れた事も……。 もはやお約束…。 ヴィンセントはこの目まぐるしく変わる状況と、いつになく話をしなくてはならない状況からの疲労からか、 『風に当たってくる…』 一言残して、操舵室を後にした。 その後姿が何とも哀愁を帯びているように子供達には見えた…。 残された英雄達と子供達…それに操舵室にいたクルー達は何とも言い難い表情を浮かべた。 クルー達は空々しく「さぁて…仕事仕事」と呟いて自分の持ち場に集中する……振りをしている。 一方、英雄達はと言うと…。 英雄の中で一番年の若いユフィが一番早く立ち直った。 「と、とにかく!!ティファのお人よしな性格のお陰で、無愛想&朴念仁野郎がボーンビレッジに来る時間が遅くなったってことだよね!!」 「ユフィ…」 「今の言葉、クラウドが聞いたら半殺しにされるぜ…?」 「おめえもいい加減懲りない奴だな…」 仲間達が呆れてお元気娘を見やる。 子供達はこの場から立ち去った寡黙な英雄の後を追いかけ、操舵室から脱出したくなった。 そっと顔を見合わせると、そろそろと後ずさる。 しかし、それをいち早く察したウータイの忍にガシッと掴まれてあっさりと退路を断たれてしまった…。 「こぉら、この薄情者なお子ちゃま達!どこ行く気だよ!!」 「イ、イタタタタ…!」 「ユフィお姉ちゃん、髪、髪が痛いって〜!!」 頭をグリグリ撫でまわされて、子供達が悲鳴を上げる。 「クラウドとティファの家族でしょうが!ちゃんと二人が仲直り出来るように助けてやろうっていう気持ちはないのか〜!?」 今度は子供達の首に両腕を巻きつけ、後ろからグイグイ締め付け攻撃をするユフィに、バレットが「こら、ユフィ!マリンになりしやがる!!」とがなったり、「バレット…デンゼルはどうでも良いの……?」とナナキが溜め息を吐いたりしたが、それでもユフィは腕を解かなかった。 「ほらほら!返事は!?」 「な、仲直りして欲しいに…決まってるだろ……!!」 「ぐ、ぐるじいよ……はなじでぇ…」 必死になって子供達がユフィの腕から逃れようと頑張るが、流石英雄と称えられるだけのことはある。 細い腕だというのに、全くびくともしない。 ユフィは二カッと笑うと、パッと子供達の拘束を解いた。 途端、つんのめって倒れそうになるのをバレットとナナキがサッと支える。 「ゴホッゴホッゴホッ!」「ゼハァッゼハァッゼハァッ!」 むせ返り、肩で息をしている子供達に、ユフィ以外の英雄達とクルー達が冷や汗を浮かべた。 『『『『『『本気で絞まってたんじゃないか!?!?』』』』』 こんな事がクラウドとティファにバレたりしたら、それこそクラウドとティファの手によって確実に星に強制送還されてしまう!! 今更ながら、子供達がユフィに絡まれている時に助けに入らなかった事を悔やむ英雄達…。 『だって…絡んでいるユフィを説得して引き離すなんて危険な真似……出来ないだろう!?』 何とも情けない英雄達だった…。 そんな英雄達の中の最年少の忍は、子供達の返事に満足そうに頷くと、 「それじゃ、張り切って『クラウドとティファのラブラブバカップル計画』を完成させなくっちゃ!!」 と両手を腰に当てて高らかに宣言した。 「……ユフィ……」 「本当にお前…懲りないな……」 「そんな計画立てたりしたから余計に話がこじれたんじゃないのか?」 「って言うか…。多分ヴィンセントさんからの話しだと、クラウドとティファって、まだお互いが怒ってるって思ってるんでしょう?」 「それだよな。だからさ、二人に連絡して、『もう怒ってないというよりも、むしろ凹んでる』って事を伝えて、本人達に連絡させれば良いんじゃないのか?」 子供達のもっともな意見に、ユフィはグッと言葉につまり、英雄達とクルー達はその意見に目を見開いた。 そして、一瞬の間が空く。 子供達は、大人達皆が何故かポカンと見ているのに、非常に居心地の悪さを感じつつ、引き攣った笑顔を浮かべて見せた。 「えっと……」 「あ〜、ごめん。ちょっと調子に乗りすぎたかな……」 自分達子供が偉そうに提案するんじゃなかった…。 デンゼルとマリンが少々落ち込みかけた時。 「流石、マリンは俺の娘だぜ!!」 「デンゼル、凄いよ〜!!」 「おう、ホントにクラウドとティファに育ててもらってる事はあるよな!!」 「「「「お見事です!!」」」」(クルー達) ユフィも珍しく何も反論しない。 デンゼルとマリンは、その賛辞の嵐にキョトンとした顔から、苦笑いへとその表情を変えた。 『『誰だって分かりそうなもんなのにな(ね)』』 小声で囁きあう子供達に気付く事無く、重苦しかった操舵室が漸くその辛い空気から脱出できたのだった。 シエラ号がボーンビレッジに着くまで後一時間半…。 一方、こちらはゴンガガ村に何故か行く羽目になってしまったティファ。 隣に腰掛けている女性は、スーンと言う。 コスタへ向かう航海中の船から、一人娘のシャインが落ちてしまい、離れ離れになってしまった母娘の母親。 彼女はゴンガガ村に年老いた両親がおり、両親とも風邪をこじらせて入院していた。 しかし、『風邪は万病の元』という諺(ことわざ)の如く、両親は肺炎を併発、肺炎から免疫力の低下、更に長期の入院により、床ずれが出来てしまい、床ずれから菌が入ってしまって炎症を起こすと言う最悪な状況になってしまったのだという。 加齢による体力の低下もその最悪な状況に陥る拍車となってしまったらしい。 最初、スーンのところに連絡が入った時はタダの風邪で二・三日の入院だ……と父親本人から連絡が入ったのだそうだ。 ところが、それから暫く日数が経っても何の連絡もない。 退院したのなら、連絡が入るはずなのに…。 電話をかけても家に誰もいないのか電話に出ない。 入院している病院に連絡をしても、『ちょっと風邪が悪化してしまって…』程度にしか看護師は伝えてくれなかった。 気にしつつもカームとゴンガガは大陸が離れている事もあって中々見に行く事が難しく、更に…。 今はまだ目立っていないが、スーンはお腹に子供を宿していた。 一人娘のシャインもまだまだ手のかかる年齢。 気にしつつも行動に移せないまま日数が過ぎてしまった。 そうして…。 衝撃の連絡が入ったのが昨夜遅く。 病院の看護師からだった…。 「もっと早く帰省していれば良かったんです…」 「そんな…ご自分を責めないで下さい」 涙ながらにそう話すスーンに、ティファは月並みな台詞の中に精一杯の想いを込めてそう口にした。 「ティファさん…と仰いましたよね…。本当に…何とお礼を申し上げたら良いのか…」 スーンはティファの手をギュッと握り締め、視線は落としたまま囁くように礼を述べた。 「困った時はお互い様と言いますし…」 「でも…。普通は見ず知らずの他人に対して、ここまで親切にして下さる方はそうそういるもんじゃありません。このお礼はいつか必ず…」 「いいえ!そんなお気になさらないで…」 慌てて首を振るティファに、スーンは弱々しく微笑むとそろそろ顔を上げた。 「本当に……『ティファ』って名前の女の人は素敵な人が多いんですね」 「え?」 言葉の意味が分からず首を傾げると、スーンはフフ…と笑った。 「だって、『ジェノバ戦役の英雄』の女性で『ティファ』って方がおられるでしょう?聞いた話では、とってもお優しくてお料理が上手だった…って事ですよ」 ティファは背中に冷や汗が流れるのを感じた。 『私がその『ティファ』です…なんて言えないわ……!』 ティファは曖昧に笑ってその場をやり過ごした。 スーンが目の前にいる自分をその『英雄』だと気付いていない事は分かっている。 恐らく、そんな事が分かっていたらエライ騒ぎになっていただろう…。 ただでさえ、彼女は情緒不安定なのだ。 身重の体をおして幼い子供と帰省する途中、その子供が海に転落するというとんでもない事故を起こしてしまった。 その上、そのわが子をコスタで待っていられないほど、実家の両親は非常にまずい容態にある。 そんな幾重にも重なった不運に情緒不安定になり、お腹の子供が危険に晒されないかという不安も大きく圧し掛かっているであろう。 これ以上、彼女の精神状態をかき乱すような事は小さな事でも許されない。 という訳で…。 『絶対に私がその『ティファ』だってバレるわけにはいかないわ!!』 妙に偏った使命感のようなものに縛られているティファだったりする。 そんなティファの心情に気づくはずもないスーンは、ゴンガガ村に着くまでの時間を埋めるように、ポツポツと自分の生い立ちを話した。 自分が田舎を嫌って村を飛び出した事。 ミッドガルに来たのは良いが、理想と現実は想像以上にかけ離れており、何度も家に帰りたくなった事。 そんな時に、今の夫と知り合い、結婚した事。 そうして、結婚三年目にしてようやくシャインを授かり、夫婦二人で大喜びした事。 シャインを連れて初めて帰省した時、殴られる覚悟をしていたのに大泣きで出迎えられた事。 それらを話したスーンは、やがて口を閉じると窓の外へ視線を移した。 いつの間にか辺りはすっかりゴンガガエリアに入っている。 独特の茂みが眼下に広がっているのが肉眼でも良く見える。 「懐かしい……」 ポツリと呟いた彼女の言葉が、ティファには力なくコロリと床に転がったような気がした。 「私……親孝行…って、結局何にも出来てないんですよね…」 「スーンさん…」 「勝手に家を飛び出して…結婚した時も両親の承諾を得る前に勝手に籍入れて…」 「…………」 「スーンを産むまで全然連絡一つしなくて……産んだら産んだで勝手に押しかけるように帰ってきて……それであっという間にミッドガルに戻っちゃって……」 「…………」 「それなのに………私に気を使ってくれて……沢山愛してくれて……」 「スーンさん……」 「子供が出来て初めて両親の気持ちが分かったんです…。どれだけ大変な想いで私を慈しんで育ててくれたのか…。でも……遅かったんですよね……」 「まだ遅くないですよ…」 「でも……」 「まだ遅くないです」 「ティファさん?」 ティファの声が低くなる。 スーンは戸惑いながら顔を上げると、そこには先程まで自分を慰める為に一生懸命だった彼女の瞳ではなく、遠い日々を思い出している目をした姿があった。 それも……。 容易に辛い何かがあったのだと分かる……そんな哀愁を帯びた瞳…。 スーンは自分ばかりが悲嘆にくれている事をその時初めて恥じた。 目の前にいるこの優しい女性は、見ず知らずの赤の他人である自分をこうしてゴンガガ村まで送るだけでなく、自分がゴンガガ村に向かえる様に幼い子供を後からちゃんと送ってもらえるよう、彼女の友人に話を付けてくれた。 こんなに『出来た人間』がいるという事が本当はどれ程奇跡に近いことなのか…。 そして…。 見ず知らずの自分にここまで親身になってくれるこの女性が、どうしてこれ程までに優しく出来るのか…… それを考えた事など……少しもなかった……。 ただ、差し伸べられた救いの手に縋っただけ。 彼女の事を、自分と同じ人間だと…そう見た事などなかった…。 ここまで優しい人になれたこの綺麗な女性は、きっと、これまでに自分以上に辛い経験を重ねてきたんだ。 だからこそ、困っている自分を放っておけなかった……。 そう……。 人は誰でも辛い事を経験して、そうしてそれらを胸に抱えて生きていく。 中には、それが重過ぎて壊れてしまう人もいるだろう。 それでも…、少なくても隣に腰掛けているこの女性は、壊れる事無く、一生懸命生きているんだ。 それなのに……。 「すいません…」 「え?」 「何か……私ばっかり辛い思いをしてる…って思っちゃって…」 何故か急に吹っ切れたような顔をして頭を下げるスーンに、今度はティファが戸惑った。 「ティファさんも……色々あったでしょうに、私だけが辛いんだ…もう何も出来ないんだ……って勝手に諦めちゃって。でも……」 ガタガタ……。 バスが揺れる。 その揺れに合わせて、スーンとティファの身体も小刻みに揺れる。 ゴンガガ村の入り口に近付いたのだ。 「まだ……。私にも…私にしか出来ない事がありますよね…?」 泣き笑いのような顔をするスーンに、ティファは精一杯の思いを込めて彼女の手を握り締めた。 「ええ…!絶対にそうですよ!!」 「……ありがとう……」 コスタから一時間半。 セスナはゴンガガ村に到着した。 「何で圏外なんだろう……」 携帯を切ったデンゼルが、首を捻りつつポケットにしまう。 もう何回ティファにかけただろう。 その度に『おかけになった電話は、電源が切れているか電波の届かない所におられる為、かかりません』という虚しいアナウンスが流れるのだ。 「ゴンガガってそんなに電波が悪いの?」 マリンが眉根を寄せながらバレットを見上げる。 「いや……あの旅の時はそうじゃなかったよなぁ…?」 「うん…そんな事なかったよね…。あの時はPHSだったけど、ちゃんと使えたよねぇ…?」 ナナキが同意を求められて同じく首を捻った。 「もしかして…充電が切れたんじゃねぇか?」 「ティファはしっかりしてるから、それはないと思うよ」 シドの意見に、デンゼルが即座に否定する。 シドは、無精髭の生えた顎に手を添えて「ん〜……ってぇと……やっぱ電波状態が悪いのか……」と呟いた。 「あ〜あ、折角仲直りさせるチャンスなのになぁ…」 乗り物酔いが復活しつつあるユフィが、床にへたり込むようにしながらぼやく。 そのガッカリした様子は、まさにその場の全員の心の中を現していた。 「こうなったら……先にクラウドに連絡する?」 マリンがそう提案すると、 「ダメだよ。きっとクラウドの事だから、俺達から話を聞いたらすぐにティファに電話するだろ?今は携帯が通じない……ってな状況だから、逆に変に誤解して絶対に落ち込むよ……」 即座にデンゼルが反対した。 「そうだなぁ…。きっと、『ティファは本当は怒ってない』って喜んで電話したのに、携帯が通じないんじゃ、ぬか喜びだよね。もっともっと奈落の底に転落しちゃうよねぇ」 ナナキが尻尾をダランと垂れて溜め息を吐いた。 容易に落ち込んだクラウドが想像出来てしまう仲間達と子供達は、同じ様にガックリと項垂れて盛大に息を吐き出した。 「あ〜…。何で本来の任務に着く前にこんなに疲れるんだよ…」 「…本当に…」 ガシガシと頭を掻き毟るシドに、ナナキが前足に顔を埋めて同意する。 「それもこれも……」 恨みがましくユフィが言葉を続けようとするのを、 「ユフィ…おめぇのせいだ」 「うぇ!?私のせい!?!?」 バレットが絶妙のタイミングで遮った。 「ユフィ……無自覚か…?」 「ヴィンセントまで!!酷い!!!!」 ヨヨヨ……と力なく泣き崩れるポーズを取って見せたが、誰もそれに対して突っ込みをいれず明後日の方を向き、本日数え切れない溜め息を再び吐いた。 案の定…。 「ちょっと〜!皆、ノリ悪すぎじゃん!!」 お元気娘がヒステリーを起こした…。 更にユフィが不満を口にしようとした時、 「艦長、目標地点に到着しました」 クルーのきびきびとした声が艦橋に響いた。 「いよっし!それじゃ、先方の誘導に従って着陸だ。おい、お前らもとっとと降りる準備しろよ!?」 「「「「「はぁい(うーい)………」」」」」 「…………」 「かぁ!!なんともやる気のねぇ奴らだな!頼むから着いたらしっかりしてくれよ?言っとくが、観光に来たんじゃねぇんだぞ?モンスター退治に来たんだからな!あと、デンゼルとマリン、採掘者達の護衛だからな!!忘れんなよ!?」 気のない返事をする子供達と仲間達、そして何も返事をしないでダルそうにする仲間にシドが堪りかねてカツを入れると……。 「「「……忘れてた(ぜ)…」」」 「そうだったな……」 「うぉい!!!」 仲間達の一言に、シドが絶妙なタイミングで突っ込み、クルー達と子供達は青ざめた。 クラウドとティファの事ですっかり本来の目的を忘れていたらしい…。 途中までは確かに『二人が仲直りをしないとモンスター退治もままならない』と言っていたはずなのに……。 『『『『や、やばいかもしれない……』』』』 スクリーンに映る出迎えの人々を虚ろに見ながら、シドとクルー達、そしてデンゼルとマリンは言い知れぬ不安に駆られるのだった…。 「お待ちしてましたよ、皆さん!」 シエラ号を下り、ひとまずWROの駐屯所兼採掘者休憩所へ行くと、リーブが笑顔で一行を出迎えた。 「こんにちは!」 「お邪魔します!!」 「やぁ、デンゼルにマリン。元気そうで何よりです」 ペコリと頭を下げる子供達に、リーブが笑顔でそう言いながら、ツツツ…と近寄ると、 「…で、どうですか?例の二人は…?」 と聞いてきた。 「あ〜…それが…」 「とりあえず、先に連絡するのはティファの方が良いと思ったからティファにかけてるんだけど……全然繋がらなくて…」 「…という事は……結局……」 「「うん…あのまま…」」 小声で交わされた会話は、三人がガックリ……と項垂れて終了した。 それを傍で見ていた他の英雄仲間は重苦しい表情を湛えており、到着早々から何とも暗雲を頭上に乗っけている。 「なんだよ…どいつもこいつも陰気臭いな…」 呆れたような男の声に、子供達がハッと顔を上げた。 そして、パッと顔を輝かせると、一様にその人物へ飛びついた。 「クレーズさん!」 「おっさん!!久しぶり!!!」 「なぁにがおっさんだ!おれはまだピチピチだ!」 デンゼルの言葉に突っ込みを入れながらも、その顔はリーブですら久しぶりに見る満面の笑顔。 子供達をしゃがみ込んでしっかりと抱きしめる。 クレーズがクラウドとティファに『ちょっかいをかけた』事は、英雄仲間しか知らない事実だった。 子供達に話すには不適切……との事で二人には内緒にしている。 その為…。 「クレーズさんって発掘が好きだなんて知らなかった〜!」 「どう?子供の頃からの夢だった採掘者になってさ!!面白い物、何か発見した!?」 という事になっている。 クレーズは、目をキラキラさせてあの頃と寸分違わぬ態度で接してくる子供達に両目を細めると、 「おう!だから、今回こうしてWROにも『ジェノバ戦役の英雄』にもSOSを出す事になっただろ」 「え〜!そんなの全然楽しくないじゃん!」 「なぁに言ってる!人生、スリルがなきゃ面白くないだろうが!」 「クレーズさんって相変わらず〜!!」 子供達相手にあの頃のようにじゃれ合うのだった。 事情を知っている英雄達は、内心ハラハラしたり、モヤモヤしたりしていたものだったが、子供達と一緒にじゃれている彼を見て何となくホッとした。 『ちょっかい』をかけている時は、恐らく『憑かれている』状態だったんだろ…。 今はすっかり『憑き物が落ちている』。 怪しげな行動をしていた人物とは思えない程、どこにでもいそうな人間の雰囲気しか感じない。 気配を読み取る事に敏感な仲間達が、クレーズに対して密かに警戒していたその『気』を消した事に、リーブはホッと安堵した。 ……まぁ、若干一名……親バカだけは愛娘の可愛さゆえにバリバリに警戒しまくっているのだが…。 「では皆さん。こちらにどうぞ」 リーブに促されてゾロゾロと入り口に固まっていたシド達は、駐屯所のテント中央に設置されている長方形のテーブル周りに集まった。 テーブルには例の騒動以来、何の検査もしていない遺物達が丁寧に間隔を置いて置かれている。 「へぇ…凄いねぇ!」 ユフィが感嘆の声を上げた。 ナナキが前足をテーブルに乗っけて後ろ足で立ち、目をキラキラさせてコクコク頷く。 「どれもこれも……過去の大きな遺産だねぇ…」 ナナキがうっとりと吐息を吐いた。 そんなナナキを見て、「うぉ!獣がしゃべった!!!」と、クレーズが今更ながらに驚いていたが、子供達に説明をしてもらっている。 「はい、それでですね。これらの『どれか』、あるいは『複数』が魔物をおびき寄せてると思われるもの達です」 「……多いな」 「ああ…俺の予想を軽く倍は上回ってやがる」 ヴィンセントの感想にシドが苦々しい顔をした。 遺産の数は、ざっと見ただけでも三十点はあるだろう…。 小さな骨の欠片のような物から大きなツボのような物まで、実に様々な物がテントのランタンの光を受けて鈍い光を放っていた。 「とにかく、どんな刺激が悪影響を出すか分からないのでX線写真すら撮ってない状態なんです。ですから、これから早速X線写真を撮りたいので、その間、皆さんにはボーンビレッジ周辺に散って頂いて、異常がないか見ていてもらいたいんです」 「うぇ〜。着いた早々、もう働くの〜〜!?」 リーブの指示に、ユフィがブーイングを飛ばしたが、「ええ、お願いします」と、さらりと笑顔でかわされてあえなく撃沈した。 「流石…神羅のエリート幹部だけはあるぜ…」 「『元』ですよ、バレットさん」 笑顔だがしっかりと突っ込みを入れる事を忘れず、リーブは手をパンパンと叩いた。 「はい。では皆さん、お願いしますね」 「おうよ!」 「まかせといて!」 「……後でな」 「うう……私は休みたい…」 「じゃあ、マリン。父ちゃんはちょっと出てくるから、デンゼルと大人しくしてるんだぞ?」 それぞれがそれぞれの掛け声と共にテントから消えて行った。 そうして、ようやくボーンビレッジの発掘された遺物達は初歩中の初歩のX線写真を受ける事になったのだった…。 あとがき 全然クラティ要素なかった今回のお話し…(汗)。 期待されてた方がおられたら、本当にすいません! 次回は少しでも出せる予定です(苦笑)。 もう少し続きますので、よろしくお付き合い下さいませm(__)m *すいません。3/18に微妙に加筆修正しています。 |